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寺崎探偵事務所物語(V)、敦子の事件 (2006年5月〜2006年8月作品)


寺崎探偵事務所物語(V)、敦子の事件(1) 鶴岡次郎 投稿日:2006/05/08 (月) 23:48
一 合成写真

9月に入って、二度ほど台風がやってきて、10月の声を聞くとめっきりと涼し
くなり、夏の間お世話になったクーラが部屋の隅でひっそりしています。佐伯も、
秋子も帰った後、寺崎は一人調査報告書に眼を通しています。
お得意先企業から依頼のあった、ライバル企業の個人調査で、調査対象はその会
社の若い研究員です。彼の動向をくまなく調べて、その内容を報告してくれとの
依頼です。
契約企業から依頼されるこの種の仕事はこの事務所のドル箱で、調査内容が明確
で、手切れが良く、おおむね支払条件も良好な場合が多いのです。今回の調査で
も、この報告書を明日依頼先に届けると、経費を差し引いて、3人の給料が払え
るほどの手取りが見込めます。そんなわけで、報告書に眼を通している寺崎の頬
も自然と緩みます。

実によく動くターゲットで、早朝、鹿児島に向けて出発して、そこで1時間ほど
活動して、その足で札幌に移動して、そこでも一時間ほど仕事をして、夜遅く羽
田に戻ってきました。ターゲットのこの動きを見ていると、詳しい事情を知らな
い寺崎にも、数居るキーマンの中から特に彼を選んで顧客が調査依頼して来たそ
の理由が良くわかります。
その日、羽田から帰ったその若者は、下宿には帰らず会社の自室に戻りました。
その夜はそこに泊まったようです。飛行機の中でも、休まずパソコンに何か入力
していました。まだ若い研究者ですが、その研究所では所長より立派で大きな部
屋を一人で独占しています。その部屋には仮眠用のベッドまで置いて有ります。
この会社が、この青年にかけている期待の大きさがその待遇を見るだけで理解で
きます。

寺崎はこの青年の報告書を読んで、満足げに自分の認印を押し、それをA4サイ
ズの封筒に入れ、机の引き出しに入れて、鍵を閉め、大きく両手を上げて、伸び
を入れました。
両手を伸ばしたまま、寺崎は穏やかな笑みを浮かべて居ます。いつもの居酒屋に
寄って、今日は日本酒、それに湯豆腐にしようと決めました。それから、出来れ
ば秋子のところへ行きたいと思っています。明子の白い肌と暗い繁みが頭に浮か
び、ここ一週間あまり秋子を抱いていないことに気が付きました。下半身にジン
ワリと充実した感じが沸きあがってきました。
その時、入口のドアーが開いて綺麗な女が顔を出しました。湯豆腐と日本酒を忘
れさせてくれるほど魅力的な女性です。


寺崎探偵事務所物語(V)、敦子の事件(2) 鶴岡次郎 投稿日:2006/05/12 (金) 10:32
半分ほど開いた扉から、首だけを差し入れ、部屋の中を覗き込んだ女は寺崎を見
つけてにっこり笑いました。吸い込まれるような人懐こい笑顔です。肌が透き通
るように白く、それでいて頬も唇もほんのりピンク色で健康そのものです。首を
右に少し傾けて、部屋へ入ってもいいかと目で訊ねて、寺崎がどうぞと大きな声
を出すのを聞いて、扉を開けて全身を部屋に入れ、素直な様子で真っ直ぐに寺崎
の机に向かって歩き始めました。

30を少し過ぎた年齢です。160ほどの身長で、やや痩せ型でバストは目立つ
ほどの大きさでは有りません。ややミニの花柄スカートに白いシンプルな半袖ブ
ラウスです。全体にシンプルですが、よく見ると着ているものも、バッグも
シューズも渋いブランド品でその女の趣味の良さが判ります。やや厚い肉感的な
唇が特徴的で、その厚い唇がいつも心持少し開いていて、白い歯の間に赤い舌が
チロチロ動くのが見えます。
唇だけを見ていると淫蕩な女そのものですが、やや細めの理知的な輝き見せる瞳
がその唇の崩れた部分を修正して、知的で、清楚な印象を与える女性です。ただ
天性の媚態がちょっとした動きにもにじみ出て、寺崎はこれほど魅力的な女は久
しぶりだと心の中で舌を巻いています。

寺崎は自席から思わず立ち上がり、女を迎えました。女は緊張した様子を崩さな
いで、立ち上がって迎えてくれた寺崎の眼を真っ直ぐに見て、丁寧に頭を下げ、
遅くここへ来たことを詫び、ぜひ相談に乗って欲しいことがあると、低い、よく
通る声で寺崎に話しかけました。寺崎は女の体臭が入り混じったほのかな香水の
香と、男を引き付ける女の姿態を楽しみながら、来客ソファーの席を女にすすめ
ました。

寺崎探偵事務所、事件ファイル160902
依頼者、今井敦子(28歳)、遠井百貨店勤務、離婚暦有り、独身
調査依頼事項、迷惑行為の調査と排除

「半年前に前の主人と別れました。
いま結婚を前提にしてお付き合いしている男性が居ます。
勿論、離婚後お付き合いを始めた方で、金子さんといいます。
今日、ご相談したいのは、ちょっと恥かしいのですが・・・・
今の彼、金子さんの所へこのCDが送られてきたのです」
敦子は、ハンドバッグの中から一枚のCDを取り出しテーブルの上に置きました。
書き込み用のCDで、ラベルは有りません。寺崎はそれを取り上げ、敦子を見ま
した。敦子はポッと頬を染めて、下を向いて寺崎の視線を外しています。
「中を拝見してもいいですか」
寺崎は羞恥心で固くなっている敦子の全身を舐めるように眺めながらそのCDを
手に取り上げ、しげしげと見ています。そして、敦子が頷くのを確認して、寺崎
はノートパソコンをテーブルに置いて、CDを挿入しました。

敦子が全裸で、脚部を全開している写真とか、男根を局部に受け入れたアップ写
真とか、数人の男に3ヶ所攻めをされている卑猥な映像など、10数枚が納めら
れていました。女の顔は敦子で、男達の顔にはぼかしが入っています。
「ああ・・、恥かしいわ・・・、でも・・・
その写真のほとんどが私、憶えのないものなのです。
ええ・・、これとこの二枚は覚えています・・・・・、
前の主人が撮ったもので、男性は主人です・・・・
ごめんなさい、お目障りなものを見せて・・・ああ・・、恥かしいわ・・・」
その二枚は、敦子がベッドの上で後ろに手を付いて、股間を開いて、指で局部を
開いている映像と、その姿勢のまま男根を受け入れている写真です。この二枚以
外、敦子は覚えが全く無いというのです。しかし、いずれの写真も女性の顔は敦
子で中には表情豊かに笑っているものすら有ります。

恥かしい写真を見せたことで敦子は寺崎との距離が急激に縮まった思いになった
ようで、この部屋に入ってきた時とは違ってかなりリラックスした様子に変わり
ました。寺崎は目の前に居る白いブラウスを着た清楚な女性の露な姿を見せられ
て、下半身を急激に緊張させています。
二人は黙り込んだままじっとモニター画像を見ています。男と女の間に奇妙な親
近感が湧き上がり、互いの息遣いとほのかな体臭を悩ましく感じ取っています。

寺崎がお茶を入れるからと言って立ち上がりました。そうでもしないと寺崎はと
息が感じられるほど身近にいる敦子を抱き締めたくなる誘惑に勝てなかったので
す。敦子もそれを望んでいる様子で、寺崎は危ないと感じ取り、立ちあがり、そ
の場から逃げるように部屋の片隅にある給湯場に向かいました。

寺崎が立ち上がり、カーテンの奥に消えるのを見送りながら敦子はほっと大きな
ため息を付き、スカートの上からそっと股間を両手で押し付けています。恥かし
い痴態を見知らぬ男に曝し、予想もしなかったことですが敦子はひどく興奮して
います。眼を潤ませ、全身から発情したメスの香を発散させて、寺崎が両手を伸
ばし抱き締めていれば、敦子はその場で彼の腕に飛び込み、全てを喜んで投げ出
していたでしょう。

寺崎が入れてくれた熱いコーヒを喉に落すと、敦子はやっとあの興奮から解き放
たれました。

寺崎探偵事務所物語(V)、敦子の事件(3) 鶴岡次郎 投稿日:2006/05/13 (土) 15:52
寺崎が入れてくれた熱いコーヒを喉に落すと、敦子はやっとあの興奮から解き放
たれました。それでも敦子の身体は性的な刺激に敏感になっていて、舐めるよう
に腰の周りにまとわりつく寺崎の視線と男臭い彼の体臭が心地良い刺激になって
いて、敦子は股間に粘りつくような湿りを感じています。

敦子はいまさらのように辺りを見回していますが、ここは夜も更けた都会の中に
ある密室です。この環境は女が見知らぬ男と一緒に居る場所では有りません。そ
れでも不思議に寺崎への恐れは有りません、むしろ先ほど興奮して、我を忘れて
抱かれたいと思った寺崎への親しい感情は変わらず、今は情事の後、二人でコー
ヒを楽しんでいる気持ちに敦子は陥っています。今なら寺崎に何でも話せる気持
ちになっています。敦子は妖しい笑みを浮かべてゆっくりと語り始めました。

CDを受け取った金子は、複数の男とからんでいる写真の女体が明らかに敦子と
違うことに気がつき、他の写真も敦子本人とは違う合成写真だろうと判断して、
何者かの嫌がらせに違いないと思って、敦子にも話さず、このCDを握りつぶす
つもりでした。ところがよく考えてみると、もし金子が何も反応しないでこれを
無視すると、送り主はさらにエスカレートした内容で次の嫌がらせを仕掛けてく
る可能性が有り、この写真をネット上にばら撒かれたりしたら大変なことになる
と金子は考えました。ここはそれなりの犯人探しをして、この写真に金子も敦子
も当惑していることを相手に伝えた方が良いと思い直して、敦子にもこのことを
伝えたのです。
その時金子がCDを受け取ってから、一週間が経過していました。この一週間、
金子がどんな気持ちで過ごしたのか、淫らで奔放な敦子の素顔を知り悩んだに
違いない、合成写真だと分った後でも敦子のことを疑っていないだろうか、考え
ないようにしようと思っても、敦子はそのことを頭から消し去ることが出来な
かったのです。犯人を見つけ出して、全てを明らかにしない限り、金子の敦子へ
の疑いは消えないと彼女は考えました。その気持ちが彼女を寺崎の事務所に連れ
て来たのです。

「私が結婚すると知って、前の主人がこれを送り届けてきたのだと思いました。
ええ、主人はコンピュータ技術者で
合成写真を作ることなど簡単に出来ると思いました。
それで、今日、前原に会いに行き、金子さんの報告と、
このCDの嫌がらせをやめて欲しいとお願いしました」
前原にとって金子との結婚話は初耳だったようで、驚き、少し悔しそうな表情を
浮かべましたが、敦子が幸せになるのならと、喜んで祝福すると前原は言いまし
た。
そして問題のCDを敦子から受け取り、手馴れた様子でその外観をチェックして、
何やらぶつぶつといいながらパソコンに向かいました。さすがに前原はコン
ピュータ技術者で、なにやらパソコンを操作して、調べていましたが、しばらく
して、突然大声を上げました。

「この写真・・、何処で手に入れた・・・
これはお前の身体ではないよ・・、合成だよ・・・
うん・・、これと、これは・・・、覚えがあるな・・・・
それにしても・・・あの写真から敦子を突き止めるとは・・・・・誰だ・・」
前原は自分が撮影した恥かしい写真が、それも敦子の素顔を曝してそこに現れた
ことにびっくりして言葉を失っています。前原は側に敦子が居ることも忘れたよ
うにあれこれとパソコンを操作して、何事か専門用語を吐き出し、その写真の素
性を調べていました。そして、ようやく納得が行ったようで、モニターから視線
を外して、敦子に向き合い、前原が今調べたことを説明し始めました。

この写真はかなり悪質な悪戯目的で作られたもので、一度写真に落してそれをデ
ジカメで撮影して合成写真の元画像の素性を隠し去る手法をとっていると前原は
説明しました。ただ、合成手法はプロのそれでなく、一般市販のソフトを使うア
マチュアの手法だとも付け加えました。

それでは誰がこんな手の込んだ悪戯をしたのだろうと、敦子は途方にくれて、前
原の顔をじっと見つめました。勿論、前原にもその心当たりは有りません。
そして、前原は二枚の写真を示し、これは2年前、前原が撮影したもので、原版
は他の膨大な写真と一緒に埋もれていて、今すぐに出すことができないと前原は
言って、さらに、少し申し訳なさそうに、この写真は、面白半分で、ネット上で
ばら撒いたことがあると付け加えました。勿論、敦子の顔にはぼかしを入れてい
たから、それをそのまま使用して、今度のような目的に使うことは、敦子の素顔
を知らない者には出来ないことだと言いました。

二年前ネット上で公開した二枚の写真とこんな形で再会したことに前原は本当に
驚いています。ネット上に公開した時、慎重に敦子の顔をぼかして、たとえ近親
者でもそれが敦子だと絶対気が付くはずが無いと思っていたのです。前原なりに
心当たりの犯人を考えているようですが、決定的な人物を前原は特定できません
でした。

それにしても3年間夫婦生活を過ごし、敦子の身体の隅々まで知り抜いている前
原の目は確かでした。写真の女体を一目見て、それが敦子の身体と似ても似つか
ないものだと、前原は断言しました。一方、金子は寺崎でさえ明らかに別人と分
る一枚の写真からようやく敦子の恥かしい写真がすべて合成されたものと判断し
ました。このことだけ考えると金子は敦子にとってはまだまだ、他人なのです。

「前原は一目でこの写真が私でないと断定したわ・・・、
彼は少しも私を疑っていないのよ・・・・・、
金子さんは、この写真を合成だと判断するまで、二、三日悩んだそうよ・・
不思議ね気分だわ・・、
もう、すっかり心が離れてしまった男の方が私を良く知っているなんて・・、
もし、写真でなくて、他のことで私が窮地に落ちたら・・・・」
敦子はそこで言葉を呑んで、寺崎に救いを求めるような素振りで彼を見つめま
した。淫らな写真の事件で二人の男が示した反応の違いを知り、敦子は戸惑い、
かなり複雑な気持ちになっています。敦子が示す心の動きが分っていながら、
寺崎はただ黙って深刻な表情で頷いています。それは時間が解決する問題で寺
崎が介入する領域の問題でないことをこの探偵は良く知っているのです。

寺崎はその時、あることに気がついていました。前原に写真を見せた後、敦子
は前原を拒否できなかったはずだと、寺崎は思い付きました。この写真を寺崎
に見せた時、興奮して初対面の寺崎にさえ体を開きかけた敦子です、白いブラ
ウスに隠された、熟れ切った肉体が敦子の理性を吹き飛ばし、高まる前原の前
ではほとんど無抵抗に体を開いたはずだと寺崎は確信しています。敦子は当然
のことながら、この日前原に抱かれことは誰にも話さないでしょう。

寺崎探偵事務所物語(V)、敦子の事件(4) 鶴岡次郎 投稿日:2006/05/14 (日) 17:58
前原の激しい愛撫にほとんど狂気のように狂った敦子は、その嵐が過ぎ去った後
濡れた体をぬぐって、平然と前原の前から立ち去ったはずです。経験豊富な寺崎
には分るのです。一度その男と別れると決心した女性が一度や二度の情交でより
を戻すことは絶対ありえないことを寺崎は知っています。一方、男性がそうした
状態に置かれるとかなりの確率で男は女の下に戻ります。セックスに対する女と
男の考え方の違いがこんな所にも現れます。「抱いてしまえば女は自分のものに
なる」と考える男に対して、「何かの弾みで抱かれることがあっても心は許さな
い」と女は割り切ることが出来るのです。

「前原がこの写真に関与していないという言葉を私は信用します。
あの様子から見て、嘘を言っているとはとても思えないし、
考えてみれば彼がそんな姑息な嫌がらせをやる人ではなかったのです。
彼を疑ったことをよく謝って、先ほど別れてきました。
前原は警察に届ける方が良いとアドバイスをしてくれました。
いろいろ迷ったのですが、警察へは行かないで、
ここへお邪魔する決心をしました、それでこんなに遅くなってしまって・・」

警察に届け出て、身近で意外な人物が犯人として浮かび上がった時、今以上に深
刻な事態になる可能性を敦子は恐れました。これ以上嫌がらせが拡大しないなら、
今は、それほど深刻な被害を受けているわけではないので、このまま放置してお
こうと一時は思ったのですが、金子との将来を考えると根拠のない疑惑を金子に
残しておきたくないと敦子は考えて、何度も何度も躊躇した挙句、やっと通勤の
途中いつも見ていた寺崎探偵事務所を訪ねてみる気になったのです。
事務所の中に入って、寺崎に会って、一目でこの人なら恥かしい写真を見せても
良い、この人なら安心して全てを任せても良いと、敦子は感じ取りました。
敦子は男性を見る目があると日頃から密かに自負していて、この時も迷わず初対
面の寺崎の懐に飛び込みました。
この嫌がらせがこれ以上拡大しないで止まればそれはそれで十分で、出来ればこ
の犯人を突き止めて欲しいと言うのが敦子の希望です。


「この種の嫌がらせは、意外と犯人を割り出すことが難しいのです。
それでも我々が動き出すと、当然犯人はその動きを知って、嫌がらせをそこで止
める可能性が高いのです。その意味で我々の活動は決して無駄にはなりません」
こうした嫌がらせはこれで終わることがなく、これからも続くと寺崎は見ており、
それによってさらに新しい情報が入り、意外と簡単に犯人が浮かび上がり、けり
が付く可能性が高いことを寺崎は経験上よく知っています。しかし、敦子には楽
観的な見通しは言わないで、難しい調査だと言いました。

この種の調査は一度思い込むと、とんでもない落とし穴に落ち込んで、迷路に迷
い込む可能性が高いので、物事をより客観的に見るため、事件には直接関係がな
いような敦子の結婚、離婚そして再婚に至る話を出来るだけ詳しく聞かせて欲し
いと寺崎は言い、敦子はそのことが良く理解できたようで、ゆっくり頷いて理知
的な瞳を寺崎に向けて、話し始めました。

敦子の前夫、前原は、ソフト会社の経営者で、現在、4人の社員を使って、堅実
な会社経営を続けており、企業向けインデントソフトの製作を得意にしています。
敦子と結婚した時は、彼は大企業に勤めていましたが、それから間もなく、そこ
から独立して今の会社を興しました。ほとんど夜も寝ないで頑張った甲斐が
あって、たった一人で始めた会社を2年間で今の会社の規模に育て上げました。
ただ、大きくなったとは言え、会社の仕事は下請け業務がほとんどで、社長の前
原徹も従業員4人と一緒になって、ソフト制作に従事する、この業界では底辺に
属する会社の一つです。

「結婚した当初は本当に夢のように幸せな生活でした。それが、彼が会社を辞め
て今の会社を興して以来、ほとんど彼は家に帰らなくなりました。
いえ、浮気とか、別の女が出来たわけではなく、仕事に夢中になって、元の勤め
先から貰った仕事を一人でやり遂げるため、毎日徹夜で仕事をして、休む時も作
業現場で仮寝する毎日が一年以上続いて、そんな別居生活に耐えられなくなった
私が申し出て、半年前、話し合って別れました。仕事と私のどちらを取るかを私
は突きつけたのですが、彼は迷わず仕事を取りました・・・・」
敦子は淡々と話しています、

28歳で新婚生活を始めて、体がようやく男に慣れてセックスが楽しくなった時、
男が仕事に没頭して家に戻らなくなったのです、心にも体にもポッカリと大きな
孔が開いた感じであったろうと、寺崎は敦子の豊満な体を舐めるように見ながら
話を聞いています。
「仕事に熱中して、夫が家に帰らなくなった頃、
結婚を機に辞めていた百貨店勤めを再び始めました・・・・」
ネクタイ売り場が彼女の担当です。職場復帰を果たして間もなく、彼女の心と体
の隙間に入り込むように、一人の男が現れました。

高価なネクタイを買ってくれるそのお客を敦子がはっきり意識したのは、その男
が3度目に売り場に立ったときでした。その男はいつも時間をかけて敦子にネク
タイを選ばせ、敦子に冗談を言って笑わせていました。敦子も何となくその男を
気にするようになっていました。
彼が四度目に顔を見せた時、たまたま近くにいた同僚が彼の相手をしようとする
のを制して敦子がその男の前に立ちました。敦子が彼に注意を向けてくれたこと
を知り、その男はあからさまに喜びを表に出しました。
それ以来その男が来ると敦子の同僚達は揶揄の笑みをうかべて、彼女に声を掛け
るようになりました。いわば、その男はこの売り場で、敦子の公認顧客と見なさ
れたのです。

寺崎探偵事務所物語(V)、敦子の事件(5) 鶴岡次郎 投稿日:2006/05/15 (月) 11:15
「当時、前原はほとんど家に帰ることがなく、私は夕食を支度する習慣もなくな
り、前原との仲は私の中では決定的な破局に向かっていました・・・・。
でも・・・、これだけは、はっきり言っておきたいのですが、
金子さんのことがなくても、私は離婚していました。
たまたま同時進行で、金子さんと知りあっただけだったと理解して欲しいのです」
敦子は、寺崎をじっと見つめていて、彼女のその目が、不倫が先行してその後か
ら離婚が付いていったと誤解しないで欲しいと訴えています。

金子はいつものように敦子にネクタイを選ばせながら食事に誘ってきました。寂し
い夜を過ごしていた敦子がそれを断ることは出来ませんでした。その日はイタリア
料理をご馳走になり、そのまま別れました。それから、ネクタイを求めにその男が
来るたびに、敦子はいつものレストランで落ち合うようになりました。

男は金子武といい、百貨店近くで、古物商を営む40過ぎの独身男です。学生時
代ラグビーのロックをやったほどの屈強な大男です。これも父親譲りですが多少
若禿の傾向が彼の前頭部に現れています。10年ほど前は、金子は大手電気メー
カの設計部にいたのですが、先代が病気で倒れてその跡を継ぐため退職しました。
それ以来、地道に古物商の仕事を先代である父から学び、ようやく後を任せても
良いと言われたのがつい最近のことです。
気が付いてみると、設計の仕事と古物商の仕事に追われて、これと思う女性とめ
ぐり合うことが少なく、金子自身がそれほど強く結婚を望んでいなかったことも
あって、40を過ぎてしまったのです。
勿論、女性関係はそれなりに経験していて、どちらかと言うと好色な部類だと金
子は彼自身をそう分析しています。その金子がたまたま立ち寄った自宅近くの百
貨店で会った敦子に一目惚れしたのです。

ネクタイが20本ほど溜まった時、金子はある決心をしてレストランからの帰り
敦子を散歩に誘い、ビルの谷間にある路地に向かいました。敦子は勿論知りませ
んが、金子が女性をここに誘うのは初めてのことではありません。
華やかな繁華街から少し外れたオッフィス街にはいり、そこを少し歩いてビルの
谷間にある暗い路地に金子は黙って入り込みました。今まで陽気に話していた敦
子が急に黙り込み、それに代わって大きな息遣いが敦子から洩れ始めました。
昼間の灼熱のほてりがビルの壁に残っていて、ここはじっとしていてもじっとり
と汗ばむような場所です。敦子の身体から、明らかに欲情した女の香が立ち上が
り、風もない蒸し暑い大気にそれが溶け込み、男の敏感な嗅覚を刺激しています。

真っ暗な路地の中ほどで金子は立ち止まり、敦子に向き合いました。女の香りが
一段と強く匂い始めています。金子はものも言わず女の肩に手をおきました。敦
子もそれを待っていたようで、崩れるように金子の胸に身体を預けました。そし
て首を上に向けて、眼を閉じ、次の男の行動を待っています。男がそっと女の唇
に顔を寄せました。女が飛びつくように男の唇に吸い付き、互いに舌を絡めて、
二人は夢中で抱き合いました。

敦子はここ一年ほど夫に抱かれていません、新婚生活で男の味を十分知ってし
まった敦子は、男に抱き締められ、唇を吸われて、一気に高まって、恥ずかしい
ほど濡れだしています。男の舌が口内に入ってくる頃には敦子の股間からかすか
な破裂音が出るようになりました。その破裂音を金子は聞き逃しません。最初は
恥かしがっていた敦子もそこまで高まった体の変化を、もう隠そうとしなくなり
ました。
女は局部を男の脚に強く押し付け、激しく男の唇にかじり付き、男の舌に彼女の
舌を絡めて、それを貪り始めました。強い女臭が敦子の股間から沸きあがり、金
子の鼻腔を刺激して、男も一気に高まりました。

