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フォレストサイドハウスの住人達(その11)
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1 スレッドオーナー
鶴岡次郎
2015/05/14 (木) 14:43
No.2689
佐原幸恵の失踪劇は6ケ月ほどで終わりました。佐原と幸恵の仲は以前よりまして親密になっています。
幸恵失踪劇が無事ハッピィエンドを迎えることができたのは佐王子保の力が大いに役に立っています。
幸恵は引き続き佐王子の店で働くことになり、浦上千春と佐王子の仲も以前通りになりました。

暇な時間を持て余しているセレブ夫人の多いこのマンションに佐王子が頻繁に出入りするようになった
省略・・ここ
2 フォレストサイドハウスの住人達(その11)(314)
鶴岡次郎
2015/05/14 (木) 14:58
No.2690

佐王子の仕事

朝10時、浦上千春が寝室からようやく出てきました。今日は木曜日で浦上三郎の勤めも、長男の幼稚
園も平日どおりです。どうやら浦上も、長男も家にはいない様子です。
省略・・ここ
3 フォレストサイドハウスの住人達(その11)(315)
鶴岡次郎
2015/05/18 (月) 12:56
No.2692
「浦上さんは・・・、
いつ頃お帰りなの・・・?」

「多分・・、明後日の夜だと思う・・・
だからね…、
省略・・ここ
4 フォレストサイドハウスの住人達(その11)(316)
鶴岡次郎
2015/05/20 (水) 14:38
No.2693
佐王子の財産である顧客リストは彼が片時も体から放したことがない赤い手帳に記入されています。そ
の手帳が公になればおそらく100人を超える名士の社会的生命が断たれることになるでしょう。そこ
にはお客の住所、職業など個人的情報は勿論、連絡手段、女性の好み、過去に紹介した女の特性、閨で
の趣味、家族構成などが克明に記入されています。

省略・・ここ
5 フォレストサイドハウスの住人達(その11)(317)
鶴岡次郎
2015/05/28 (木) 15:13
No.2694

お客と女達は佐王子を信頼し、佐王子も彼等の秘密を必死で守る。この信頼関係が、佐王子が仕事を進
める基本になっています。一ヶ所でもこの信頼関係が壊れるようなら、佐王子の売春組織は崩壊するの
です。一見脆弱そうに見える組織ですが、十年以上この組織が維持され、お客も女達も代替わりがスム
ーズに行われているところを見ると、案外、理想像に近い組織なのかもしれません。少なくとも、薬や
省略・・ここ
6 フォレストサイドハウスの住人達(その11)(318)
鶴岡次郎
2015/06/01 (月) 15:15
No.2695
千春との関係ができてから6ケ月ほどで、佐王子は10名ほどの女をこの稼業に誘い込むことに成功し
ました。探せばいくらでも女性は居るのですが、佐王子はこれ以上、このマンションを舞台にしたビジ
ネスでは女を増やさない方針です。

佐王子の狙い通りSFマンションを舞台にした裏売春稼業はヒットしました。商売女を探せばそれなり
省略・・ここ
7 フォレストサイドハウスの住人達(その11)(319)
鶴岡次郎
2015/06/04 (木) 17:32
No.2696

シャワーを浴び、服装を整えて男が居間に戻ってきました。居間の絨毯の上にバスタオルを何枚も敷
いて、女がその上に全裸の身体を長々と横たえています、どうやら、体内に直接精液を受け入れたよ
うで、軽く開いた亀裂から白い液がにじみ出ているのが見えます。

省略・・ここ
8 フォレストサイドハウスの住人達(その11)(320)
鶴岡次郎
2015/06/08 (月) 12:29
No.2697

全裸で床に敷いたバスタオルの上に足を投げ出すようにして座っているのです。彼女の視線はもろだし
になった自身の股間の茂みを捉えているはずですが、そのことを恥らっている様子は見せません。ただ、
じっと固まった様子を見せているのです。

省略・・ここ
9 フォレストサイドハウスの住人達(その11)(321)
鶴岡次郎
2015/06/11 (木) 16:54
No.2698

「それで・・、
どこで・・、誰とやったの・・」

「一か月ほど前・・・、
省略・・ここ
10 フォレストサイドハウスの住人達(その11)(322)
鶴岡次郎
2015/06/12 (金) 14:31
No.2699
「そうだ・・・、
千春さんも変身しなよ・・・、
一万円もあれば上から下まで整えることができるはずよ、
いつも行っているいい店が近くにあるの・・・」

