掲示板に戻る /戻る /全部 /1- /最新10 /▼ラスト

フォレストサイドハウス(その13)

[1] スレッドオーナー: 鶴岡次郎 :2016/02/12 (金) 16:28 ID:A7svNszk No.2806

山口と千春の問題は大事にならずにひとまず治まりました。それでも、二人の関係は完全に切れた
わけでなく、再会して肌を合わせ、互いの愛を確かめ合ったことで、二人の間には新たな関係が出
来上がった様子です。これから先、山口が千春の勤めるソープ店に訪ねてくる可能性はかなり高い
のです。山口に迫られれば千春は簡単に落ちる雰囲気です。その上、山口との関係を千春の夫、浦
上三郎は何となく認めている様子です。これから先、山口と浦上夫妻の間に何事か起こりそうな気
がします。今回は久しぶりに由美子を登場させます。

毎度申し上げて恐縮ですが、読者の皆様のご意見、ご感想は『自由にレスして下さい(その11)』
の読者専用スレにご投稿ださい。多数のご意見を待っています。    

また、文中登場する人物、団体は全てフイクションで実在のものでないことをお断りしておきます。
卑猥な言葉を文脈上やむを得ず使用することになりますが、伏字等で不快な思いをさせないよう注意
しますが、気を悪くされることもあると存じます。そうした時は読み流してご容赦ください。

発表した内容の筋を壊さない程度に、後になって文章に手を加えることがあります。勿論、誤字余脱
字も気がつけば修正しています。記事の文頭と、文末に下記のように修正記号を入れるようにしま
す。修正記号にお気づきの時は、もう一度修正した当該記事を読み直していただけると幸いです。

・〈(1)2014.5.8〉 文末にこの記事があれば、この日、この記事に1回目の手を加えたことを示
  します。
・〈記事番号1779に修正を加えました。(2)2014.5.8〉 文頭にこの記事があれば、記事番号1779
 に二回目の修正を加えたことを示し、日付は最後の修正日付です。ご面倒でも当該記事を読み直し
 ていただければ幸いです。


[35] フォレストサイドハウス(その13)(450)  鶴岡次郎 :2016/04/18 (月) 16:28 ID:yyReHfXA No.2841

「一度食べたら忘れられない味と言われても・・・、
ようするに、食べてみないと判らないということね・・・、
千春さんがお膳立てをしてくれれば、ごちそうになってもいいけれど、
こればっかりは、そういうわけには行かないね・・・。
由美子さんはどう思います・・・」

「そうね・・・、確かに・・・、
大きくなくても、凄い人はいるものよ…」

思い入れたっぷりに由美子が答えています。どうやら過去に味わった男の味を思い出している様子で
す。

「由美子さんもそんな男の味を知っているようね・・・、
もしかして・・、由美子さんも・・・、
佐王子さんを食べたことがあるの…?」

「ちょっと…、止めて…、
冗談でもそんなこと言わないで…」

「アハハ…・、悪い冗談だね・・・、ゴメンナサイ・・・、
私だけがその味を知らないから、嫌味を言いたかったのよ・・・」

愛の冗談に由美子がかなり慌てています。調子に乗って悪い冗談を言ってしまったと愛は潔く頭を下
げています、一方千春は冷静な表情で由美子を見ているのです。由美子の様子から彼女なりに何かを
感じ取ったのかも知れません。

「由美子さんまでそういうなら・・・、
そうかもしれない・・、
男はただアレが大きいだけではダメなのね・・・」

「そうです・・・
愛さん・・、男の味はサイズで決まるわけではないのです…、
判ってください…」

「アレの味は大きさだけで決まるわけではないということね・・、
奥が深いね…、
どうやら私にはこの話題を論じる知識も経験も乏しいようだね…」

これ以上この話題を続けるべき知識も、経験もないと愛は判断した様子です。これで男性器に関する
熱い議論は終わるかと思えたのですが、どうやら千春は佐王子の男性器に関連して、別の疑惑を抱え
始めている様子です。