このあたりの地理に明るい金子はこの時間、この路地は全く人通りが絶えること
を知っていて、敦子をここへ誘ったのです。ビルとビルの隙間に出来た幅2メー
トル足らずの路地で、車は通れません。ビルの通用口が数箇所有り、そこに淡い
門灯がついているだけの暗い通りです。通勤時や昼間は、この路地を良く知った
人々で賑わう便利な近道ですが、夜間ここを通る人は全くいません。大都会の中
にある洞窟のような場所です。

「ああ・・、金子さん、ダメ・・そんな・・、・・・

寺崎探偵事務所物語(V)、 敦子の事件(6)  鶴岡次郎 投稿日:2006/05/16 (火) 12:03
「ああ・・、金子さん、ダメ・・そんな・・、そこはダメ・・ああ・・・
そこは、そこはダメ・・・ああ・・、酷く、汚れているわ、ああ・・・
恥かしい・・、ダメ・・・、そこはダメ・・・、ああ・・ダメ・・・ェ・・
武さん・・、こんなことして、ひどいわ・・、誰か来るわよ、きっと・・・、
ああダメ・・・動かさないで・・・アフフ・・・、
お願い、見ないで・・・、誰も来ないわよね・・・・恥かしいわ」

両脚を固く閉じて、金子の手を封じ込めながら、敦子は声を潜めて、それでも必
死で男に止めるよう頼んでいます。敦子の抵抗を押し切って、男の指が敦子の股
間を割り、亀裂に届き、その指先が濡れた陰唇に割り込みました。
敦子はその感触を感じ取って、観念した呻き声を上げています。久しぶりに異性
の指をそこに迎えて、敦子は、もう、抵抗できません。誰かに恥かしい姿を見ら
れることが唯一気がかりになっています。

「ここへは誰も来ないよ、ほら・・、裏口も締まっていて、
それに、この通りに面したビルの窓は一つもないよ、
大通りから誰かが来ると、ここからなら直ぐ判るから、心配ないよ
ねえ、安心して・・、ねえ、だから、いいだろう・・・、
ほら、敦子さんのここはこんなに濡れているよ、ねえ・・、いいだろう・・」
金子は敦子を攻める手を緩めて、敦子の耳に口を付けて、囁くように、この場所
が安全な所であると説明しています。

金子がいうとおり、誰かが来るとすれば、広い通りからですが、二人が入ってき
た入口からも、片方の出口からも、二人の居る所からかなり離れていて、明るい
通りから誰かが入って来ると、二人のいる場所からよく見えます。
そのことがようやく判ったようで、女は頑なに締め付けていた両脚の力を抜きま
した、すかさず男の膝がその間に割り込みました、これで女の抵抗はなくなりま
した。
女は股間を全て男に開放して、ぐったりしています。女は男の唇にかじりき、男
が差し込んできた舌を強く吸っています。呻き声と二人の唾液が固く重なり合っ
た二人の唇からあふれ出て、二人の顎を濡らしています。

女は、もう、全身を男に預けて、何をされても逆らいません、男が女のスカート
を捲り上げ、ショーツを脇に押し広げて亀裂をむき出しにしたのも嫌がらず、む
しろ積極的に両脚を広げて、男の指をそこに迎え易くしています。
男の指が二本、すっかり濡れた陰毛を掻き分けて亀裂の中に挿入されて、激しく
動き始めました。また、大量の愛液が破裂音を出して湧き出しています。

「ああ・・・、そんな・・、金子さん・・・、敦子ダメになるわ・・
ああ・・、もう・・、ダメ・・、酷い、ひどいわ、私をこんなにして・・」
敦子はほとんど半裸に引き剥かれて、乳房と亀裂を金子の思うままに弄くられて
います。もう、他人の目を気にする余裕が敦子には有りません。
金子が女の臀部に手を回し、ショーツに手を掛けて下ろそうとしています。敦子
はそれに逆らわず、臀部を動かして協力しています。すっかり濡れたショーツを
はぎ取り、男はポケットにそれを仕舞い込みました。

男がズボンとショーツを一気に脱ぎ取りました。股間のものがバネ仕掛けのよう
に跳ねて踊っています。大通りの街灯の光も、ビルの裏口を照らす門灯の光もこ
こまでは届いてきません。暗闇になれた二人の目だけが互いの性器を確認できて
います。

金子は敦子のプリーツスカートの裾を、巻くりあげ、腰のところでたくみに止め
ました。白いブラウスの裾をはねあげ、手を入れて、ブラを上に突き上げ、小ぶ
りの乳房を揉み解し始めました。敦子はもう人の目も、ここが路上であることも
忘れたように喘ぎ、悶え始めました。路面に敦子の愛液が音を立てて滴り落ちて
います。

金子が女の腰を強く抱きしめると股間のものが敦子の腹部に触れました。その瞬
間、敦子ははっきり男根を肌で感じ取りました。そこにタバコの火を押し付けら
れたように敦子は悲鳴を上げて、身体をくねらせています。
「この人は、ここで、ここで挿入するつもりだわ・・・、
ああ・・恥かしい・・・
でも、でも、ほしい・・、固いわ・・、熱いわ・・・
ああ・・どうしょう、
ああ・・、どうなってもいいわ・・・、誰かに見られても構わないわ・・・・
入れてほしい、入れて欲しい・・・・、ギュッと奥まで突いて欲しい・・・」

男の意図をはっきり理解して、驚き、戸惑い、そして大きな期待で敦子は一瞬、
気を失うほどの衝撃を受けました。しかし、拒否はしません、両脚をさらに大き
く開いて、濡れそぼった亀裂をいっぱいに露出して、その部分を男根に近づけて、
モノほしげに腰を妖しく動かしています。

男は女のその妖しい動きを見て、女の意志をはっきり見届けました。
「どうだ、この女は・・、俺のモノを夢中で欲しがっている、・・・

寺崎探偵事務所物語(V)、 敦子の事件(7) 鶴岡次郎 投稿日:2006/05/17 (水) 16:10
「どうだ、この女は・・、俺のモノを夢中で欲しがっている、
俺を信じて、何もかも忘れて悶えている
あの淑やかな昼間の様子からはとても想像できない乱れようだ
そうだ、俺は、俺は、この女をずっと捜していたのだ
可愛い・・・、綺麗だ・・、天使だ・・、女神だ・・・
濡れた所が光って、何もかも素晴らしい
敦子・・、結婚しよう・・・・、約束するよ、必ず幸せにするよ・・・」
敦子が恥じらいながら、それでも高まる欲望に耐えかねて、ためらいながらも男
根を求めるサマを見ながら、金子は敦子との結婚をはっきり心に決めました。

これまで沢山の女を経験している金子にして、これほど素晴らしい反応を見せた
女に出会ったことは有りません。これほど従順に金子の欲望に応えた女を彼は知
りません。これほどまでに女性から信頼され、すべてを差し出された記憶が金子
には有りません。敦子の乱れた姿に金子に対する彼女の深い愛を感じ取りました。
日頃から淫乱なわけでもなく、際どいセックス・プレーに慣れ親しんで居るわけ
でもないのに、金子を信じて、金子を愛しているからこそこれほどまでに乱れる
ことが出来るのだと敦子の気持ちを金子は受け止めました。

「ああ・・・ん、そんな・・、ここで・・、ここでするの・・、
ああ・・・、恥かしいわ・・・、誰も来ないわね、あなた、そう言ったわね
いいわよ、かまわないわ・・・、貴方がそうしたいなら、自由にして・・・」
恥かしがって、固く脚を締めて、金子の指を拒否していた敦子が、安全だという
金子の言葉をただ信じて、ほとんど全裸に剥かれて、股間を大きく開いて、いき
り立った男根を路上で迎えようとしています。
金子を信じて、恐れも、恥かしさも、全てを放り出して、心も体も十分開いて、
全身で彼の欲望に応えようとしている敦子、金子は泣き出したいほどの感動で敦
子の気持ちを受け止めています。

その感動が全身を駆け巡り、肉棒の血管一本一本にまで、彼の高まりを伝えてい
ます。敦子の腹部を圧迫している肉棒が一段と硬度と大きさを増しました。敦子
は肉棒の変化を感じ取り、呻いて、肉棒に恐る恐る手を伸ばしています。興奮で
泣きべそをかいた童女のような表情になっている女を、ひっしと抱きしめ、どん
なことをしてもこの女を自分のものにすると、男は決意を固めました。

「うれしい・・、早く・・・、もう・・・、私はいつでもいいわよ・・・
もう、誰に見られても良い、どうなってもいいわ、早く・・・・
ああ・・、我慢できない、大きいわ・・、熱いわ・・・、ああ・・・ん
ああ・・、欲しい、欲しい、これを、これを、いれて・・・、ああ・・」
女が白い指を恐る恐る男の肉棒に絡めています。そして、それを握り締めると、
後は一気に肉棒を亀裂に引っ張り込む動きを示しています。金子の指は敦子の
亀裂に二本も入り込んで、クリからホールまで満遍なく刺激して、もう敦子は、
脚をあげて、金子の毛臑に白い脚を絡めています。

たくましい肉棒が敦子の股間を狙って、その位置を下に移し始めました。敦子
は右足をいっぱいに上げて、両手を金子の首に掛けて体を持ち上げようとして
います。金子が敦子の右脚を抱えて、女を持ち上げました。女は両手に力を入
れて男の首にかじり付き、全身を持ち上げ、両脚を男の腰に絡めました。
男が一気に腰を下から突き上げました。ズルズル音がして、男根が敦子の亀裂
に破裂音を残して、吸い込まれてゆきます。敦子が消え入りそうな悲鳴を上げ
て、首をそらしています。

十分に男根が根元まで入り込んだことを確かめて、金子は、敦子を抱え上げて、
ゆっくりと歩いて、ビルの壁に敦子の背中を押し付けました。そして、激しく
腰を打ちつけ始めました。狭い路地に敦子の悲鳴と激しくぶつかり合う肉の音
が響きます。敦子が呻いて、悶絶して、女の性器が強く男根を締め付けました。
男は必死で放出を耐えています。

ぐったりした女を抱き上げ、男はゆっくりとビルの壁から離れました。女は両
手両脚を男に絡めて、濡れた亀裂に男根を咥えて、悶絶しています。二つの性
器が合体した隙間から、愛液と精液がポタリポタリと路面に落ちています。

ようやく蘇った敦子の両手を路地に着かせて、女の臀部を男は持ち上げていま
す。女はその姿勢で両脚をいっぱいに開いて頭を路面につけました。亀裂が
ポッカリと口を開けて、そこから夥しい愛液が迸り出て、路面に音を立てて落
ちています。
男が女の亀裂を舌で軽く舐めています。女は恥かしい姿勢をとらされ、その上、
おびただしく汚れている局部に男の舌を感じて、身体を仰け反らせて呻いてい
ます。それでも両脚はしっかり開いて、男の舌をその部分でしっかり受け止め
ています。

「アア・・ムム・・、ハフ・・・フ、そんな・・・、恥かしい・・、ああ・・
ああ・・、武さん、ダメ・・、そんな・・、汚いわ・・・・、
ああ・・・汚いわ、止めて・・ああ・・ん、もっと、もっと・・・強く・・」
女は腰を振り、臀部を突き上げて、脚をいっぱい開いて、口先での拒否とは反
対に亀裂を男の顔に押し付け、男の舌をその部分で捕らえて離しません。

「敦子、どうだ・・、むむ・・、美味しいオマ○コだよ・・・・・

寺崎探偵事務所物語(V)、 敦子の事件(8) 鶴岡次郎 投稿日:2006/05/18 (木) 12:37
「敦子、どうだ・・ここは、むむ・・、
美味しいオマ○コだよ・・、良い匂いだ・・・・ズズ・・・」
男がなにげなく囁いた女陰の隠語を聞いて、それがトリガーになったようで、敦
子は舞い上がり、高まり、身体をのけぞらせて、いっぱいに露出した股間をさら
に開いて、腰をうねらせて、そこを男の顔に擦り付けています。女はもう、男根
をそこに迎えること以外何も考えなくなりました。

「ああ・・、そんな・・、ダメ・・、そんなこと言っちゃ、ダメ・・、
そんな・・・、ああ・・、私、ダメになる・・・、落ちるわ、落ちるわ・・・・・、
チ○ポ、チ○ポ、イ・レ・テ・・・、ハヤク・・、ハヤク・・・チ○ポ、アア・・」
既に女の羞恥心は消し飛んで、ただそこに男根を迎えることだけが女の希望です。
男が肉棒を手にして、女の亀裂にゆっくりと挿入を開始しました。女は路面に直
接頭を着けて、大声を出し、男の攻撃を受け止めています。

暗闇に女の嬌声と男の低い唸り声が響き、二人の性器が奏でる水音がビルの壁にこ
だまし、あたりは騒然となっています。その姿勢で、敦子は4度ほど逝き、安全だ
から中に出して欲しいと叫んで、金子は耐えていたものを一気に放出しました。
敦子は長い悲鳴を上げて逝き、路上に長々と体を投げ出しました。白いブラウスが
まくれ上がり、灰色のプリーツスカートは腹の辺りでひも状になっています。そし
てうつ伏せのままそこに、肩を震わせて身を投げ出し、股間から濃い精液を流して
います。金子は敦子から少し離れて、ビルの壁に寄りかかり、座り込んで肩で息を
しています。股間の勢いを失ったものから、精液の名残が糸を引いて、路面に流れ
出しています。

やがて、二人はゆっくり起き上がり、路面に座り込み、激しく唇を吸いあい、互い
の衣服を剥ぎ取っています。全裸になった二人は路上をもつれるように転がり、股
間を絡ませ始めました。ごろごろと路面を転がりながら、二人の性器が互いを求め
合い、嵌りあい、抜け出し、それを繰り返しながら、二人は大声を上げて路面を転
がっています。二人の身体から大量の性液が路面に流れ出し、大きな染みを作り出
しています。

男が敦子の両脚を肩に担いで、彼女の体をえびのように曲げて、腰を激しく使って
います。そして二人は、互いに逝くことを声高に告げあって、タイミングを合わせ
て痙攣して逝きました。二人は一瞬気が遠くなるような、頭を突き抜ける快感を全
身で受け止めています。

暗闇の路地で衣類を身に着けて、明るい通りに出て、いまさらながら、二人は自分
たちの乱れた様子に驚いています。特に敦子の様子はすごいものです。両膝が少し
すりむけて、血が滲んでいます。ブラウスは泥と皺と、そして愛液の汚れで昼間で
あればとても表を歩ける状態では有りません。灰色のプリーツスカートはほとんど
プリーツが消えて、泥と精液でこれもひどい状態です。二人は気がつきませんが、
二人の体からは、噎せ返るような愛液と、精液の匂いが辺りに発散されています。

「家に寄って、シャワーを使った方が良いね、これではタクシーにも乗れないよ
親父一人いるだけだから、遠慮はいらないよ」
そこから歩いて、5分の所に、金子の自宅兼店舗が有ります。二人はおぼつかな
い足取りで金子家を目指して歩き始めました。時折出会う人達は、ほとんど彼ら
に関心を寄せません。おそらく裸で歩いていても、チラッと眼を走らせるだけで
しょう。都会の表通りとはそうした所なのです。

「武さん、やっぱり止めよう・・・、今晩、お宅へは行きたくないわ
こんな格好で、お父さんに会えないわ・・・ねえ、お願い・・」
敦子は金子の家が見える所までやってきて、そこで立ち止まり、それ以上進むこ
とを拒んでいます。その時、背の高いがっしりした男が店から出て来て、路上に
置いた照明看板を取り込み始めました。そして、なにげなく金子達の方を見て、
作業の手を止めて、透かすように二人を覗き見しています。
大柄で特徴ある体型の金子を直ぐそれだと認めて、その男は右手を上げて、合図
してきました。敦子はその男に向かって丁寧に頭を下げました。もう、逃げられ
ないと敦子は覚悟しています。

武の父、和夫はもう70を過ぎているはずですが、180を超える長身でがっし
りした体躯です。武に良く似たその顔は色艶が良く、それがスキンヘッドにマッ
チしていて、動作も言葉使いも若々しく、老人とは思えない精悍な雰囲気が漂っ
ています。情事の後で、性的な刺激に敏感になっている敦子は見事に光る和夫の
スキンヘッドを見て、男性器を連想して下腹部にズキンと来る衝撃を味わいまし
た。
「お父様だ・・・、素敵な方・・、あら・・、じッと私を見ているわ・・
お父様、私の乱れた服装が気になるようね、嫌だわ・・・お尻を見ている
ショーツを穿いてないことに気がついているようだわ・・
どうやら私、気に入られたみたい・・・、フフ・・・・・」

敦子は和夫の舐めるような視線を全身に感じ、和夫が敦子にかなり興味を持って
いることを感じて、余裕が出来てきました。先ほどまでここへ来たことを後悔し
ていた気持ちは吹っ飛びました。

寺崎探偵事務所物語(V)、 敦子の事件(9) 鶴岡次郎 投稿日:2006/05/20 (土) 10:56
「いらっしゃい・・・、おや、おや、ひどい目にあいましたね・・・、
痴漢でも出ましたか・・、はて、さて・・、
しかし綺麗な方だ・・・、乱れているところがなんとも・・・これは失礼・・・
武が一緒に居たのでしょう・・・、最近の若い者は気が利かないからね
僕が若い頃など、その後では何一つ証拠を残さなかったものだが、ハハ・・・・」

乱れた姿を恥じる敦子に和夫は冗談を言いながら満面に笑顔を浮かべて、優しく
敦子を招じ入れてくれました。二人の様子から何があったか当然判っていて、それ
を冗談でほぐしてくれるのです。
敦子は赤くなって身をすくめていますが、和夫のほのぼのとした優しさをその人か
ら感じて、最初の困惑と緊張を次第に忘れて、乱れた姿を曝すこともそれほど苦痛
ではなくなっていました。それというのも、敦子と和夫の間に男と女の無言の会話
が既に始まっていたのです。

武の背中に身を隠している敦子を見て、和夫は股間を直撃する強い衝撃を受けまし
た。皺くちゃちゃになったスカート、染みと泥で汚れた白いブラウス、前髪が乱れ
て、汗ばんだ額に張り付き、唇はルージュが飛んでいるにもかかわらず、濡れて赤
く光っています。男にそこを強く吸われた傷痕がまざまざと残っているのです。何
よりも良く光る目が濡れて、キラキラ輝き、女が情事の後に見せるけだるい妖しい
光を放っています。女の身体から、少し離れていてもそれと分る、饐えたような愛
液の香が和夫の嗅覚を刺激します。和夫はこれほど妖艶な女を見たのは実に久しぶ
りです。急激に下腹部が緊張してきて、常にないことで、彼自身がその急激な勃起
現象に慌てています。

「女を見るだけで、こんなになって・・・、何年ぶりだろう・・、
良い女だ・・、独身であるはずだが・・・、人妻に勝る色気がある
野外で絡み合ったようだが・・、汚れて尚、妖しい魅力が際立っているね・・
化粧も吹き飛んで、ブラウスも、スカートもすっかり汚れているが
この女の妖しさ、美しさは、只者じゃないね・・・・」
一目敦子を見た時から、和夫はすっかりその虜になって、その妖しさ、美しさに
感動しています。その感動が態度に表れて、和夫が並々ならぬ興味と好意を敦子
に寄せていることを敦子は敏感に感じ取っています。

家の中に入り、ふと、気がつくと和夫が舐めるように、それでも優しく、敦子の
乱れた姿に熱い視線を投げかけてくるのを敦子は心地よく感じています。ショー
ツをつけていないことさえ彼に見破られているような気がして、恥かしさより、
ときめきが敦子を支配し始めています。この男女の無言の会話を通じて、敦子は
和夫と十分語り合い、敦子の魅力を彼に伝えることが出来ました。敦子は和夫の
好意をゲットできたことで、はじめの緊張から完全に解き放たれました。

「ああ、忘れていた・・・、武・・、携帯が通じなかったようだね・・・
世田谷の斉藤さんが遅くなっても良いから今日中に顔を出してくれと、
先ほど電話があったよ・・・、
こんな事情があるとは知らないから、行きますといったが・・、どうする」
断っても良いと言う和夫を制して、敦子は金子に仕事を優先するようにと言いま
した。敦子の説得を聞き入れて、武はさっとシャワーを浴びて、和夫に敦子を託
して、あたふたと出かけてゆきました。男は仕事が好きなのだと、敦子は彼の背
中を見送りながら、しみじみと感じています。そして、ふと、一人、計算機と格
闘しているはずの夫を頭の中に思い描き、慌ててそれを打ち消しました。

乱れた姿のまま、敦子は初対面の和夫と二人きりになりました。和夫の態度が優
しく紳士的なせいもあり、敦子はこの状態を恐れている様子でもなく、むしろ和
夫と二人きりになったことを楽しんでいます。
この人なら、恥かしい姿を見られても構わない、思い切り甘えられる人だと、敦
子は和夫にかなり大胆な気持ちを持つようになっています。自分に好意を寄せる
男を素早く見抜き、その男に大胆に甘えることが出来るのは、天性に備わった敦
子の才能です。

「ああ、お嬢さん・・、良くご存知だと思うけれど
男が出した液は水で洗ってくださいね、
そうしないといつまでも匂いが残りますよ、
なんなら、洗うのを手伝っても結構だが、ハハ・・・、冗談、じょうだん・・」
勧められるままに、敦子が風呂場に入ると、ガラス戸越しに和夫が声を掛けてき
ました。彼は脱衣場に居るようです。敦子は一瞬緊張しましたが、直ぐ、弾んだ
声で明るく、返事しました。
「ハーイ、ご親切に、有難うございます。・・・・・

寺崎探偵事務所物語(V)、 敦子の事件(10) 鶴岡次郎 投稿日:2006/05/21 (日) 21:09
「ハーイ、ご親切に、有難うございます。
丁寧に隅々まで、洗いますから安心してください、
何とか一人で洗えます、困ったら声を掛けますから、フフ・・・・・・」
それでも、和夫が何やら脱衣場で動いています。もう用事がないはずですが、し
きりに何やらごそごそしているのです。敦子は不審に思っていますが、恐れてい
ません。むしろ、笑みを浮かべて、彼が何をしているのか興味津々なのです。

「お父さん、何をしているのかしら・・、覗き・、それとも・・
・・・ここへ入ってきて、抱きつかれたら・・・、武さんは居ないし・・・
どうしょうもないわ・・、その時は・・・・、ああ・・その時は・・」
スキンヘッドが股間を押し広げて、狭間を彼の舌で思う様舐められるサマを敦子
は想像して、思わずそこに手を伸ばしました。そこは、武の肉棒が残した余韻を
まだ止めていて、わずかに膣孔が開いています。敦子はそこへ指を入れ、そっと
擦りました、意志があるようにその部分が蠢いています。

「ああ・・ん、ダメよ・・、もう、おしまい・・、十分いただいたでしょう・・」
敦子は怪しい笑みを浮かべて、その部分から指を邪険に引き抜いて、陰毛に飾ら
れた亀裂をぽんぽんと叩きました。
覗かれても構わない、和夫が望むなら裸を見せるくらいなら構わない、それ以上の
ことが起きても逆らえない、敦子はそんな気持ちになって、心の隅で、和夫が浴室
に入り込んでくるのを密かに期待していたのです。
先ほど垣間見た和夫の股間はズボンの上からでもはっきり分るほど緊張していまし
た。敦子はそれを見て、和夫を立たせたと、あまり上品でない優越感を持つことが
出来て、内心でほくそえんで居たのです。しかし、和夫は一、二度脱衣場に姿を見
せたきりで、それきり何の動きもしません。熱い期待が外れて敦子は多少がっかり
しています。

敦子が風呂から上がると、脱衣場に下着から白いワンピース、灰色のスカートまで
新品が一式揃っていました。敦子が愛用しているいつものブランド品です。敦子は
とんでもない誤解をしていた自分を恥じています。風呂に入っている敦子の衣類を
調べて、それと同じものを和夫は取り寄せてくれたのです。
「・・・・締まっている隣の店を無理に開いてもらって、そこから取り寄せたよ。
ブラウスとスカートのサイズは、そこに脱いであったものから読み取ったがね。何
故か、いくら探してもショーツがなくて・・・・、
仕方ないので、ブラにあわせて適当なものを買ってきたのだが・・、サイズが・・
それにしても、ショーツは何処に消えたのかね・・・フフ・・・・」

