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フォレストサイドハウスの住人たち(その9)

[1] スレッドオーナー: 鶴岡次郎 :2014/08/29 (金) 13:51 ID:Bu3nxBoY No.2575

子育てに一区切りつけた千春に、それまで抑えられていた情欲の波が堰を切ったような勢いで押し
寄せてきました。彼女自身でもどうすることも出来ない圧倒的な情欲に千春は苦悩するのです。長
期出張から帰ってきた浦上は千春の体が変わったことに気が付きます。そして、しばらく忘れてい
た8年前の佐王子の忠告を思い出していました。

『千春は千人、いや・・、万人に一人の女です・・、
そんな女を妻にする幸せを手にした男は、それなりの覚悟をしなければいけない。

少しでも、異常を感じたら、私に連絡をしてください。
決して一人で解決しようとしないでください・・・・。
千春の幸せを願う気持ちがあれば、必ず私に連絡ください・・・』

浦上はその時がついに来たと感じ取っていました。8年ぶりのコンタクトでしたが、何のためらい
も持たないで、佐王子に連絡を入れたのです。

浦上から連絡を受けた佐王子は、一週間千春に徹底奉仕することを浦上に命じました。浦上は頑張
りました。一週間後、浦上は自身の無力さと、千春の底知れない情欲の凄さをしっかり感じ取って
いたのです。

夫公認で、佐王子と千春は昔の関係を復活することになりました。性豪二人が再会して、スロット
ルを一杯開いて会いまみえるのです。彼らの周囲が無事でいられるはずはありません。この二人を起
点にして、SFマンションに妖しく淫らな雰囲気が広がっていくのです。実はこれまで既に佐王子
が手をそめたいつくかの淫らなエピソードを先行して断片的に紹介しております。これらの事件も
二人が起点であることが追々に明らかになります。

相変わらず普通の市民が織りなす物語を語り続けます。ご支援ください。

毎度申し上げて恐縮ですが、読者の皆様のご意見、ご感想は『自由にレスして下さい(その11)』
の読者専用スレにご投稿ださい。多数のご意見を待っています。    

また、文中登場する人物、団体は全てフイクションで実在のものでないことをお断りしておきます。

発表した内容の筋を壊さない程度に、後になって文章に手を加えることがあります。勿論、誤字余脱
字も気がつけば修正しています。記事の文頭と、文末に下記のように修正記号を入れるようにしま
す。修正記号にお気づきの時は、もう一度修正した当該記事を読み直していただけると幸いです。

・(1)2014.5.8 文末にこの記事があれば、この日、この記事に1回目の手を加えたことを示しま
す。
・記事番号1779に修正を加えました。(2)2014.5.8 文頭にこの記事があれば、記事番号1779に二
回目の修正を加えたことを示し、日付は最後の修正日付です。ご面倒でも当該記事を読み直していた
だければ幸いです
                                        ジロー  


[47] フォレストサイドハウスの住人たち(その9)(257)  鶴岡次郎 :2014/12/12 (金) 14:48 ID:a72mw.nw No.2625

廓の亭主によると、高は古今の書を読破していてその知識は良家の武家娘でも遠く及ばないほどなので
す。また、和歌の道、茶道の道を究め、その道でも 生活できるほどの腕前になっていたのです。女郎
をしながらそうした道を究めるには血のにじむような努力と強い意志力が必要なのです。

この縁談を壊すつもりでやってきた須藤は、落ちぶれた娼婦像を頭に描いて廓にやってきたのです、し
かし目の前にいる高は良家の妻女のような雰囲気をたたえているのです。須藤はやや足元をすくわれた
ような気分になっています。

〈予想に反して、素晴らしい女だ・・・。
清楚な美人で、廓育ちの陰はどこにも見当たらない・・・、
これなら武家の妻として、明日からでも大手を振って歩ける・・・

それに加えて、素人女では到底出せない色香がそこかしこに滲み出ている、
この色香で迫られたら、若い次郎太などひとたまりもなかったろう・・〉

目の前に座っている高は質素な普段着で、お化粧もほとんどしていません。それでいて匂うような色香
が、白い首筋、濡れた瞳、ふくよかな胸と臀部のラインから湧き上がり、須藤の男心を揺さぶるのです。

〈・・いやいや・・・、
見かけに騙されてはダメだ・・・、
所詮、廓の女だ・・・、
若い侍を色仕掛けで落とし、その妻の座を狙っているのは確かだ・・・、
美しい仮面の下に黒い本性が隠されているはずだ・・・