省略・・ここ
11 フォレストサイドハウスの住人達(その11)(323)
鶴岡次郎
2015/06/15 (月) 11:33
No.2700

「想像以上の感度ね…、
ある意味うらやましいけれど、
辛いことは辛いよね・・・」

省略・・ここ
12 フォレストサイドハウスの住人達(その11)(324)
鶴岡次郎
2015/06/17 (水) 14:20
No.2702
「杉ちゃん・・、判った・・・、
ほんの少しの時間だけれど、いい・・・
会うだけだよ・・・・」

「ああ・・、顔を見るだけでいいから・・・」
省略・・ここ
13 フォレストサイドハウスの住人達(その11)(325)
鶴岡次郎
2015/06/22 (月) 14:10
No.2703
笑みを浮かべた余裕の表情で男の顔を見ながら幸恵が千春を紹介しました。

「あちらに・・・、お友達の千春さん・・・」

「・・・・・・・・・」
省略・・ここ
14 フォレストサイドハウスの住人達(その11)(326)
鶴岡次郎
2015/06/23 (火) 12:18
No.2704
ちょっと考え、幸恵は直ぐに決断しました。

「千春さん・・・、ちょっと待って・・・、
突然で悪いけれど、杉下さんのお相手をしていただけないかしら…、
私・・・、ちょっと体調を崩していて・・」
省略・・ここ
15 フォレストサイドハウスの住人達(その11)(327)
鶴岡次郎
2015/06/26 (金) 11:50
No.2705

抱かれる覚悟を固めて男の前に居ても、体の代償に金を差し出されると普通の主婦であれば当然のこと
ですが当惑します。気の強い女であればその場で金を突き返し、席を立つのが普通です。しかし千春は
過去に売春の経験があります。金を差し出されることにはそれほど抵抗を感じていないのです。その上、
幸恵の口で休業中の元ソープ嬢と紹介されているのです、この場は娼婦になり切って、お金は受け取る
省略・・ここ
16 フォレストサイドハウスの住人達(その11)(328)
鶴岡次郎
2015/06/27 (土) 15:20
No.2706

マンションに居る時の普段の幸恵からは想像もできない言葉なのです。驚きながらも、このアパートに
来れば完全に変身するのだと言った幸恵の言葉を千春は改めて思い出していました。そして、幸恵の並
々でない好意を千春は噛みしめているのです。

省略・・ここ
17 フォレストサイドハウスの住人達(その11)(329)
鶴岡次郎
2015/06/30 (火) 16:16
No.2707

「杉チャン・・、この娘(こ)・・、その気になって・・・、
お汁をいっぱい出しているのよ・・・、
ほら・・、パンツの上までいやらしい染みが出ている・・・、見てやって・・・」

省略・・ここ
18 フォレストサイドハウスの住人達(その11)(330)
鶴岡次郎
2015/07/01 (水) 15:20
No.2708

すかさず、男が女の股間に顔をうずめています。女は自身の意志で両脚を開き、男の頭に両手を付けて、
悲鳴を上げながら首を後ろにのけぞらせています。男はうめき声を発しながら、股間に頭を押し付け、
その部分に歯を当てているのです。

省略・・ここ
19 フォレストサイドハウスの住人達(その11)(331)
鶴岡次郎
2015/07/08 (水) 18:24
No.2709
目の前に来た男根を女が右手で握っています。

「ああ・・・、熱い・・・・」

先端から汁をたらしているそれをちゅうちょなく女が咥えこんでいます。
省略・・ここ
20 フォレストサイドハウスの住人達(その11)(332)
鶴岡次郎
2015/07/13 (月) 15:30
No.2710

