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フォレストサイドハウスの住人達(その11)

[1] スレッドオーナー: 鶴岡次郎 :2015/05/14 (木) 14:43 ID:ftlgeY7A No.2689
佐原幸恵の失踪劇は6ケ月ほどで終わりました。佐原と幸恵の仲は以前よりまして親密になっています。
幸恵失踪劇が無事ハッピィエンドを迎えることができたのは佐王子保の力が大いに役に立っています。
幸恵は引き続き佐王子の店で働くことになり、浦上千春と佐王子の仲も以前通りになりました。

暇な時間を持て余しているセレブ夫人の多いこのマンションに佐王子が頻繁に出入りするようになった
のです。無事に収まるとは思えません。この章では稀代の竿師、佐王子保とマンションの住人たちが織
なす色模様をできるだけたくさん紹介したいと思います。相変わらず変化に乏しい普通の市民に関する
話題です。ご支援ください。

毎度申し上げて恐縮ですが、読者の皆様のご意見、ご感想は『自由にレスして下さい(その11)』
の読者専用スレにご投稿ださい。多数のご意見を待っています。    

また、文中登場する人物、団体は全てフイクションで実在のものでないことをお断りしておきます。

発表した内容の筋を壊さない程度に、後になって文章に手を加えることがあります。勿論、誤字余脱
字も気がつけば修正しています。記事の文頭と、文末に下記のように修正記号を入れるようにしま
す。修正記号にお気づきの時は、もう一度修正した当該記事を読み直していただけると幸いです。

・(1)2014.5.8 文末にこの記事があれば、この日、この記事に1回目の手を加えたことを示しま
す。
・記事番号1779に修正を加えました。(2)2014.5.8 文頭にこの記事があれば、記事番号1779に二
回目の修正を加えたことを示し、日付は最後の修正日付です。ご面倒でも当該記事を読み直していた
だければ幸いです
                                        ジロー  


[25] フォレストサイドハウスの住人達(その11)(337)  鶴岡次郎 :2015/07/24 (金) 15:59 ID:OAQYrdCE No.2716

「結局・・・、二人で三人の男を相手にしたのか・・・
最初から5Pか・・・、
素人集団はこれだから怖いんだ・・
隣近所に聞こえるほどの大騒ぎだったろうね…」

「ハイ・・・、スミマセン…、
子供が帰ってくる三時ごろまで・・・、夢中で騒ぎました。
多分・・、いえ・・、確実に両隣の部屋には騒ぎが聞こえたと思います」

「そうだろう・・、
その時間、みんな家にいるはずだからな・・、
お隣さんから苦情が来ただろう」

「ハイ・・・・、後で聞いた話ですが・・・・、
隣の住人から・・、仲間のお姐さんたちですが・・、
幸恵さんはさんざんにからかわれたそうです…。
次には仲間に入れてほしいと言ったお姐さんもいたそうです・・・」

「おい、おい・・・、隣の住人まで巻き込んだの・・
頼むよ、これ以上混乱を起こさないでくれよ・・」

「フフ…、心配ですか・・・・、
大丈夫ですよ・・、しっかりしたお姐さん達ばかりだから・・、
仲間に入れてくれと言うのは、軽い冗談だと思います・・、
でも普通のアパートだったら、確実に大問題になっていたと思います・・」

苦笑を浮かべながら問いかける佐王子をからかうように千春が軽口で答えています。佐王子のご機嫌が
そう悪くないのを知って千春は喜んでいるのです。もし、不機嫌な様子を見せれば、直ぐに話を打ち切
るつもりだったのです。

「お隣さんに乱交が知られていると判り、
恥ずかしくて、私は本気で心配したのですが・・・、

『・・・お互いさまよ・・、
私だって、さんざん悩まされているのだから・・』と・・・、
幸恵さんは笑っていました・・・

お姐さんたちも相当遊んでいるようですよ・・・、
ふふ…」

「まあ・・・、そうだろうな・・・
で・・・、そんなに、良かったのか…」

「ハイ・・・、それは…、
複数の男を同時に相手するのは何年振りかのことでしたが、
今回の様に我を忘れたのは初めてでした・・・・」

まだ独身の頃、佐王子の傘下で売りをやっていた頃、複数の男を相手にしたことは何度かあったのです
が、客たちは全員が老域に足を入れた紳士たちで肉体的に過激な遊びではなかったのです。今回は40
代の男二人と20代の男一人で、まさに旬の男が相手ですから、千春にとってもほとんど初体験の5P
だったのです。