とはいっても・・、
未婚の女が妻の座を目指すのは当然のことだ・・、
我妻だって、初めて出会った時それとなく乳房をチラ見させたのだから・・
廓の女が、幸せを求めて、多少の仕掛けをしたとしても、
誰もその女を責めることはできないはず・・・〉

高の美貌と上品な雰囲気におされて、ともすればくじけそうになる気持ちを須藤は奮い立たせ、未熟な
次郎太が高の色香に溺れ、女の罠にうまうまと嵌ってしまったと思い込もうとしているのです。その一
方で、目の前にいる清楚な女を見て、また思い直したりしているのです。

「須藤様からそんなにお褒めの言葉をいただいて、
我が身を省みて、恥ずかしい気持ちでいっぱいです・・。

和歌や、茶道が少し出来ても、他のことは何一つ満足にできません。
12歳でこの世界に入りましたので、女として必要なお台所のことも・・、
お裁縫も・・、何もできません・・・。

こんな女が佐伯様の嫁として、勤まるとは思えません。
それで、佐伯様には何度もそう申し上げてお断りしたのですが・・・、
それでも良いからと、強く言われますので・・、

お慕い申し上げる佐伯様とご一緒に暮らせるなら、
どんな苦労にも堪えられると思って…、
厚かましいことですが、佐伯様の愛情に縋らせていただくことにしたのです・・。

須藤様がこの縁談は難しいとお考えなら・・・、
遠慮なくそう言ってください、
悲しいことですが・・、決して恨みに思いません・・・。
どんなに考えても、私が佐伯様に嫁ぐことなど、夢物語なのですから…。

幸い、菊の屋の旦那様から、
何時までもこの店に居て良いと言っていただいております。
他の世界で暮らす術を持ち合わせておりませんので、
生涯、この廓で暮らす覚悟は出来ています・・」

静かに、それでもはっきりと高は自身の心の内を須藤に話しました。


[48] フォレストサイドハウスの住人たち(その9)(258)  鶴岡次郎 :2014/12/14 (日) 17:14 ID:.E3.VxF6 No.2626

思っている言葉をすべて吐き出した高はじっと須藤を見つめています。須藤を見つめる高の濡れた瞳が
幾分強い光を放っています。

〈どうやら・・・、
私がここへ顔を出した時点で、全てを悟り、
お高さんは次郎太のことを既にあきらめているようだ・・・。

妻の座を狙って、次郎太を色仕掛けで落とした性悪女と思っていたが、
それはとんだ誤解だった・・、
お高さんは最初から彼の嫁になれるとは思っていなかったようだ、
次郎太が、先のことも考えないで惚れこんでしまって、
お高さんの心を乱しているのだ・・・。

ここで私がこの縁談に首を振っても・・、
次郎太が騒ぎ立てる可能性はあるが、お高さんは黙って引き下がるだろう・・。
多分・・、その解決策が一番常識的な判断だろう・・・。

しかし・・・、
無理筋と判っている女に惚れた次郎太の気持ちも大切にしてやりたい・・、
また、これほどの女を捨てるのはいかにも惜しい・・・
さて・・・、どうしたものか・・・・〉

お高に惹かれながらも、須藤は迷い続けていました。須藤は目を閉じて何事かじっと考え始めました。
その場にいる、廓の主人、高、そして次郎太がじっと須藤の顔を見つめ、彼の言葉を待っています。須
藤がいかなる結論を出しても、この場にいる者は彼の出した結論に従うつもりでいるのです。覚悟を固
めている高の表情は穏やかです。次郎太一人が落ち着きのない表情でみんなの顔をちらちらと盗み見て
いるのです。

「この話を次郎太から聞いた時、お女郎さんを嫁にするなどとんでもないことだと思いました。
それでも、頭ごなしにそれを言うと、恋に狂った若い者は何を仕出かすか判りませんから、
彼を説得し、この縁談を壊すことが出来る決定的材料を探す目的でここへ一緒に来たわけです・・」

高が微笑みを浮かべて何度か頷いています。彼女が予想した通りの須藤の言葉だったのです。次郎太が
目を剥いて須藤を睨んで何か言い出しそうなそぶりを見せています。右手を振って次郎太の言葉を抑え
込んで、須藤はゆっくりと口を開きました。