「由美子さん・・・、
間違っていたらごめんなさいね・・・」

思い切った様子を表情に浮かべて、千春が由美子に声をかけました。

「もしかして・・、
由美子さんは佐王子さんを以前から知っているのではありませんか・・・、
男と女の関係を持ったことがあるのではありませんか・・・」

「・・・・・・」

千春が笑みを浮かべてゆったりと質問しています。質問の内容は、唐突で、かなり挑戦的なものです
が、それでも決して詰問調の問いかけではありません。慌てる様子を見せないで由美子はただ黙って
千春を見ています。沈黙を保っているのは心の動揺を表に出さないためかもしれません。


[36] フォレストサイドハウス(その13)(451)  鶴岡次郎 :2016/04/20 (水) 15:36 ID:0/SPKTpw No.2842

「佐王子さんはその道のプロですから、過去にも現在でも、たくさんの女性と関係を持っていること
はよく知っています。私のマンションに限っても10人を超える女性と関係があるのを知っていま
す。妬けないと言えば嘘になりますが、それがあの人の稼業ですから、あきらめて現状を受け入れる
ことにしているのです」

千春がゆっくりと説明しています。由美子は平静な表情で千春を見つめています。しかし笑顔はあり
ません。由美子と千春の間に火花が散っているのに気が付いたのでしょう・・、愛は困惑した表情を
浮かべて二人の表情を交互に見ています。

「それで・・、もし・・、
由美子さんと彼の間に何らかの関係があったにしても私は驚きません。
もしそうした関係があったのなら・・・、
むしろ、うれしい…、そう思えるのです・・」

「困ったわね・・・、
どうして気が付いたの…」

「私が佐王子さんのことを説明し始めた、その時・・、
由美子さんは『珍しい名前ね・・』と言って突然口を挟んできた…。
そして、佐王子さんの年齢を聞いた・・。
愛さんと違って・・・、
私ごとき女が口にした男の話を聞いて、
直ぐに反応する由美子さんではないはずと思っていたのです・・・、

ああ・・、ゴメンナサイ・・、愛さん・…、
軽蔑しているわけではありません・・。
ただ・・」

「いいの、いいのよ・・・、
こと男女のことに関して、私は好奇心が旺盛だから・・」

愛が笑って答えています。

「それが・・、あのレスポンスでしょう・・、
単純にびっくりしたのです…・」

「・・・・・・・」

「もしかしたら…、
私の佐王子さんを・・・、
由美子さんは知っているかも・・・と、
そう思いました・・・」

「鋭いね・・・・・・」

「そして・・、愛さんが佐王子さんのサイズを話題にして・・、
それほど大きくないと私が言った時・・・、
由美子さんが・・、ゆっくり、何度も、頷いていたのです…。
由美子さんは佐王子さんとアレを食べたことがあると・・、
この時、確信しました・・」

「そうなの…、困ったものね・・・、
うっかり本音を漏らしてしまったのね・・・
まだまだ未熟だね…・」

由美子が苦笑しています。

「そして・・、はっきり・・、思い出したのです…・
以前・・、大分・・、前のことですが・・・、
佐王子さんの口から聞かされた話を思い出したのです。
しばらく忘れていたのですが、今、鮮やかに思い出しています…・」

「・・・・・・」

意外なことを話し出した千春の表情を愛も、由美子も見つめています。


[37] フォレストサイドハウス(その13)(452)  鶴岡次郎 :2016/04/21 (木) 14:19 ID:uYCjRJPM No.2843
「結婚した後…、
体の中で悪い虫が騒ぎ出し、夫と佐王子さんが相談して、
佐王子さんに再び抱かれるようになった頃でした…」

千春がその時を思い出しながら、豊かな笑みを浮かべて話し始めました。

「夫が認めてくれているとはいえ、
人妻が他の男に抱かれるのは異常なことです。
肉体は満足しても、心は日々すさんで行きました。
佐王子さんに抱かれた後、
罪悪感と自己嫌悪感で押しつぶされそうになっていた時・・、
保さん・・・、いえ・・、佐王子さんが・・、
慰めと元気づけのために、こんな人もいるよと・・、
ある女性の生き様を話してくれたことがあったのです・・・」

