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フォレストサイドハウスの住人たち(その7)

[1] スレッドオーナー: 鶴岡次郎 :2014/05/08 (木) 11:40 ID:88ncIuVg No.2520
浦上三郎と千春の結婚が決まりました。「万人に一人の女・・、娼婦になるために生まれてき
た女・・」、そんな女と浦上は結婚すると決めたのです。
「早期発見が大切です…、対処方法を誤ると、みんなが不幸になりますから・・」と、謎の言葉を
残して佐王子は立ち去りました。「先のことを考えるより、先ず、彼女に溺れる生活を楽しも
う・・」と、浦上は腹を固めています。浦上と千春、ようやくスタートラインに付いた若い二人の
前途には洋々たる未来と、大きな不安が待ち構えている様子です。もう少し二人の生活を追ってみ
ます。相変わらず、変化の乏しい市民の生活を描きます。ご支援ください」

毎度申し上げて恐縮ですが、読者の皆様のご意見、ご感想は『自由にレスして下さい(その
11)』の読者専用スレにご投稿ださい。多数のご意見を待っています。    

また、文中登場する人物、団体は全てフイクションで実在のものでないことをお断りしておきま
す。

発表した内容の筋を壊さない程度に、後になって文章に手を加えることがあります。勿論、誤字余
脱字も気がつけば修正しています。記事の文頭と、文末に下記のように修正記号を入れるようにし
ます。修正記号にお気づきの時は、もう一度修正した記事を読み直していただけると幸いです。

  ・ 文末に修正記号がなければ、無修正です。
  ・ 文末に(1)1940.5.8とあれば、その記事にその日、手を加えたことを示します。
  ・ 『記事番号1779に修正を加えました。(2)1940.5.8』、文頭にこの記事があれば、
     記事番号1779に二回修正を加えたことを示し、日付は最後の修正日付です。
    ご面倒でも当該記事を読み直していただければ幸いです
                                        ジロー   


[2] フォレストサイドハウスの住人たち(その7)(166)  鶴岡次郎 :2014/05/08 (木) 11:54 ID:88ncIuVg No.2521

 結婚 (3) 

3人で会ったあの日から三ケ月後、千晴と浦上は結婚式を挙げました。新郎新婦側とも出席者がそ
れぞれ100名を超え、盛大ですが、それほど華美でなくどちらと言えば質素な、心温まる結婚式
でした。新婦側では店長をはじめ、店のみんなも出席しました。巨根の持ち主、専業農家の伊熊正
太郎と結婚して、東京から離れていた千春の元同僚、春美も式に駆けつけてきました。

「おめでとう・・・、千春・・・」

「先輩…」

花嫁ドレスの千春と、留袖姿の春美が抱き合い、互いに涙を流していました。二人きりになると、
春美が少し表情を改めて、口を開きました。

「それにしても、良く佐王子さんが許したね…、
彼は絶対千春を手離さないだろうと思っていた…」

メールや電話で春美には何も隠さず報告していたのです。

「うん・・・、
案外簡単に認めてくれた・・
・・と言うより、私たちの結婚を最初から応援してくれた…」

微笑みを浮かべて千春が答えています。

「そう・・、最初から応援してくれたの・・、
その気になれば、縁談を壊すことなど、
彼にとって、簡単なはずだけれどね・・、

よほど、千春を大切に思っているんだね…、
千春をあきらめた彼がちょっとかわいそうに思える…」

最後の言葉はつぶやくように言っていました。

「佐王子さんそんなに落ち込んでいないよ、
彼の周りには、女がいっぱい居るから、
私一人抜けても、彼の商売には何の影響もないのよ・・」

「そういう意味でなく…、
彼にとって、千春は特別な人だと思うけれど…」

「私が・・、特別の人…、
それって・・、どういう意味…」

「文字通り、特別の人なんだよ・・、
彼にとって、千春は…
千春は彼のことをどう思っているの…」

「勿論、体の関係では、彼との関係が一番深いし、一番感じる相手よ、
一緒に過ごした時間も、多分一番多い…。
それが特別の関係だというのであれば、彼は特別の人よ・・」