「お高さんに会い、親しくお話し合いをして、良く判りました…。
次郎太がお高さんに惚れた理由が良く判りました。
今は・・・、良く惚れたと褒めてやりたい気分です。
私からもお願いします。次郎太の嫁になってやってください・・」

びっくりした表情で須藤を見つめる高、信じられない言葉を聞いたお高はとっさに言葉が出せない様子
です。

突然・・・、大粒の涙がきれいな瞳から溢れ出ています・・。

〈・・・なんと美しい表情だ・・・、
こんな女が自分のモノになるのだったら…、
私は・・、今の身分も、家庭も、全部・・・、捨てても良い・・・

おっと・・・、危ない・・、危ない・・・、
女は怖い・・、その気がなくても男を狂わせる魔物だ・・・・〉

高に見つめられ、彼女が出す大粒の涙を見た須藤は慌てています。年甲斐もなく胸をときめかせている
のです。次郎太もじっと高の表情を見つめています。彼もまた、必死で涙を押さえているのです。

「ご亭主殿・・、お高さん・・、
次郎太の申し出を受けていただけますね…」

「ハイ・・・、
ありがたくお受けいたします…」

廓の亭主と、高が深々と頭を下げて快諾の言葉を出しています。

「・・となると・・・、
これで御両家の縁談がまとまったことになります。
次郎太、お高さん、おめでとう・・・」

須藤が二人に祝福の言葉を言い、二人が深々と頭を下げています。


[49] フォレストサイドハウスの住人たち(その9)(259)  鶴岡次郎 :2014/12/15 (月) 11:35 ID:9tNHIVtY No.2627

須藤は上機嫌で若い二人を交互に見ています。見れば見るほど似合いの二人なのです。それでも須藤は
手放しでは喜べない複雑な思いを噛み締めていました。

女郎と主持ちの侍、普通でない婚姻を決断した二人には、この先、たくさんの苦難が待ち受けているは
ずです。二人のために出来限りのことをする気持ちを須藤は密かに固めていました。そして先ほどから
考えていることを実行に移すべく、口を開きました。

「それで・・・、これからの段取りですが・・、
お高さんと、ご主人さえ異論がなければ、
お高さんを須藤家の養女に迎え入れ、
須藤家から嫁に出してはいかがかと思っているのですが・・、
いかがなものでしょうか・・・?」

「そうしていただければ、これ以上のことはありません…、
何から何までご配慮いただき感謝の言葉もございません・・」

廓の亭主が頭を何度も下げて感謝していました。高は感激で言葉も出せない様子です。次郎太は須藤に
深々と頭を下げて感謝しております。須藤家の養女になれば、お高のことを誰も女郎出身の女だとは思
いません。全てがリセットされ、高は晴れて武家の娘として柏木家に嫁入りするのです。

須藤が上機嫌で廓を出た後、菊の屋の主人、正衛門が次郎太を一人別室へ連れて行き、次郎太が席に着く
や、真剣な表情を浮かべ語りかけました。

「あの娘(こ)は、12歳から10年以上、数知れない男に抱かれてきました。
男に抱かれることがあの娘(こ)の生活のすべてだったのです。
それで、普通の女に比べて、かなり異質な貞操観念を持つようになっています。
このことはよく承知おきください・・」

「勿論、女郎を嫁にするのだから、昔の男関係をとやかく言うつもりはない・・」

「柏木様…、そうではないのです・・!
過去の男性経験を責めないようにしていただくのは勿論ですが、
私が申し上げたいのは、過去のことではないのです・・、
婚姻後に起きるであろう問題についてです・・・」

廓の亭主のやや強い調子の言葉に次郎太がすこし驚いています。

「こうした稼業をしておりますので、私はたくさんの遊女を一般家庭へ主婦として送り出してきました。
そして、必ずと言っていいほど、彼女たちが遭遇する問題を、たくさん見て来ました・・・」

ここで廓の主人は言葉を止めて、じっと次郎太の顔を見つめました。何を聞かされるのか皆目わからな
い表情を浮かべ次郎太は主人の顔をぼんやりと見ていました。


[50] フォレストサイドハウスの住人たち(その9)(260)  鶴岡次郎 :2014/12/16 (火) 15:00 ID:2zAc321Q No.2628
次郎太の顔をじっと見つめて、おもむろに亭主は口を開きました。