「『こんなに深く逝ったのは初めて・・・』と、
幸恵さんも言っていました・・・」

「・・・で、
遊んだのは、その時一度だけなの・・・・」

「エッ・・、は、はい・・・、
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

佐王子に睨まれて、千春は首をすくめています。


[26] フォレストサイドハウスの住人達(その11)(338)  鶴岡次郎 :2015/07/25 (土) 14:20 ID:hPt7ak72 No.2717

「いえ・・・、隠さず申し上げます・・・・
味を占めた5人は定期的に幸恵さんの部屋に集まり、
何度か遊びました・・・、スミマセン・・・・。
10回には届いていないと思いますが、正確には数えていません・・・」

「そうか・・・、
そこまで行っていたのか・・・・」

佐王子の表情から笑みが消えています。心配そうな表情で千春が男の表情の裏を読み取ろうとしていま
す。

「声を掛ければ、男達はあらゆることに優先して、仕事の予定でさえ変更して、部屋に集まってくれま
した。

私は…、勿論、誘われれば嫌とは言いませんでした・・・。
多分・・、私が一番・・、この遊びに積極的だったと思います。
私が一番・・、溺れ込んでいたと思います。

一番冷静だったのはリーダの幸恵さんでした。遊びに参加しないでみんなが絡み合うのを見ている時間
が長かったように思います。飲み物や、食べ物など、彼女が調達して準備してくれていました。それで
も複数の男と遊ぶのが面白いと言って、この遊びをそのものは嫌ではなかった様子です。

このようにみんながこの遊びに狂っていました・・。スミマセン・・・・」

スミマセンを連発して、視線を床に落とし、千春はしんみりと語っています。乱交の魅力にとり込まれ
た自身の体をのろっているようにも受け取れる口ぶりです。

佐王子の表情が更に引き締まってきています。何事か気になることがある様子です。

「二度、三度と回を重ねると、明らかな変化が私の身体に起きていました。
私を抑え込んでいた何かが弾け飛んだようです・・・。
自分でもはっきり判るほど、私の身体は変わりました・・・。

私の身体が自分のモノでないと思えるほど、
家事をしていても、買い物に出ても、
いつも悶えていることが多くなりました・・・」

「そうか・・、遂にそこまでたどり着いたのか・・、
話を聞きながら、そうでなければいいと思っていたが・・、
そうか・・、ギアーが数段上がったのかもしれないね…」

佐王子の心配は的中したようです。万人に一人の天分を持った千春の才能が完全に花開いたのを確信し
たのです。

「千春がそうなれば・・、一度きりで終わるはずはないよな・・・。
・・で、その都度ちゃんと・・、
お金はいただいていたのだろうな・・・」

「ハイ・・、
正直言って私は・・、無償でもよかったのですが・・・
幸恵さんが・・、親方にきつく言われているからっと言って・・・、
その度、比較的沢山のお金をいただきました・・・
男の方々もお金を出すのが当然だと思っていたようです・・・」

佐王子が黙って頷いています。
 
「三人とも一人暮らしですが、貯えはそんなにない様子で、
私達と遊ぶため、彼らは一生懸命働いてお金を稼ぎ・・・、
仕事が終わると、有り金を握って駆け付けてくれました・・・」

「それが基本だよ・・、そうでなくてはいけない・・」

「おっしゃる通りです・・・・。
私もそのことがどんなに大切か、今回のことで身にしみてわかりました。
今考えると、それが男達にとって、転落への歯止めになっていたようです。
お金を出すことが男達を堕落から救っているのだと知りました・・・」

「・・・・・・・」

妙なことを言いだした千春の言葉に佐王子がびっくりしています。しかし、千春は案外真剣な様子で、
情熱的に語り始めました。


[27] フォレストサイドハウスの住人達(その11)(339)  鶴岡次郎 :2015/07/28 (火) 15:06 ID:TGd1dkCY No.2718
「もしお金をいただいていなければ、毎日のように、男達はやって来て、
私達もそれを歓迎して、男達と私たちの間に破滅的なドロドロした関係・・、
セックスだけでつながった男と女の典型的な関係ができ上っていたと思います」