街に出たものの、杉下に股間をいじられ、口を吸われ、挿入直前にまで行っていたのです。二人が絡み
合う悲鳴を背にして部屋を出てきたのです。股間の疼きは幸恵を苦しめました。明らかな湿りが股間に
感じ取れるのです。店に出ることも考えたのですが、明日出勤と決めているルーチンを壊す気になれな
くて、店に出るのは何とか思いとどまったのです。それでも身体が疼いて、千春に男を譲ってきたこと
省略・・ここ
21 フォレストサイドハウスの住人達(その11)(333)
鶴岡次郎
2015/07/15 (水) 16:03
No.2711
幸恵が上半身を担当し、千春が下半身を担当することがその場の流れで決まりました。二人の女は互い
に顔を見合わせながら、競うように男の体を嬲り始めました。深く浅く巧みに男根を口で舐めている千
春、千春の行為を横目で見ながら、男の乳首、首、そして唇へ情熱的に唇と舌で刺激を与えている幸恵
です。二人の女は全裸で、既に一回戦を終えている千春は勿論のこと、燃える体を持て余していた幸恵
のその部分は滴り落ちるばかりに愛液で溢れているのです。
省略・・ここ
22 フォレストサイドハウスの住人達(その11)(334)
鶴岡次郎
2015/07/17 (金) 15:04
No.2712
一人は腹上に男を乗せ、全身を脂汗で濡らし、両脚をいっぱいに開いて男根を股間に咥えこんで、今終
わったばかりの性交の余韻の中にとっぷり浸かっているのです。そして、もう一人の女は全裸で、今
たっぷり見せつけられた絡みの興奮で滴るほどに体を濡らしているのです。

そんな恰好のまま二人の女は本当に楽しそうに話し合っています。どうやら二人の女の間には男を取り
省略・・ここ
23 フォレストサイドハウスの住人達(その11)(335)
鶴岡次郎
2015/07/20 (月) 15:42
No.2713

千春が言葉を選んでいる様子を見て、あることに気が付いた佐王子が手助けの渡り舟を出しています。

「まさか・・・、
別の男を呼び込んだりしていないだろうな・・・・」
省略・・ここ
24 フォレストサイドハウスの住人達(その11)(336)
鶴岡次郎
2015/07/22 (水) 17:09
No.2714

「エッ・・、一人じゃない・・」

杉下が大声を上げています。女二人が杉下の顔を不安そうに見ています。せっかく体を熱くして期待し
た男の影が消えるのを心配しているのです。
省略・・ここ
25 フォレストサイドハウスの住人達(その11)(337)
鶴岡次郎
2015/07/24 (金) 15:59
No.2716

「結局・・・、二人で三人の男を相手にしたのか・・・
最初から5Pか・・・、
素人集団はこれだから怖いんだ・・
隣近所に聞こえるほどの大騒ぎだったろうね…」
省略・・ここ
26 フォレストサイドハウスの住人達(その11)(338)
鶴岡次郎
2015/07/25 (土) 14:20
No.2717

「いえ・・・、隠さず申し上げます・・・・
味を占めた5人は定期的に幸恵さんの部屋に集まり、
何度か遊びました・・・、スミマセン・・・・。
10回には届いていないと思いますが、正確には数えていません・・・」
省略・・ここ
27 フォレストサイドハウスの住人達(その11)(339)
鶴岡次郎
2015/07/28 (火) 15:06
No.2718
「もしお金をいただいていなければ、毎日のように、男達はやって来て、
私達もそれを歓迎して、男達と私たちの間に破滅的なドロドロした関係・・、
セックスだけでつながった男と女の典型的な関係ができ上っていたと思います」

佐王子が、その通りだと言わんばかりに頷いています。
省略・・ここ
28 フォレストサイドハウスの住人達(その11)(340)
鶴岡次郎
2015/08/03 (月) 14:54
No.2719

その日も、3人の男と激しいセックスした後、彼らを送り出し、乱れた部屋の中に千春と幸恵がほ
とんど裸体で座っていました・・・、互いに顔を見合わせようとしません。

猛烈な性臭が漂う部屋の中は、乱れに乱れていて・・、夜具は誰のモノともわからない性液でぐっ
省略・・ここ
29 フォレストサイドハウスの住人達(その11)(341)
鶴岡次郎
2015/08/06 (木) 16:16
No.2720

「それで・・・」

それまでただ黙って聞いていた佐王子がようやく口を開きました。

省略・・ここ
30 フォレストサイドハウスの住人達(その11)(342)
鶴岡次郎
2015/08/07 (金) 14:11
No.2721

「ところが・・・、終わってはいなかったのです・・・。
それから2週間後、今度はアパートへ押しかけて来たのです・・」

「そうだろうな・・、
省略・・ここ
31 フォレストサイドハウスの住人達(その11)(343)
鶴岡次郎
2015/08/08 (土) 16:51
No.2722

白い封筒を見ているだけで、それに手を出さない幸恵の様子を見て、杉下がゆっくりと口を開きま
した。

「幸恵さんから連絡を受けて、こいつがしていることを初めて知りました。
省略・・ここ
32 フォレストサイドハウスの住人達(その11)(344)
鶴岡次郎
2015/08/11 (火) 12:11
No.2723