「ここでは男に抱かれることが女たちの生活の全てです。
男達によって刻み込まれた記憶が・・、
彼女たちの心と体にずっしりと残るのです。

それはどんなことをしても拭いきれないのです。
年季が明けて普通の生活に戻った時、
その傷跡が突然鮮明に女たちの中で疼きはじめ・・、
やがてその疼きは嵐のように彼女たちの体の中で暴れまわるのです」

「男たちに抱かれた記憶がいつまでも残っていて、
その記憶が家庭に入ってからも女の血を騒がせる・・・、
そういうことですか?・・・」

「ハイ・・・、どんなに足掻いても、
心と体に残された男達の記憶から彼女たちは逃げられないのです。

言い換えれば、嫁ぎ先でご主人に十分抱かれていても、
それだけでは、彼女たちは満足できない身体を持っているのです。
勿論、個人差はありますが、間違いなく、
一般の女たちとは比較にならないほど、彼女たちの情欲は強いのです」

「その話なら聞いたことがある。以前、遊び人の先輩から聞かされたことがある。客商売を長くしてい
た女と付き合うと、男を喜ばせる術をたくさん知っていて貴重だが、少しでもかまわないで放っておく
と、浮気に走り、とんでもなく男狂いするものだと教えられたことがある。だから、そうした女を妻に
することは勿論のこと、深い付き合いもしない方が良いと言われたことがある。

確かに・・、お高さんもそうした女の一人だと言える・・・。
その時は、私は・・、身を呈して彼女をかわいがるつもりだ、
これでも体力では人に負けない自信があるからね・・、ハハ・・・・・・」

酒の席での艶話を次郎太は思い出しているのです。高にも同じような問題が起きるだろうと次郎太は廓
の主人の言葉をその程度に理解したのです。しかし、この時点でも次郎太は問題の本質が判っていな
かったのです。廓の主人はそんな次郎太を哀れっぽい目で見つめ、さらに衝撃的な内容を告げたのです。

「柏木さん・・・、そんな生易しいモノではありません。
情欲が襲ってくると、ある者は自暴自棄になり、
手当たり次第に男を漁り始めます。

また、ある者は欲望と自制心の板挟みになり、
絶望して自分の肉体を始末することになるのです・・・。

この二つの道以外の生き方を彼女たちは選べないのです・・・・」

「えっ・・、何と言った…
手当たり次第に男漁りをするか・・、自害をするか・・、
お高さんには二つに一つの道しか存在しないと言うのか・・
私がどんなに頑張っても、それでは焼け石に水だと言うことなのか・・」

「ハイ・・・、
廓を出て嫁いだたくさんの女達を見て来た私は・・、
そう理解しております・・・・」

「・・・・・・・」

次郎太が両膝を握りしめ、絶句しています。何かに必死に耐えている様子です。


[51] フォレストサイドハウスの住人たち(その9)(261)  鶴岡次郎 :2014/12/17 (水) 14:25 ID:mqphDUQs No.2629

思ってもいなかった話を聞き、うな垂れている次郎太を覗き込むようにして廓の亭主がやさしく声を掛
けました。

「佐伯様・・・、大丈夫ですか…、
もし・・、私の話を聞いて気が変わり、婚約を解消されるのなら、
それはそれで残念ですが、今なら太夫も受け入れると思います・・」

廓の店主がやさしい口調で、それでも本気で訊ねています。

「ご親切なお言葉に感謝する・・・。
少しびっくりしただけです・・。
お恥ずかしいところを見せました…」

うな垂れていた姿勢を正し、次郎太が店主の目をまっすぐに見ています。この店にやってきた時のよ
うに、これから大事を成すと決めた決意が漲った表情を取り戻しています。

「正直申しまして・・、
ご亭主の今の話は予想もしておりませんでした・・。

話を聞いた今でも…、
結婚後、起きるであろう事実を・・、
現実問題として受け入れることはできないのです。

しかし、ご心配は無用です・・・。、
お高さんを娶る決意は変わりません…、
話を続けてください・・、
全てを聞きたいのです・・・」

廓の主が大きく頷いて、ゆっくりと語り始めました。

「燃え上がる情欲と強い貞操観念の板挟みになって、死を選んだ女の話はあまりにも哀れで、これ以上
詳しく話す気にはなりません。ただ、一つだけ申し上げておきたいことがあります。もし、彼女たちの
夫がもう少し思慮深く、愛情が深ければ、何人かの女は死ななくて済んだと思います。