佐王子が、その通りだと言わんばかりに頷いています。

「そうなれば、男は女を抱くことだけが日々の目的になり、つらい仕事をやらなくなり、
いずれお金が切れると、その日の生活費にも困るようになり、女にせびるようになるかもしれません。

そうなると、当然女は逃げ出します。やがて、全てを失った男は社会の底辺を這いずる回る生活に堕ち
て行くと思います・・」

何時でも、無償で女を自由に抱ける環境に身を置くと、男は女に溺れて、仕事をしなくなり、結局、浮
浪者に堕ちると千春は言っているのです。

「まあ・・、この程度の遊びで男がそこまで堕落するとは思えないが・・、
確かに・・、美味しい獲物が無償で手に入るようになると、
誰でも、安易に生きるように成るのは確かだがね…、
まあ・・、千春の言うことは大筋で間違っていないと思う・・・・」

佐王子が笑みを浮かべて首を捻りながらも、千春の説を支持しています。

「一方私自身も、お金をいただくことで、ある歯止めと言うか、自制心が出来ていたようです。お金を
いただくと、娼婦に徹する気持ちが出来て、お客様を喜ばせることを第一に考え、私自身の気持ちは二
の次に考えることができるようになっていたのです。

もし、お金をいただいていなければ、体の欲するまま、私はもっとわがままを言って、毎日、24時間、
男達にサービスを求め、セックスをいっぱい要求したと思います・・」

〈・・男三人を次々と失神させるほどセックスに耽っていて・・、
それでも自制していたと、言うの・・?
もし・・自制していなければどうなるの・・・、聞くのも怖いね・・・・〉

笑みを浮かべ黙って千春の話を聞いている佐王子は内心では千春の底知れない情欲の凄さに密かに感嘆
していたのです。佐王子の内心でのつぶやきを聞きわけたかのように千春がそのことに触れて来ました。

「今の私だったら、いつまでもセックスを続けられると思う…、
そして最後には精も根も尽きて、
最悪そのまま死を迎えるまで狂い通すと思う・・・。
自分でも私自身の体が判らない・・・、
本当に恐ろしくなります・・・・」

「・・・・・・・・・・・」

黙って佐王子は頷いていました。あまりにも凄い話を聞かされて、とてもコメントできないのかもしれ
ません。

「三人の男を相手に遊ぶのは本当に楽しかった・・・、
でも・・・、回を重ねるに従い・・・、
罪悪感と言うのか・・、空虚感と言うのか・・、
事が終わった後、不安定な感情が私の中に湧き上がることが多くなっていた・・」

セックスの後、それが強烈な刺激を伴うものであればあるほど、よけいに、罪悪感の伴う、ある種の空
虚感を味わうものです。まして、夫や、愛人の目から隠れて、愛してもいない男達と乱交をして、生涯
最高のアクメを味わったのです、女であれば、いや人であれば当然、罪悪感に苛まれ、自身への嫌悪感
を強く抱くものです。千春がセックスの後、罪悪感を抱くようになったのは当然のことだと思います。


[28] フォレストサイドハウスの住人達(その11)(340)  鶴岡次郎 :2015/08/03 (月) 14:54 ID:z93g1nyQ No.2719

その日も、3人の男と激しいセックスした後、彼らを送り出し、乱れた部屋の中に千春と幸恵がほ
とんど裸体で座っていました・・・、互いに顔を見合わせようとしません。

猛烈な性臭が漂う部屋の中は、乱れに乱れていて・・、夜具は誰のモノともわからない性液でぐっ
しょり濡れ・・、枕は部屋の隅に追いやられ、丸められたちり紙が部屋いっぱいに散らばっていて、
千春と幸恵の下着がボロ布のようにあちこちに転がっているのです。

その中に座って、全裸の千春は激しい罪悪感と、自己嫌悪感、そして、全身を襲う空虚感と戦って
いたのです。

「男達が帰った直後が一番つらかった・・。
シャワーを使いたくても体が動かないのです。
それでいて、性感は研ぎ澄まされていて、その部分は勿論、体のどこに触れても、
思わずうめき声を上げるほど全身に快感が走るのです・・・。