どうやら浦上に夢中な千春には彼以外の男性は意識にない様子で、春美の質問の意味を理解できて
いない様子で、会話が空回りしているのです。そんな千春を見て、春美は笑い出しています。

「やっぱり・・、
女は・・、特に花嫁は・・、惚れた男以外には冷淡だというけれど、
千春もそうなんだね…。

まあ・・、いいわ・・、彼のことは…、
とにかく立派な人だと思うよ、佐王子さんは…。

千春がこんなに立派な結婚式を挙げ、お嫁に行けるのは、彼のおかげだよ、
感謝の気持ちを忘れないことだね…」

佐王子の気持ちを本当に理解しているのは案外、春美一人なのかもしれません。


[3] フォレストサイドハウスの住人たち(その7)(167)  鶴岡次郎 :2014/05/14 (水) 16:23 ID:Aq3PSwY2 No.2522

ここで何かを思い出した様子で、春美は周りを見渡し、二人以外誰もいないことを確かめ、それで
もなお声を潜めて千春に質問しました。

「ところで・・・、お婿さんは・・、
その…、千春のことをどこまで知っているの…」

「全部知っている…」

「全部って・・、
じゃ・・、売りのことも知っているの?」

「うん・・・」

「信じられない…、
どうしてそんな話をしてしまったの…」

あいた口が塞がらない・・、そんな驚きの表情を春美が見せています。

「驚きを通り越して、バカとしか言えない…。
そんな話をすれば、まとまる話もぶち壊すことになる…。
判った…、もしかして・・、
千春は彼に出会った最初から、結婚を考えていなかったのでしょう・・・」

「うん・・・、一生、普通の結婚はできない女だと思っていた。
その時も、若くてイケメンだったから、ちょっとからかうつもりで、
私・・・、スケベなところをいっぱい見せてしまった・・・。
少しでも彼の気を引くつもりがあれば、
もう少し、お嬢様らしく振る舞うことだって出来たのだけれど・・」

「パンチラをしたり、
揚句は、股間に手を伸ばしたのでしょう・・、
救いようのないバカ女ね・・・・」

「そうなの・・・、
調子に乗ってからかっていたら、
気が付いたら、あそこを咥えていた…」

「あら・・、あら・・・
それで、結婚までよく漕ぎ着けることができたね・・・
どんな手を使ったの・・・・」

「私は最後まで彼との結婚を考えていなかった。
だって、佐王子さんの情婦(イロ)であり、
売りまでやっている私が彼のお嫁さんになることなど、
許されるはずがないことだし、
いくら、厚顔でも私にはそんなことはできないと思っていた。

その一方で、彼とのデートを重ねる内に、彼への思いを募らせていた、
こんな展開になるのだったら、処女だと言えないまでも、
もう少しお嬢様らしく振る舞うべきだったと激しく後悔していた・・」

しおらしく語る千春を見守りながら、春美は黙って頷いていました。

「彼のプロポーズを私はその場で拒否した。
理由は何も告げなかった…」

その時を思い出したのでしょう、千春の瞳に涙があふれています。春美が手を伸ばしそっと千春の
涙をぬぐっています。


[4] フォレストサイドハウスの住人たち(その7)(168)  鶴岡次郎 :2014/05/15 (木) 14:35 ID:9auJ/pgQ No.2523

千春の頬に付いた涙を丁寧に拭い取り、パフを取り上げ化粧を直しながら、春美がつぶやいてい
ます。

「何度もデートをした後のプロポーズでしょう・・・、
良く、彼はそれで納得したわね…」

「ううん・・、
彼は納得していなかった・・。
その時、私…、自分でも判るほど取り乱していたから、
彼、その場でそれ以上私を追い詰めることを避けた様子だった。
もう一度会う約束をして別れた・・。
でも・・、私はその日が最後の日だと覚悟を決めていた…」