「その人が・・、由美子さんだったのね…・」

「ハイ・・・、その時に限らず私が行き詰まった時、佐王子さんは私にいろいろと女の生きる道を
教えてくれました。そしてその都度、彼は具体的に実在の女を登場させて、その女の生き様を話し
てくれるのです。勿論名前までは明かしてくれませんが、彼の話に登場する女たちはみんな彼が抱
いた女だと私は気が付いていました。感銘する話も多いのですが、どちらかと言うと、反発を感じ
る話の方が多かったと思います・・・」

「それはそうだね・・・、
他の女の話は、それがいくらありがたいお説教でも、
女にとっては、ごめんこうむりたいものだからね・・・、
それが判らない佐王子さんではないと思うけれどね…、
多分・・、千春さんを理想の女に育てるため、
野暮だと知りながらも、嫌われる仕事を買って出ているのね・・」

「そうかしら・・、
私を恋愛対象の女と見ていないのだと思います…、
いつも、自分の娘に説教するような口ぶりです…。
散々に抱いていながら、女とみなしていないなんて・・・、
失礼なことだと思いますが・・」

やや不満そうな口調ですが、千春の表情は笑っているのです。

千春が語り続けます。

「当時、彼はある闇の組織に身を置いていて、同じ組の者からでさえ嫌われる売春組織の一員でし
た・・。その女の方と出会ったのは、そうした闇社会で活動中のことだったそうです。その方は表
向きは堅気のサラリーマンの妻で、小学生と中学生になる子供を育てながら、一方では、著名な的
屋の親分の情婦でもあったのです・・」

話し始めると忘れていた内容が鮮明に思い浮かんでいる様子で、よどみなく話し続けているのです。


「的屋・・、知っているか・・?・・・、そうだ・・、その通りだ・・・、古い言葉で最近はあまり
使わないが、お祭りなどで屋台を出している業者のことをそう呼んでいるのだ。正業のないヤクザと
は基本的に違うのだが、それでも彼女が育った社会では親しくなる機会がなかった別世界の人である
のは確かだ・・。その夫人はある事情から的屋の親分の愛人になった。勿論その方のご主人も承知の
上でのことだ…・」

佐王子はその女のことを千春にこのように紹介したのです。

「その親分の愛人となった夫人は、その日から毎日のように親分に抱かれるのは勿論のこと、月の内
何度か、仲間の親分衆へも貸し出されるようになった。それが彼らの習慣だったのだ。こうして、夫
人は毎日のように違う男を相手するようになり、抱かれた男の数もあっという間に100人を超え
た。普通の家庭の主婦であった夫人が娼婦並の男性経験をすることになったのだ。

このように話すと、夫人は堕ちるところまで堕ちた場末の娼婦の様に変貌したと思うだろうが、上品
な雰囲気は変わらず、ただ、多数の男達と接した結果、一寸した仕草ににじみ出る色香がさすがと思
わせるほどすごいものに変わって、もう・・、誰も近づけないほどの雰囲気を持った女に成長してい
た・・・・・」

その夫人にかなり入れ込んでいる様子を隠さないで佐王子は話していました。


[38] フォレストサイドハウス(その13)(453)  鶴岡次郎 :2016/04/22 (金) 16:29 ID:fr9XWKa6 No.2844

「もともと稀代の才能に恵まれていた夫人の性感は、激しい情交を重ねることで大きく花開いた。夜
の夫人は昼間の淑やかな様子からは想像もできないほどすごかったと思う・・・。おそらく一度でも
その女に接した男は生涯彼女の虜になるほどだったと思う。その証拠にこと女性に関しては、百戦錬
磨の全国の親分衆が列をなしてその夫人を抱く順番を待っていると噂されていたほどなんだ…。勿
論、ご主人も夫人のその変化を歓迎されていた・・・」

「でも・・、いろいろな男の味を知ったら、女は元へは戻れないと思う・・、
結局、その夫人はご主人の元を離れ、家庭は崩壊し、
いずれ、彼女自身はどん底の社会に堕ちることになるのでは・・」