そこから流れ出る愛液の残渣でさえ、私を刺激して苦しめるのです・・」

全身が性器になったような感触を千春はそのように語りました。佐王子はただ黙って頷くばかりで
した。

「幸恵さんを見ると、後ろ手で体を支えるようにして座り込み、脚を投げ出し、両脚をいっぱい開
いているのです。彼女もまた恍惚感の中に沈み込んでいるのです。

股間から白い液が流れ出しているのさえ、彼女は無頓着な様子なのです。全身が性液と汗で濡れて
光り、疲れがありありと見えるのですが、お化粧が所々はがれたその顔は恍惚とした、ふぬけのよ
うな表情で、いましがた終わったばかりのセックスを反芻している様子なのです。

見ている私が恥ずかしくなるような姿なのです。
自分も・・・きっと・・・、
こんな醜悪な色狂いの女の姿を曝しているのだと気づきました。

恥ずかしい・・、こんなに落ちぶれた自分が悔しい・・、
自分自身を抹殺したい・・・と、その瞬間強く思いました・・・」

下を向き、低い声で千春は苦しそうに語っています。佐王子は冷めた表情で黙って聞いています。

「それでも・・・、3日も経てば幸恵さんの誘いに乗って、
いそいそとアパートへ出かけていたのです・・・・。
バカな私でしょう・・・・」

自嘲的な笑みを浮かべて千春が佐王子に同意を求めています。佐王子は目を閉じて黙って頷いてい
るだけです。

「あきれてコメントできないのですね・・・・、
当然だと思います。
でも・・、こんな私に、遂に神のお裁きが下りました・・・」

少し口調を変えて千春が話し始めました。

「幼稚園に通っている長男と一緒に風呂に入った時のことです・・・、
『ママ・・、クチャイ・・・・・』と子供が言ったのです・・」

その日午前中、幸恵は男達と散々に遊び、男達の飛沫を全身に受け止めていたのです。良く体を
洗ったのですが、4歳児である長男の敏感な嗅覚から逃れることができなかったのです。

「長男の声は神の声だと思いました。
まだまだ続けたい気持ちは強かったのですが・・、
保さんにも、主人にもバレていない内に、思い切って止めることにしたのです・・」

「・・・・・・・・」

佐王子は相変わらず黙って頷いています。

「まだ続けたいと言う幸恵さんを説得して、これが最後と決めた遊びを堪能した後、もうお仕舞だ
と男達に伝えました・・。

その夜、私・・・、一人で泣いていました・・・・。
今でも・・、あの関係を清算して良かったと思う半面、あの頃が恋しくて・・・」

唇をかみしめて千春は何かに堪えている様子を見せています。


[29] フォレストサイドハウスの住人達(その11)(341)  鶴岡次郎 :2015/08/06 (木) 16:16 ID:ohByYJ6I No.2720

「それで・・・」

それまでただ黙って聞いていた佐王子がようやく口を開きました。

「男達は大人しく引き下がったの・・・」

「杉下さんと隆司さんは快く納得してくれました。多分彼らもこんな刺激的な遊びは長続きしな
いし、続けるべきでないと考えていたのだと思います。
それでも若い山口さんは、なかなか納得しませんでした・・・」

「そうだろうな・・・・」

「それでも・・、他の男に説得されてその場は不承不承納得して、山口さんは大人しく引き下がり
ました。帰る時には男達一人一人が女二人をハグしてくれて、余分にお金をくれました。
私・・、少し泣いていました・・。

ところが・・、二週間後に幸恵さんの店へ山口さんが一人でやって来たのです」

「店に来た客は断ることはできないからね…、
山口も考えたわけだ…」

「ハイ・・、あの日以来、杉下さんのグループとは縁が切れたと思っていた幸恵さんは、山口さん
に指名されて、正直びっくりしたそうです・・」

「山口は以前のように遊びたいと言い出したのだろう・・・・」

「ハイ・・そうです
部屋に入るなり、真剣な表情で・・、
もう一度5人で遊びたいと幸恵さんに要求したのです・・・」

「忘れきれなくて・・、
ずーっとそのことを考え続け、
自分の感情を抑えきれなくて・・、
幸恵さんの店にふらふらと来てしまったのだね・・・、
山口がなんとなく哀れに思えてくるね…」

佐王子がしんみりと、自分に言い聞かせるようにつぶやいています。

「『みんなで決めたことだから・・、
あれは夢だったと思って忘れてほしい・・』と・・・、
幸恵さんは心を込めて説明したのです。

元々・・、自分が無理を言いだしたことは判っていたらしく、
涙を流しながら、『悪かった・・』と言って納得して、
その日、せっかく大金を払って幸恵さんを指名していながら・・、
何もしないで店を出たのです・・・」