「売りをやっていることを女の口から言えないからね・・、
泣きながら、黙って引き下がる以外手はないよね・・・・」

その時の千春の気持ちを察して、春美も少し涙ぐんでいます。

「・・で、
どうしてまた・・、結婚話が復活したの・・?」

「理由を言わないでプロポーズを断ったことを佐王子さんに話したら、
もう一度彼と出会う計画を立てろと言われた。
別れるにしろ、縁を戻すにしろ、ちゃんと説明する義務があると忠告された」

「当然よね…」

「会えば悲しくなるばかりだから、私は会いたくなかったけれど、彼も話し合いたいと言っていた
ことだし、佐王子さんが言う通り、このまま何も理由を言わないで別れるのは、まずいと悟って、
これを最後の機会にしようと決めて、都内の喫茶店で話し合うことにした」

「いい覚悟だよ・・
一人で会いに行ったんだね…」

「ううん・・、私は一人で行くつもりだったけれど、
佐王子さんも一緒に行くと言い出した」

「佐王子さんと一緒に行ったの…、
それはまずいでしょう…」

「うん・・、私もさすがにそれはまずいと思った。
でも、佐王子さんがどうしても一緒に行くと言って・・・
私の言うことを聞かなかった・・」

「でも・・、それは、やっぱりまずいよ・・」

「うん・・、普段の私だったらそんなことは絶対しなかったと思う・・・。
しかし、結婚はとっくにあきらめていたし・・・、
彼との縁はもう切れたと思っていたから、割り切って考えることにした。

彼のプロポーズを受け入れることができない最大の理由は佐王子さんの存在であることは確かだか
ら、佐王子さんが一緒に来たいのなら、それも良いかと、修羅場になるのは覚悟の上と、少し破れ
かぶれになって、三人で会うことにした」

「惚れぬいて、求婚した女が、
実は・・と言って、
中年過ぎの情夫(イロ)を連れてきたのだから・・、
修羅場になるよね…、普通は・・
そこまで酷いことをしないよ、普通の女は・・・・」

あきれた表情で春美がつぶやいています。

「うん・・、
絶望的になっていたとはいえ、
女の風上にも置けないほど酷いことをしたと、
あの日の事を思い出すたびに、情けなくなる・・」

「・・・・・・・・」

神妙な表情で千春がつぶやき、春美が黙って頷いています。


[5] フォレストサイドハウスの住人たち(その7)(169)  鶴岡次郎 :2014/05/16 (金) 18:12 ID:4kbK34e6 No.2524

心から愛情を注いでくれている男の前に、女は別の男と一緒に現れたのです。 そしてその男は並
の男でなく、50歳近い闇の稼業に就いている男だったのです。女として絶対犯してはならない罪
を、その罪の重さと醜悪性を十分知りながら、あえて千春は罪を犯したのです。

口では千春を責めていますが、春美には判っているようです。その時、千春は絶望と、罪悪感で平
常心を完全に失っていて、自身の醜い、汚い一面を最愛の男にさらすことで、彼女自身を奈落の底
へ突き落す心境になっていたのです。

「佐王子さんと一緒にいる私を見た時、
彼は私と佐王子さんの関係をすべて悟ったと思う・・。
それでも、彼は顔色も変えないで、テーブルに着いてくれた」

「できた男だね…」

「・・・・・・・」

涙をいっぱいためて、千春が頷いています。

「『なんて大きな男だろう・・、
この人と結婚したい・・、
彼のモノになりたい…』と・・・、
私はその時、狂い出したくなるほど、彼を求めていた…。

でも・・、
『私にはどうすることも出来ない』
その思いだけが強く私に乗しかかり、
私は、彼の前でただうつむいて座っているだけだった・・」

「お婿さんに惚れ直したわけだ…、
失った人の大きさを再認識したわけだ、

辛いよね・・・、何もかも、自分のせいでそうなっただけに、
悲しみも、不満も、一人で背負うしか道がないからね…」

春美にも似たような経験があるのでしょうか、深い同情を示し、千春がそれに応えて黙って頷いて
います。

「重苦しい雰囲気の中で佐王子さんが口を開いた。

佐王子さんは自分のことを女衒だと名乗り、
私をたらしこんで、この4年間、私を弄び・・、
売春までやらせていると、あっさり話してしまった・・」

春美が絶句して千春を見つめています。

「佐王子さんがそこまで話すとは思っていなくて、
正直、その時は一瞬、佐王子さんを恨んだ・・・。
でも、直ぐに、これで良いのだと思い直していた・・。

酷いことをしてきた私など、
結婚を夢見ることなど、勿論許されないし、
ここで思い切り辱められ、ののしられ・・、
すごすごと彼の前から消えるのが私にふさわしいと思い直していた・・」