千春が当然の質問をしています。

「そうだね・・、夫人のような環境に堕ちた女のほとんどは、
二度と這い上がれない社会の底辺に落ちるものだ・・・。
俺も・・、そんな女を数え切れないほど見てきた…」

千春の追及にあっさり佐王子が折れています。できれば反論してほしいと思っている千春は少し不満
げにしています。

「主婦が体の欲するままに男遊びをすれば、彼女の家庭が崩壊し、いずれ女は社会の底辺に落ち込ん
で行く…、これが一般的な結果だね…。

しかし、その夫人の場合は違った・・・、
一年経っても、三年経っても、彼女は勿論、彼女の家庭も変わらなかった…」

「・・・・・・・」

その訳が知りたいのだと、千春は黙って佐王子を見つめています。

「実を言うと、私も一度その夫人と接したことがある。
その時感じたのだが、私と一緒に居る間・・・、
私の腕の中では、夫人は完全に私の女になっていた・・。

ご主人のことも、情夫である親分のことも、全部忘れて、
私のことだけを考えている雰囲気だった。
私自身は『夫人に愛されている』と、全身で感じることが出来た。

そうはいっても私もその道のプロだから、女の演技に騙されることはない。
そんな私が『・・・惚れられている・・』と感じたのだから、
姐さんはあの瞬間、本気で、私に惚れていたに違いないと思う・・・」

「・・・・・・・・・」

他の女との関係をここまであからさまに千春に話したことがありません、うっかり口が滑ってし
まったのです。千春の反発を待っていた佐王子ですが、彼女が口を開かないのを知り、また話し始め
ました。

「全てが終わって、衣服を着けてお話しする段になると、その時は礼儀正しい令夫人の居ずまいに
戻っていて、わずか30分前、私の腕の中で娼婦の様に悶えた夫人の姿はどこにもなかった」

「・・・・・・・」

何か言いたそうなそぶりを見せるのですが、心のもやもやが言葉にならない様子で、千春はじれった
そうにだんまりを続けています。


[39] フォレストサイドハウス(その13)(454)  鶴岡次郎 :2016/04/27 (水) 11:46 ID:bFrLtGJ6 No.2845
佐王子と女の濡れ場を詳しく聞かされても、千春がそれほど不愉快な様子を見せていないと思ったの
でしょう、佐王子はさらに話を続けました。ここまで話してしまった以上、今日は、この場で、日頃
考えていることをすべて吐き出すつもりになっている佐王子です。

「その時になってようやく気が付いた・・・。
夫人が俺に惚れていたのは確かだが・・・、
それは30分前のことで、
今、衣服を着けて目の前に座っている夫人は別の人だと悟った・・・」

「・・・・・・・」

不審な表情を浮かべ、それでも真剣に佐王子の話を聞こうとしている千春の態度を見て満足したので
しょう、小さく頷きながら佐王子はさらに話を続けました。

「夫人を抱いている時、私は夫人から惚れられていると感じたのだが・・、
それは夫人の演技のせいでもなく、俺の思い込みでもなく、
間違いなく夫人は俺に惚れていた…・。
それは間違いのない事実だと今でも確信している…・・」

千春の表情を見ながら佐王子は言い切りました。千春が軽く頷いていました。佐王子ほどの男がそう
言い切る以上否定する材料がないのです。

「そしてわたしは別のことにも気が付いた。
夫人の態度は、それが私に限ったことではなく、
他の男に抱かれている時も同じなのだと気が付いた。

夫人はすべてを忘れ、その男に惚れこみ、その男の女になって情事に没頭し、
事が終われば、寝室での戯事をすべて忘れたかのように他人の関係に戻る。
夫人にはそんな切り替えのできる天性の才能が備わっているのだと悟った・・」

千春がびっくりした表情で佐王子を見つめ、佐王子の言葉に反論するそぶりを見せました。それで
も、彼女はかろうじて気持ちを抑え込み、口を閉じていました。今は、軽はずみな異論を出さず、最
後まで佐王子の説明を聞くべきだと判断した様子です。彼女が抱えている疑問が判ったのでしょう、
その問いに答えるように佐王子は説明を続けました。