和夫が風呂場のガラス戸越しに声をかけてきました。その声を聞いて、敦子はため
らわず境のガラス戸を開けました。すこし驚いた様子で、それでも笑顔を浮かべて
和夫が敦子を見つめています。敦子は手にしたタオルで前を少し隠して、男の眼を
真っ直ぐに見つめました。
「すみませんお父様・・・、いろいろお気遣いいただいて・・、
この服ありがたくちょうだいします、助かりますわ・・・・、
それと・・・、ショーツは武さんのポケットにあるはずですけど、フフ・・・・」
胸に軽く添えた普通サイズのタオルは、胸も股間も十分隠すことは出来ません。乳
首も陰毛も、和夫から良く見えます。

突然裸体を目の前にしても慌てるわけでもなく、恥じる様子でもなく、和夫が楽し
そうに敦子の姿態を見つめています。そんな和夫の自然な様子に感化されて、丸裸
であることを忘れたように、敦子は笑みを浮かべて、お世話になったお礼を普通の
調子で言っています。
湯上りの敦子の香に包まれて、和夫は久しぶりに見る若い女の裸体をゆっくり楽し
んでいます、視線を敦子の顔から胸、そして股間、脚へと移し、今度は逆に下から
上へと視線を移動させています。和夫の視線が胸の位置で止まり、そこから動かな
くなりました。和夫の表情から笑みが消え、何やら深い感動を受けた表情に変わっ
ています。心当たりの物をそこに発見した様子で、驚きと感動を和夫は隠すことが
出来ません。

敦子はその様子を見て、和夫が乳房に異常な関心を持っていることを知りました。
悪い気分ではありません。悪戯っぽい眼をして、自分の胸を被っているタオルを少
し下にずらせました。乳房が露になりました。和夫は眼を見開き、瞬きさえも忘れ
て、敦子の胸を凝視しています。

その時、タオルが敦子の手から外れて床に落ちました。敦子の全裸が和夫に曝され
ています。

寺崎探偵事務所物語(V)、 敦子の事件(11) 鶴岡次郎 投稿日:2006/05/22 (月) 15:19
その時、敦子の手からタオルが外れて床に落ちました。敦子の全裸が和夫に曝さ
れています。敦子は慌てることなく、少し脚を開き気味にして、股間が男から良
く見えるようにして、複雑な笑みを浮かべて和夫を見つめています。和夫の視線
がようやく胸から離れて、股間に向けられました。敦子は腰を折り、身体を少し
ひねり、屈みこんで床からタオルを拾い上げようとしています。しかし、突然そ
こで手を止めて、少し脚を開きました。こんもりとした陰毛の陰で亀裂が割れて、
サーモン・ピンクの中身が顔を出しているのさえ和夫からよく見えます。

敦子はじっと体を止めて、和夫が十分にその景色を楽しむ時間を与えています。
不自然といえば不自然ですが、今の二人にはそうすることが当然のように思え
て、和夫は少し腰を落として、ゆっくりと敦子の股間を見ています。敦子は息
を弾ませながら、じっとその姿勢を保っています。熱い男の視線を感じて、そ
の部分がジンワリとまた濡れてきました。
こんなに親切にしてもらったお礼の意味も有ります。それに、和夫に見られて、
その視線が身体を突き刺し、恥かしさより、心地よさが身体を貫くのが敦子に
はたまらないのです。いつまでも見られていたい気分に敦子は陥っています。
敦子は徐々に高まり、このままでは済まされない気持ちになって、少し脚を拡
げて、股間をさらに大きく和夫に曝しました。そこがじっとりと濡れて、甘い
露が陰毛を濡らし始めているのが和夫からはっきり見えるはずです。

「ああ・・、ありがとう、きれいだよ・・・、とっても・・・もう、十分だよ
さあ、風邪を引くといけないから、早く服を着て・・・、
それに、もうだいぶ遅いから、今晩は急いで帰ったほうがいいよ
ああ・・、それから元の衣類はひどく汚れていたから、残してゆきなさい
クリーニングに出しておくよ・・・、
ショーツは・・、ああ、あれは武へのプレゼントだったね、ふふ・・・・」

和夫がにっこり笑って、裸体を見せてくれた敦子の好意にさりげなくお礼を言い
ました。男は女が濡れ始めたのを知って、それ以上の展開を男の手で閉じたので
す。
敦子は高まって、次の男の行為を待っていた自分を恥じながら、ゆっくり身体を
起こし、バスタオルで身体を被いました。それでも敦子は和夫の思いやりを十分
感じ取っていて、今まで経験したことがない男の大きな愛情を感じて、幸せな気
分になっています。

これと同じ思いをしたことを敦子は突然思い出しています。幼い頃、父親の前で
衣服を身に着けた頃を思い出しました。あの時、父親は笑みを浮かべて、敦子の
幼い手が頼りなげに動くのを愛情込めた目で見ていました。敦子は父の前で衣服
を着けて、父が優しくそれを褒めて、そして敦子を抱きしめてくれるのを毎日楽
しみにしていました。その父は敦子が高校生の時、唐突に、癌で逝きました。

突然、敦子がタオルを顔に押し付けて、泣き出しました。和夫が驚いて、それで
も敦子の裸体に触れて良いものかどうか迷っているようで、一度彼女の肩に伸ば
した手を引っ込めて、また伸ばしています。
敦子は振向き、そのまま和夫の胸に顔を埋めて、肩を震わせて泣いています。和
夫は片手を彼女の肩に載せて、ただ黙って立ち尽くしています。

「・・・お父さん・・・」
大きな和夫の胸に顔を埋めて、和夫の体臭に包まれていると、亡き父に抱かれて
いるような錯覚に陥って、敦子は肩を震わせて声を出して、泣き出しました。
敦子が庭で転んで怪我をした時も、受験に失敗した時も、何も言わずに父親は敦
子を抱き締め、彼女が泣きたいだけ、黙って、その胸で彼女の涙を受け止めてく
れました。和夫は激しく泣きはじめた敦子の背中を優しく、撫ぜています。和夫
のTシャツを濡らし、敦子の涙が和夫の肌に直に流れています。 

「もう、いいだろう・・、さあ・・、服を着ようね・・、良い子だから・・」
暫く敦子の思うままに泣かせて、敦子が泣いている理由を聞こうともしないで、
和夫はゆっくりと敦子の肩を持って、自分の胸から彼女を離しました。
涙で頬を濡らし、和夫を見上げて、敦子はコックリ頷いて、和夫に見守られなが
ら、ショーツを穿き、ブラを着け、身支度を終えました。
和夫が取り寄せてくれた衣類はぴったり敦子にフィットしていて、デザインも、
色も元のものとほとんど同じです。誰が見ても、朝、敦子が出かけた時の姿のま
まだと思うほどです。

「有難うございました。これで帰ります・・、
武さんを待たないで、帰りますが、よろしくお伝えください・・」
身支度を終えた敦子はもう、いつもの出来る女に戻っています。敦子は笑顔を残
して、金子家を後にしました。涙の理由を敦子は語りませんし、和夫もそれを忘
れたかのように、笑顔で敦子の車を見送りました。
和夫は、敦子の残した衣類と、タオルをそっと顔に当てて、うん、うんと何度も
頷いています。久しぶりの女性を迎えて、金子家に明るさが戻ってきたようです。

「それ一度きりで、私達は食事の関係だけを続けて、晴れて一緒になれる日を待
つことにしました。
エエ・・・、それは辛い思いをしましたが、一生懸命働いている夫は、ある意味
で何も悪く無いと思っていましたから、それを裏切ることは、それ以上できな
かったのです」
離婚成立前に金子と体の関係を持ったのは、ただの一度だと敦子は寺崎に話しま
した。

寺崎探偵事務所物語(V)、 敦子の事件(12) 鶴岡次郎 投稿日:2006/05/23 (火) 16:23
離婚成立前に金子と体の関係を持ったのは、ただの一度だと敦子は寺崎に話しま
した。それは裏返すと、その頃前原と別れる決意が、敦子の中で十分に固まって
いて、体がどんなに火照っても、出来心の浮気はしないと、敦子は決意していた
と寺崎は理解しました。

食事をして、例の路地で激しく口付けして、互いの性器を触り、二人は互いの性
器を舌で舐めまわしました。しかし、あの日以来、敦子の希望で挿入はしないこ
とを決めています。
路上を69の姿勢で転げ周り、逝くところまで、舐め回すわけですから、ある意
味で挿入以上の激しい行為と思うのですが、敦子は挿入を拒否しました。それが
夫への思いやりと思っているようです。そして、敦子は泥だらけになった体で金
子家にやってきます。
敦子がこの家に来た最初の夜がそうであったように、金子の商売は、訪問販売が
基本で、お客の時間が取れる夜間が武の活躍する時間です。外で食事を済ませて、
あの路地や、街のホテルでふざけ合って、金子は家に帰ってくると、敦子を残し
て、外出するのが普通になりました。

金子家では和夫が敦子の来るのを待っていて、敦子の体に合った下着や、衣服を
買い調えて、まるで娘を迎えるように歓迎してくれました。敦子もそれに甘えて、
風呂場で和夫に背中を流してもらったり、裸体を自由に見せたりしました。常識
的には行き過ぎた行為ですが、最初の出会いから、敦子は和夫に心を許していま
した。そうすることが自然に思えたし、何よりも敦子は一人の男として和男が大
好きで、裸体を見せ、背中を流してもらいながら、彼に体のあちこちを触られる
のが好きなのです。

「お父さん・・、ダメ・・、背中だけといったでしょう
ああ・・ん、ダメ・・・、そんなことされたら・・ああ・・・・」
和夫の手が後から伸びて、乳房を揉み上げるようになると敦子は体を後に仰け反
らせています。そしてついに耐えられなくなって、両脚を開き和夫に知られない
ように自分の指を亀裂に入れて、そこをゆっくり擦り始めます。
和夫はシャツが濡れるのを楽しみながら、敦子の背中に体を摺り寄せて、乳房を
揉み上げ、敦子の首筋に唇を沿わせて、優しくそこを舐め回します。

敦子は股間を被っているタオルをはね飛ばして、両脚を大きく拡げて、悶えて嬌
声を出し、亀裂に入れている指を激しく動かします。もう、和夫にそこを見られ
ることを気にしていません、むしろ、そこを和夫に見せるように敦子は指を激し
く指を動かすのです。

「ああ・・・、お父様・・、舐めてはダメ・・そんな・・、
敦子、ダメになるわ・・・、ムム・・・もっと・・・・
私達ね・・、話し合って、当分は我慢することにしています・・・
私が夫と別れるまでは・・・、触るだけで、我慢しているのよ・・・・
ああ・・・、でも、辛いの・・・、武さんだって我慢しているから・・私だって・・」
敦子は、乳房を揉んでいる和夫の手を取って、股間に持って行き、彼の手をそこ
に押し付けています。和夫の指がゆっくり亀裂に沈み込みました。

「ああ・・・、お父様、そこ、そこよ・・、
もっと・・・ああ・・・・、いい・・・、もっと、もっとよ・・アムム・・・」
武よりも数段上手い和夫の指の動きに敦子は一気に昇天します。こうして敦子は
武と和夫、二人の男の指を楽しむようになりました。

「お父さん・・・、こんな恥かしい下着・・・、
あら・・全部見えるわ・・ほら・・・、お父さん見て・・・・」
敦子の着替えを買い整えるのを楽しみにしている和夫は、いろいろな下着を買い
求めました。今日、和夫が敦子に与えたのは、わずかな布が申し訳程度に張り付
いているビキニ型の下着で、亀裂に吸い込まれた股間の布は、ほとんど紐状に
なっていて、陰毛は勿論、ビラビラもあふれ出ています。敦子はそれを身に着け
て、嬉しそうに、脱衣場の入り口に立っている和夫に見せ付けています。今日も
武は出かけて、この家には居ません。

「ほら・・・、何も着けていないより、いやらしいでしょう・・・
お父さん、これ何処から買ってきたの・・、嫌ね・・、恥かしかったでしょう」
敦子は脚を開いて、片足を椅子に載せて、その部分が良く見えるように和夫に股
間を開いています。和夫が膝を折り、ほとんどその部分に顔をつけるほど近づけ
て、敦子の股間を下から覗き込んでいます。

「ああ・・ん、お父さんの息が掛かるわ・・、
アッツ・・出るわ、出るわ・・・ああ・・・・
ああ・・ん、堪らない・・・、お願い・・、舐めて・・・」
敦子はその部分に和夫の息吹を感じて、その部分からラッパ音を出しながら、大
量の愛液を噴出していて、それが音を立てて床に滴り落ちています。和夫はその
滴りを口で受け止め、ゆっくり亀裂に唇を寄せています。

[115] 寺崎探偵事務所物語(V)、 敦子の事件(13) 鶴岡次郎 投稿日:2006/05/24 (水) 10:12
敦子が手を伸ばし、強い力で和夫の頭をそこへ押し付けました。和夫は舌を延ば
し、その部分に舌を挿入しています。布きれのショーツは既に女の手で紐が解か
れて、女の足元にボロ布のように落ちています。
女は洗面場の床に座り込んで、脚をいっぱい開いて、男の頭をそこに迎えていま
す。白い足が真っ直ぐに伸びて、その股間にスキンヘッドが挟みこまれていて、
灯りを反射させながら、ゆっくり動いています。
ピチャピチャと淫靡な音と、女の呻き声が洗面場に木霊し、ついに女は後にばっ
たり倒れて、肩を激しく揺り動かし、男の頭を両脚で強く締めて、大量の愛液を
男の顔にぶっ掛けました。顔から、スキンヘッドまで、敦子の愛液で濡れて光っ
ています。

そうした行為を、武は薄々感づいているようですが、不満に思う様子は無く、
むしろ喜んでいる様子です。母を小学生の頃なくして、父と二人きりで過ごして
きた武には、父への思いがことのほか強くて、敦子が和夫と仲良くして、彼女が
裸体を見せ、亀裂を和夫の指に解放しているのさえ黙認しているのです。
武は自分の感情をはっきりそうだと悟っていませんが、ある意味で敦子を父と共
有してもいいとさえ思っているようなところがあります。

最初こそ、武のことを考えて敦子は和夫との戯れを抑えていましたが、武が顧客
訪問を口実に頻繁に出かける理由が、どうやら敦子と和夫を二人きりにするため
だと気がついてからは、思うまま和夫に甘えることにしました。武を相手にする
のと違って、和夫には思うまま甘えられるのです、どんな恥かしい行為でも和夫
となら抵抗なく出来るのです。それに、ただ激しいだけの武と違い和夫は女体を
知り尽くしていて、ジンワリと攻めて、敦子が焦れて、焦れて、絶叫するまで核
心を突いてこないのです。敦子はもう味の違う二人の男に夢中になっています。

洗面場からキッチン、そして居間へと、風呂上りで裸体の敦子を背に乗せて、和
夫が四つん這いで、歩いています。敦子の股間から、大量の愛液が流れ出て、和
夫のTシャツを濡らしています。
「キャー、お父様・・、そんなに揺らさないで・・落っこちるわよ
ああ・・、感じる・・、お父様・・、敦子のあそこがお父様の背中で擦られて・・
ああ・・、堪らない・・・、ああ・・流れるわ・・・ああ・・」
興奮して、敦子が居間の絨毯の上に転がり落ちて、両脚をいっぱい開いて、亀裂
を曝しています。そこからはっきり判るほど大量の愛液が滴り落ちて、絨毯に黒
い染みを作り出しています。

「私、トイレに行くわ・・、お父様は・・・」
敦子が立ち上がり、妖しい目で和夫を見下ろしました。和夫は、這いずり回った
疲れで、床の上に仰向けになって、肩で息をしています。
風呂場で上を向いて和夫が横になり、その上に敦子が跨り、金色の液を和夫に降
り掛け始めました。和夫は大きな口をあけて、その液を受け止めては、飲み干し
ています。和夫の視線の先で、敦子の亀裂が割れて、サーモンピンクの内壁がチ
ラチラ顔を出し、淫核から激しい勢いで黄金色の液体が迸り出ています。

「さあ・・、もう、おしまい・・、綺麗にしてちょうだい・・」
敦子が腰を落とし、亀裂を和夫の口に近づけ、そこへ和夫が舌を延ばして、亀裂
を丁寧に舐め清め始めました。敦子は両手でビラビラを引っ張り、拡げて、和夫
の舌が隅々まで届くようにしています。敦子は心地よさで体をそらし、呻き声を
あげて、ついには和夫の横に倒れこみ、大股を開いて、指でそこを擦り始めまし
た。起き上がった和夫がその部分にかじりつきました。高い悲鳴を上げる敦子、
激しく和夫が頭を動かし、舌で淫核からホールまで強く、弱く舐め回します。
和夫の顔は小水と愛液でドロドロです。そして、最後に、スキンヘッドを両脚で
強く締め付けて、敦子は痙攣して逝きました。

「6ヶ月前、前原と私は話し合って正式に離婚しました。互いに何も条件はつけ
ないで、私は元の戸籍に戻りました。二人が住んでいたところは借家でしたが、
そこは前原に残して、私は都心に小さな部屋を借りました」
敦子は寺崎に勧められた熱いコーヒをおいしそうに呑んで、眼を細めて、にっこ
り笑い、さらに話を進めようとしています。夜も更けていますが、敦子も、寺崎
もじっくり話し会う予定で、近くの店から仕出し弁当を取り寄せ、夕食を摂りな
がら話し合うことにしました。

これまでの話で、さすがに和夫のことは寺崎にありのままに話すことが出来ない
で、敦子ただ良く出来たお舅さんとだけ寺崎に伝えました。この時点では、さす
がの寺崎も敦子と和夫の親密な関係まで想像することが出来ませんでした。

離婚成立で武との付き合いは晴れて誰に遠慮なく出来るようになり、金子家に泊
まったり、敦子の下宿に武が泊り込んだりして、愛を確かめ合いました。ただ、
離婚後6ヶ月以内の妊娠を恐れて敦子は、武に避妊を求め続けました。

ある日、敦子の制止を聞かずに敦子の中に大量の精子を放出してしまった金子が・・、

寺崎探偵事務所物語(V)、 敦子の事件(14) 鶴岡次郎 投稿日:2006/05/25 (木) 11:23
その日、敦子の下宿で二人は久しぶりに抱き合いました。金子が取引先の調査旅
行で10日間東京を離れていて、今日昼過ぎに帰ってきたのです。敦子の退社時
間を待ちきれなくて、金子は強引に敦子に午後半休を取らせて、もつれるように
して、敦子の部屋に入ったのです。
「もう・・、強引なんだから・・、ああ・・、ちょっと待って・・・
ああ・・ん、先輩から皮肉をたっぷり云われたわ・・
男の言いなりになってはダメよ、待たせたほうが楽しみは大きいわよですって
ああ・・ん、シャワーを使わせて・・・、ああ・・ん、もう・・そんな・・」
敦子は金子の激しいキッスに息を弾ませながら、それでも楽しそうに勤め先で半
休を貰ったいきさつを話しています。サービス業での突然の休みは仲間に負担が
かかり、上司に対してよりも、仲間に気を使うものなのです。

敦子は親しい先輩に正直に事実を伝えて頼み込みました。男が長い出張から帰っ
てきて、敦子を抱きたがっている、夜まで待てない様子だから昼から休みたいと
伝えたのです。先輩は共稼ぎで、敦子の頼みを面白そうに聞いてくれました。
「いいわね・・、家なんか・・、ここ一ヶ月レスよ・・・、
いいわよ・・、帰りなさい・・・・、今からならたっぷり出来るわね、ふふ・・
ああ・・、明日の朝はダメよ、ちゃんと出勤してね・・・・・
それから・・・、避妊はちゃんとするのよ・・、こんな時出来易いから・・・」
入社が2年ほど違うだけですが優しい先輩です。最後はにっこり笑って、背中を
かなり強く叩いて、送り出してくれました。

金子はシャワーに入りたいという敦子を強引に裸に剥いて、全身を舌で舐め始め
ました。半日働いた女の身体はかなり匂いが強くなっています。それを楽しむよ
うに男は女の身体をいっぱい開いて、その部分をズルズルと音を立てながら吸っ
ています。
敦子の両脚を肩に載せて、金子は一気に挿入しました。そして激しく腰を使って
います。いつもの余裕がなくなって、金子はかなり入れ込んで切羽詰った感じで
す。敦子は金子が中に放出する危険を感じ取っていました。その危険を感じると、
敦子は一気に高まってゆきました。
今までの絡みでは、金子が中に放出しないよう、敦子自身も自分でも気が付かな
いところでセーブしていたところがあり、燃え上がりながらも、いつもどこか覚
めたところがあったのです。

どうにも止めることが出来ないほど金子が興奮して、今にも中に吐き出しそうだ
と感じると、危機意識とは別に、メスの本能が働いて、敦子の体は一気に受け入
れ態勢を整え始めたのです。二人は妊娠のことを忘れて、悶え、抱き合い、そし
て、二人同時に逝きました。
敦子は白眼を剥いて、痙攣して、金子に抱きついています。金子は獣のような声
を出して、敦子の上にぐったりと倒れこみました。
そして、敦子の中に大量の精子がざっと流れ込み、肉棒が強く脈打つのを敦子は
その部分で感じて、声を上げて身体を仰け反らせています。この瞬間、敦子はも
うどうなってもいい、この快感のためなら地獄に落ちても良いと、全身を震わせ
ていました。

放出してしまった金子が、ゆっくりと体を敦子から離して、ベッドの上に座り込
み、改まった話があると言い出しました。
膣いっぱいの精液を受けて、恍惚のさなかに居た敦子は、けだるい体を起こし、
彼に向かい合って座り込みました。金子は真剣な面持ちで敦子を見つめています。
敦子は金子の真面目な様子にようやく気が付いて、けだるい濡れた体をしゃっき
りさせようと脚を組み替えています。その行動で、今、放出されたばかりの精液
が敦子の中から流れ出し、白濁液が敦子の陰毛を濡らし、白いシーツの上に流れ
出しています。二人の緊張した雰囲気とは違う淫蕩な香があたりを包み込んでい
ます。

敦子の制止も聞かずに膣内に射精したことを金子が深刻に受け止めて、あらため
てそのことを謝るのだと敦子は理解しています。それだったらもう、仕方のない
ことで、男の律儀な様子に敦子は優しい笑みを浮かべて、武の次の言葉を待ちま
した。

「止めるのも聞かないで、出してしまって、ごめん・・、
でも、心配しないで・・、大丈夫だから・・・赤ちゃんは出来ないから
僕は、子供が作れない体なのだよ・・・、無精子症なのだよ・・・・」
敦子は最初彼の言っている言葉の意味が判りませんでした。膣内に放出してし
まった彼が苦し紛れに冗談を言っていると一瞬思ったのですが、彼の沈痛な表
情を見て、ようやく彼の言葉の意味を理解できました。

「・・・・結婚を正式にお願いする時に、言おうと思っていたのだが、
それではあまりに卑怯だと思って、今日、告白するよ・・・・・・・」
武は真剣な顔を崩さないで、敦子を見つめて、一言、一言、言葉を選びながら話
しました。敦子は全身に残るけだるい感覚と戦いながら、武の言葉を必死で理解
しようとしています。
「そうなの、そうだったの・・・、
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

寺崎探偵事務所物語(V)、 敦子の事件(15) 鶴岡次郎 投稿日:2006/05/26 (金) 14:11
「そうなの、そうだったの・・・、
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
今はあまり突然で、びっくりしていて、何も考えられないけれど
ただ云える事は、貴方の話を聞いた今、少しもがっかりしていないし
結婚して欲しい気持ちは変わらないわ、それが私の正直な気持ちよ・・・・」
敦子は、もっと前にこの話を聞いていても、この気持ちに変わりないと自分の心
に訊ねかけて、自分の気持ちを確かめています。この時の敦子に迷いは有りませ
んでした。ずっと後になって、この時のことを思い出しても、敦子はこの判断が
誤っていたと思ったことは一度も有りません。

大学生の頃、武は高熱を出して3日ほど寝込みました。もともと体は強いほうで、
寝ていれば何とかなると医者にも行かなかったのです。熱が下がって、それでも
様子から見て、ただの風邪ではなさそうだから、心配だから医者に行けと和夫に
勧められて、武は病院へ行きました。問診した医者は首を傾げていろいろ検査を
しました、武は少し不安になりました。二日後検査結果が出ました。おたふく風
邪の高熱が原因で、無精子症になったと診断されたのです。