「それだけでは・・、
終わらなかったのだろうな…」

「その通りです・・!
三日後にまた店にやってきて、その時は髭を剃らずに、少しやつれた様子で、
何か思いつめているようで、幸恵さんは少し怖かったそうです・・」

「やはりな・・・、厄介なことになったな・・」

佐王子にはその先の展開が読めているようで、表情を曇らせています。

その日、幸恵は適当に相手して、山口の要求をはぐらかせていたのですが、山口はまるで駄々子の
ように、5人で遊びたいと幸恵に涙ながらに懇請したのです。そして、幸恵がその要求に応じない
と判ると、一転して、少し居直った様子で、凄みを効かせ、『千春の居所を教えろ・・』と幸恵に
迫ったのです。

恐怖を感じた幸恵は店のスタッフを呼びました。百戦錬磨のスタッフになだめられて山口はその日
はすんなりと引きさがりました。それから数日経っても山口は店に顔を出さないのです。さすがの
山口もスタッフにまで事情を知られては、店に顔を出す事をあきらめたと幸恵は思ったのです。そ
して、これで終わったと密かに喜んでいたのです。


[30] フォレストサイドハウスの住人達(その11)(342)  鶴岡次郎 :2015/08/07 (金) 14:11 ID:CaFij5mg No.2721

「ところが・・・、終わってはいなかったのです・・・。
それから2週間後、今度はアパートへ押しかけて来たのです・・」

「そうだろうな・・、
若い男が色に溺れると始末が悪いんだ…
千春の処へはやって来なかったのか・・・?」

「私は連絡先を一切男達には教えていませんから直接の被害は無かったのですが、
幸恵さんは本当に困ったと言っていました。

お店へ来るのは、商売ですから黙って受け入れても・・・、
アパートに来てストカーのように付きまとうのは困ると言っていました・・」

「良くあることだよ・・・、
若い奴はソープ嬢が見せる商売上のサービスを恋だと錯覚することがあるのだ、
まあ・・、直ぐに醒めるモノだが・・・」

「最初の内、二度ほどは、幸恵さんも彼に同情して部屋に入れていたのです・・・、
部屋に入ると、私を呼び出せと言うだけで、何もしないで、ただ座っているのです。
時々は泣き出したりしたそうです・・・。
幸恵さんは優しい人ですが、思わず強い言葉を出して励ますことが多かったようです・・・」

山口はかなり参っているようで、もう・・、自分の行為の目的と意味さえ分からなくなり始めてい
たのです。ただ、千春への執着心は衰えないばかりか、彼女の顔さえ見ることができないと判ると、
その執着心は異常に高まり、世の中の全ての仕組みが自分に敵対して、千春へのアプローチを阻害
していると思い込み始めていたのです。 

幸恵の前で涙を流しながら、千春を呼び出せ、、居どころを教えろ・・、と言っている間は未だ良
かったのですが、千春に会わせないのは幸恵のたくらみだと思い始めていたのです。最後には、手
を上げて脅かすふりをし始めたのです。そうなってしまっては、当然のことながら、幸恵は山口の
入室を拒みます。

そのことでよけい荒れるようになり、どんどん扉をたたいて・・、中へ入れろと騒ぐようになった
のです。

「困り果てた幸恵さんは・・・、
杉下さんに相談したのです・・」

「・・・・・」

首を振り、苦しい表情で佐王子が黙って頷いています。どうやら佐王子には若い山口の気持ちが良
く理解できている様子で、ここまで来るとこの話の結末も見えているのかも知れません。


ある日、山口を連れた杉下が幸恵のアパートを訪ねて来ました。神妙な表情をしている山口と、普
段は見せない真剣な表情の杉下を見て、幸恵はただならない雰囲気を感じ取っていたのです。

「幸恵さん・・・、
今までこいつがいろいろご迷惑をおかけしたことを私からも謝ります・・・。
こいつが持っている有り金をかき集めて来ました。
二十万あります・・・・。