「それが、それこそが、その女の演技なのだと・・、千春は言いたいのだろう…。
確かに・・、普通の女がそんなことをすれば、どこかにほころびが出て、男たちの嘲笑を受けること
になるものだが、夫人の場合は、その切り替えがあまりに見事で、男達は夫人の演技を喜んで受け入
れ、その演技を楽しむことになるのだ・・・。
いや、ここまで来れば演技と呼ぶべきでない・・、
ベッドでの夫人も・・、目の前の夫人も・・、
間違いなく夫人の素顔そのものだと思った…」

「・・・・・」

そんなことが出来るはずがないと千春は思っている様子で、不満そうな思いを表に出しています。
それに構わず佐王子は話を続ける様子です。

「男と居る間は娼婦と化し、家庭に戻ればいい妻であり、優しい母に戻っている。勿論、何もかも
知っていながらそんな夫人を信頼し、心から愛しているご主人も素晴らしいと思う、並の男ではとて
もできないことだと思う。そして、娘さん達は、もちろん夫人の乱行を知ることもなく、お二人から
愛情をたっぷり注がれ、すくすくと成長され、それぞれに大学を出て、独立され、今ではそれぞれに
幸せな家庭を築かれていると聞いている」

「私も・・、その奥様のような生き方が出来ると、言うのですか・・?
主人を愛する一方で、何人もの男に抱かれ、
その都度その男たちに心の底から夢中になり、
ことが終われば、他人に戻れ・・・、と言うのですか・・・・。
無理・・、無理・…、
想像するだけでも、私にはとてもできそうもない…」

少し怒気を含めて千春が佐王子に食いついています。

「誰にでもできることではないと思う。
そのような女性の生き方には、それをうまくやるための、方法論や、精神論は存在しないと思う。
また、誰かに教えられて、出来ることでもないと思う…。
言葉を変えて言うと、選ばれた女性だけが出来る生き方だと思う…。

俺が千春に言えるのはここまでだ…・、
これから先は、千春自身が考え、経験を重ねた末・・・、
千春自身の生き方を見つけ出すことだ・・・・」

ここで佐王子は言葉を飲み込んで、じっと千春を見つめています。千春は複雑な表情を浮かべ、必死
で何かと戦っている様子です。


[40] フォレストサイドハウス(その13)(455)  鶴岡次郎 :2016/05/01 (日) 11:07 ID:AsyGzxic No.2846

「結局、その時・・、
私にはその女の生き方が良く理解できなかった・・・、
反発する気持ちの方が強かったような気がする…。
佐王子さんも、それ以上のアドバイスはしなかった…

それで・・・、私はその夫人のことは意識して忘れることにした…・
私ごときでは、真似ることさえ難しいと思ったからです…
そして・・・、今日まで、彼女のことはすっかり忘れていた…・」

由美子と愛を前にして、千春は佐王子から聞かされたある女の生き方を事細かに説明しました。由美
子と愛がただ黙っています。

「いかがですか・・、
これが佐王子さんから聞いたある女の物語です・・・、
その夫人は今、目の前に居る方ですよね…・」

千春が笑みを浮かべて由美子に質問しています。

「偶然と言うのは恐ろしいモノね・・・、
それとも、これは神様が描いた私たちの運命かしら…・」

由美子がゆっくり口を開きました。

「そうよ、千春さんの思っている通りよ、
彼を知っている・・・・。
二度か、三度寝たことがある…、
もう何年も前のことだけれどね…」

「やっぱり…」

千春が少し気落ちした表情を見せています。愛はおろおろした表情を隠さないで二人の女の表情を交
互に見ています。少し気まずい雰囲気がその場を支配しています。

「千春さん・・・、
由美子さんの経歴を私が全部暴露したでしょう・・、
その時、どうして・・・
由美子さんがその女だと気が付かなかったの・・」

その質問にどのような意味を持たせようとしているのか意識しないで、愛が思いついたままを口に出
しています。質問を受ける千春の出方次第では気まずい雰囲気をさらに悪化させるかもしれないので
す。由美子がはっとした表情で千春と愛の顔を見ています。