それが判った時、取り返しのつかないことをしたと、和夫は武に涙を流して謝り
ました。
「お母さんが生きていれば、こんなことはなかったのに、許してくれ・・・」
自分の不注意で、息子の男を奪ったと和夫はそれ以来一人苦悩を抱き続けていま
す。そんなこともあって、武は積極的に結婚相手を見つけようとしなかったので
す。それを知っている和夫は辛い思いで、武を見つめていたのです。和夫が敦子
を最初から温かく迎えて、歓迎したのはこんな背景もあったのです。

敦子の長い話はこれで終わりました。夜が更けて、この事務所のある裏通りには
酔客が時々通る以外、人通りは絶えています。敦子がほとんど隠さず話してくれ
たおかげで、敦子の依頼に関して寺崎はかなりの情報を得ることが出来ました。
敦子が真っ先に疑って、後になって、その疑いが間違っていたと気がついた、前
夫、前原ついては、寺崎も敦子と同じ考えです。
敦子との絡み写真に目線を入れて前原がネット上でばら撒いたのが2年前で、彼
がまだ大企業の社員だった頃で、比較的暇な時間が取れたのです。その目的は妻
への嫌がらせでなく、妻への愛情です。こんなに綺麗で、好色な女を独り占めし
ていることを皆に見せたかったのです。前原は知りませんが公開されたその写真
を敦子は何度もネットを通じて一人でこっそり見ていました。

大勢の男のいやらしい視線に、股間を曝して、微笑んでいる自分の写真を見て、
敦子はそれだけで気を失うほど興奮しました。寄せられている赤裸々な男達の賛
辞も、卑猥な四文字表現も、敦子をこの上なく興奮させました。見られることが
これほど衝撃的なものだと敦子は初めて気が付きました。この喜びのためなら、
顔を曝すのも我慢できると思ったほどです。そして、沢山の男達に囲まれ、全身
をもみくちゃに弄られて、ついには何本もの肉棒を亀裂に迎えて、悶え狂う自身
を妄想して、敦子は一人ベッドの上で自慰行為にふけるようになりました。

前原が大企業の社員を続けていれば、いずれ敦子は前原をそれとなくそそのかし
て、恥かしい写真を何度もネットに公開することになったのですが、独立してか
らの前原は家に帰る間も惜しんで働き詰めで、敦子の写真を撮ることはおろか、
夫婦関係でさえ途絶えていました。そして、多忙な前原の日常は今も変わり有り
ません。
そんな前原に合成写真を作る余裕は有りません。また、前原に嫌がらせをする動
機は有りますが、敦子が言うとおり、前原の人物を考えるとそうした姑息な手段
を採るより、直接金子に直談判をえらぶタイプです。

一番有力な容疑者が事実上消えて、寺崎は敦子、金子、そして前原の周辺にいる
人物を洗ってみることから調査を始めることにしました。
とにかく敦子の顔写真を入手できる位置に居て、前原が二年前に撮影した敦子の
顔がぼかされている恥かしい写真を持っていて、かつその女性が敦子だと特定で
きる人物が容疑者です。
敦子ほどの魅力を持った女性であれば、本人がそれと知らない相手から思わない
思いを掛けられているケースが多く、事実、街を歩いて、時には店に出ている時、
敦子は名も知らない人から何度も声を掛けられることが多いのです。

今回のように卑劣な行為はそうした一方的な思いを掛ける人物の仕業である可能
性が高いのですが、今すぐ敦子に身の危険が発生する可能性が低いので、とりあ
えずそうした人物は泳がせて、次の出方を待つことにして、こちらから積極的な
仕掛けをしないことにしました。

寺崎は敦子と相談して、敦子がこれはと思いつく犯人像の中から可能性の高い三
名を選び出し、先ずその人物の調査から始めることにしました。

寺崎探偵事務所物語(V)、 敦子の事件(16) 鶴岡次郎 投稿日:2006/05/28 (日) 18:55
2 城島美紀子の事情

城島美紀子(28歳)銀座、三流どころの店にいるホステスで、金子が一時、贔
屓にしていた女で、肉体関係も有りました。当時、金子とは金銭づくの関係だと
彼女は思っていて、当然のことながら金子以外にも肉体関係がある男は十指を越
えていました。裕福な男達に取り囲まれて、その華麗な肉体を切り売りして、美
紀子はその頃、贅沢三昧の絶頂期に居ました。

そんな美紀子の生活を知りながら、金子は真剣に彼女との結婚を考え、それを彼
女に告白して、そのつど美紀子に上手く交わされ続けていました。美紀子は金子
の求婚を受けて、それなりに迷いましたが、結局、華麗な生活を捨てて、古道具
屋の嫁に納まる決心がつかないまま、あいまいな返事をして、彼の気持ちをずる
ると引っ張っていたのです。

金子がある日偶然に立ち寄った、ネクタイ売り場で敦子に一目惚れをして、売り
場に通い詰め、ついに彼女とデート重ねるようになると、金子の美紀子への熱は
急速に冷めて、店にも顔を出さなくなりました。
そのころ不景気が銀座にも押し寄せてきて、美紀子の周りにいた男達が潮を引く
ように消えてゆきました。彼女が改めて金子との結婚を真剣に望むようになりま
したが、その時は金子の心は既に美紀子から離れた後でした。

一度は真剣に結婚を考えた女だと、敦子は金子から美紀子の存在を知らされてい
ました。美紀子自身はパソコンを扱うことは出来ませんが、彼女の周辺にはパソ
コン・マニヤが沢山います。寺崎は敦子の話を聞いて、この女性を容疑者として、
調査対象の一人にしたのです。

寝室いっぱいの広さを持つ美紀子のダブルベッドの上です。ベッドの上に裸の男
が美紀子の前に立ちふさがり、股間の肉棒を突き出しています。美紀子が両手を
ベッドに着いて、悩ましい顔で男根を舐めまわしています。唇から立派な亀頭が
溢れて、美紀子の唾液が糸を引いてシーツに落ちています。
両手と膝を着いている美紀子の体が前後に揺れています。後ろからもう一人、男
を受け入れているのです。激しい水音がして、その部分から愛液が少し流れ出し
ています。太い肉棒が、激しく出入りして、美紀子のあえぎ声がそれに呼応して
います。美紀子は耐えられなくなって、肉棒から口を離し、肉棒を右手で握りそ
れに顔を押し付けて、頂点に達する顔で耐えています。亀頭の先端から透明な液
が溢れて美紀子の顔を濡らしています。
女が顔を反らして、逝くことを男に告げて、肉棒を握りながら、男の陰毛の中に
顔を埋めました。後ろの男が肉棒を引き抜き、女の背中に、白い樹液を放出しま
した。

「ハイ、カット・・・。
今日はこれまでにしましょう、お疲れでした
ああ・・、美紀ちゃん・・、もう少し濡れてくれないと困るよ
次もあの調子だと困るから、事前にノリを塗っておいてよ・・・、いいね」
美紀子が自分の体とマンションを提供して裏ビデオの撮影をしているのです。監
督が美紀子に局部の濡れが悪くて、臨場感が乏しいと苦情を出すのは毎度のこと
です。美紀子自身もいつ頃からかそこが濡れなくなっていることに気がついてい
ました。絡みを見せて金を得る生活をするようになって、情交で濡れることが少
なくなったのです。

「いつものように撮影した原版を、明日、例のところに届けます。
約束の金がその後で皆さんの口座に振り込まれます。
次の予定は、え・・・と、だいぶ先になりますね、後で連絡します」
撮影助手が美紀子、男優二人、そしてカメラマンに事務的に用件を伝えて、部屋
を出て行きました。いつものことながら、空しい、達成感のない仕事です。
美紀子は汚れた裸体のまま、ベッドで長々と寝そべって、じっとしています。撮
影の時は全ての感情はどこかに置き忘れたと思っている美紀子ですが、なぜか彼
女の頬をスーと涙が流れています。

美紀子は銀座では三流どころのキャパクラに勤めていて、山の手線内のマンショ
ンに一人暮らしです。二、三年前までは華やかな生活がいつまでも続くものと疑
いもしなかったのですが、30歳近くになってようやく、生活の不安に直面して
います。マンションは賃貸で、貯金より借金の方が多いのです。最近は、不景気
なこともあって美紀子の店でもすっかり客足は落ちて、かっては年収三千万円な
どと週刊誌で話題になったことが嘘のようで、裏ビデオのアルバイトをしないと
部屋代にも困ることが多くなっています。

最初はヌード撮影から始めましたが、それだけではとても稼げないことが判り、
男優相手の絡みを撮影させるアルバイトを始めました。この商売も当然のことな
がら競争相手が多くて、次々と若い子が現れて、そちらにバイヤーの目が流れて、
今では、美紀子は人妻シリーズでやっと稼いでいる状態です。このシリーズで稼
げる期間もあと一年が限界だと彼女には判っています。その時期が来れば、それ
だけは今まで何とか避けてきた世界、不特定の男達に金で抱かれる業界に入るこ
とになります。
美紀子はそれも運命だと思ってあきらめていますが、夜一人になるとひしひしと
寂しさと心細さが押し寄せてきて、・・・・・

寺崎探偵事務所物語(V)、 敦子の事件(17) 鶴岡次郎 投稿日:2006/05/29 (月) 11:06
美紀子はそれも運命だと思ってあきらめていますが、夜一人になるとひしひしと
寂しさと心細さが押し寄せてきて、たまらなくなり、アルコールを煽り、果ては
危ない薬まで手を出しかけました。絵に描いたような転落の姿が見えて、それだ
けは何とか踏み止まっています。
かって何人かの男性から真剣に結婚を持ちかけられたことが美紀子にも有りまし
た。華やかな絶頂期にいた美紀子は、今思えば惜しいチャンスを一夜限りの快楽
を得ることに止めて、幾人かの男を切り捨ててきました。金子もそのうちの一人
でした。最近になってまだ独身でいる金子に、今度は美紀子から近づこうとして、
彼の後を就け、美紀子が金子に抱かれた路地で、素人女を抱いている金子を見る
ことになりました。
悔しくてその女を調べて、敦子のことはあらかた調べがつきました。バツ一の女
に、負けたことが悔しくて、美紀子は自分が金子にした仕打ちをすっかり忘れて、
金子と敦子を痛めつけることをあれこれ考え始めました。

敦子と金子の路上の戯れを何度か目撃して思いついたことですが、それを撮影し
て、二人を脅す材料にしようと美紀子は考えました。しかし、あの暗闇では、美
紀子の腕で使い物になる映像を撮ることが出来ませんでした。AV撮影で知り
合った男達にそのことを相談したところ、特殊カメラを使えば暗闇でも人物を特
定できる絵が撮れることを教わりました。しかし、いざそのことを頼むと、そん
な危険な犯罪行為には加担したくないと男達ははっきり拒否しました。

一年前なら美紀子が抱けるなら言うことを何でも聞いてくれた男達は、いまは美
紀子の身体を差し出すだけでは、動かなくなっていたのです。金子と敦子を陥れ
る計画を実行しようとして、逆に美紀子は彼女の商品価値が落ちてしまったこと
をはっきり知らされたのです。
敦子はこれ以上足掻いても、自分をさらに惨めにすることを賢明にも悟りました。
あの時、あの時、金子の結婚の申し出を受けていればと思う一方、もしそうなっ
ていても、捨ててしまった華やかな生活を思い出し、やはり後悔していただろう
と美紀子は彼女自身の性格を分析しています。今の境遇は誰のせいでもない、彼
女自身が選んだ結果だとようやく悟ることが出来たのです。これからの人生を積
極的に生きることが大切だと思い始めたのです。
そう決心すると、彼女の中で金子のことは遠い、良い思い出の中にゆっくりと納
まって行きました。

寺崎が美紀子の店を訪ねたのはその頃でした。・・・・・・

寺崎探偵事務所物語(V)、 敦子の事件(18) 鶴岡次郎 投稿日:2006/06/02 (金) 18:44
寺崎が美紀子の店を訪ねたのはその頃でした。彼は店に入ると先ず彼女を指名し
ました。店はかなりの客で賑わっていましたが、彼女は誰からも指名を受けてい
なくて、直ぐ寺崎の前に現れました。まだ二十代のはずですが、全身に倦怠感を
浮べ、精気のない表情の美紀子を見て、この女は既にここでの人生を投げ出して
いる、この店からも早い機会に消えるだろう、この女には敦子への対抗心であの
合成写真を作るだけの意欲はもう無いだろうと、寺崎は職業的なひらめきでその
ことを直感しました。

「金子さん・・、そうお客さんのお知り合いの方なの、
ええ知っているわよ・・・、古道具屋の若旦那でしょう
ええ・・、最近は良い人ができたようでお店には顔を出さなくなったわ、
たまにはお店に来るようにお客さんから伝えてちょうだい、
美紀が待っていると言ってね・・、ふふ・・」
金子のことを話題に出しても、美紀子は普通に対応して、ことさら含んだところ
も、何か隠している様子も有りません。既に金子のことは美紀子の関心事から外
れているようです。寺崎は美紀子を容疑者リストから外すことにしました。

「武さん・・、私、美紀よ・・、お久しぶりね、
先日、あの路地で、そう貴方に初めて抱かれたあの路地で
もつれ合っている男と女を偶然見たのよ・・・、
同じ様なことをする人が居るものだと思って、そっと近づいたら・・・・
誰だと思う・・・、ふふ・・・、
貴方と、そう・・、敦子とか言うデパートの店員だったわ・・・・」

寺崎が敦子の店を訪ねたその夜、美紀子は金子に電話を掛けてきました。
金子は黙って美紀子の話を聞いています。敦子の名前も、勤め先も知っている美
紀子の話に少し驚きましたが、金子は落ち着いて美紀子に対応しています。あれ
ほど恋焦がれた美紀子の声を聞いても、金子はほとんど感情を動かすことが有り
ません。その反応の薄さに金子自身が一番驚いています。受話器を通して金子の
反応を美紀子は敏感に察知しました。

「私、バカだったわね・・、あの時・・・・・、
貴方のプロポーズを受け入れて置けばよかったといつも思うのよ・・・・
こんなこと言うようになったら私も落ち目ね・・・、ごめんなさいね・・・
今日、お客さんと貴方の噂話をして、つい懐かしくて・・・・・
ではおやすみなさい・・、もう、会うことも無いと思うわ・・・」
美紀子はそれだけ言うと、一方的に電話を切りました。
金子は無機的な発信音が響く受話器をいつまでも耳に押し付けていました。そこ
から、美紀子の啜り泣きが聞こえてくるような気がして、金子は受話器を離すこ
とが出来なくなっていたのです。

金子の反応に最後の望みを繋いでいたのですが、金子の気持ちが元に戻らないこ
とを美紀子ははっきり悟りました。
「さようなら・・・、金子さん・・・、そして・・」
通話の切れた電話に向かって、美紀子は小さな声で囁きました。もう思い残すこ
と何もない、金子の気持ちを確かめたことで、美紀子の気持ちは固まりました。
そして金子に電話をするきっかけを作ってくれた、中老の背の低い、頭の毛が少
ない、それでいて、不思議な魅力を持った男に美紀子はお礼を言いたい気持ちに
なっています。

それから一週間後、美紀子の店を訪ねた金子は彼女がそこに居ないことを知らさ
れました。同僚の一人が、美紀子は郷里の新潟へ帰ったこと、東京で修行して、
郷里に店を開く計画を持っている板前と懇意にしていることなどを、金子に教え
てくれました。

寺崎探偵事務所物語(V)、 敦子の事件(19) 鶴岡次郎 投稿日:2006/06/16 (金) 20:57
敦子が再婚を決意した相手、金子の所へ、敦子の淫らな写真が送られてきました。
てっきり前夫前原の嫌がらせだと判断して、敦子は前原に面談しました。しかし
前原は潔白でした。
前原の勧めも有り、敦子は寺崎探偵事務所を訪れ、嫌がらせの犯人探しを依頼し
ました。敦子と寺崎が話し合い、敦子の周辺にいる疑わしい人物をリストアップ
して、それを3名まで絞り込み、寺崎がその3名を対象に調査を始めました。
最初の容疑者、銀座ホステス美紀子は明らかに白であると寺崎は判断しました。
残る重要参考人は2名です。(前回までのあらすじ)

三  前原茂の事情

前原茂(17歳)、高校生、 前原の長兄の息子ですから、敦子とは血の繋がら
ない叔母と甥の関係です。敦子の近くに住んでいて、前原が居ない昼間、敦子を
よく訪ねて来て、お茶を飲んだり、たわいのない話をして時間を過ごしていまし
た。彼はひそかに敦子を慕っていたようで、敦子もそんな若者の気持ちを知って
いましたが、女を知らないその年頃の若者にありがちなことと敦子は理解して、
茂を傷つけないように上手く付き合っていました。パソコンは叔父を見習って幼
い頃から慣れていて、ある分野ではプロ級の腕前です

叔父前原三郎の結婚式の日、中学生の茂は学生服で式場に出かけました。予定よ
りかなり早く、学校から直接式場に着いた茂は、数組の結婚式が行われている、
ごった返している式場内で一人ぶらぶらと時間をつぶしていました。
開式時間近くになり前原家の式場に指定されたフロアーにエレベータの箱から降
り立った茂はその場に凍りついたように立ち尽くしました。隣の箱から出てきた
ウエデイング姿の敦子に遭遇したのです。

純白のロングドレスの胸元が大きく開いて、敦子の白い胸の隆起が茂の視線を先
ず捕らえました。そして、ゆっくりと視線を上に移すと、微笑を浮べて、じっと
茂を見つめる敦子の優しい顔がありました。時間にして、ほんの1、2秒ですが、
茂にはその時間が永遠に続くかと思われるほど長いものでした。

式場でも、宴席でも、茂はほとんど正気を失って敦子を見つめていました。元々
寡黙な性格で、さらにこの年頃の男子は傍から見ると多少とも異常なところが有
りますから、周囲の者は、茂の様子をそれほど奇異に感じてはいませんでした。
唯一、当の敦子が彼の強い視線を感じ取っていて、夫である前原三郎から彼が甥
の茂であることを聞きだしていました。

結婚式の後、茂の敦子への憧れは益々、強いものになって行きました。両親も含
めて大人との接触を嫌う年頃の茂には珍しく、敦子の家へ茂はほとんど毎日のよ
うに出かけました。三郎にパソコンを教えて貰うことが口実で、夕食後、三郎の
家に出かけるのが、日課のようになり、茂の両親が新婚家庭を頻繁に訪れる茂に
何度も注意するのですが、茂はその言葉を聞き流していました。

茂が頻繁に家にやって来るのは敦子のせいだと最初から彼女は気がついていまし
たが、夫、三郎にそれを云うほどのことではないと思っていて、表面上は茂を歓
迎しました。それに、茂はいわゆる美男子で、性格の良い子でしたから、敦子も
いつしか茂の存在をそれほどうとましく思わなくなり、夫の帰りが遅い夜などは
二人で食事をして気を紛らすほどになって居ました。

頭が良くて、学校の成績も抜群の茂はパソコンの覚えも早く、三郎は彼にいろい
ろ教えることを楽しむようになりました。半年も過ぎると、三郎がプロ級の難題
を与えても、茂はそれを易々とこなすほどに成長していました。そうなると高級
なパソコン環境が整備されている三郎の家で、茂が時間を費やすことが増え、三
郎夫妻が寝室へ行っても、茂は居間に残ってパソコンを操作することが多くなり
ました。

「ダメよ・・・、茂ちゃんがいるから・・・、ああ・・ん・・ダメ・・・」
声を潜めて、敦子は三郎に抱かれるのですが、新婚半年も過ぎると、敦子の身体
は熟れに熟れていて、喜びの声を押さえることが難しくなっていました。
3DKのアパートですから、寝室で大きな声を出せば、居間に居る茂にその声は
届きます。明らかにその声を茂に聞かれたと敦子が観念した翌日、茂の様子は少
し変わっていて、敦子をまぶしそうに見て、頬を染めて視線をそっと逸らすので
す。

茂の反応を見て敦子も昨夜乱れた声を彼に聞かれたことを確認して、何となくぎ
こちなく茂に対応するのです。ただ、それだけのことですが、そんな時、敦子は
茂の中に男を感じて年甲斐もなく慌てていました。

三郎が独立して会社を興し、その仕事に全てを忘れて没頭するようになり、敦子
の新婚生活は完全に終わりを告げました。三郎は仕事場に泊り込む日が多くなり、
敦子が一人寝する日が多くなりました。茂は三郎が家に居ない日でも、三郎の
パソコンを使用する目的で相変わらず敦子の家に入り浸っていました。
敦子と茂は二人きりで夜遅くまでアパートで過ごしたのですが、茂がこの家に居
ることは一年以上続いている習慣なので、そのことを奇異な目で見たり、変な勘
ぐりをする人は居ませんでした。・・・・ただ一人を除いて。

茂にはガールフレンドが居ました、小学生の頃からの同級生で、近所に住んでい
る青木彩香です。彩香は茂が敦子に憧れていることを良く知っていました。そし
て、敦子の夫、三郎が仕事で家を空ける様になっても、茂が相変わらず敦子を訪
問することを危惧していました。
叔母と甥と言っても血縁関係はないわけで、ましてや茂があんなにあこがれてい
る敦子と一つ屋根の下で二人きりになれば、何かが起きてもおかしくないと彩香
は思っているのです。

「茂君、叔母さんが一人の夜、あの家に行くのはおかしいよ・・
私達、もう高校生で、世間では大人扱いを受けるから・・・・」
彩香は何度か、茂に注意したのですが、茂は笑いとばして、彩香の話を真剣に聞
こうとはしませんでした。

その日も、いつものように、夕食後、茂は敦子の部屋の前に立ち、呼び鈴を押し
たのですが、彼女は中々出てきません、お風呂に入っている可能性も有り、茂は
出直すつもりでドアーに背を向けました。その時、ドアーが開いて、敦子がやや
上気した顔を出しました。特に風呂上りの様子には見えません、既に化粧を落し
ていますが、目が潤んで、ピンク色に顔が紅潮していて、まぶしいほどの美しさ
です。

「あら・・、茂君、待ったでしょう・・、気がつかなかったわ、ごめんね・・」

寺崎探偵事務所物語(V)、 敦子の事件(20) 鶴岡次郎 投稿日:2006/06/17 (土) 22:55
「あら・・、茂君、待ったでしょう・・、気がつかなかったわ、ごめんね・・」
「敦子さん・・、すみません・・・、お邪魔ではなかったですか・・」
いつもの敦子とは違う妖艶な美しさに撃たれて、茂はぽっと赤くなり、ドギマギ
して、少し大人びた挨拶をしました。敦子は笑って首を振り、茂を抱き締めるよ
うにして、部屋に入れてくれました。

扉が開いた時、いつものように敦子の香が茂を襲ってきました。この瞬間茂はい
つも深呼吸をして敦子の香を胸いっぱい吸い込みます。体中の血が沸き立ち、元
気が出てくるのです。今日の香は濃厚で、いつもと少し違う成分が混入している
ことに茂は気がついていました。その香を十分理解する知識は茂には有りません
が、それは明らかに敦子の股間から発散されているもので、オスを奮い立たせる
効果があるものです。

茂にとって、敦子にこんなに強く女を感じたことは今までにないことです。股間
が恥かしいほど緊張して、歩行が難しいと思えるほどです。敦子にその事を気付
かれないよう、茂はゆっくり歩きました。
「叔母さんと言っても、あんなに若くて、綺麗だから・・、
敦子さんが一人の時、茂君が訪ねるのは変よ・・、それも夜でしょう・・」
昼間、彩香から注意された言葉を茂は思い出していました。敦子に会ってこんな
に気持ちが高ぶると、彩香が心配する気持ちが茂には何となく理解できました。

いつものようにパソコンの前に座って、スイッチを入れようとして、既にパソコ
ンにスイッチが入っていることに気が付きました。敦子がスイッチを入れて、今
までパソコンを使用していたのです。時々敦子はネットで調べ物をすることが有
り、今回もそうだと茂は軽い気持ちで、自分の仕事にかかろうとしました。
「敦子さん・・、何を調べていたのだろう・・、
最近三郎叔父さんが家に帰らないから、何か悩みがあるのだろうか・・」
敦子が以前のように元気がないことを茂は心配していました。その原因が叔父三
郎であることは確実ですが、それを知っていても茂には何も出来ません。

少しでも叔母の悩みを理解して上げたいと思う気持ちで、茂は敦子が開いていた
サイトをチェックすることにしました。茂ほどの腕があると、直前にアクセスし
たサイトや、プログラムを調べることは容易なことです。
敦子がアクセスしていたのは、アダルトサイトで、そこには敦子の淫らな写真が
数枚投稿されていました。要点はぼかされていますが、茂が見ても敦子だと直ぐ
判りました。添付されているコメントを見ると投稿者はどうやら三郎のようです。
もう数ヶ月前に投稿されたもので、間もなく期限が来て削除対象になるものです。