「そう・・、佐王子さんが全部しゃべったの…
話を聞いたお婿さんは、びっくりしたろうね・・・」

佐王子の意図にここで気が付いたのでしょうか、春美は何事か考えている様子で千春をなぐさめる
ことも忘れたようで、少し的外れの言葉を返しています。


[6] フォレストサイドハウスの住人たち(その7)170  鶴岡次郎 :2014/05/17 (土) 16:14 ID:nhHuZEB. No.2525

佐王子ほどの人物があえて千春の恥部を、その恋人にさらけ出したのです。佐王子には特別の戦略
があったはずだと春美は考えているのです。

「それからどうなったの・・」

話の展開に興味がわいてきた様子で、春美が身を乗り出すようにして問いただしています。

「彼の愛情も、信頼も、すべて踏みにじってしまった・・、
私は・・、酷い女だ・・・
これで何もかも終わった…と、私にはその場にいることさえ意味のないことに思えて、
その場から立ち去ることだけを考えていた。

そんなわけで、その後続いた二人の会話を、私はほとんど聞いていなかった…」

「『私は千春さんの過去を問題にしません。
私は改めて、千春さんに結婚を申し込みます・・』と言ってくれた。

私は…、その言葉の意味が最初はわからなかった…、
でも、彼が手を伸ばし、やさしく私の手を握ってくれたので、
彼の気持ちがやっと理解できた…。

うれしくて…、何も言葉が出せなかった…」

千春がまた涙を流し、春美がていねいに涙をぬぐっています。

「それにしても、危ない綱渡りだったね…、
佐王子さんはそれなりに勝算があって、秘密を全部暴露したと思うけれど、
そして・・、結果が良かったから、正しい選択と言えるけれど・・、
一つ間違えば、まとまる話をぶち壊していたことになる。
私なら、絶対話さない・・・・」

春美にとって佐王子の行動はかなり意外なものでした。結婚を決めた以上、当然、売春の件は闇に
葬ったはずだと思い込んでいたのです。

春美が現役のシュー・フィッター時代、千春と同様、春美も体を提供して売り上げを伸ばした経験
があるのです。結婚して数年経っていますが、今でもその秘密は夫に話していなくて、墓場までそ
の秘密を持っていく覚悟でいるのです。

〈浦上さんの人柄を見込んで・・、
この人ならと思って、千春の秘密を話したのだ…、
結婚した後、千春が秘密を抱えて悩まないように・・、
佐王子さんが親心を出したに違いない・・。

それにしても・・、良く決心した、なかなかできないことだ、
私など、昔を思い出して、夫の顔をまともに見ることができないことが、
今でも時々ある…。

こんなに罪悪感で悩むのであれば、
いっそ、何もかも話してしまおうと思うことがあるけれど、
その勇気が出ない…

話せば、自分は楽になれるけれど、夫を悩ませることになる、
そんなことは絶対できない、
私一人が悩みを抱えて生きていくと決めている・・〉

遠くを見る視線で、既に、自分では結論を出している自身の身の上を春美は考えていたのです。

「この人なら秘密を話しても大丈夫と佐王子さんに見込まれた浦上さんは勿論、
彼の人柄を見抜いた佐王子さんもすごい・・・、
二人ともなかなかの男だよ・・。

千春・・、良い人に巡り合えたね…、
本当に良かった…」

「うん・・・、
私のような女には本当にもったいない人だと思う・・」

「もったいないなんて・・、
そんなことはない!
千春にそれだけの価値があるからだよ!」

「・・・・」

語気を強めて言い放つ春美を、びっくりした表情で千春が見詰めています。



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