「そうですよね・・、
もっと早く気が付くべきでした…、
由美子さんの愛人が的屋の親分だと教えられ、
かなり奔放に男性と関係を持っていると聞いたのですからね・・、
その時に、佐王子さんの話を思い出すべきでした・・
でも・・、私・・・、
本当に気が付いていなかった……」

千春自身も首をかしげています。

「顔を合わせたわけではないから・・、
他人の口から聞いた噂話だから・・・、
噂の人物が目の前に居ても、この人だと、判る人はむしろ少ないかも・・」

愛がとって付けたようにして慰めています。

「それは・・、そうかもしれないけれど…
それにしても不思議ね・・・」

千春自身、佐王子が話してくれた噂の女が、由美子だと気が付かなかった自身のうかつさに、本音で
驚いている様子です。


[41] フォレストサイドハウス(その13)(456)  鶴岡次郎 :2016/05/04 (水) 14:41 ID:/F13JabY No.2847

「私どうかしていたのかしら…、
由美子さんの経歴を愛さんから教えてもらった直後だのに・・、
噂の女を由美子さんとは思わなかったのでしょう・・、
あれだけの情報を与えられていながら・・、
気が付かないなんて…、
普通・・・、そんなことありえない……」

ぶつぶつ独り言を言いながら、千春がしきりに頭を捻っています。由美子の経歴を愛から教えられた
時、佐王子から聞かされていた的屋の情婦が由美子だと気が付かなかったことがかなり気になってい
る様子です。

「ああ・・、そうか・・・、
そういうことなんだ…・、

判りました…、
これこそが、由美子さんのミステリアスなところなのね・・、
男たちと同じように私も・・、
由美子さんのマジックに嵌っていたのですネ・・・。
ああ・・、スミマセン・・、マジックだなんて…・。
他に適当な言葉が見当たらないのです・・」

千春が少し大きな声を上げ、慌てて由美子に頭を下げています。由美子が苦笑いしながら首を軽く
振っています。

「そうか・・・、そうなのね・・・
私にも読めてきた…。
千春さんも由美子さんに騙された口なんだ…、
何百、何千と言う男たちと同じように、騙されたのね…」

「何よ・・、愛さん・・・、その言い方、引っかかるな・・・・
何百、何千の男をだましている性悪女のように聞こえますが・・」

「あら・・、違ったかしら…・
ハハ・・・…」

愛と由美子が朗らかに笑っています。

「愛さんのおっしゃる通りです・・。
私の中に居る噂の女のイメージと由美子さんが一致しなかったのです・・・。
あまりに違いがありすぎて・・、気が付きませんでした・・・。
佐王子さんの話を聞いてイメージしていた女性はもっと・・、
性悪女そのものでした・・・」

千春が朗らかな表情で話しています。

「ここへきて・・、初めて・・・
佐王子さんの言っていた由美子さんの凄さが・・・、
今、ようやく実感できました…・」

感動した面持ちを隠さないで千春が由美子に話しかけています。

「佐王子さんから由美子さんの生き方を教えられた時、
私はとうていそんな女には成れないと・・・、
強く反発しました…。
今の今まで、その女のことを意識して忘れるようにしてきました。

そんな女など存在するはずがない、
男たちは騙されているのだ、
女の私なら、簡単にその女の化けの皮をはがしてやる…。
そう思っていたのです」

千春が正直な気持ちを吐露しています。愛が軽く頷いています。

「由美子さんにお会いして、その神秘的な凄さがよく判りました。
佐王子さんが言っていたことが正しかったと素直に認める気持ちになりました。
これからは、少しでも由美子さんに近づきたい…、そう思っています・・」

「・・・・・・・」

由美子の手を取り、千春がほとんど泣きそうになりながら話しかけています。由美子が黙って頷いて
います。女の業にかかわる苦悩を共有する女二人、心がまた一歩近づいた瞬間でした。