「三郎叔父さんがどうしてこんな写真を・・、それに・・、
どうして・・、敦子さんがこの写真を一人で見ていたのだろう・・」
茂にとっては激しい写真です、茂の仲間たちはこの種の写真を好んで見ています
が、茂は興味がないわけでは有りませんが、不潔感が先行して、一人でそれを
こっそり楽しむほど好きにはなれないのです。

「あら・・・、茂君・・・、その画面・・・」
茂が振向くと、敦子が部屋の入口に立っていました。そして、茂が見ている画面
を見て、当惑した顔で茂をじっと見ています。
「私・・、閉じてなかったの・・・、ごめんなさい・・、変なものを残していて
他の人には言わないでね・・・、ちょっと恥かしいから・・・・・」
敦子はパソコンを閉じたはずなのに、何かの手違いで、敦子が見ていたサイトが
そのまま残っていて、茂がたまたまそこを見ていると誤解したようです。

モニタター画面いっぱいに、敦子がベッドに両手を着いて、両脚をいっぱい開い
た恥かしい写真が展開されています。
敦子はそこまで茂に見られた以上、慌てても仕方が無いと思ったようで、ゆっく
り茂の側に歩いてきました。茂は何と答えて良いか、どうすれば良いか、困り果
て、ただじっとモニターを見て、凍りついたように固まっています。

「本当にごめんなさいね・・、茂君にこんなものを見せて・・・
驚いたでしょう・・・、ところで、この女の人誰だか判るの・・・」
茂がゆっくり頷くのを見て、敦子は当然だと思いました。
「そう分るの・・、三郎叔父さんが・・、戯れで投稿したのよ・・、
投稿した時は、私は知らなかったけれど、あとで偶然知って驚いたわ・・
でも・・、恥かしいけれど・・・私、時々これをこっそり見ていたのよ・・」

敦子はいつものようにこのサイトを見て、そして居間で器具を使って自分を慰め
ていたのです。最近ではこれが敦子の唯一の楽しみになっていました。誰かが玄
関ベルを鳴らしていることには気がついていましたが、それを無視して、股間の
バイブをさらに奥深く挿入した時、玄関に居るのが茂だと気がついたのです。時
間の経つのを忘れていて、茂がやって来る時間でないと思っていて、時計を見て
慌てて、起き上がり、玄関ドアーを開けたのです。

パソコンは確かに閉めたと思っていたのですが、興奮の頂点に居て、慌てて茂を
迎えたことで、敦子はパソコンを閉じた記憶があいまいになっていました。それ
を確かめるために、茂を覗きに行ったのですが、事態は最悪だったのです。
ここまで茂に知られてしまった以上、敦子は出来るだけ正直に事情を茂に伝える
ことを決心しました。高校生に夫婦の戯れがどれほど理解できるか不明ですが、
茂の知性と理解力に頼って、ありのままの事情を説明したほうが良いと敦子は考
えたのです。
もし、今日の衝撃が強く、その後の茂に悪い影響が出る可能性が少しでも見えた
ら、茂の両親に全てを話して、プロのコンサルを受けさせることまで敦子は考え
て、ここでは、まず事情を正確に茂に伝えることにしたのです。

「ねえ・・、他の写真も見てごらん・・、
みんな・・、恋人か、奥さんの写真でしょう・・・
投稿した男の人は、この写真に出ている女の人達を愛しているのよ・・・
茂君には、多分まだ分らないだろうけれど・・、
この写真は全て、男が示す愛情表現の一つなのよ・・、
最愛の人を、恥かしい姿にひん剥いて、それを公衆に曝すのよ・・・
おかしいと思うでしょう・・・、変よね・・・」

敦子はマウスを操作して次々といろいろな写真を見せました。茂は眼をそむけ
るわけでもなく、かといって、下卑た笑いを浮かべるわけでもなく、冷静な眼
差しでじっと画面を見て、敦子の問いかけに頷いています。
「私は三郎さんに内緒で、何度もこっそりこの写真を見ているのよ・・

寺崎探偵事務所物語(V)、 敦子の事件(21) 鶴岡次郎 投稿日:2006/06/19 (月) 17:34
この様子なら大丈夫、思ったとおり茂はかなり大人の考え方が出来ると敦子は判
断しました。しかし、この時茂は敦子の思いとはかなり離れたところで、この絵
を見ていたのです。いずれ敦子はそれを知って衝撃を受けることになります。

「私は三郎さんに内緒で、何度もこっそりこの写真を見ているのよ
私が何故こんなものを見ていたか、茂君に分る・・・、
そう・・、そうよね、分らないのが当然ね・・」
茂が平静にしているのを確かめて、敦子は彼女がこの絵を見ていた事情も出来る
だけ正確に彼に伝えることにしました。頭の中で説明の手順を考え、成熟した女
性の情欲をこの少年に伝える方法を模索しています。冷静に考えれば敦子自身で
さえ、彼女自身の情欲を正確に分析することは難しいのです。

「恥かしいけれど・・・、私の気持ちをあなたにだけは教えるわ
一度しか言わないからね・・、それに質問もダメよ・・・・・しっかり聞くのよ」
ここで敦子はにっこり笑って、茂を見ました。茂はコックリうなずきながら、
ポッと赤くなり、まぶしそうな顔で敦子を見ています。
椅子に座った茂に後から覆いかぶさるように敦子が右手を伸ばし、マウスを操作
しています。乳房が茂の背中を圧迫して、敦子の呼気が茂の首筋を擽ります。そ
して、何よりも、敦子の強い女臭が茂の敏感な鼻を刺激しています。茂は股間の
緊張を敦子に知られないよう、必死に耐えています。

「この写真を三郎さんが、ネットで公開したと知った時は、
本当にびっくりして、悲しくて、三郎さんと離婚することも考えたのよ・・・
でも・・、沢山の男の人が私の恥ずかしい写真を見ていると分った時
なんだか、奇妙な興奮が体の中から湧き上がってきて・・、
恥かしいけれど・・、言うわね・・、
私ね・・、見られることが嫌でないことが分ったの、
ううん・・、私、恥かしい写真や、裸を見せるのが好きなのよ・・・」

敦子の写真に寄せられている男達の赤裸々な卑猥なコメントも、敦子をこの上
なく興奮させ、彼らが望むような行為を受け入れても良いとさえ思っていまし
た。そう、敦子の妄想の中では何度も彼等の肉棒を受け入れていたのです。そ
して、そのイメージを頭に浮べながら自慰行為にふけったのです。しかし、さ
すがにそのことは茂には伏せることにしました。
茂に恥かしい事実をあからさまに話すことで、敦子はまた興奮しています。股
間が濡れて、かすかな破裂音を出しています。それに、茂の身体から湧き上が
る男の香が敦子をさらに追い討ちを掛けるように彼女を刺激しています。敦子
はぴったり茂に体を寄せて囁いています。

「女はね・・、男に裸を見られるのが、本当は・・、好きなのよ・・
それは恥かしいけれど・・、でも見られるとそれだけで興奮して・・・
もっと見て欲しい、もっと見せたいと思うようになるのよ・・・」
敦子は茂を両腕で抱き締めるようにして、彼の耳に囁くように語っています。

「でも・・、茂君・・、間違ってはダメよ、
今、私が言ったのは、私が私自身を分析した結果よ
私のように、ある程度年をとって、結婚している女だからこそ、
こんな気持ちになれるのよ、全ての女がそうだと思ってはダメよ
彩香さんといったわね・・、
彼女のような年頃の女性には、私の話は全く通じないわよ、

私にも経験があるけれど、あの年頃の女の子は、鏡に写った自分自身の裸
だって恥かしくて、まともに見ることが出来ないものよ・・・・判った」
茂がコックリ頷くのを確認して、敦子はそのサイトをクローズしました。
そして、茂の頬にキッスを残して、ゆっくり茂の側から離れました。茂が
恐ろしく勃起していることに敦子は気がついていましたが、それを無視し
て、黙ってその部屋を後にしたのです。もし、彼が、興奮して敦子に飛び
ついて来たら・・・、その時はその時の気分で、対応しようと彼女は思っ
ていました。

あの日の事件があった後も、茂は今までどおり敦子の家にやってきて、長
時間パソコンと向き合っています。敦子は三郎が帰ってこない夜、茂がこ
の家に来てくれることはいろいろの意味で歓迎です。ただ、あの事件で茂
が変に変わるようだったら、その時はそれなりの対応をして、毅然と、対
応をしようと心に決めていたのですが、茂に大きな変化は有りません。
茂が変わらないのなら、敦子は安心です。今までどおり、いえ、今まで以
上に打ち解けた関係に二人はなりました。

敦子はそれとなく注意しているのですが、茂があのサイトを見ている気配
は有りません。また、敦子への接し方にも大きな変化は有りません。
むしろ敦子の方が茂を意識し始めたのです。

寺崎探偵事務所物語(V)、 敦子の事件(22) 鶴岡次郎 投稿日:2006/06/21 (水) 12:08
そこまで確かめて、敦子は茂への監視を解きました。敦子の恥ずかしい写真が少
年に与えた影響はほとんどなかったと敦子は判断しました。確かに少年の言動に
はことさら変わったところはなく、その限りでは敦子の判断が正しかったのです
が、ウエデイング姿の敦子に心を奪われて以来、敦子一筋に憧れてきた少年の心
に敦子の破廉恥な写真が与えた影響はそんなに小さなものではなかったのです。
敦子がそのことに気づくのはずっと後になってからになります。

この時点ではむしろ敦子の方に変化が現れました。今まで多少煩わしい親戚の可
愛いい男の子としてしか見ていなかった茂を、ある時は、はっきり異性の一人と
して敦子は意識し始めたのです。
一人パソコンに向かっている茂にお茶を持って行った時など、敦子は後から彼を
抱きしめるようにして、茂の仕事の内容を聞き出すのです。彼の体に触れ、彼の
香を嗅ぐことが楽しくなったのです。また、恥かしがる茂の顔を見るのが面白く
て、風呂上りのバスタオル一枚で茂の前に出て、お茶を一緒に飲んだことも有り
ました。そうした敦子の戯れに茂はほとんど目立った反応は見せませんが、時と
して苦悩の表情を見せ、何かにじっと耐えている姿を見せることがありました。
茂が変わったと言えばこのことがそれにあたります。

「敦子さん・・、茂君は悩んでいます。
敦子さんのことが本当に好きで、好きでたまらなくて、
それでも、敦子さんを愛することは罪だと思っているようで・・・
見ていて、私・・、彼がかわいそうで、何とかしてあげたいと思うけれど
私、何をして良いか分らないの・・・・・、ムム・・・・」
話があると言って、彩香が敦子を訪ねてきて、一気にこれだけのことを言って、
そこまで耐えてきた感情の高まりについに抗し切れなくて、ぽろぽろと大粒の
涙を落し、泣き出しました。

彩香は額が広く、背中まで届く長い髪をポニーテールにまとめ、大きな瞳が印
象的な清純な女の子です。学校帰りに直接訪ねてきたと言っていましたが、白
いTシャツとジーンズ姿の私服です。茂と同じ名門公立高校に通っていて、そ
こでは私服が普通の姿だと茂が敦子に教えていたことがありました。彼女が茂
の幼馴染で、今も仲の良いガールフレンドであることを敦子は茂から聞いて
知っていました。

「彩香さん・・、私への茂君の気持ちを彼から直接聞いたの・・
それとも、それは、あなたの思い込みかしら・・・・教えてほしいわ」
敦子は彩香の涙を美しいと思いながら、敦子にもこんな時代があったと、懐か
しい、穏やかな気持ちで彩香に接しています。
「最初の頃は、茂君の態度から、きっとそうだと私は思い込んでいました。
それが、偶然・・、彼の日記を見る機会があったのです・・・
そこに書いてある彼の気持ちを全部読みました。
そして気がつきました。彼、わざと私に日記を読ませたのだと思います。
私があまりうるさく彼に付き纏うものだから、
彼、私にすべてを教える気になったのです・・・」

彩香も茂同様、頭の良い子のようで、茂がとった行動を全て読み取っていま
した。彩香に日記帳をそれとなく見せることで、茂に献身的に思いを寄せて
くれている彩香に、全てを語り、茂のことはあきらめて欲しいと彼は伝えた
かったのです。彩香は茂の気持ちを正確に汲み取り、茂のために敦子を訪問
したのです。

「叔父さんが忙しくて、一人寂しい夜を過ごしている敦子さんが可愛そうだ、
自分だったら、あんな苦労をさせないのに、このままでは、敦子さんはいず
れダメになる、そうなる前になんとかしたい。
このまま今の状態が続くようなら、三郎叔父さんに僕から話をしよう。それ
で叔父さんが変わらないなら・・・・・
今の僕には敦子さんを養うことが出来ないが、それでもこのままでは捨てて
おけない・・」

彩香は、宙で覚えている茂の日記を読み上げるように敦子に伝えています。
彩香はもう泣きません。しっかり敦子を見つめて、淡々と日記の内容を敦子
に伝えています。敦子は少なからず驚いています。自分に憧れているだけか
と思った茂が三郎に代わって敦子を幸せにすることを考えていたのです。
茂を子供だと軽く見ていた敦子は、自身を恥じ、不明だった彼女自身を叱り
付けています。もっと早く茂の気持ちに気付くべきだったと敦子は悔しがっ
ています。

「あれでは敦子さんは可愛そうだ、一人、パソコンで憂さを晴らしている・、
女性の性は良く判らないが、敦子さんの現状は不自然なことは確かだ。
男として、敦子さんにあんな寂しい思いをさせる三郎叔父さんを許せない・。
もし僕だったら・・・・」
彩香はそこにある日記を読み上げるように話しています。
淫らな写真を見せたことで茂が変になるのではと敦子は心配したのですが、
茂はそんなささやかな楽しみに憂さを晴らしている敦子の身の上を案じてい
たのです。茂は敦子が身体の疼きに耐えかねて、悶えていることさえも正確
に把握して、そのことを心から心配しているのです。
敦子は予想もしなかった茂の心の内を聞かされて、呆然としています。

ここで、彩香の穏やかな表情がそれとわかるほど変わりました、・・・・

寺崎探偵事務所物語(V)、 敦子の事件(23) 鶴岡次郎 投稿日:2006/06/23 (金) 23:55
ここで、彩香の穏やかな表情がそれとわかるほど変わりました、敦子をほとんど
睨むように見つめて、ややきつい調子で、今度は自分の言葉で話しかけました。
「敦子さん・・、あなたが女性の性に悩んでいるとは何のことですか・・、
敦子さんが悩んでいることを茂君はどうして知っているのですか、
実は日記のこの部分はここから先は何も書かれていないのです
敦子さんが女性の性に悩み、何かでそれを発散させていることを知っていながら
茂君はそのことを日記に書いていません
事実を書いて、もし、それを誰かに見られたら・・、
敦子さんに迷惑を掛けると思っているのです。
可愛いでしょう、敦子さんのことをそれほどを大切に思っているのです。
彼と何かあったのですか・・・、教えてください・・・」

彩香は、一言一言、言葉を選びながら核心に迫っています。茂のためを思って敦
子に会いに来たのですが、その思いとは別に、男を奪った年上の女に対決する姿
勢さえ、彩香は見せはじめています。

思ってもいなかった茂の感性に驚き、そして感動して敦子は彩香を見つめたまま、
じっと黙り込んでいます。彩香が敦子に向けて、嫉妬の炎を浴びせているのさえ
気がつかないのです。
彩香は敦子の沈黙が何を語るのか必死で探っています。愛する男との間に二人と
も深刻な問題を抱えているのは同じ条件です。10歳近くはなれた二人の女の間
に、この問題では年の差は存在しません。少なくとも彩香はここで茂と敦子の関
係をはっきり見極めるつもりで、敦子に対決する意気込みです。

「ああ・・・、ごめんなさい・・・、あまり突然で・・・、びっくりして・・
茂君とは何もないのよ・・、心配しないで・・・・
主人がほとんど家に帰らないものだから、その寂しさを私が隠しきれなくて、
優しい茂君が同情してくれたのね・・・・。
私・・・、彼がそんなこと考えているなんて、
あなたに彼のことを聞くまで気がつかなかったわ・・・」
敦子は彼女自身に語り掛けるように話しています。そう思って考えると茂の全て
の態度が敦子には理解できるのです。
敦子が彼のことを心配していたつもりだったのですが、彼は敦子の悩みを全て見
通して、彼の力で敦子を苦境から救い出したいと考え始めていたのです。その準
備段階として、彼を慕う彩香との関係を清算するため、あえて、彼の日記を彩香
に見せたのです。

ここまで考えて、敦子は今まで悩みに、悩み、それでも決心できなかったことに
結論を出す気持ちが固まりました。
「・・・私に勇気がないばっかりに、茂君や彩香さんに迷惑を掛けたわ
でも心配しないで・・、私・・、私は自分でしっかり生きてゆくわ・・」
彩香にそういいたい気持ちを抑えて、敦子は笑顔を浮べて彩香を見つめました。
もう、敦子に迷いは有りません。敦子は大きな決心を固めて、急に目の前が明る
くなった気分です。

「彩香さん・・、茂君には当分家に来ないよう、私からお願いするわ
パソコンが使いたくて、どうしても、彼がここに来たいと言ったら・・、
彩香さん、ご迷惑でも、あなた一緒に来てくれないかしら」
敦子は笑みを浮かべて彩香に話しかけています。彩香は詳しい事情は分らない
なりに、敦子の中で大きな変化が起きたことを感じ取っています。彩香の不審
そうな表情を見て、敦子はこの少女に彼女の本音を話す気持ちになりました。
何と言っても、敦子の決心を後押ししてくれたのは彩香なのだと敦子は感謝の
気持ちでいっぱいです。

寺崎探偵事務所物語(V)、 敦子の事件(24) 鶴岡次郎 投稿日:2006/06/24 (土) 21:33
「彩香さん、今は詳しい事情は話せないけれど、
今まで、自分のことを考えるのが精一杯で、茂君のことも、貴方の事も
考える余裕がなかったのよ・・・ごめんなさいね
あなたの話を聞いて、茂君の気持ちが初めて判ったのよ
でも、安心して、あなたと話して会って、あなた方に勇気を貰ったから、
私、生まれ変わるつもりよ・・・」

この家を訪ねてきて、彩香は初めて敦子を直ぐ側で見ることができました。敦子
は彩香に対して心を開く様子でもなく、いつでもどこかに心を移しているようで
愁いに沈んでいて、静かに彩香を見つめているだけでした。美貌に恵まれている
だけに、そんな敦子は同性の彩香から見ても不思議な魅力を持った女性に見えま
した。これでは何も知らない茂が夢中になるのは当然だと悔しい思いをしたので
す。
しかし今、目の前に座っている敦子は、美しさは変わりませんが、優しいお姉さ
まのような笑みを浮かべて、彩香を見つめているのです。玄関ではじめて会った
時に感じた、憂いを含んだ、やや投げやりな妖しい影が敦子から完全に消えてい
ます。挑戦的な彩香に対してさえも敦子は優しい手を伸ばしているのです。

明るい優しい敦子の眼差しを受けて、彩香は戸惑っていますが、これが本来の敦
子だと彩香は感じ取りました。何か大きな悩みが敦子に圧し掛かり、敦子本来の
優しさ、明るさを覆い隠していたのだと彩香は考えました。その覆いを取り除く
決心をした以上、茂と敦子の関係が彩香の心配する方向に進まないと彩香は女の
感性で確信しました。
「いつも私が付いて来るのは変だわ・・、茂だって嫌がると思います
よく判りました。私の誤解だったようです・・、
いままでどおり、茂にパソコンを使わせてやってください
私からも改めてお願いします」

敦子の中で何が起きたのか、彩香には想像も出来ませんが、今の敦子を見ていて、
茂と敦子の間に男女の関係はなく、これからも何かが起きる可能性は少ないと彩
香ははっきり感じ取ることが出来ました。茂の気持ちは変わらないにしても、敦
子はそんな茂の気持ちを弄ぶ人でないことが判ったのです。思い切って敦子に
会って本当に良かったと、彩香は晴れ晴れとした気持ちになっています。

「彩香ちゃんと呼んで良いかしら・・・・、
茂君とはもうキッスをしたの・・・」
敦子は微笑を浮べたまま、さらりと問いかけました。あまりに素直な敦子の問い
かけに、彩香は反射的にコックリと頷き、次の瞬間真っ赤になって下を向いてい
ます。

「あら・・、そうなの・・、
茂君もなかなかやるわね、隅に置けないわ・・、
それで、二人はキッスをする仲だけなの・・」
今度もまた、ストレートに敦子は聞いています。彩香はその質問を予測していた
ようで、真っ直ぐに敦子を見つめて、少し眩しい顔をして、首を振っています。
優しいお姉さま、敦子に、彩香は何も隠そうとは思っていないようです。
「あら、あら・・、凄いわね・・、そこまで行っているの
道理で・・、茂君も・・、あなたも、男と女のことを良く知っているのね・・」
敦子は本当に驚いた様子です。そうであれば、敦子の写真を見て茂が平然として
いたのが良く理解できると敦子は納得しています。

「いえ、そうではないの・・、違うんです
少し触られただけなんです。ショーツの上から少し・・、
そして、ショーツの隙間から指が・・、指がそこにちょっと触れました」
彩香が真っ赤になって、それでも敦子の誤解を何とか解こうと必死の様子を見せ
ています。
「あら、そうなの・・、ごめん、ごめん・・
とんだ早とちりね・・、そう・・、少し触られただけなのね・・、そうなの・・」
少年と少女の甘酸っぱい、夢見るような光景を敦子は頭に描き出しています。

敦子は初めての男性は三郎でした。24歳で結婚するまで、異性との交流はほと
んどなかったのです。彩香と同じ年頃の頃、敦子は毎晩のように異性に抱き締め
られ、恥かしい部分に男性を迎える妄想を楽しんでいました。それでも実際に男
子高校生から声を掛けられると怖くなっていつも逃げ出していたのです。
「キッスされて、触ってもらえるだけで十分よ・・
茂君がそこまでするのだから、彼は貴方のことを大切に思っているのよ」
敦子は彩香が愛しくなり、彼女に近づきそっと抱き締めました。彩香も素直に敦
子に抱かれています。

「彼ほど責任感が強く、頭が良い男の子はね
そう簡単に女に手を出さないものよ・・、
彼のような男の子は、どんなに興奮しても、じっと我慢するものよ・・・
だから、じっと待つのよ、あなたから変に仕掛けない方がいいわ・・」
敦子は彩香を抱き締め、彼女の顔を見ながら話しかけています。彩香は大人しく
うなずきながら、敦子の話に真剣に耳を傾けています。

「それでも・・、彼に抱かれたいと思うことがあるでしょう
無性に、身体が疼いて、自分でも判らなくなることがあるわね・・」
彩香がコックリ頷いています。敦子はそんな様子を見て、少し強く彼女を抱き締
めました。
「彼がその気になった時は素直に彼の言うままに行動するのよ
そして、彼とデートする時は、着替えのショーツを必ず持って行きなさい
その時が来そうな予感がしたら、どこかではショーツを穿きかえるといいわ
下着が汚れていると、それが気になって、
心では彼を許していながら、本能的に彼の手を振り払うことになるのよ」
彩香は少し興奮した顔で真剣に聞き耳を立てていて、要所要所で頷いています。
「身体が汚れているのは気にしないで良いのよ
女の身体が少し汚れているのを返って喜ぶ男の子の方が多いのよ」
彩香は頷いて、敦子に笑顔を送っています。

彩香は丁寧に挨拶をして、敦子の部屋から出て行きました。少女の後ろ姿をいつ
までも見送っていた敦子は、彩香の姿が通りの角に消えるの待って、ゆっくりと
家に入り、書斎に向かいました。そしてパソコンの前に座り、夫、前原三郎宛に
長い手紙を書き始めました。


寺崎探偵事務所物語(V)、 敦子の事件(25) 鶴岡次郎 投稿日:2006/06/26 (月) 18:13
それから一ヶ月経って敦子と三郎の離婚は成立しました。敦子が部屋を出て行く
日、敦子の荷物を運び出す手伝いに、茂と彩香がやってきました。二人の若者は
敦子の離婚を表面上は残念だと言っていますが、それが敦子にとって一番良い道
であることはよく理解しているようです。
「敦子さん・・、お世話になりました。
お元気で・・、きっと幸せになってください・・
それから・・・、私、わたし・・、
茂君に・・・、昨日・・・、初めて・・・、抱かれました」
彩香が敦子の体に身を寄せて、囁くように話しました。敦子は黙って彩香の身体
を抱き締めました。敦子がここを去る日、彩香は茂と結ばれたのです。