「随分と思いこまれたものだね…、
それで・・、千春はどうしたの・・・・?」

「勿論、私は断りました・・・。
省略・・ここ
33 フォレストサイドハウスの住人達(その11)(345)
鶴岡次郎
2015/08/12 (水) 16:13
No.2724

一度幸恵の店で会っているので山口は神本の顔を良く知っています。その時は上手く丸め込まれ、
体よくつまみ出された苦い経験があるのです。あの時は、店の制服である白いシャツに蝶ネクタイ、
黒のズボンでした。それでも十分の迫力を見せていて、蛇に睨まれた蛙のように山口は何の抵抗も
出来なかったのです。今日見る神本はその時と全く雰囲気が違っていました。
省略・・ここ
34 フォレストサイドハウスの住人達(その11)(346)
鶴岡次郎
2015/08/13 (木) 18:32
No.2725
明らかに喧嘩口調の山口の言葉をやんわりと受け流し、微笑みを浮かべて、神本がゆっくりと口を
開きました。山口が興奮すればするほど冷静になる、全て計算された行動です。

「幸恵さんから聞きませんでしたか・・・、
千春は会いたくないと言っているのですが・・・」
省略・・ここ
35 フォレストサイドハウスの住人達(その11)(347)
鶴岡次郎
2015/08/14 (金) 13:40
No.2726
「あなたの言うことを、とりあえず信用することにした・・・、
そこで・・、一つ教えてほしい・・・、
幸恵さんが抱えている大きな障害とは・・・、
一体・・、何なんだ・・・・」

省略・・ここ
36 フォレストサイドハウスの住人達(その11)(348)
鶴岡次郎
2015/08/15 (土) 17:26
No.2727

山口が納得して、これでトラブルが治まったと神本はほっとしていたのです。千春は勿論、目の前
にいる山口も、そして幸恵にも、誰にも損失を与えないで、誰の名誉を傷つけることもなくこの事
件を丸く治めることが出来たのです。うまい筋書きで山口を説得できたと神本は密かに自己満足を
噛み締めていたのです。
省略・・ここ
37 フォレストサイドハウスの住人達(その11)(349)
鶴岡次郎
2015/08/16 (日) 17:24
No.2728

幸恵のアパートの前で二人は睨み合っているのです。大きな男が二人、屋外でにらみ合っていれば
いやでも人目に付きます、若い山口は人目を気にしませんが、神本はそうはいきません、騒ぎを起
こすと立場上不利なことは判っています。旧悪を穿り出されることにもなりかねないのです。

省略・・ここ
38 フォレストサイドハウスの住人達(その11)(350)
鶴岡次郎
2015/08/18 (火) 12:00
No.2729

おいしそうに神本はコーヒーを啜っています。そんな神本を山口はじっと見つめています。コーヒ
ーにも手を出さないのです。明らかに少し苛ついています。神本は結論を急がないと決めているの
です。じっくりと話を進めるつもりなのです。

省略・・ここ
39 フォレストサイドハウスの住人達(その11)(351)
鶴岡次郎
2015/08/19 (水) 14:08
No.2730
やくざ映画の一シーンのような話ですが、神本の表情を見る限り嘘を言っている様子はないのです。
驚きを抑え、平常心をとりもどそうと努めているのですが、体は正直なもので、恐怖からなのか、
緊張からなのか・・、山口の全身が彼自身でも制御できないほど震え出しているのです。

〈やはりこの男・・・、只者ではない…、
省略・・ここ
40 フォレストサイドハウスの住人達(その11)(352)
鶴岡次郎
2015/08/20 (木) 16:56
No.2731

神本の覚悟は組の関係者誰もが知るようになっていました。そして、その日が来るのはどんなに遅
くても一週間以内だと囁いていたのです。そして二、三日が経ち、その日が、今日にもやってきて
もおかしくないと・・、事情を知る誰もが思っていたある日、組織を束ねる老組長の尾花から神本
に電話がありました。直ぐに組事務所へ来いという連絡で、いつものと違って少しハイテンション
省略・・ここ
41 フォレストサイドハウスの住人達(その11)(353)
鶴岡次郎
2015/08/21 (金) 12:04
No.2732

真相が明らかになったのはそれからニケ月後でした。

総長の強い指示で、事の真相が表に出ないように抑え込まれていたのです。しかし、組の窮状を救うた
め、仕事の失敗を死で償うと覚悟を決めた神本の話は関係者の間ではあまりに有名な美談になっていた
省略・・ここ
42 フォレストサイドハウスの住人達(その11)(354)
鶴岡次郎
2015/08/25 (火) 14:20
No.2733