[42] フォレストサイドハウス(その13)(457)  鶴岡次郎 :2016/05/05 (木) 17:45 ID:mhK4LO7o No.2848

その場が少しシリアスな雰囲気に変わっています。燃え盛る情炎をその内に抱え、毎日のように、数
知れない男たちの腕の中で悶え狂いながら、家庭に入ればいい妻を演じている由美子、そんな女の存
在を認めなかった千春がようやく由美子の実像に触れたのです。

由美子のような生き方をしたい・・。千春は心からそう思っているのです。一方、体と心のギャップ
と戦いながら、必死で生きる道を探し続けている千春の苦悩を由美子は誰よりも良く理解していまし
た。そして、由美子の苦悩とこれまでの血の滲むような努力を一番理解してくれるのが、知り合った
ばかりの千春であることを、由美子は本能的に感知していました。

傑出した女の性を持つ女二人がしっかりと手を握り、黙って見つめ合い、永遠の友情を誓い合ってい
るのです。

「同じ女性と関係を持った男性達を『穴兄弟』と呼ぶでしょう・・、
同じ男性と関係を持った女性は何と呼べばいいのかしら…」

ニコニコほほえみながら愛が千春と由美子の表情を見ながら質問しています。少し湿っぽくなった
その場の雰囲気を変えようと、ことさら陽気に振舞おうとして選んだ話題なのです。

「肉棒姉妹・・・、なんだか即物的ね・・・、
おチンコ姉妹・・・、これでは品がないし・・」

千春が愛の意図を受けて、きわどい言葉を連発しています。

「マラ姉妹と言うのが一般的だけれど…、
私は竿姉妹がいいと思う…」

由美子もその場の雰囲気を盛り上げようとしています。

「さすが由美子さん・・・、
それがいい…、きれいな言葉…」

愛が大きな声を上げています。

「私と由美子さんは竿姉妹なのね・・・、
由美子さんが長女で私が何番目かの妹…、
それにしても、何人の姉妹がいるのかしらね・・・、
100人・・、いや・・、1000人は軽く超えるかも…」

千春が思いを込めて言っています。由美子も軽く頷いています。どうやら二人の間には大きなわだか
まりは存在しない様子です。そのことを確認して愛が安どの表情を浮かべています。そんな愛の安堵
を吹き飛ばすような言葉を千春が吐き出しました。

「由美子さん・・、良かったら…・、
佐王子さんとの馴れ初め・・、
聞かせていただけませんか・・」

「エッ・・・、千春さん、本気なの…。
佐王子さんと由美子さんの関係を聞きたいなんて…、
今更、掘り起こさなくても…、
惚れている男と昔なじんだ女の話など不愉快になるだけだよ…
せっかくこうして親しくなれたのに、喧嘩別れは嫌だよ…」

当然の忠告を愛がしています。

「いえ、良いんです…、
おっしゃるとおり、佐王子さんは私にとって特別な人です…。
その特別な男が、由美子さんを尊敬して、強い関心を持っているです。
だから、私は・・・、お二人のことを詳しく知りたいのです・・」

「・・・・・・・・」

千春から聞いた今までの経緯を考えると、佐王子が由美子に敬意に近い特別の関心を持っているの
は明らかです。男と女の間で、敬意が強い愛情に代わるのは簡単です。それだけに愛も、由美子も、
千春の本心を測りかねて、複雑な表情を浮かべています。


[43] フォレストサイドハウス(その13)(456)  鶴岡次郎 :2016/05/09 (月) 14:42 ID:YI8FfAAc No.2849
「変だと思うでしょう・・・
なぜこんなことを言い出したのかと私自身が驚いています。
でも・・、やはり、私・・・、知りたいのです……
彼と由美子さんのことが…・・」

千春自身にも迷いはある様子ですが、どこかで迷いを吹っ切った様子できっぱりと言い切っていま
す。

「佐王子さんは昔からずいぶんとお世話になった恩人です。
由美子さんとは今日親しくなったばかりですが、
昔からの友達のような気がしています。
今では、どちらも、私にとって、特別な人です…・」