今まであなたにご迷惑をかけたお詫びの印のつもりです・・。
とてもそれには足りない金額ですが・・、収めてください・・・。」

「・・・・・・・・・」

幸恵がお茶を出すのを待って、杉下が白い封筒を差し出しました。驚きながらも幸恵は黙ってその
白い封筒を見ていました。


[31] フォレストサイドハウスの住人達(その11)(343)  鶴岡次郎 :2015/08/08 (土) 16:51 ID:zbzx47NI No.2722

白い封筒を見ているだけで、それに手を出さない幸恵の様子を見て、杉下がゆっくりと口を開きま
した。

「幸恵さんから連絡を受けて、こいつがしていることを初めて知りました。
驚いて本人に確認しました。すべて幸恵さんがおしゃっていた通りでした・・」

「・・・・・・・」

幸恵の訴えを杉下と山口が全面的に認めたことを知り、幸恵はひとまずは安どしていました。杉下
に相談したことが無駄にならなかった、山口はともかく杉下は信用できそうだと思っていたのです。

「なぜストーカーまがいの迷惑行為をするのか、私は問い詰めました。
驚いたことに、本人も自分のしていることが良く判っていないのです。
気が付いたら幸恵さんのアパートの前に立っていたと言っているのです。

彼がその時どんな心境だったのか私にも良く理解できませんが、
想像するに、千春さん恋しさのあまり、自分の気持ちが制御できなくなり、
異常な行動に走ったのではと私は理解しました・・。
恋は人を盲目にすると言われますが、
こいつの場合も、その言葉が当てはまると思います…」

「・・・・・」

口には出しませんが杉下の言葉には幸恵は不満を持っていました。

〈女が振り向いてくれないからと言って・・・、
ストカーまがいの行為をしていながら・・、
自分のしていることが判らないなんて・・・、
そんなこと・・、信じられない・・・
杉下さんもしょせん男・・、山口さんの肩を持つのだ・・〉

最初は杉下を信用できると思たのですが、彼の話を聞いて二人への警戒心を幸恵は強めていました。

「時間をかけてゆっくり話し合い、本人も冷静に自分自身を見つめることが出来たようです。
幸恵さんにひどい迷惑をかけたこともようやく分かったようです。

幸恵さんに迷惑をかけた償いをすべきだと私は話しました。それで今日、二人でこうしてやってき
たのです。償いの気持ちを形で表したいと言って、山口が言い出し、私もけじめをつける意味で効
果があると思い、この金を幸恵さんに差し出すことを決めたのです・・。

そういうわけで、この金でどうこうしようという下心は何もありません。
今までのお詫びのつもりです・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・」

山口が本心から反省しているとは思えなかったのです。幸恵はここでも白い封筒に手を出さないで
じっと黙って居るのです。

「幸恵さん・・・、
一つお願いがあります・・・・・」

杉下が切り出して来ました。やっぱり何か下心があったのだと、20万円と引き換えに何を要求す
るのかと、幸恵は身構えています。

「こいつを千春さんに会わせていただけませんか・・・、
いえ・・、変な意味でなく・・・、
何処か然るべきところで話を聞いていたければいのです」

「それは出来ません・・・、
千春さんは一切の関係を断ちたいと言っていますから・・、
私でさえ、あれ以来一度も会っていないのです・・・・」

「そうでしょうね・・、
あの時・・、最後に会った時・・・、
これで遊びは終わると約束しましたからね・・。

いまさら、昔のことを蒸し返すのは男の風上にも置けない行為だと思います。
それを承知でお願いしているのです・・。

一度・・、一度だけでいいのです・・・。
こいつを千春さんに会わせていただけないでしょうか・・・・」

杉下が深々と頭を下げ、それに合わせて、山口も畳に付くほど頭を下げています。あまりに熱心な
二人の男の態度に幸恵の気持ちは揺らいでいました。元はと言えば幸恵と千春の遊び心から始まった
トラブルなのです、一切の責任がないとは、言いきれないと幸恵は思い始めているのです。

「ダメだと思いますが・・・、
千春に都合を聞くだけは、聞いてみます…、
それでいいですか・・・」

「・・・・・・・」

二人の男は互いに顔を見合わせて、しばらく間をおいて、それでもゆっくりと頷いています。


[32] フォレストサイドハウスの住人達(その11)(344)  鶴岡次郎 :2015/08/11 (火) 12:11 ID:UJ4zW1Bo No.2723

「随分と思いこまれたものだね…、
それで・・、千春はどうしたの・・・・?」

「勿論、私は断りました・・・。
会えば・・、私だってグラつきますから・・・、
お断りするのが、彼のためにも、私にとっても・・・、
最善の策だと思っていましたから…」