佐伯様には私の言わんとすることがお分かりいただけると思いますが・・、
もし・・・、お高さんが追いつめられるようなことがあれば、
死を選ぶ前に彼女を自由にしてやってほしいのです・・・」

次郎太が黙って頷いています。

「多くの女は死を選ぶほど腹が出来ていません・・・、
いえ・・と言うより、多分・・・、
浮気をすることが、それほどの罪にならないと思っているのです。

身体の要求するまま、男漁りをすることが、当然とまでは思わないものの、
その行為を一般の女性が考えるほどの大罪だとは思わないのです・・・」

次郎太の表情を見ながら、彼の反応を確かめながら亭主は話しています。次郎太の表情は変わりません、
亭主の話に驚いている様子でもなく、かといって、彼の話を頭から信用しない様子でもないのです。耳
を傾けて真剣に聞いているのです。

「男漁りの道を選んだ女たちは抑えきれない情欲に誘われるまま、手近に居る男に手を出します。
それが、舅であったり、義理の兄弟であったり、とにかく男なら誰でも良いのです。

普通の女であれば、その罪を犯せば死を覚悟せざるを得ないような相手でさえ、欲望を優先してその男
に手を出すのです・・・。

こうした行為に走る女たちが何を考え、どんな言い訳を自分に言い聞かせ、近親相関という忌まわしい
禁断の行為に走るのか、正直言って、いまだに私は理解できていません・・・。

ただ、たくさんの事例を見てきた私が、彼女たちの行為を知り、その時いつも驚かされる事実がありま
す。それは、彼女たちの罪悪感が薄いことです。忌み嫌われる近親相関の大罪さえ犯しておきながら、
彼女たちはそれほどその行為を悪いと思っていないのです」

廓の亭主は次郎太の表情を見ながら、言葉を選び話しています。次郎太が亭主の話を少しでも信用して
いない様子を見せれば、その場で話を終わるつもりでいるようです。しかし、次郎太は異論を唱えず、
素直の態度で亭主の話を聞いています。


[52] フォレストサイドハウスの住人たち(その9)(262)  鶴岡次郎 :2014/12/18 (木) 15:28 ID:0KIewlNA No.2630

亭主は次郎太の態度を良しと考えたのでしょう、この男なら亭主のいかがわしい話を正しく受け止める
ことが出来ると感じたのでしょう、彼が持っている情報を時間の許す限り伝えるつもりになっています。

「物心ついた時から、男に抱かれることが生活の全てであった彼女たちは、たくさんの男に抱かれるこ
とにそれほど罪悪感を持たないのです。罪悪感どころか、性交することで彼女たちは安らぎを受け、悩
みを克服する勇気がそこから沸き上がるのだと思います。

言い換えれば、彼女たちにとって、男に抱かれることは生きるための一番大切な手段であり、活力源な
のです。性行為が彼女たちの生活の原点なのです・・・。

ですから・・・」

「ご主人・・、あなたの言われることは大体判りました・・、
お高の体に染みついた、淫蕩な性癖はある程度まで理解できました・・」

廓の亭主の言葉を遮り、次郎太が声を出しました。

「それで・・、私は何をすればいいのですか・・・。
はっきりと、具体的に指図してください・・。
出来るかどうか判りませんが・・、
お高さんのため、私は全力を尽くしたいと考えています・・・」

長い廓生活でお高の体に淫蕩な習性が染みついているところまでは大体理解した次郎太が、なかな核心
に入らない亭主の話に少し焦れています。遠慮してはっきりとした要求を中々口に出来ない亭主に注文
を付けているのです。

「さすが、佐伯様です。私がこの方ならと見込んだお方です。
そのご質問を実は待っていました…」

話の展開を模索していた亭主は次郎太の質問を得て喜んでいます。

「大和太夫が・・、
いえ・・、お高さんが他の男に手を出すようなことが起きれば、
その時は、私が今まで話したことを良く思い出してください・・・。

男に手を出したのは、勿論、その男に惚れたわけではないのです。
あなた様を裏切るつもりなど、端からお高さんにはないのです。
言ってみれば、それはお高さんの持病なのです」

「病気だと・・・・・・・・?」

「はい・・・、その通りです。病気に罹っているのです…。
病気であれば、治療する必要があります。彼女の体が男を欲しているのですから、
無理に抑え込むと病気は悪化します。適当に男を与えることが必要です。