寺崎探偵が茂と面談した時、既に茂は大学生になっていました。180センチを
越える美男子で、顎の線に彼の強い性格が良く現れています。寺崎の調査目的を
真剣に聞き終わった茂は、何度か頷きながら、こころもち紅潮した顔を寺崎に向
けて、視線を真っ直ぐに寺崎の視線と絡ませながらゆっくりした口調で話し始め
ました。
「そうですか・・・、敦子さんが結婚するのですか・・・
そうですか・・・・、敦子さん再婚するのですか・・・」
敦子が金子と再婚する話は初耳だったらしく、茂はひどく驚いたようで、暫く口
も聞けないほど衝撃を受けていました。

「・・で、その金子さんという方、どんな方ですか・・、
良い人なんでしょうね・・・、敦子さんが選んだ相手だから・・
そうですか、やっぱり再婚するのですか・・・・・・・」
彼がそのことを訊ねていながら、寺崎が金子のことを話そうとしても、茂の目は
宙を向いたままです。茂は敦子の再婚話の衝撃から抜け出せない様子です。寺崎
は話題を変える意味で、例のCDから落とした敦子の恥かしい写真を数枚、机の
上に並べました。
「ああ・・、この写真、どうしてあなたが・・」
その写真を見たとたん、茂の態度が急変しました。顔を紅潮させ、言ってみれば
恋しい女に久しぶりにあった表情です。若い男が淫らな写真を見る、あの目つき
では有りません。素直な喜びが表情に表れています。

「ハイ・・、この写真とこれ、この二枚は良く知っています・・・
私も、これと同じものを大切に持っています」
寺崎から見せられた写真を嬉しそうな、少し眩しい顔して、それでも真剣な表情
でチェックして、前原が撮影した敦子がモデルになった写真を指でつまみ上げま
した。
「他の写真は敦子さんの身体ではありません。合成されたものですね・・・
画像処理に関して少し勉強していますので、CDを貸していただければ、
合成写真の素性を調べますが・・
ああ・、そうですか、三郎叔父さんが調べたのですか
そうであれば、僕の出る幕は有りませんね」
寺崎は茂と話をしていて、彼から何かを探り出そうとしているのですが、ベテラ
ンの寺崎でも疑わしいものは何も感じ取れないのです。また、完全に白だと断定
することも出来ないでいます、茂の態度に腑に落ちないものがあるのです。敦子
に教えられた彩香にも寺崎は会って見ることにしました。

「そうですか・・、敦子さん再婚されるのですか、良かったわ・・
敦子さんほどの女性は絶対幸せになるべきだと私は思っていました・・・
もし、敦子さんにお会いになるようでしたら、
私がおめでとうと申し上げていたと、お伝えください」
彩香もまた大学に進学していて、英文学を専攻していると言いました。育ちのよ
いお嬢様の雰囲気を持った美人です。茂との関係は続いているはずだと敦子は
言っていましたが、寺崎が茂のことを話題に出すと、ほんの一瞬ですが、暗い表
情を見せたのを寺崎は見逃しませんでした。

「茂さんには、最近会って居ません。大学も違うし、彼は工学部で私は英文学で
すから、お話しする機会も自然と少なくなって・・・・」
敦子から聞かされていた恋人同士の雰囲気は彩香の話からは感じ取れません。

寺崎探偵事務所物語(V)、 敦子の事件(26) 鶴岡次郎 投稿日:2006/06/27 (火) 12:35
寺崎は思い切った質問をぶつけてみることにしました。
「茂君は敦子さんを慕っていたことが有りましたね
今はどうなのでしょう・・、
あなたに聞けば本当のことが判ると思っているのですが、よろしければ、
知っていることを何でも教えてください。秘密は守ります」
彩香は、俯いてしばらく考え込んでいましたが、ようやく決心した様子で顔を上
げて、寺崎の顔を真っ直ぐ見つめて話し始めました。

「敦子さんからお聞きだと思いますが・・・、
私は茂さんが好きでした、いえ、今でも彼を愛しています。
でもいくら茂さんを愛しても、彼を私に振向かせることが出来なかったのです
もう・・、疲れました。私自身がかわいそうになったのです
3ヶ月ほど前に話し合って、別れました」
彩香は淡々と寺崎に話し始めました。彩香がこのことを他人に話すのは初めての
ことです、何故、彩香が寺崎に心に秘めていたことを話す気になったか、それは
寺崎の人徳と彼が長年積み上げてきた職業的能力のなせることだとしか言えませ
ん。

寺崎と初めて会った時から、彩香は彼になぜか惹かれていました。大きな手で優
しく抱き締められ、彼になら、何でも話してもいい気になっていたのです。
寺崎は彼女が泣き出すことを心配したのですが、彩香はそんな素振りを見せませ
ん。気丈だというより、良く考えた末に決めた自分の選択に彩香は泣き言を言わ
ないと決めているようです。

「敦子さんがあの家を出てから、私達の間はしっくり行かなくなりました。
茂さんの心の中には敦子さんがいて、私の力では勿論、
彼自身でさえ、その感情をどうすることも出来ないのです
愛してはいけない人を愛してしまった彼は、
敦子さんのことを忘れて、私との愛に生きる決心をして、
私の誘いに乗って、私を抱いたことがありました]
そこまで言って、彩香は言葉を止めてじっと寺崎を見つめました。寺崎は彼女の
強い視線の中に、彼女の瞳が悲しみで潤んでいるのをはっきりと見ました。寺崎
は目をそらさないで、ただゆっくりと頷き、彩香を優しく見つめ返しました。

「これで、敦子さんから彼を取り戻したとその時は思いました。
ところが、二度目の行為の後で、彼は私に頭を下げました、
そして、もう、私を抱きたくないと彼が言ったのです」
寺崎は唖然として彩香を見つめています。夢見るような生活をしているはずの彩
香がそんな人生を既に経験していることへの驚きです。

「寺崎さん・・、初めて抱かれた男に・・・、
他の女の身体が忘れられない・・、
私の、私の身体では満足できないと、そう宣告されたのよ
そんな、そんな屈辱に、私は耐えられなかったわ・・、ウウ・・」
彩香が抑えていた感情を一気に爆発させて、大きな瞳から涙を流しています。

彩香は茂に二度抱かれたのですが、その時、婦人週刊誌などに書いてある女
の快感を感じることができませんでした。勿論最初から快感を感じる人が少
ないことを知識として彼女も持ち合わせていて、茂との絡みにそれほどがっ
かりしたわけでもなく、むしろ男をその中に迎えたことで十分満足していた
のです。それが、二度目に彼に抱かれた後、決定的な言葉を茂から浴びせら
れたのです。

「彩香、ごめん・・・、
君を抱いていても、あの敦子さんのイメージが頭から離れないのだよ、
このままでは君までダメにしてしまうから、
これからはもう君を抱かないつもりだ、すまない・・・・」
この茂の宣言を、彩香とはもうセックスする気が起きないと、そう茂が言っ
たと彩香は受け止めていて、彩香を抱かないと茂が宣言した理由を、彩香は
自分の女性器のせいだと思い込んだのです。
初めて抱かれた時、彼女の体に男が満足したかどうか、女性はずいぶんと気
にします。この時の彩香もそうでした。こうしたことは真面目な女性によく
ある現象です。

何かがどこかで食い違っていることは寺崎には分るのですが、それが何であ
るか今のところはっきりしません。言える事は、若い二人が初めての経験で小
さなミスを犯したとしか言いようがないのです。このまま捨てておいたので
は、彩香は間違った道を歩き出します。それではあまりにも哀れです。女性
器のせいで男に嫌われたと考えている彩香の思い込みだけでも和らげてやり
たいと寺崎は考えました。
寺崎に言わせれば、一回の性交で女体の良し悪しをはっきり言い当てる男は
そう沢山居ません。ましては、経験の浅い高校生同士の性交で男が女の身
体に満足できなくて、つきあいを止めることなど100%あり得ないのです。
何か別の要因が二人の仲を裂いたことは確かです。

寺崎探偵事務所物語(V)、 敦子の事件(27) 鶴岡次郎 投稿日:2006/06/28 (水) 14:20
「ごらんの通り、私は50を過ぎた、禿で、チンチクリンでたいした財産も持た
ないただの小父さんだけれど、これでも、若い頃から随分と女にもてたよ、
今でも、二人の愛人から大切にされているよ・・・」
寺崎はゆっくりと話始めました。そして、前に座っている彩香の手を取って、寺
崎は両手で彼女の手を包み込みました。ひんやりと冷たい感触がする、綺麗な指
をもった小さな手です。

彩香は激しい告白をした後で、頭が白くなっているようで、寺崎の行為を黙って
受け入れています。むしろ、彼の暖かい手に両手を包まれて、うっとりと休まる
気分になっているのです。間直に迫った寺崎の身体から漂うコロンの香でさえ、
いつもの彩香と違って、今は心地よく感じることが出来るのです。
「数にして、100人は越える女性と親しく付き合ったね、
その僕から見て、彩香ちゃんは、素晴らしい女性だよ
美人で、スタイルもいいし、Y大学に入学した才媛でもあるしね
でも、僕が君に会って、良い女だと思ったのは、それだけではないよ」
そこで言葉を切って、寺崎は笑みを浮かべて、彩香を見ています。寺崎のゆった
りした話し振りと、あたたかい彼の手を感じて、彩香は次第に寺崎の話に聞き耳
を立てるようになっています。

「彩香ちゃんを一目見て、良い女だと思ったポイントは・・・、
彩香ちゃん・・、何だと思う・・、
本当のことを言うから僕を殴らないでね・・、
君を一目見て、この女は良い味の女だと直感したのだよ
君は素晴らしい女性器を持っていると、長年の勘で分ったのだよ
君は間違いなく名器の持ち主だよ」
寺崎はさらりと際どいことを言ってのけました。彩香は悲鳴に似た声を上げ、寺崎
の手を振り解き、慌てて両手で口を被っています。

「彩香ちゃん、君のその耳の形・・・・、
小さな穴を取り巻くように周りの肉がきゅっと締まっていて
そこに触ったら、随分と気持ち良いだろうな、
そこに指を触れることが出来たら・・、と・・・
僕は君と会った時から、君の耳をみて、その虜になっていたよ」
口を両手で被ったまま、彩香は真っ赤になって寺崎を睨んでいます。耳の周りがむ
ず痒くなり、そこに触り、指で耳の穴を掻き毟りたい気持ちになって、体をくねら
せています。それでも、彼女の目は寺崎を見て笑っています。

「ごめん、ごめん、若い女の子を見ると、
つい、いやらしいことを言ってしまうのだよ、
変態おじさんを堪忍してちょうだい。ハハ・・・・・
でも、彩香ちゃん、今言ったことは冗談でも、嘘でもないよ、
僕の本心だから、それだけは信じて欲しいな」
寺崎のとんでもない話にびっくりして、彩香は笑みを浮かべて寺崎を睨んでいます。
ようやく彩香に余裕が出来たようで、寺崎は一先ず安心しました。

彩香は寺崎が言ったこと、名器の持ち主だという寺崎の言葉をゆっくりと噛み締め
ています。勿論、名器がいかなる内容のものか彩香は知りませんが、男がそれを喜
ぶことを知っています。今の彩香には、美人だと言われるより嬉しい褒め言葉です、
恥かしい気持で自分の身体のことを彩香は考えています。耳の形を見て、彩香の女
性器を名器だと判定した寺崎の言葉を信じたい気持ちが彩香の中に沸きあがってい
ます。
「この小父さんの言うとおり・・、私のものが名器だったら・・・うれしいな・・、
経験が浅くて茂さんがそれに気がつかなかったとも考えられるわ
そういえば・・、茂さんのものを入れた時、そんなに痛みを感じなかったわ
使い始めはそれほど良いものではなく、
使い込んではじめて名器の本領が発揮されることもあるのよ・・きっと」
もしかすると寺崎の言うとおり、彩香は名器の持ち主かもしれない、若い茂はその
ことに気が付かなかったのだと思い直す余裕が彩香の中に広がっています。

「寺崎さん・・、ありがとうございます・・、私、嬉しいわ
寺崎さんの言うことを信じます。・・いえ、信じなくてはいけないのですね」
彩香はかすかな笑みを浮かべて、寺崎にお礼を言っています。茂に打ちのめされた
女の誇りが寺崎の言葉でわずかではありますが取り戻せた思いに彩香はなっていま
す。

寺崎探偵事務所物語(V)、 敦子の事件(28) 鶴岡次郎 投稿日:2006/06/29 (木) 14:37
寺崎は微笑を浮べて軽く頷きながら、何やらメモをチェックしようとして、胸ポ
ケットから手帳を取り出しました。その弾みで一枚の写真が彩香の前に舞い降り
ました。彩香がそれを拾い上げ、寺崎に手渡そうとして、何げなくその写真を見
て、驚きの眼をいっぱいに開いています。
「ああ・・、まずいな・・、お嬢さんに見せる代物ではないね
見てしまった以上、説明しないといけないか・・
実はこれが事件の元々の元凶でね、茂君もこの写真を知っているよ
この写真は・・・」

寺崎が写真にまつわる事件の概要を説明していますが、彩香は何やら別のことを
考えているようで、じっと一点を見詰めています。
「・・と言うわけで、この写真を金子さんに送り届けた犯人を捜しているのだよ。
彩香さん・・、彩香さん、大丈夫ですか・・」

彩香は寺崎の言うことをほとんど聞いていません。彩香はとんでもない誤解をし
ていたことにようやく気がついたのです。興奮で紅潮した顔で宙を見つめて寺崎
が声を掛けても返事もしません。そしてようやく、寺崎の呼びかけに反応しまし
た。
「寺崎さん・・・、この写真を茂君も知っていると先ほど言いましたね
そうだわ・・、きっとこのせいよ・・、彼の頭の中に刷り込まれているのだわ」

彩香は敦子の恥かしい写真を手に取り、それを寺崎に示しながら、少し紅潮した
顔で、寺崎に興奮した調子で話しかけています。先ほどまでの弱弱しい影は完全
に消えています。それにしても、花恥かしい乙女が、破廉恥な写真を振り回すこ
とに寺崎はいささか閉口しています。

「女の人を良く知らない少年が、聖女のように憧れている女性のこんな淫らな写
真を見たとしたら、その少年はどうなるかしら・・・、
少年の脳裏にその女性の淫らな姿が刷り込まれて、成長して女を抱く機会が来た
時、その淫らな女性を思い浮かべ、その男は正常な性交が出来なくなっている。
この写真が茂君にトラウマを残したのだわ、きっとそうだわ・・・」
彩香は取り付かれたよう彼女の考えを、寺崎にというより、彼女自身に向かって
話し始めました。

「きっとそうよ・・・、私を抱きながら、
敦子さんのイメージが脳裏に浮かび上がり、
責任感の強い茂君はそのことで二人の女を同時に裏切っていると思い込んだのね、
それで、敦子さんのイメージが残る間は、私を避けることにしたのよ・・
私のあそこが、敦子さんのものに劣るから、私が嫌になったのではないのよ」
寺崎にもようやく彩香の考えていることが判りました。そして彩香の考えはある
程度的を得ていると思いました。

それから数日後、彩香は敦子の下宿を訪ねました。事前に連絡して面会を求めて
きた彩香に、自分の下宿に来て欲しいと敦子が彩香を呼び寄せたのです。暫くぶ
りに会った二人は、仲の良い姉妹のように、敦子手作りのご馳走を楽しみました。
「敦子さん・・、今日訪ねたのはこの写真のことが聞きたくて・・」、
茂に抱かれたこと、その後での侮辱的な茂の発言、そして茂との別れを彩香は敦
子に話しました。そして寺崎から借り受けた一枚の写真を敦子の前に置きました。
最初は冷静に聞いていた敦子は、写真を見せられ、茂の脳裏に敦子のイメージが
刷り込まれている可能性が高いと彩香が説明する頃には、少し眼を赤くして、苦
しそうな表情すら浮かべていました。

事前に寺崎から、彩香と茂の調査結果を聞いていて、茂の女性観に敦子が大きな
影を与えてしまったこと知っていましたし、彩香の説明も寺崎から聞いている内
容以上のものは有りませんでした。しかし、こうして彩香から直接その話を聞く
と、敦子は自分の犯した罪の深さを改めて暴かれている気持ちになり、被告席に
立って、彩香の糾弾を受けている気分に成っています。

「彩香さん、私の責任なのよ・・、私の不注意で
中学生だった茂君がその写真を見てしまったのよ・・」
敦子は例のパソコン事件をかいつまんで彩香に説明して、その時は注意深く茂の
様子をチェックして、少しでも変なところが見当たれば、茂の両親にも全てを明
らかにして、専門家のコンサルも受けさせる覚悟であったことも付け加えました。

「残念だけれど、あなたの疑いは当っているわ・・・、
茂君とあなたのために、私で出来ることなら、何でもするつもりよ・・
そのことに関して、あなたに相談したいことがあるのよ・・・、
どう・・、今夜ここに泊まること出来ないかしら・・・・そうして欲しいの」

彩香は敦子に写真のことを聞き出して、茂がこの写真である種のトラウマを負っ
たことを確信しました。一方、彩香にまだ言い出せないことが残っている敦子は、
彩香をかなり強引に引き止めました。彩香もなんとなくこのまま別れたくない気
になっていて、敦子が彩香の家に連絡をして、こちらに泊める許可を取りました。

寺崎探偵事務所物語(V)、 敦子の事件(29) 鶴岡次郎 投稿日:2006/07/02 (日) 17:49
「・・でどうだったの・・・、茂君と、初めての時は・・」
6畳間に準備した二つの布団に、二人はなかなか眠ることが出来ない身体を並べて
います。
「どうって・・・、私が無理やり誘い込んだのよ、
だって彼はいつまで経ってもその様子を見せないので、
昼間、彼が私の部屋を訪ねて来た時に、
キッスをしながら無理やりベッドに倒れこんで
私がほとんどリードしたわ、夢中でよく覚えていないけれど、
私も、茂君も初めてでしょう、彼を裸にして、
私、私、彼のものを頬張ったのよ・・・」
「へえ・・・、女子高校生が良くそんな事を知っていたわね・・」
「あら・・、女友達が遊びに来た時、胡瓜を使ってよく練習したのよ
でも・・、胡瓜と、実物とは随分違っていて・・
彼、気持ち悪そうにして、私の口からそれを離そうとしたわ」
彩香と敦子は薄暗い室内に横たわり、顔を会わせていては話し合えない際どい話
をしています。

「・・で、挿入の時はどうだったの・・、ひどく痛かった・・」
彩香たちの性交にある疑問を持っていて、敦子は彩香にかなり露骨な質問をしま
した。
「いいえ・・、柔らかい暖かいものが私のあそこに触れて
少し、そこが拡げられる気がして、
ああ、私は女になったとその時思ったわ・・・
彼も、それで満足して、その後、直ぐに私から離れたわ・・」
「そう・・、激しい痛みを感じなかったのね・・、そう・・・
そういう人もいると聞いているから、心配することはないけれどね・・・、
二度目もそうなの・・、そう・・、同じだったの・・」

彩香は茂を完全に受け入れてはいないようだと敦子は判断しました。彩香はとも
かく、茂はそのことを知っているはずです。不十分な状態であったために彩香に
挿入を果たすことが出来なかったことを、茂は悩み、彩香との交渉をこれ以上続
ける自信がなくなって、これからは彩香を抱かないと彼女に告げたのです。

「彩香さん・・、いずれ分ることだから、今言うわね
彩香さんを抱いた時、彼の男根が十分でなかったのよ
あまり緊張すると、男の人にはそうしたことは時々起こるのよ
彼、多分焦ったと思うわ、それでもダメで、
そして、二度目も、同じ様に上手く行かなかったのよ
彼かなりショックを受けたはずよ、男として辛いことだったと思うわ
それで、当分は貴方を抱けないと思って、貴方にそう宣言したのよ」

彩香の女性器に失望したわけではなく、茂の男根が臨戦態勢を取れなかったこと
が二人の仲を引き裂く原因だったのです。彩香は薄暗がりの中で涙を流していま
す。彼女が無知であったために、茂が十分でないことも分らなかったのです。
茂がひどく傷ついているのに、それを労わるどころか、追い討ちを掛けるように、
強引に別れ話をしてしまったのです。

知らなかったとはいえ彩香は取り返しが付かない、ひどい仕打ちを茂にしてし
まったと、自分の無知を悔やんでいます。止め処なく涙が湧き出て、もう、彩香
は声を上げて泣き出しました。
「彩香さん・・、そんなに泣かないで、大丈夫よ、よく話し合えば
お互いひどい誤解をしていたことに直ぐ気がつくはずよ」
女性器が良くなくて茂に嫌われたと彩香は思い込み、土壇場で男根が立たなくて
彩香を女にできなかった男を彩香は見捨てたと茂は受け止めているはずです。

若い初心者同士の間に発生するよくあるトラブルですが、本人たちには深刻な事
態です、それに厄介なことに茂には敦子の淫らな写真がトラウマを引き起こして
いる可能性も高いのです。
敦子は起き上がり、泣きじゃくる敦子を優しく抱き締めています。
「ねえ・・、彩香さん・・、
あなたも気がついているようだけれど、あの写真が原因で
茂君は軽い精神的障害を受けている可能性が高いのよ・・・
二人で力を合わせれば、彼のトラウマを取り去ることが出来るのよ・・・」
事前に寺崎から敦子は詳しい報告を受けていて、精神科医の門を叩き、茂の病状
に関し敦子は詳しい知識を手に入れていました。そして、その精神科医の手によ
り、茂の治療計画も既に完成しているのです。

幸い彼の障害は一時的なストレスで発生したもので、ある期間が過ぎればいずれ
消えるものですがそれまでにかなりの時間を必要とする場合も有り、精神科医は
茂を治療するプログラムを作り上げ、その実行を敦子に託したのです。敦子は彩
香にその経過と精神科医が計画した茂の治療プログラムを説明しました。

「・・・と言うことなのよ、あなたさえ了解してくれれば、私は先生が書いてく
れたプログラムを実行してみたいの。どうかしら・・」

寺崎探偵事務所物語(V)、 敦子の事件(30) 鶴岡次郎 投稿日:2006/07/05 (水) 16:07
「・・・と言うことなのよ、あなたさえ了解してくれれば、
私は先生が書いてくれたプログラムを実行してみたいの。
どうかしら・・」
プログラムの内容は彩香にとってはかなりつらいもので彼女は視線を下に向けて、
唇を噛み締めています。ようやく決心がついたようで、彩香は顔を上げ、真っ直
ぐに敦子を見つめました。
「判りました。敦子さんに茂君を預けます。よろしくお願いします。
そうすることで、茂君の病気が治るなら、私は我慢すべきです、いえ、我慢します」
彩香は敦子を見つめて、真剣な表情で応えました。女として辛い決断をした彩香
の心中を思って、敦子は彼女をしっかりと抱き締めています。

「茂君の治療が終わったら、
彼が完全に治癒したことを女の身体で確かめる必要があるのよ、
それがあなたの大切な役目よ、
あなた自身もそのために多少の準備をしておく必要があるわね・・・」
敦子はストレートな表現を避けましたが、彩香も茂同様その年齢にしてはあまり
に性的経験が乏しく、治療の終わった茂を彩香に託すにはかなり不安が残るので
す。それとなく、彩香に性的経験を積むことを敦子は勧めています。

「敦子さん・・、心配しないで、今度は失敗しないように私も勉強するわ、
幸い、私を素晴らしい女性だ、名器の持ち主だと言ってくれた人がいるのよ
その方にお願いして、少し勉強して、今度は失敗しないように準備するわ」
「エッツ・・名器、処女の貴方に・・、名器の持ち主だって・・、
誰がそんなことを・・・・冗談なの・・・」
敦子は思わず噴出しそうになりましたが、彩香がにこりともしないのを見て、か
なり真面目に彩香がそのことを信じている様子だと判り、こみ上げてくる笑を急
いで飲み込みました。

その翌日、夕暮れ時、銀座にある寺崎探偵の事務所で、寺崎は顧客への最終報告
を読み終わり満足そうな表情で捺印して、その書類を決済済みの箱に丁寧に置き
ました。佐伯は自信を持ってまとめた報告書に所長がねぎらいの言葉を掛けてく
れるのを気持ち良さそうに聞きながら、帰り支度を始めています。秋子は、お茶
碗などを片づけをするつもりで席を立ちました。その時、事務所のドアーが半分
ほど開いて、この場所には不似合いな少女が顔だけを差し入れ、目ざとく寺崎を
認めて、にっこり笑って、全身を室内に入れ、ぺこりと頭を下げました。