勿論、神本が組織に与えた損失は千春の体で賄いきれるほど、簡単なものではありません。莫大な
損失を女一人の体で弁済したいと願い出れば、普通なら笑い飛ばされ、玄関払いされるのが関の山
なのです。しかし、たまたまその日、自宅に居た総長は玄関で騒いでいる千春の声を聞きとがめ、
軽い気持ちで玄関に顔を出したのです。
省略・・ここ
43 フォレストサイドハウスの住人達(その11)(355)
鶴岡次郎
2015/08/26 (水) 11:31
No.2734
その日以来、神本の立場は非常に苦しいものになりました。『命を差し出し、組の窮状を救おうと
した男』から、『女房を売って、命乞いをした男』に、彼の評価は急落したのです。

組の内外で彼の発言力は地に落ちました。誰も彼の言葉を信用しなくなったのです。組長も表向き
は彼を庇護してくれませんでした。それでも彼は組を抜けることなく、黙々と地を這うようにして、
省略・・ここ
44 フォレストサイドハウスの住人達(その11)(356)
鶴岡次郎
2015/08/27 (木) 11:47
No.2735
千春が消えてから5年が経過しました。ある夏の日、夜明け前、神本の住む安アパートの前にタク
シーが止まりました。助手席のドアーが開いて黒ずくめの男が素早く降り立ち、小走りで後部ドアー
の側に立ちました。ドアーが開き、形のいい白い足が伸びてきました。黒ずくめの男が恭しく左手を
差し出しています、慣れた仕草で白い手が男の手に伸びて、その手に支えられ、若い女が一人降り立
ちました。運転手として、個人執事として、黒ずくめの男は5年間こうして女の傍で仕えてきたので
省略・・ここ
45 フォレストサイドハウスの住人達(その11)(357)
鶴岡次郎
2015/08/31 (月) 13:40
No.2736

10時ごろまで女はかいがいしく働きました。今まで住んでいた環境とあまりに違い過ぎるため、
最初は軽い戸惑いもあったのですが、体を動かしていると5年前の記憶が蘇ってきました。

部屋の掃除、洗濯、食器類の点検、食器類は5年前のまま手ずかずで残されていました。女の知ら
省略・・ここ
46 フォレストサイドハウスの住人達(その11)(358)
鶴岡次郎
2015/09/01 (火) 14:19
No.2737

その患者は特別室に居ました。応接セットを備えたかなり広い病室です。酸素吸入器を付け、全身
を包帯で巻かれた大柄な男が眠っていました。呼吸は正常で、容態は安定している様子です。

「目下のところは安定していますが、今夜から二、三日が山場です・・・。
省略・・ここ
47 フォレストサイドハウスの住人達(その11)(359)
鶴岡次郎
2015/09/02 (水) 11:54
No.2738
一通り患者の様態説明が終わり、女もそれなりに納得しました。担当医として患者家族への説明は
全て終わったのです。それでも、医者は椅子から立ち上がろうとしません。忙しい身であるはずで
すが、もう少し女と会話を楽しむつもりになっているようです。どうやら、看護師がしびれを切ら
して迎えに来るまで、女とこの部屋にいると決めているようです。

省略・・ここ
48 フォレストサイドハウスの住人達(その11)(360)
鶴岡次郎
2015/09/03 (木) 10:24
No.2739

「ああ・・そうだ・・・、
もしご希望なら、今夜、奥様もご一緒に病室で過ごされてはいかがですか・・・・。
ご希望ならベッドと食事を準備させますが・・」

省略・・ここ
49 フォレストサイドハウスの住人達(その11)(361)
鶴岡次郎
2015/09/05 (土) 15:18
No.2741

「今の私には・・・、
お礼として差し上げることが出来るのはこの体しかないのです・・
私にとって夫の次に大切なものをささげて、お願いしたいのです。
主人をお願いします・・・」
省略・・ここ
50 フォレストサイドハウスの住人達(その11)(362)
鶴岡次郎
2015/09/07 (月) 15:51
No.2742

医者の沈黙を見て、女はその場に居られないほど自身の軽率な言葉を後悔していました。娼婦の
素性を医者に気付かれたと女は思っているのです。一番恐れていた結果なのです、結婚前の一時期
そうした前科があるだけに、かなり動揺しています。

省略・・ここ
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