勿論、妻が他の男に抱かれることは耐えがたいことです。
堪えがたい思いは、お高さんにとっても同じことです、
病気とはいえ、他の男に抱かれるのは、大切な旦那を裏切ることになり、辛いことだと思います。

お高さんを愛し、生涯、妻として彼女を大切にしていただく覚悟がおありなら、
お高さんの望むまま男を与えてください。
そしてここが大切なことですが、その秘密をあなた様が守り抜くのです。
決して、そのことで、お高さんが周りの者から後ろ指をさされることがあってはならないのです」

「・・・・・・・」

大変な話なのですが、次郎太は驚きもせずじっと耳を傾けています。

「よろしいですか、くどいようですがもう一度繰り返して申し上げます。
関係した男達と共謀して、あなた様がお高さんの秘密を守り切る限り、
あなた様ご一家の安泰は保証されると思います。

あなた様の寛大な愛情に応えるため、お高さんはあなたに全力を尽くして奉仕すると思います。
十数年、廓で磨き上げた女の技を惜しみなくあなた様に注ぐのです。
あなた様は男としてこの世で望みうる最上の悦楽をお高さんより与えられることになります。

私の話を理不尽なありえないお伽話だと思わないで、信用してください。
頑張れば、きっと素晴らしい未来が広がると思います・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

あまりの話に次郎太は絶句していました。しかし、次郎太は決して絶望していませんでした。むしろ、
女郎を娶った以上、このようなことは起こりうることだと比較的冷静に受け止めているのです。


[53] フォレストサイドハウスの住人たち(その9)(263)  鶴岡次郎 :2014/12/22 (月) 16:50 ID:.46Wq8vU No.2631
一年近く廓に通い詰めるあいだに、最初は次郎太が惚れこみ、ついで彼の熱意と誠実な人柄に高が陥落
し、二人は将来を約束するまでになったのです。
女郎に惚れたということは、最愛の女が他人に抱かれることを黙って受け入れることが絶対条件なので
す。こうした関係を一年足らず続けた結果、自分の知らないところで最愛の女が他の男に抱かれ、悶え狂
っていることを事実として受け入れる習慣を次郎太は、知らず知らずの間に身に着けていたのです。

最愛の女が他の男に抱かれるのを受け入れることに慣れると、次郎太の感情は次の段階に発展していまし
た。一時間前、明らかに他の男に抱かれたお高を抱いて、見知らぬ男が残した愛欲の残骸をお高の中に見
つけて、次郎太はどうしたことか、すごく興奮するようになっていたのです。こうした下地があったから
こそ、次郎太は廓の亭主の話を黙って受け入れることが出来たのです。

「ご亭主殿、ご親切なご助言痛み入ります。お話の内容はよく理解できました。決して歓迎することでは
ありませんが、そのことでお高さんを嫌いになったりしません。お高さんの様子をよく見て、彼女が一番
安楽に暮らせる道を探します。彼女とはどんなことがあっても生涯離れないことを約束します・・・」

廓の亭主は感動で涙を流して、次郎太の両手を握って、何度も、何度も頷いていました。


「そんな事情があったのね…、
お高さんが男を欲しがるのは病気だと解釈したのね…
その考えはある意味で当たっているかもしれない…。
欲望が襲ってくるとどうしょうもなくなるのだから…、

それにしても、病気だと割り切ってお高さんを自由に泳がせながら、
その一方で、妻を深く愛し続ける次郎太はりっぱだね・・・

あっ・・・、もしかすると家の旦那も・・・・・
あっ・・・、そうか、そうなのね…、
幸恵さん…、家の旦那も同じだと判って、私にお高さんの話を聞かせたのね・・

幸恵が黙って頷き、千春がにっこり微笑んでいます。


独身時代、千春もまた裏の仕事で売春稼業をしていたのです。千春は彼女の表の仕事場である高級靴店で
浦上三郎と出会い、互いに一目ぼれをして結婚しました。長女を出産し、その子が幼稚園に通い始めたご
ろまでは絵にかいたような平和な生活が続きました。ところが、その頃から千春は耐えがたい情欲に襲わ
れるようになったのです。

尋常でない情欲の嵐を受けた千春はこの事態を夫に隠し通すことはできないと悟りました。離婚を覚悟し
て、千春はデルドーを使って強い欲望を散らしている痴態を夫に見せつけました。夫に痴態を見せること
で自身の体に起きた異常を知らせることにしたのです。