微笑みを浮かべて千春が話しています。

「大好きはお二人が昔・・、親しかったと聞いて、少し妬けますが、
それでも、馴れ初めや、親しかった様子が詳しく知りたい気持ちは変わりません。

変ですよね・・、私・・、
自分でも変だと思います。

お約束します、お二人の親密な様子を聞いたからと言って、
佐王子さんが嫌いになったり、
由美子さんとの友情にひびが入るような真似はしません。
安心して、何もかも隠さず話してください…・・」

「そうね・・・、
かなり前の話で記憶が薄れているところもあるけれど、
思い出しながら話してみようか・・、
千春さんと旦那様の関係ほど、面白い話にはならないと思うけれど・・」

由美子にとって決して気楽に話せる話題ではありません、それでも案外簡単に引き受けています。
この先、千春がいろいろ妄想して悩み続けるより、ここで、できるだけ詳しく話しておくのが、千
春にとっても、由美子にとっても一番いいと判断したのです。それだけ、千春との友情を大切にし
たい気持ちが由美子の中でも強いのです。


「三年前・・、いや・・、数年前だったかもしれない・・、
何しろ・・、毎年、登場人物は違うけれど、似たような経験をしているものだから・・」

ゆったりとした口調で由美子が語り始めました。どうやら、千春は、予定している午後のソープ出
勤を見合わせて、このガールズトークを続けるつもりのようです。由美子と愛は特に予定がありま
せん。日暮れまで女たちは語り合うことができるのです。


[44] 新しいスレに移ります  鶴岡次郎 :2016/05/10 (火) 14:17 ID:T6I9F1Dg No.2850
ここで新しい章を立てます。ジロー


掲示板に戻る /戻る /全部読む /前10 /最新10 /削除依頼 /▲トップ
処理 記事No パスワード


お名前 *必須 *トリップ可
E-Mail
タイトル
コメント
パスワード (投稿文の削除や修正時に使用します。英数字で8文字以内)
文字色
  

・新規スレッド作成は鶴岡次郎限定です!新規スレッド作成にはパスワードが必要です。(※レスは自由に投稿できます)
・投稿前に、必ずTOPページの「初めに読んでね」をご覧いただき、全ての内容をご了承の上で投稿してください。
・氏名、住所、電話番号、勤務先等プライバシーが侵害されるような内容を含む記事等の投稿は厳禁です。(即時削除)
・日本の法律に違反するような投稿は厳禁です。(即時削除)
・他人を誹謗中傷する投稿は厳禁です。(即時削除)
・誹謗中傷には大人の良識に反するような「汚い言葉」等も当然含まれます。
・規約違反や違法な投稿を発見した場合に、レス投稿で攻撃することは厳禁です。(即時削除)
・規約違反や違法な投稿を発見した場合は、管理人宛に削除依頼等でご連絡ください。
・この掲示板は体験談や小説、エロエロ話等を楽しんでいただくための掲示板ですので、募集を目的とした投稿は厳禁です。(即時削除)
・投稿文冒頭から「メールをください」等の記載がある等、明らかに募集目的のみと思われる投稿も厳禁です。(即時削除)
・ただし、レスの流れの中でメールのやり取りをするのは全く問題ありません。
・ご夫婦、カップルの方に限り、交際BBSと組み合わせてご利用いただく場合は、全く問題ありませんのでドンドンご利用ください。
・なお、交際専用BBSにスレッドを作成できるのはご夫婦、カップルの方のみですのでご注意ください。
・お手数ですが、交際専用BBSと画像掲示板とを組み合わせてご利用いただく場合は、必ずその旨を明記してください。
 【例】「交際BBS(東・西)で募集している〇〇です」、または「募集板(東・西)の No.****** で募集している〇〇です」など。
・上記のような一文を入れていただきますと、管理人が間違ってスレッドを削除してしまうことが無くなります。
・万一、上記内容に違反するような投稿をされた場合は、妻と勃起した男達の各コーナーのご利用を制限させて頂きますでご注意ください。
・当サイトは安全で安心できる楽しい「大人のエロサイト」です。腹を立てるのではなく、楽しくチ●ポを勃ててくださいネ!