幸恵はY市のあるホテルのロビーへ杉下と山口を呼び出し、千春の返事を伝えました。二人の男は
その返事を予想していたようで、がっかりした様子を見せていましたが、大人しく、その日は引き
下がったのです。

「それで終わりになるかと思ったのです・・・、
でも・・、彼は引き下がらなかったのです・・・」

それから数日後、山口は幸恵のアパートの近くに現れたのです。ドアーを叩くわけでなく、大声を
上げるわけでもなく、アパートから少し離れた高台、幸恵の部屋が見える場所に立ち、何時間も部
屋の窓を見ているのです・・・。そして幸恵が店に出勤する時間になると消えるのです…。

「そんな日が何日も続いたのです・・・」

「何だか・・、悲しいね…」

どうやら佐王子は山口の立場に感情移入している様子で、思う女の顔さえ見ることができない男の
悲哀を噛み締めている様子なのです。うがって考えると、山口の千春への思いに、佐王子自身の千
春への感情を重ね合わせているのかもしれません。

「堪りかねた幸恵さんは杉下さんに強く抗議しました。
杉下さんも驚いてすぐに動くと幸恵さんに約束したのです。

ところが・・、
あれほど慕っていた杉下さんにも山口さんは従わなくなっていたのです。
最期には杉下さんも匙を投げて、幸恵さんに手を引くと謝ったそうです。
山口さんを止める手段を幸恵さんは失ってしまったのです・・」

「山口は完全に孤立したのだね…
そうなると、並のことでは山口は引かないね…
何か手を考えないといけないね・・・・」

「ハイ・・・、その通りです・・。
どうしようもなくなって・・・・、
最後にはお店のスタッフさんの力を借りたと・・・、
幸恵さんが言っていました・・」

佐王子が大きなため息をついています。

「そうか・・、それでつじつまが合う・・・・、

詳しい事情は何も聞かされなかったが・・・、
『幸恵さんが若い男に付きまとわれていたので、
追っ払っておきました・・』と・・、
神本から報告を受けたことがあった・・・・。

その時は・・、良くある話なので、聞き流していたが・・・、
この事件の元凶が千春だったとは・・、
今の今まで・・、気が付かなかったよ・・・」

「申し訳ありません・・・、
ご迷惑をおかけしました…」

殊勝な表情を浮かべ千春が深々と頭を下げています。


連絡を受けたスタッフの神本は、先に店で乱暴しようとした山口をうまく抑え込んで追い払った人
物です。勿論、山口とは面識があり、彼が千春と会いたがっていることも、ストカーまがいの行為
を続けていることもすべて承知しているのです。

幸恵のアパート前で神本は張り込みを始めました。張り込みを初めて3日目に、何も知らない山口
がやってきたのです。


[33] フォレストサイドハウスの住人達(その11)(345)  鶴岡次郎 :2015/08/12 (水) 16:13 ID:XjBERufs No.2724

一度幸恵の店で会っているので山口は神本の顔を良く知っています。その時は上手く丸め込まれ、
体よくつまみ出された苦い経験があるのです。あの時は、店の制服である白いシャツに蝶ネクタイ、
黒のズボンでした。それでも十分の迫力を見せていて、蛇に睨まれた蛙のように山口は何の抵抗も
出来なかったのです。今日見る神本はその時と全く雰囲気が違っていました。

180センチを超える身長の山口に十分対抗できるだけの体躯を誇り、その上山口よりかなり体重
がありそうなのです。それだけでも並の人物には出せない迫力が出ているのに、今日は明らかに素
人離れした服装なのです。神本を一目見て明らかに山口は動揺しています。

「山口さんと言いましたね…、
幸恵さんの依頼を受けて、あなたが現れるのを待っていました・・・」

「・・・・・」

低い声ですが、良く通る声です。山口は黙って神本を見ています。普通の男なら神本を見るだけで
逃げ出すと思います。神本もその効果を期待して、普段はあまり着ないそれなりの服装を整えてこ
こへ来たのです。