寺崎はにっこり笑って、少女に片手を上げています。およそ寺崎には不釣合いな
少女の出現に、秋子も、佐伯も驚いていますが、二人は少女を優しい眼つきで迎
えています。学校帰りらしく、黒い大型のカバンを提げていて、白いブラウスに
バステルカラーの明るい格子模様のスカートに、白いスニカー、背中まで伸びた
長い髪を黄色いリボンで結んでいます。
秋子が立ち上がり、彼女をソファーの所に案内して、お茶の支度をしています。
彩香は珍しそうに室内を見回しています。彩香は20歳になり、大学2回生に
なっているはずです。 

「寺崎さん・・、突然ですが・・・、私を抱いて下さい・・・」
「エッツ・・、プワワ・・・」
驚きで口に含んだお茶を気管に吸い込んで、手で口を押さえて、咳き込みなが
ら、寺崎は眼を白黒させています。佐伯がその驚きで思わず席から立ち上がっ
ています。明子だけが落ち着いていて、にこにこ笑って面白そうに二人の男女
を見ています。

「大丈夫ですか・・、寺崎さん・・
先日、寺崎さんが私のあそこは名器だと言って下さったのを覚えていますか
今日は、寺崎さんにそれを確かめていただくつもりで参りました」
新人女優が覚えてきたセルフを舞台でしゃべるように、彩香はそこまで一気に
話して、寺崎を見てにっこり笑いました。寺崎は先ほどから驚きの連続で一言
も言葉を出すことができません。

「ああ・・、緊張したけれど、全部言ってしまってすっきりしたわ
お茶をいただきまーす、ああ・・、美味しーい・・・」
彩香なりにいろいろ考えて、最後の決心をしてここへやってきました、そして
思いつめたことを一気に話し終わって、にこにこ笑みを浮かべ目の前に出され
たお茶をおいしそうに呑んでいます。
佐伯はようやく事情がわかったようで、湧き上がる笑いを押さえるのに苦労し
ています。明子は遠慮もなく笑っていますが、さすがに声を出すことは控えて
います。当の寺崎は、秋子や佐伯の方をチラチラ見ながら、苦虫を噛み潰した
ような表情で、憮然として彩香を見つめています。

寺崎探偵事務所物語(V)、 敦子の事件(31) 鶴岡次郎 投稿日:2006/07/07 (金) 15:57
午前中に敦子から電話が有り、茂の治療に彩香が同意したことを寺崎は知ってい
ました。愛する男のためとは言え、それを決心するまでに彩香はまた辛い思いを
したはずです。寺崎は敦子の心中を思い、少し彼女のことを心配していたのです。
そんな時、突然、当の本人が現れました。彩香は寺崎の心配するほど落ち込んで
いる様子でもなく、それどころかむしろ元気で、とんでもないことを言い出した
のです。

「突然無理なお願いをして、驚かれたと思いますが
先ずそれを言ってしまわないと、落ち着かなくて、すみませんでした」
話があまりに唐突であったことに彩香も気がついたようで、ペコリと頭を下げて
います。

「茂君が治療を受ける話は敦子さんから聞いておられますよね・・・
治療が終わったら、私の身体で、彼が完治したことを確認することになっていま
す。その時、私があまりに未熟だと、また茂君を失敗させてしまうことが心配な
のです。それで、私も少し男の方を勉強しておこうと思いました。
こんなことをお願いできる方は、私、寺崎さんしか思いつかなくて・・・、
それに、先日私の身体を褒めて下さったし、奥様もいないと伺っていますし、
100人以上の女性を経験されている寺崎さんにいろいろ教えていただくことに
しました。ご迷惑だと思いますが、よろしくお願い申します」

今度はしっかりした調子で、要領よく彩香は話すことが出来ました。もう、佐伯
も明子も笑いません。少し擽ったそうな顔で、真剣に話す彩香の表情を見ていま
す。
若い女性の思いつめた話にくすぐったさを感じながら、寺崎は当惑を隠せない表
情で、先ほどから一言も言葉を発しないで、彩香を見つめています。彩香の申し
入れの主旨はようやく判りましたが、おいそれと了解できる内容でないことは明
らかです。かといってむげに断ると、その後、若い彩香がどんな反応を示すか、
寺崎は予想もできなくて、本当に困り果てています。
お客からの依頼を受けて、質問も、回答も出来ないこんな惨めな状態に追い込ま
れたことは寺崎の記憶に有りません。

「所長・・、お嬢様がこんなに言っておられるのですから、
お引き受けになったらどうですか、そうなさいませ・・・
100人も女性を知っておられる所長には易しい仕事だと思いますが」
秋子が困っている寺崎を見かねて、席から立ち上がり、二人の所にやってきて、
助け舟を出しました。それでもチョッピリ寺崎を苛めることを忘れていません。

「お嬢さん・・、私もお手伝いさせていただいて良いですか
こう見えても、その方面は相当経験を積んでいますから安心してください。
それに、女性だからこそ知っていることもあります、それをお嬢様に教えます」
彩香は秋子を見て、一目で好きになり、この人なら何でも話し合えると思った
ようで、秋子の申し出に嬉しそうに頷き、頭を下げました。

こうして、だんまりを決め込んでいる寺崎をさておいて、秋子と彩香の間で彩
香の勉強会の大筋は決まりました。佐伯はこの話に巻き込まれることを恐れて、
いつの間にか、こっそり事務所を抜け出しています。
彩香の時間が今晩空いていることが判り、秋子がその場で彩香の自宅に電話を
入れて、彩香の友達になりきって、彩香の両親から外泊の許可を取り付けまし
た。まだ一言も言葉を発しない寺崎を連れて、二人の女はタクシーに乗り、寺
崎のアパートに向かいました。

寺崎の寝室は20畳ほどの広さで、オーデイオビデオを備えた円形ベッドが部
屋の中央にセットされている豪華なもので、彼が独身生活を謳歌している城で
す。秋子はここへ週二度ほどやってきて、寺崎と抱き合っています。この寝室
にはベッドサイドに大きな鏡が備えて有り、これがマジックミラー構造になっ
ていて隣の部屋から寝室を見ることが出来、完璧なオーデイオ・システムのお
かげで寝室の睦言も隣室で聞き取ることが出来るようになっています。

「お弁当を買ってきたから、先ずはお腹をこしらえてからね
それから、シャワーを使いましょう・・・、
ネグリジェを準備して置くから、良かったら使ってね・・・」
ビールと弁当で食事を済ませて、寺崎と秋子が簡単にシャワーを使い、彩香も
すすめられて、シャワーを済ませました。ベビードールの白いネグリジェが脱
衣場に準備されていました。彩香は下着だけは準備してきたのですがネグリ
ジェまで気が付かず、秋子にお礼を言って、それを着用しています。

彩香も秋子同様170近い身長で、秋子の衣類はぴったり体に合います。ほと
んどショーツが見えるほどに短いネグリジェで、勿論肌は透けて見えます。彩
香のショーツは淡いピンク色の Tバックショーツです。比較的濃い陰毛が
ショーツからはみ出ていて、ネグリジェを通してそれが良く見えます。
彩香はしとやかに振舞っていますがことさら恥かしげな様子を見せないで、二
人の前に座りました。居間のソファーで彩香を待っていた二人は彩香を見て、
さすがに20歳代の肌はきれいだと心中で感嘆しています。

リボンを取りはらった長い髪が肩に掛かり、豊かな乳房がネグリジェを押し上
げ、股間部に暗い影が見えますが、いやらしさの欠片もなく、輝く黄金色の肌
が明るい居間の灯に映えています。
「彩香さん・・・、綺麗だわ・・・・
男を知ると、もっと綺麗になるわね・・・」
秋子が誰に言うともなく呟いています。

寺崎探偵事務所物語(V)、 敦子の事件(32)  鶴岡次郎 投稿日:2006/07/08 (土) 23:42
ソファーに座ると彩香の股間がネグリジェから露になって、淡いピンク色の
ショーツからはみ出た陰毛が鮮やかな漆黒の輝きを見せています。彼女の亀裂
は勿論小さな前布で十分覆われていて、その姿を見ることは出来ません。
寺崎はバスタオルを腰に巻き、明子は比較的大きなバスタオルを体にまとって
います。

「最初はね、私と所長がいつものように抱き合うわ、
貴方は隣の部屋で、男と女が抱き合う姿を十分見学してちょうだい
当然あなたにとってそれは初めての経験だと思うけれど
見るのが嫌になったら、我慢する必要はないのよ
こちらの居間に抜け出すといいわ
私達からあなたは見えないから、そのつもりでいてね
必要があれば、そのつど連絡するからね・・・、
私達が寝室に入ってから、10分ほど待ってからその部屋に入ると良いわ・
・・・では始めましょう・・・、いいわね・・・・」

秋子は事務的な調子でこれからのスケジュールを彩香に教えて、彩香が緊張し
た顔で頷くのを見て、にっこり笑い、寺崎の手をとって、寝室に消えました。
彩香は自分の鼓動をはっきり感じるほど興奮しています。10分間が随分長く
感じられて、彩香は何度も壁に掛かった時計を確認しました。そして、その時
間が来ました、立ち上がり彩香は教えられた部屋の前に立ちました。この部屋
に入れば新しい世界が広がる気がして、緊張で身体が震える思いです。

そっと扉を開けると、中は薄暗くフロアースタンドが周りに弱い光を投げかけ
ているだけで、そこから少し離れると真っ暗です。彩香は壁のスイッチを入れ
ようとして、凍りついたようにその手を止めました。
「ああ・・・ん、いいわ・・、もっと、もっとよ・・」
女性の感極まった声が聞こえてきました。秋子の声です。しかし部屋の中は薄
暗く、それらしい人影は見当たりません。

その部屋は20畳ほどの部屋で床は厚い絨毯が敷き詰められていて、扉の正面
とその左側の2方に厚いカーテンが引かれていて、右の壁にキングサイズのダ
ブルベッドが有り、左側のカーテンの前に、壁に接触して2メートル幅の机と
三脚の椅子が有り、その机の上に照明スタンドと、電気操作盤が置かれていま
す。部屋の中央に布張りの応接セットとフロアーススタンドが二台置かれてい
て、その内の一台に灯が入りわずかな光が室内を照らしています。

秋子の声は部屋のどこかに設置されたスピーカーから聞こえてくるようで、秋
子の喘ぎ声に混じって、低い寺崎の声さえ聞こえます。彼等の側に居てもこれ
ほどはっきり声を捕らえることが出来るとは思えないほど、完璧なオーデイオ
システムが作動しているようです。彩香は引き付けられる様に机の側に近づき
ました。

「彩香さん・・、机の上にあるスタンドを点けてちょうだい
ああ・・・、いいわ・・もっとよ・・、そこ、そこをもっと・・」
秋子のかすれた声に指図されて、彩香はスタンドに灯を入れました。フロアス
タンドが消えて、室内が真っ暗になり、スタンドの光が机の上にある操作盤だ
けを照らし出しました。

「カーテンと書かれたボタンを押してごらん・・」
秋子の声が響きます。そのボタンを押すと、彩香の目の前にあるカーテンが音
もなくゆっくりと開きました。壁のほとんど全面がガラス張りになっていて、
円形ベッドで絡み合う秋子と寺崎が彩香の目の前に現れました。
かなり明るい照明に照らし出されて、秋子がベッドに腰を落とし、両脚を彩香
に向けて開き、股間を男に舐められている最中です。

「ああ・・ん、いいわ・・、
彩香さん見える・・、操作盤のマイクと書かれたボタンを押しながら話すとあ
なたの声がこちらでも聞こえるのよ、何か質問があれば、それを使ってちょう
だい、それから、こちらからはあなたの姿は見えないから、そのつもりでね」
秋子が彩香の方を見ながら声を掛けています。

「秋子さん・・、あんなに脚を開いて・・、
嫌だ・・、あそこを寺崎さんに舐めてもらっているわ・・・」
自分がその部分を舐められているような気がして、彩香は思わず股間に指を伸
ばしています。そこはもうショーツを濡らすほどになっています。この景色を
想像していたのですが、実際にそれを見ると彩香はカーッとなって、全身が興
奮で震えるほどです。
「大きい・・、あんなに大きいのね・・・、あれが入るのね・・・・」
秋子の股間を舐めている寺崎の後ろ姿が見えて、その股間に黒々とした太いも
のがぶら下がっています。彩香はそこから眼を離すことが出来なくなっていま
す。

寺崎探偵事務所物語(V)、 敦子の事件(33)  鶴岡次郎 投稿日:2006/07/12 (水) 11:54
「男と女は、抱き合って直ぐ挿入はしないのよ
女の性器が十分に濡れていることが大切よ
時間を掛けて、そこを刺激してもらうと、お尻まで濡れてくるから・・・
私のものを見て・・・・、ほら、ねえ・・・、濡れるのを待つのよ」
寺崎がその部分から顔を離して、秋子の濡れ具合を彩香に見せています。確か
に流れ出した愛液で、秋子の臀部までぬらぬらと濡れています。

「次は男の番よ、彼の男根を良く見てごらん・・・、少し元気がないでしょう
こんな場合は手と口を使って元気にするのよ」
いわゆる69の姿勢になって、秋子は寺崎の肉棒を丁寧にしゃぶり始めました。

「大きい・・、あんなに大きいの・・」
彩香は茂のものをチラッと見たことが有ります。そして、これが二度目の経験
です。秋子がにっこり笑って、彩香に見せているそれは、少しグニャとしてい
ますが、秋子が両手で握っていても、まだ悠々とその先端が顔を出していて、
秋子の指が掛かりきらないほどの太さです。

「ああ・・、秋子さん、舐めている・・・、真っ赤になったあの部分を
ああ・・おいしそうに舌を出して、眼を閉じて・・、
うらやましい・・・、私もあれなら出来そうだわ・・・」
秋子が両手でしごきながら、亀頭を丁寧に舐めると、肉棒は一気に成長しま
した。秋子が両手を離して、その全身を舐めまわしています。肉棒が秋子の
顔を叩き、秋子はそれに舌を絡めています。もう、秋子は彩香に解説をする
余裕が有りません。

「ハア・・、彩香さん・・、りっぱでしょう、これで準備OKよ・・」
肉棒から顔を離し、秋子が濡れた顔を彩香に向けて、淫蕩な笑みを浮かべて
います。その側に大きな肉棒が自立しています。彩香がチラッと見た茂のも
のとは全然違う景色です。
「あれが男根なのね・・、凄い・・・、あれが体に入るのね・・・
ああ・・・、欲しい・・、あれで・・突き殺されたい・・・・」
彩香は下半身が熱くなり、ジンワリと濡れてくるのを感じています。無性に
喉が乾き、口を開け、眼を凝らしてじっと肉棒に見とれています。

「ああ・・・、もうだめだわ・・
アフフ・・、彩香さんこれからは解説できないわ・・、ああ・・
よく見て・・、自分で考えてちょうだい・・・・・ああ・・ん、入れて・・」
秋子の両脚を肩に担ぎ上げ、寺崎は肉棒を彼女の亀裂に宛がいました。亀裂
は彩香の目の前に有り、愛液を噴出しながら、肉棒の接近を待っています。
破裂音がして、肉棒が秋子の亀裂にゆっくり吸い込まれてゆきます。

「ああ・・、入ったわ・・、秋子さんあんなに脚を開いて・・、
いっぱい濡れている・・、それにしても凄いわ
ああ・・・、泡が出ている・・・ああ・・、私も欲しい・・」
彩香は急激に高まる情欲に耐えられなくなって、両脚を開き、ショーツを横
にずらし、その中に指を入れ込み激しく淫核を擦り始めました。
目の前で、秋子は両手両脚を男に絡めて、自分でも腰を突き上げています。
彩香の目の前で絡み合っている二つの性器の接点から、白濁液があふれ出て、
それが激しい挿入動作で、泡状になっています。秋子は髪を振り乱し、絶叫
しています。

激しい攻防が有り、20分もその絡みが続いたでしょうか、女が痙攣して、
悲鳴を上げて、男の体に両手両脚で絡みつき深々と逝きました。男はじっと
我慢しています。性器の接点から、透明な液が大量に流れ出て、シーツを濡
らしているのを彩香は朦朧とした目で見ています。彼女の右手は股間に押し
付けられていて、指が一本、深々と亀裂に挿入されています。

「フッツ・・・・、彩香さん・・、どう、ちゃんと見ていた・・」
「ハイ・・・、見ていました・・、凄いですね・・」
「そう・・、嫌な気分にはならなかったのね・・、
最後まで見てくれたのね、それは良かったわ、
ねえ・・、正直に答えて、大切なことだから・・・
今、あなたの指があそこに入っているの・・・」
秋子がかすれた声で彩香に質問をしています。秋子は股間に寺崎の肉棒を咥
えこんだままで、彩香はその景色から眼を離さないで、秋子の質問に答えて
います。彩香も興奮の頂点に居て、その声がかすれています。彩香は今なら
どんな恥かしい質問にも、正直に答えることが出来る状態です。

「ハイ・・・指を一本入れています」
「そう・・、それで良いのよ・・、どう・・、お尻まで濡れているの」
「ハイ・・、いっぱい濡れています」
「それはいいわ・・、もう、何も問題ないわ・・・合格よ」
秋子は男の体に組み敷かれていて、その下から顔を覗かせて、彩香の方を見
て、にっこり微笑みました。

寺崎探偵事務所物語(V)、 敦子の事件(34) 鶴岡次郎 投稿日:2006/07/13 (木) 23:30
秋子と寺崎がシャワーを浴びて、バスタオルで身体を包み、彩香の待つ居間に現
らわれました。一時間前、ここに集まった時に比べて、三人はすっかり打ち解け
ています。互いに恥かしい姿を曝しあった仲で、奇妙な親近感が三人の中に生ま
れています。彩香が準備していた、冷たい水をおいしそうに呑み、秋子が彩香に
笑みを浮かべて話しかけました。

「彩香さん・・、あなたには何も問題ないわ、大人の女として、
豊かな感性があるわ、あとは男性経験を積めばいいのよ・・・」
彩香は二人の絡みを間直に見ても、嫌悪感を持たないで、成熟した女らしく十分
興奮して、あそこを濡らしていました。彩香が少女の殻を割って、外へ出たこと
を秋子は確認できたのです。

「それで・・、どうする・・、貴方は十分大人になっているわ
このまま茂君に抱かれる日を待っても良いし、
ここで、寺崎さんに抱かれて、男性経験を積むことも出来るのよ
後はあなたの判断ね・・・・、私からはなんとも言えないわ」
二人が上手く合体するためには、彩香が寺崎を迎え入れて、体を慣らしておくの
が一番良いと思っていますが、それを無理強いすることは、彩香にストレスを与
えることになり、ここは彩香の好みに任せたほうが良いと秋子は判断したのです。

「お二人さえ、よろしければ、私、ぜひここで試したいの
秋子さんには申し訳ないけれど、
私、私、ここで、寺崎さんに抱いていただきたいと思っています」
彩香は秋子の問いかけを待っていたように、即答しました。彩香は身体をゆっく
りくねらせて、両脚を擦り合わせて、体の中に高まっている情欲と戦っている様
子さえ見せています。
バスタオルの隙間から顔を出している、寺崎の肉棒が先ほどから気になって、気
になって、もう股間をいっぱい濡らしているのです。あれで、一気に貫かれるな
ら死んでも良いとさえ思うほど、彩香は高まっています。

「そう・・・、そうだったの・・、
思ったより・・・彩香さんは大人ね・・」
彩香がかなり欲情して、バスタオルから顔を出している寺崎の股間のものに引き
付けられていることに、秋子はようやく気がつきました。秋子と絡み合って十分
汚れてしまって、いわば秋子が使い古した寺崎のものを彩香が生理的に嫌うかと
少し心配したのですが、それは余計な心遣いだったのです。逆に秋子の愛人を横
取りすると彩香は気遣っているのです。

「彩香さん、私と寺崎の関係はそんなものではないのよ・・・・、
まあ、そのことはいずれ、その機会があればお話しするわね・・」
そこで言葉を止めて、秋子は改めて、彩香を眺めて、自分が大きな思い違いをし
ていたことに気がついています。
事務所で初めて彼女を見た時は無垢で、何も知らないお嬢さんに見えた彩香が、
ここでは一変しているのです。おそらく生まれて初めて、男と女の絡みを見たは
ずですが、あの部屋で秋子と寺崎の絡みを見て彩香はすっかり変わりました。
たった一度の経験が少女を女に変えたのです。つつましく処女の殻に包まれてい
た彩香の女が一気に開放されたのです。

乱れたネグリジェの胸元から見える青白い豊かな乳房がほとんど露出していて、
その先端部がほんのりピンク色に色づいて、大きく脈動しています。彩香の情欲
はチロチロと燃え続けているのです。先ほどまで散々にそこを指で弄くっていた
部分はショーツが狭間に埋没して、膝上まで吊り上げられたネグリジェの裾は、
その部分をほとんど隠すことが出来ません。愛液で濡れた漆黒の影が十分にその
姿を現しています。
彼女はそれを隠そうともしないで、むしろ寺崎にそれを見せ付けるような仕草を
しています。息を呑むほどに新鮮なお色気があたりに発散されています。これほ
どの女なら、ただ側に立っているだけで男を奮い立たせるだろうと秋子はねたみ
と憧憬をこめて彩香を眺めています。

「じゃ・・、いいのね・・、彩香さん・・・・、後悔しないわね・・・、
そう・・・、準備が出来ていたらいつでもいいのよ・・・・どうぞ・・・」
秋子が彩香の眼を見つめて、事務的に伝えました。秋子の心中はいささか穏やか
でありません、彩香のあまりに見事な変身に抑えようとしても、抑え切れない嫉
妬心がとろとろと燃え上がり、つい口調が固くなっている秋子です。

「あの・・・、ちょっと良いですか・・・・、
秋子さん・・・・、私、避妊の方法を知らないの、
どうしたら良いか、教えてもらえませんか
ここで、赤ちゃんができると・・・、私、困るんです・・・・・」
妖艶な姿態とはアンバランスなあどけない口調で、母親に訊ねるように、秋子に
頼りきった表情で彩香は不安そうな声を出しています。これだから、この年齢の
女は分らないと、秋子はその心中を表情に出して、苦笑いをしています。こんな
他愛もないことを言う女性に真剣に嫉妬していた彼女自身に対しても笑っている
のです。

寺崎探偵事務所物語(V)、 敦子の事件(35)  鶴岡次郎 投稿日:2006/07/19 (水) 14:02
「ここでは、所長に全て任せるといいわ。病気の心配もないから
安心して良いのよ・・、貴方は何も気を遣わなくていいのよ・・・
ただ、茂君との時は・・・、そのことは、また別の機会にね・・」
どうやら避妊は女性が責任を持ってやるべきだと、どこかの雑誌でその知識を得
ていたようで、そのことで彩香は頭を悩ませていたのです。彩香はコックリ頷い
て、その心配が消えて、すっかり安心して、秋子に微笑んでいます。
秋子は彩香の手を取り、優しく微笑みを返しました。彩香の手が細かく震えてい
ます。秋子が嫉妬するような妖艶な姿態を見せていても、未知の世界に入る彩香
は、それなりに緊張と不安をいっぱい抱いていることを秋子はようやく知りまし
た。彩香へのいとおしさが体の中から湧き上がってきました。

「こんなに震えて・・、バカね・・・、嫌だったら無理しないで・・・
そう・・、武者震いなの・・、フフ・、それだけ言えるなら大丈夫ね
途中で痛かったり、怖くなったら、そう言うのよ
私も見ているから、いつでも助けに行ってあげるからね」
秋子は彩香をしっかり抱き締めて、何度も背中をぽんぽんと叩きました。彩香は
少し眼を赤くして、それでも微笑を秋子に返して、コックリと頷きました。よう
やく彩香の震えが止まり、寝室に入る決心が出来ました。
寺崎に腰を抱かれて、彩香は寝室に消えました。茂に抱かれて既に男を二度経験
している自信が彩香の背中を押していて、彩香は一度も立ち止まることもなく寺
崎に体を摺り寄せて、寝室に消えました。