千春の夫、浦上三郎は驚きながらも、慌てふためくことはありませんでした。佐王子から、いずれ千春は
男狂いを始めると予告を受けていたのです。その予告うけて5年後に、その予告通りの現象が発生したの
です。三郎はためらわず佐王子にそのことを告げ、協力を依頼しました。

浦上から千春の事情を聞いた佐王子はとりあえず昔の愛人関係を復活することにして、千春の情欲を散ら
すべく、夫公認で定期的に千春を抱くことにしたのです。

浦上三郎がつらい決断をして佐王子に千春を預けた経緯がお高さんと同じであることを、千春に教えた
かったのだと、千春ははっきりと悟っていました。そして、いまさらのように夫、浦上三郎の大きな愛
情を千春は実感していたのです。(1)


[54] フォレストサイドハウスの住人たち(その9)(264)  鶴岡次郎 :2014/12/24 (水) 17:00 ID:7FiYXeNc No.2632
記事番号2631に修正を加えました((1)1950_12_24)


「それでね、お話はまだまだ続くのよ・・・。

お舅さん、義弟の三郎太にはご主人が事情を話して、お高さんを抱くことを要請した。事情が呑み込め
なくて最初は尻込みしていた二人だったけれど、事情が分かってくると、決して嫌なことではなく、む
しろ歓迎すべきことなので、男二人は喜んでお高さんを抱くことにした。

こうして、お高さんは同じ家に住む三人の男に交替で抱かれることになった。月の障りがある日以外、
お高さんはいつも誰かを受け入れ、女の喜びを満喫することになった。

一方、男三人は互いに嫉妬しながらも、一人で彼女を独占することは難しいことを良く知っているし、
お高さんが三人の男に分け隔てなく優しく接したから、表面上、三人は争うことをしないで、女の気を
引くことで競い合った。

こうして、一人の女を巡って、あの手この手を使って、三人の男が女の気を惹こうと努力するのだから、
女にとって、ある意味理想郷が出来上がったことになる・・・」

「凄いね…、
家の中では男三人が夜の相手をしてくれて・・・、
外へ出ると十数人の詩吟の会のメンバーから選り取り、見取りでしょう…、
作り話だと思っても、うらやましい・・・。

でも・・・、
詩吟の会のメンバーは夫である次郎太さんを何と思うだろう・・
きっと、『寝取られ旦那』と、蔑んでいるのかもしれない・・」

「それがね…、
次郎太さんの評判は悪くないのよ・・・、
それどころか、お高さんを嫁にしてから、彼はトントン拍子で出世することになるの、
お高さんは彼にとって、飛び切りの「上げまん」だったの・・・」

千春の顔を見てにんまり微笑んで幸恵はこの物語の続きを話し始めました。


通常、人妻と情を通じた男は、その人妻を落としたことを密かに誇りに思い、人妻の夫を腹の内であざ
けったりするのですが、それは男の力が女の力を上回っている時に限るのです。

お高と情を通じた侍達は、圧倒的なお高の女子力を体感すると、自分達がお高を弄んでいるのではなく、
男達がお高の遊び相手にされていることを直ぐに悟るのです。男に抱かれるお高の様子には悪びれたと
ころがなく、ただひたすら喜びを追い求めているのです。そして、やがて・・・、男たちはお高の夫で
ある柏木次郎太の狙いに気付くのです。

〈これほどの女だ、夫一人で満足できるはずがない・・。
彼女の夫はそのことを悟り、妻を自由に泳がせているのだ。
深い愛情がなくては出来ないことだ。
まさに男の鑑だ・・
とても私にはできないことだ・・・・〉

男達はお高の夫、次郎太の立場を理解し、彼を蔑むどころか、逆に、最愛の妻に大きな愛情を注ぐ次郎
太に尊敬に近い感情を抱くようになっていたのです。

「あら、あら、すごいね・・
圧倒的な女子力が男達の思考にも影響を与えたのね・・・」

「旦那様の次郎太は勿論立派な人だけれど、お高さんだって偉いのよ・・。

彼女はどんな男から声を掛けられても、事情が許す限り『嫌』と言わないのよ、言い寄ってくるのは恰
好のいい、若い男達ばかりとは限らないからね、中には禿で、脂ぎったおっさんもいたはずだけれど、
お高さんは愛想よくそうした男達と付き合ったのよ。