ところが・・、さすがに恋に狂った山口です。千春のためなら一歩も、引かないと覚悟を決めてい
るのでしょう、ぐっと踏み止まり、挑戦的な視線を神本に向けているのです。

「毎日のようにここに現れているらしいですね…、
そんなことをされては、近所迷惑なのです・・、
何よりも、幸恵さんが怯えて、店に出られないと言うのです・・」

「俺は…、何もしていない・・・
ただ・・、ここに立っているだけだ・・・」

「それが迷惑なのですよ・・・、
あなたほど立派な体格の男がここに立っていれば、
たいていの女は怖気づきますよ・・・」

「俺は…、ただ・・、
千春に・・、
いや・・、千春さんに会いたいのだ…、
千春さんの居所を教えてほしいだけなんだ・・・」

「千春に会いたいのですか・・・・・・」

ここで神本が次の言葉を飲み込みじっと、山口を見つめています。山口もひるまず睨み返していま
す。

二分・・、いや・・、せいぜい、30秒間程度のにらみ合いが続きました。多分、山口にはこのに
らみ合いが永遠に続くと思えたはずです。沈黙に堪えかねた山口が先に口を開きました。

「何だよ・・、
そんな目で俺を見るな・・・、
千春に会いたいと言うのがそんなに悪いことか・・・」

挑戦的な口調で、それでも不安げに山口が言葉を吐き出しています。


[34] フォレストサイドハウスの住人達(その11)(346)  鶴岡次郎 :2015/08/13 (木) 18:32 ID:IvZE0jc. No.2725
明らかに喧嘩口調の山口の言葉をやんわりと受け流し、微笑みを浮かべて、神本がゆっくりと口を
開きました。山口が興奮すればするほど冷静になる、全て計算された行動です。

「幸恵さんから聞きませんでしたか・・・、
千春は会いたくないと言っているのですが・・・」

「そのことは確かに聞いた・・・
しかし・・、幸恵の言うことが信用できないのだ・・、
千春から直に返事が聞きたいのだ・・・。
あの幸恵と言う女が邪魔をしているとしか思えないのだ・・」

「幸恵さんがあなた方の邪魔をしている・・・・?
それは山口さん・・、大きな誤解ですよ・・・」

「誤解・・・、そんなことはない、俺には判るんだ・・・。
幸恵は千春を俺から隠しているんだ…」

「そんなことを言っては幸恵さんがかわいそうです・・・・。
あなたと千春の仲を裂こうなど、これぽっちも幸恵さんは考えていません。
それどころか、千春に会わせたいといろいろ努力しているのですよ・・」

「そんなことが信じられるか…」

「信じるか信じないかはあなたの気持ち次第ですが、
私はこれぽっちも嘘を言っていません・・・。

山口さんの千春を思う純真な気持ちに動かされて、
幸恵さんはあなたの希望をかなえてやりたい、
あなたを千春に会わせたいと・・・、
商売気を忘れて奔走しているのです・・・・」

「・・・・・・・・」

それまで反抗的な態度を見せていた山口の様子が変わり、口を開かなくなりました。彼なりに何か
を感じ、何かを考え始めたようです。神本の言うことを信じる気持ちが少し出てきたのかもしれま
せん。

「それでもどうすることもできなくて・・、
幸恵さん一人の力ではどうすることも出来ない大きな障害があって・・・、
幸恵さんは本当に困っているのです・・・。
そこを判ってほしいのです・・・」

「・・・・・・・」

神本の巧みな説明に山口は完全に引き込まれています。今まで幸恵が邪魔をしていると本気で
思っていたのです。それがどうやら間違っていると判ったのです。山口は必死で今聞いた神本の言
葉を反芻してその意味を読み解こうとしているのです。

山口の様子を見て、神本はもう・・、これ以上の説明は不要と思ったようで、黙って山口を見つめ
ています。

〈どうやら・・、幸恵さんは邪魔をしている訳でなさそうだ・・・、
それどころか、千春に会わせたいと尽力してくれているらしい・・・。
本当かな・・、

よく考えてみれば・・、
この男は俺ごとき素人の小物には嘘は言わないように思える・・・、
この男にとって、嘘を言ってみても何の得がないからな・・、
この男を信用してみようか・・・・。

そう言えば幸恵さんは何時でも俺に優しかった・・・、
俺が強気に出たものだからが、部屋に入れてくれなくなったが、
最初は快く部屋に招き入れてくれていた・・・・。

・・・とすると、何が問題なのだ…、
この男は、幸恵さんが大きな障害を抱えていると言っていた・・・
そうか・・、それだ・・・・〉

ようやくそのことに思いが行ったようです。顔を上げ、神本の顔に視線を当て、山口は強い調子で
言葉を出しました。



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