一方、こんな乱れた男漁りをしながら、お高さんは陰日向なく働いた、
頭が良くて、人付き合いも良かったから、
周りの女たちの評判も上々の貞女だった・・・」

「そうなの…、見習わなくてはいけないわね・・・

ところで・・、幸恵さん・・・・、

お高さんの話を聞いていて・・・、
私・・・、心配していることがある…
それは私自身の心配とつながるのだけれど・・・・」

それまでのにやけた表情を引き締めて、少し真面目な表情に戻り、千春が不安を口にしています。


[55] フォレストサイドハウスの住人たち(その9)(265)  鶴岡次郎 :2014/12/27 (土) 10:22 ID:m7g1CiKY No.2633

「その淫乱貞女の老後は酷いモノでしょうね・・

歳をとって魅力がなくなれば・・、
男達から振り向かれることも無くなり、
旦那にも嫌われ、子供から蔑まされ・・・、

結局一人で暮らすことになり、やがて寂しく死を迎える・・・
好き勝手をやってきた女だから、仕方がないことだけれど・・、
それでも、やっぱり寂しいね・・・」

我が身の将来と照らし合わせて、千春が沈んだ声で質問しています。

「そうでもないのよ・・、
結論から先に言うと、80歳を超える天寿をお高さんは全うするのよ・・・。
子供を8人生み落し、その子供たちを全員立派に育てあげるの・・・。
勿論、全部の子供が彼女と旦那様の実子として育てられた・・・」

「・・・・・・」

千春は目をいっぱいに見開いて幸恵を見つめています。彼女自身の将来に一筋の光明を見つけ出したの
かもしれません。

「下級武士だったお高さんの旦那は、お高さんとの結婚を機に、仕事の上でいろいろな幸運に恵まれて、
次第に頭角を現して、藩の重役まで上り詰めることになる。もともと才能があり、人徳の高い人だった
のは確かだけれど、お高さんが藩の重役の何人かと関係を持ち、明らかにその男達の種だと判る子供を
産んだりもしていたから、次郎太は人事面でかなり厚遇を受けることになったのも確かね・・・。

こうして経済的にも恵まれた環境を手に入れたお高さんはその淫乱性にますます磨きをかけ、数多くの
男を受け入れることになった。生理が上がった後も、彼女の男漁りは衰えなかった。死の床に就いた一ケ
月以外、彼女は男を迎え入れることを止めなかったと言われている。

彼女の葬儀には、子供たちをはじめ、関係した男達がたくさん参列し、盛大なお葬式になった。そして、
彼らは心から感謝の気持ちをささげたと言われている。彼女の死を見届けた夫、次郎太は、『彼女は地
上に降りた天女でした・・』と語った・・・・と、その本は最後に語っていた・・・」 

「いいお話ね・・・」

「ところで、この話には女にとってたくさんの教訓が含まれているけれど、
千春さん…、
この中で一番大切な教えは何だと思う・・・・?」

「・・・・・・・・?」

「判らない…?」

「・・・・・・」

「私は思うの・・、このおとぎ話の中で一番大切な教訓は・・・・、
それはね…、
お高さんが、どんな境遇でも、どんな時でも、
全ての男に感謝の気持ちを持ち続け・・、
すべての男を愛し、中でも旦那様を心から愛したことだと思うの・・、

私はそう・・、考えている…、
そして、私自身もそうありたいと願っている・・・
頭では判っていても、なかなか出来ないことだけれどね・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・」

幸恵が言いたいことを千春は敏感に察知していました。旦那と佐王子、そして千春の上を通り過ぎるす
べての男たちの大きな愛情に感謝の気持ちを忘れないようにせよと、幸恵が千春に言っているのです。

「あなたから聞いた佐王子さんとの関係・・・、
私には十分理解できないことだけれど・・、
私はどんな時でもあなたの応援団になると決めている、

私に出来ることなら何でも言って・・、
出来る限り、あなたを応援するから・・・」

「よろしくお願いします・・」

この日以来、千春と幸恵の関係はさらに強いものになりました。実の親子の関係でも彼女たちの関係に
かなわないと思えるほどの仲になったのです。


[56] 新しいスレへ移ります  鶴岡次郎 :2014/12/27 (土) 10:36 ID:m7g1CiKY No.2634
新しい章を立てます。ここまでで今年の投稿を終わります。今年一年、ご支援いただき感謝申し上げます。
来年もよろしくご支援ください。末尾ながら、来るべき2015年が皆様にとっていい年になりますことを心
から祈念いたしております。 ジロー



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