彩香が寝室に入るのを確かめて、秋子は隣室に入りました。既に彩香はベッドに
寝かされて、上からの被さっている寺崎の唇を受け止めています。両手を男の体
に絡めて、かなり積極的に唇を吸っています。男の指がそろそろと伸び、彩香の
股間に届き、ショーツの上から亀裂の上をもぞもぞと動き始めました、その時で
す。
「アッツ・・、忘れていたわ・・、男の方に先ずサービスしないと・・」
彩香を抱き締めていた寺崎を押しのけてガバッと身体を起こし、寺崎を強引に
ベッドに倒し、腰のバスタオルを乱暴に取り外し、パックリと肉棒を咥え込みま
した。まさにパックリと音がするほど見事にくわえ込んだのです。
寺崎も苦笑していますし、秋子は抑え切れなくて、声を出して笑っています。そ
れでも寺崎のモノは、最初から十分大きく、彩香のサービスを必要としないほど
です。
彩香は両手で肉棒を握り、その感触を楽しみ、香を嗅ぎ、舌を突き出してアイス
クリームを舐める要領で丁寧に肉棒を舐めています。何度も、何度もアイスク
リームとか、胡瓜で練習した成果が見事に現れています。

程よいところで肉棒を口から外し、彩香は自分から身体をベッドに投げ出し、寺
崎の手を取り、両脚を開いて彼の頭を強引に股間に引き込もうとしています。秋
子がやっていたようにその部分を寺崎に舐めさせるつもりです。
やれやれといった表情で、寺崎が彩香のその部分に顔を寄せています。見ている
秋子はお腹を抱えて笑いこけています。
それでも、彩香のそこはもう十分濡れていて、股間から滴り落ちるほどになって
います、寺崎は顔を濡らしながら舌を伸ばし、丁寧に下から上へ舐め上げています。

「あ・・ん、あ・・ん、嫌・・・、そんな・・」
今まで感じたことがない感触に彩香はびっくりしています。それでもそのことを嫌
がっている様子は有りません、男と女がそうした行為をするものだと、先ほど秋子
を見て憶えましたし、股間から湧きあがる快感は決して嫌なものではないのです。
彩香は思い切って、脚をいっぱいに拡げました、恥かしさが消し飛んで、とっても
淫乱な女になった気分に彩香はなっています。そしてその手を寺崎の頭に添えて股
間に押さえ込みました。はじめてのクンニリンクスなはずですが彩香は脚を十分に
拡げて、そこに寺崎の頭を押し付けているのです。この姿を見る限りもう彩香は色
事に精通したベテラン女に見えます。

「あの子、随分感じているわ・・・・、

寺崎探偵事務所物語(V)、 敦子の事件(36) 鶴岡次郎 投稿日:2006/07/22 (土) 21:18
「あの子、随分感じているわ・・・・、
初めて舐められているはずなのに・・・・あんなに脚を開いて
あの年頃の女は本当に判らないわね・・・」
ベビードールのネグリジェをほとんど首まで巻き上げられ、ショーツを剥ぎ取ら
れ、両脚をほとんど180度にまで拡げて、彩香は本気で悶えています。
寺崎が何事か囁き、彩香が頷いています。大きく脚を開いたその中に男が腰を入
れ、手にした肉棒を亀裂に宛がいました。
かなり濃い目の陰毛に囲まれて、ふっくらした亀裂が、まさに亀裂と呼ぶにふさ
わしい、綺麗な割れ目が顔を出しています。小陰唇の食み出しもなく、可愛い淫
核が少し顔を出している以外はふっくらした外陰唇が見えるだけです。男はそこ
に肉棒の先端を押し当て、暫くその景色に見惚れていました。見慣れた秋子のそ
こに比べて、その景色は正に少女の姿そのものです。出来ることなら、そのまま
いつまでもそっとしておきたいと中年男は思っています。

「彩香さん・・、入れていいね・・、少し痛いと思うよ・・」
愚問だと知りながら、寺崎はもう一度彩香の意志を確かめました。彼女が止めて
ほしいと言えば直ぐにでも肉棒を納めるつもりです。しかし、彩香は眼を閉じて、
コックリとうなずき、さらに脚を拡げています。その部分からも新しい透明な液
が湧き出ています。中年男は観念しました。俺の行為は決して間違っていないと
もう一度自分自身に確かめています。そうして、今この時になっても、こんな仕
事を引き受けなければ良かったと悔やんでいるのです。

寺崎は腰に力を入れて、肉棒を押し込みました。きつい感触がして、亀頭が入り、
さらに腰を押すとズブズブと陰茎がその中に吸い込まれてゆきます。彩香は必死
で苦痛に耐えている様子で、歯を食いしばり、唸り声を出し、身体をそらし、身
体を上へずらせています。それでも拒否の叫び声をじっと我慢しています。あま
り痛がったり、嫌がったりすると隣の部屋で見ている秋子が吹っ飛んでくる心配
があるのです。その意味で、彩香は余計な気を遣わなければいけなくなっている
のです。いわば母親同伴で破瓜の儀式に臨んでいるような心境です。

男は彩香が体を移動させるのに合わせて、腰を前に押し出しています。もう、男
は彩香の身体から振り切らないようにするので精一杯です。
凄い声を出し、全身で男を振り切ろうとして、彩香は身体をくねらせ、身体を上
へ、上へと移動させていて、広い円形ベッドの端から頭が食み出すほどになって
います。
秋子は二人を見ていて、それが男の女の絡みではなく、組み合っているレスラー
を見ている気分になっています。大柄な女がフォールを避けようとして、必死で
男をふるい落とそうとしていて、男はそうはさせないと、小柄ですが太い身体を
女の上に載せて、必死で女を押さえ込んでいるのです。

男の腰が力強い突きを繰り出し、陰茎が十分に亀裂に打ち込まれました。ずっと
彩香を見守っていた秋子は思わず椅子から立ち上がっています。そして陰茎が十
分に挿入を完了した時点で、どっかりと腰を落としました。ここまで来れば痛み
も苦痛もないことを経験上で秋子は知っているのです。秋子の目尻から涙がなぜ
か流れています。
切り裂くよう悲鳴を上げて、彩香が身体を震わせています。そして、力尽きたよ
うに男の体に両手を絡めています。二人はそのまま凍りついたように動かなくな
りました。
秋子の視線の先に両手、両脚を男に絡めている女の股間が良く見え、寺崎の肉棒
がその全身を深々と亀裂に埋没させています。性器の合体しているところにピン
ク色に染まった泡が湧き立っています。

寺崎は彩香から体をゆっくりと離して、まだ意識が戻らない彩香の上にそっと掛
け布団を掛けて、部屋を出ました。彩香は興奮と疲れから深い眠りに落ちていて、
もうどんなことをしても目覚める様子では有りません。

隣室で全てを見ていた秋子はほっと大きな息をついています。真剣に絡み合う男
と女の姿にはいささかも淫乱な雰囲気は感じられず、そこには男と女の命の叫び
があったのです。鮮血の証を見て秋子の頬に涙が止め処なく流れています。
彩香の破瓜の儀式に立ち会って、秋子の中に言い知れない感動がこみ上げている
のです。これから始まる長い愛憎渦巻く彩香の人生を思って、それに過ぎ去った
自分の人生を重ね合わせて思わず秋子は涙したのです。

「終わったわね・・・」
部屋に入ってきた寺崎に、秋子は振向いて短い言葉を掛けました。寺崎は秋子の
言葉に、軽く頷いて、棚の酒瓶の所へ真っ直ぐに歩いています。うつ伏せになっ
て寝ている彩香の姿がゆっくりとカーテンの陰に隠れて行きます。秋子が境の
カーテンボタンを作動させたのです。彩香は朝までぐっすり寝ることになります。

寺崎探偵事務所物語(V)、 敦子の事件(37) 鶴岡次郎 投稿日:2006/07/26 (水) 23:40
寺崎は裸体にバスタオルを巻き、ソファーに深々と腰を下ろし、ブランデーグラ
スを傾けています。秋子が奇妙な笑みを浮かべて、そんな寺崎をじっと見つめて
います。大きな仕事をやり遂げた寺崎に秋子は拍手を送りたい気分です。
「あれで本当に良かったのかな・・・
まさかと思ったが本当だったね・・・、知っていれば・・・」
寺崎がポツンと呟きました。この部屋に入ってきた時から、彼はずっとそのこと
を考えていたようです。彩香の処女膜を自分が切り落としたことを寺崎は思い悩
んでいるのです。ここへ来てもあの仕事は請けるべきでなかったと彼は悔やんで
います。

「いいのよ・・、彼女が決めたことだから、貴方は良くやったわ・・、」
彩香の処女を奪ったことを寺崎が思い悩んでいることを秋子はよく知っていまし
た。寺崎の感覚ではこんな形で好きでもない中年過ぎの男に処女を与える彩香の
安易な心理が理解できないし、それに乗った彼自身の思慮の無さを悔やんでいる
のです。
「彩香さんは二度も茂君に抱かれているのよ、
未遂に終わったにせよ、彼女は彼に処女を捧げたつもりよ、
貴方は彼女の軌道を広く開いただけよ」
「軌道を広く開いただけか・・・、上手いことをいうね
確かに、俺は彼女と茂君が上手く嵌り合う為の掃除屋なのだね」
「そうよ・・、今度、茂君が失敗したら・・・
ちょっと危ない状態になるわ・・・、彩香さんも、茂君もね
貴方は二人にとって救世主になると思うわ、きっと、
だからね、くよくよしないで、大威張りで居なさい」

明子の慰めを得て、寺崎は幾分か気が安らぎました。それでも、もうこんな仕事
は絶対請けないと心で決めています。そして大きな伸びをして、ゆっくりと立ち
上がりました。全身が疲労感でいっぱいです。
「一休みするか・・・、君には申し訳ないがこのまま寝かせてもらうよ」
寺崎は秋子が十分満足していないことを知っているのですが、もう余力が残って
いないのです。秋子がにっこり笑って、頷いています。夜半を回っているのに、
車の音が潮騒のようにこの部屋に響いてきています。女は黙りこくったまま、い
つまでもそこに座っていました。

それから一週間が経過しました。この間毎日のように、彩香は寺崎を呼び出し、
彼に抱かれました。彼の部屋で会ったり、街のホテルで会ったりしました。三度
目に抱かれた時、彩香は挿入時に初めて感じ、女が逝く感覚を知りました。
4度目からは男を見ると濡らしはじめ、フェラでも、クンニでも、十分感じて滴
るほどの愛液を出すようになりました。そして太い肉棒をその中に迎え、男の攻
撃を受けて、彩香は何度も逝き、最後には失神して男が彩香から離れていくのを
知らない状態になりました。
五度目の時、これが結果として寺崎と彩香の最後の出合いになったのですが、彩
香は秋子を呼び出しました。最初の時と同じ様に寺崎の部屋に集まり、三人が
シャワーを済ませ、それぞれにバスタオル一枚の姿になって居間に座っています。

「寺崎さん、秋子さんのおかげで、私、自信が持てるようになりました。
今日はそれを、秋子さんに見ていただきたいのです」
言い終わると、彩香は二人を見てにっこり笑い、立ち上がり、寺崎に抱きつき唇
を合わせました。寺崎は戸惑いながら彩香を抱き締めています。彩香は寺崎のバ
スタオルを剥ぎ取り、彼女のバスタオルも巧みに床に落としました。
寺崎のモノはもう十分になっています。彩香は手を伸ばしそれを巧みに手でしご
いています。見れば彩香の亀裂から、透明な液が流れ出て大腿部を濡らし始めて
います。
二人は立ち上がり、寝室へ向かっています。
「秋子さん・・、良かったら側に居て・・」
秋子は苦笑を浮かべて彼等の後に続いています。

彩香は円形ベッドに背をつけて、両手両脚を開いて寺崎を呼び込んでいます。一
週間前はただの亀裂であったそこは、内部からサーモンピンクの内壁がはみ出て、
淫核はほぼ全身を露にせり出し、小陰唇さえもその形がはっきり見えるように
なっています。勿論そこは洪水のように愛液であふれているのです。
「寺崎さん・・、来て・・、入れて欲しい・・・」
秋子が円形ベッドの側の椅子に座っているのを知っていながら、そちらに向けて、
彩香は股間を曝しています。寺崎が彼女の脚の間に入り込み、彼女の両脚を持ち
上げて、肩に担ぎ上げました。彩香の亀裂が割れて、そこは大きな口を開いた淫
獣の様相に変化しています。

寺崎がそこに口を付け、激しくそこを吸い始めました。
「ああ・・・ん、だめ・・、それに弱いの、知っていて・・・ああ・・
寺崎さん・・・・、ああ・・いい・・、もっと・・むむ・・・」
彩香は軽く逝ったようで、亀裂から透明な液が音を立てて流れ出て、シーツに大
きな染みを作っています。秋子が始めて見る彩香の潮です。

寺崎の肉棒を飲み込んでからは、ある時は両脚を腹にくっつけて男の身体の下で
呻き、ある時は男の上に乗って身体をゆすって絶叫し、ある時は後ろから貫かれ
て、唾液を垂らして失神し、最後には、上に居る寺崎を両手両脚で抱き締め、股
間から大量の潮を吹き上げ、失神して果てました。

「・・・秋子さん、どうでした・・・、私、変わりましたか」
愛液と潮で濡れたシーツの上にだらしなく脚を崩して、彩香は側に居る秋子に話
しかけています。秋子は不覚にも股間に手を入れていて、それを彩香に見つかり
ました。秋子は股間に入れた手をそのままにして、彩香に笑顔を浮べてウインク
しました。
「出来すぎよ・・、もう十分卒業よ・・、おめでとう・・
私、他人のセックスを見て、こんなに感じたのは初めてよ・・」
秋子はそれだけ言うのがやっとでした。体が疼いて、どうにもならないです。寺
崎が発射を我慢したの知っていて、ゆっくり立ち上がり、ベッドに上がり寺崎に
抱きつきました。

彩香が笑みを浮かべて、秋子の背中から手を回し、彼女の乳房を触っています。
寺崎は彩香の愛液で汚れた肉棒をそのまま、秋子の中に一気に入れ込みました。
消え入りそうな声を上げて、秋子は両手両脚で寺崎に絡みついています。
彩香は笑みを浮かべて、ベッドから降り、そっと寝室を出ました。彩香がシャ
ワーを使い、衣服を整えたころ、秋子は悲鳴を上げ、白目を剥いてけいれんし
て何度目かの頂点を極め、果てました。寺崎は秋子の中に我慢に我慢を重ねて
いた男の液を噴出してそのまま息絶えたように秋子の側に体を横たえています。
二人はそのまま、深い眠りに落ちて、彩香がそっとこの部屋を出たのを知りま
せん。


寺崎探偵事務所物語(V)、 敦子の事件(38) 鶴岡次郎 投稿日:2006/07/28 (金) 00:26
だいぶ話が長くなりましたので、このあたりで少し今までの経過を整理しておき
ます。
今井敦子はコンピュータソフト会社を経営する前原と離婚して、結婚前に勤めて
いたデパートに復帰してそこで金子武と出会い婚約するまでになりました。金子
の所へ敦子の恥かしい写真を収録したCDが届きました。この犯人探しが寺崎探
偵事務所に持ち込まれました。一番疑わしい前原には敦子が直接会い白と断定し
ました。寺崎探偵は敦子の周辺を調べて、3人の容疑者を搾り出しました。
第一容疑者、銀座ホステス美紀子はかって金子が結婚まで考えた相手です。敦子
の登場で美紀子は金子を失って失意の底に居たのですが寺崎の調査で彼女への容
疑ははれました。

第二容疑者、前原茂、前原の甥で敦子に憧れている少年で、彩香という同い年
の恋人が居ます。茂の心から敦子を追い出すため、彩香は自分の身体を茂に投
げ出しました。しかし、中学生時代、茂は憧れの敦子の恥かしい写真を見たこ
とでトラウマが残り、彩香を抱くことが出来ませんでした。
悪戯写真の犯人探しを一時中断して、敦子は茂と彩香が無事結ばれるために、
茂のトラウマ治療に一肌脱ぐことを決意しました。一方、彩香は性的な無知の
ため茂を追いつめたことを恥じて、男を勉強するため寺崎探偵事務所の門を叩
きました。彩香は寺崎が舌を巻くほど完璧な女に変わりました。後は茂が敦子
の手でどう変わるか楽しみです。

彩香が始めて寺崎探偵事務所を訪ねた頃、敦子は3日ほど休みを取り、週末に
掛けて5日間の予定で奥丹沢のひなびた温泉宿に来ています。どのように説得
したのか、茂も同行していて、二人で一部屋を取っています。この不思議な組
み合わせの二人が宿にやってきた時宿の人達は興味津々でしたが、敦子の上品
な振る舞いと過分のチップの効果もあって、女中たちは温かく二人を見守って
います。

そこは最寄の私鉄の駅から路線バスで40分ほど山道を入った所にある一軒屋
の温泉宿で、客室は15室ほどで、ここへ来る客はほとんどが近隣に住む家族
連れで、中年過ぎの年配者が湯治を兼ねてここを訪ねるケースが多いようです。
敦子達の部屋は母屋から渡り廊下で切り離された離れ屋で、二棟の離れ屋が
ひっそりと建っています。二つの離れ屋同士は接近していて、互いに寝室の声
さえ聞こえるほどの距離ですが、母屋からはかなり離れていて、内湯も完備さ
れています。
隣の離れ屋には中年のカップルが泊まっていて、ほとんど敦子達と同じ時間に
ここへやってきたようです。上品なカップルで、女性の笑い声が時たま聞こえ
てくる他は、静かに過ごしています。

「茂君・・、よく来てくれたわね・・私、嬉しい・・、
独身最後の夏を、一生忘れないものにしたいと思って
いろいろ考えて、茂君とここでゆっくりした時間を過ごすことにしたのよ
勿論・・・、金子さんも、前原も、誰もこのことは知らないのよ」
敦子は浴衣に着替えて、二人きりでお茶を飲みながら、茂の眼を見つめて、
微笑みながら話しています。

敦子から誘いがあった時、茂は迷わず彼女の誘いを受けました。その頃、
茂は彩香から別れ話を突きつけられ、相当落ち込んでいて、せっかく入学
した大学の授業にもそれほど身が入らない状態だったのです。
こうして二人きりになり、彼女の肌から立ち上がる優しい香を感じると、
あの中学生の頃が思い出させるのです。あの頃に比べて、敦子は明るく、
もっと綺麗になったと茂は眩しいような気持ちで彼女を見つめています。
それでも彼の敦子への気持ちは、少年が感じた女性への憧れの域を出て
いなくて、豊かな胸がかなり露になっている敦子の浴衣姿を見ても、彼
が劣情を高めるまでにはなっていません。

「お風呂に先に入りなさい、私は後から行くから・・」
この離れ屋は、8畳の寝室と、6畳の部屋が繋がっていて、6畳間か
ら玄関、洗面場、屋外内湯などへ行けるようになっています。8畳の
寝室は谷川に面していて、ちょっとしたベランダが有り、そこから丹
沢山系が正面に見えます。
屋外の内湯は、隣の離れ屋と共用になっていて、正面に丹沢山系が立
ちふさがり、谷川のせせらぎが部屋の中まで高く響いてきています。
隣との境に高さ一メートルほどの竹製の目隠しが有りますが、その気
になれば互いの浴室は一目で覗ける、おおらかな構造です。また、部
屋のベランダに出れば、そこから二つの浴室が良く見えます。

のんびりお湯に浸かって、檜の板敷きに火照った体を投げ出して、茂
は正面の山並みを眺めています。谷川から冷気が駆け上ってきて、心
地よい気分です。
「ああ・・・ん、ダメ・・・、ここでは・・・・、ダメよ
フフ・・・、でも・・、大きくしているわね・・・、ああ・・」
低い、押さえた女の声が茂の背後から聞こえてきました。この部屋に
入る時、隣の部屋の入口に立っている和服の綺麗な女性と眼を会わせ、
互いに挨拶をしました。声の主があの女性であることは確実です。振
向きたい気持ちを抑えて、茂は固まった姿勢のまま山を見つめていま
した。
「ああ・・・ん、Uさん・・・、ダメ・・・

寺崎探偵事務所物語(V)、 敦子の事件(39) 鶴岡次郎 投稿日:2006/07/29 (土) 21:36
敦子は宿の事務所に料理メニュー等の相談で残っていて茂が一人女中に案内され
てこの部屋の前まで来たのです。和服の女性は茂が一人で部屋にやって来た事が
判ったようで側に来て話しかけてきました。
「お一人・・、あらそう・・、お二人、学生さんかしら、珍しいわね、こんなと
ころに貴方のような若い方が見えるのは、私は今日から3日の予定でお隣に居る
わ、由美子と言います。よろしくお願いします、あなた方は・・、そう5日間も
居るの、良いわね」
茂は由美子に圧倒されたようにただ頭を下げて、自分の名前を言うのが精一杯で
した。全身から良い香がして、茂はポーとなって由美子の顔を見つめています。
茂には由美子の年はわかりませんが、母親とは勿論違うし、敦子とも違う上品で、
円熟した女性の雰囲気が漲っています、茂が初めて会う種類の女性です。こんな
人が世の中に居るのだと茂は半ば感動して由美子を見ています。

「ああ・・・ん、Uさん・・・、ダメ・・・
そんな・・、ああ・・・ん、もう・・・、後でね・・、ああ・・ん」
隣の浴槽から聞こえるの紛れもなく部屋の前で声を掛けてきた由美子です。声に
聞き覚えが有ります。あの時由美子も一人で居たようで茂に話しかけてきた時は
男の影も見えませんでした。あの由美子が浴槽で男と戯れている。あの上品な奥
様然とした由美子が浴槽で悶えている。茂は頭が混乱して胸が苦しくなりました、
もし許されるなら、大声で「止めて・・」と叫びたい心境です。

お湯の音がして、男と女が湯船の中で戯れはまだ続いています。茂はたまりかね
て、そっと身体を捻り、隣の湯船を覗き込みました。背の高い茂ですから座って
いても振向いて、少し首を持ち上げれば、隣の湯船を十分覗き込むことが出来ま
す。
女の顔が茂の方を向いていて、男が後ろから抱き締めて、女の体を触っているよ
うです。確かに部屋の入口で簡単に挨拶したあの夫人です。上気した顔に乱れた
毛が張り付いていて、夫人は白い喉を上に向けて、喘いでいます。
男が夫人を抱き上げ、湯船の中で夫人を横に寝かせました。小ぶりの乳房も、暗
い陰毛もほとんど水面から浮かび上がって、茂から良く見えます。男は女を抱き
上げたまま、女の体に唇を這わせています。女はもう逆らうことはしないで、
ゆっくり両脚を拡げています。男の唇は当然のように股間に吸い付いています。
女はさらに股を開いて、そこを完全に男に開放しています。

男はゆっくり女を抱き上げ、檜の板敷きに女を横たえました。その時、男の背中
に極彩色の竜が踊っているのを茂は見ました。女がその竜に手を掛けて、男を引
き寄せ、唇を合わせています。
その時、そっと柔らかい体が茂の背中に押し付けられました。
「アッツ・・、敦子さん・・・」
「シッ・・・、黙って、このまま見学しましよう」
敦子が茂の体に裸体を押し付けながら、彼の耳にそっと囁いています。

隣では、女が男を寝かせて、肉棒を両手に取り、それを丁寧にしゃぶり始めまし
た。
「茂君・・、あのようにあそこを舐められるのは嫌い・・」
茂はコックリ頷いています。彩香にその部分を咥えられた時も、茂は恥かしさと、
不潔なものを口にする彩香に申し訳なくて、慌てて、それを彩香から取り上げた
のです。
下にいた男が肉棒を女の口に預けたまま、身体を回転させて、女の股間に頭を入
れて、亀裂に舌を伸ばしています。
「あれは女にとって、とっても気持ち良いのよ
ほら・・、上に居る女の人、随分喜んでいるでしょう
茂君は、あんなこと女の人に出来るかしら」
茂が首を傾けています。どうやら、自信がなさそうです。

敦子は後から乳房を茂の背中に強く押し付けて、左手を伸ばし、茂の男根に触れ
ました。ピックと身体を震わせていますが、敦子の手を振り解くことはしません。
茂のそれはそれほど緊張していません。
隣の男と女は、唸り声を上げながら、互いの性器を口と手で刺激しています。こ
れ以上は無理と思えるほど両脚をいっぱいに開いて、女はその中に男の頭を受け
入れています。とても頬張り切れない肉棒を両手で握り、女は舌を突き出し、丁
寧に肉棒を下から上に舐め上げています。
大自然に抱かれて、生まれたままの姿になって、欲望をむき出しにして絡み合い、
誰憚ることなく、互いの性器を一心に舐めているオスとメス、それには淫靡な影
はなく、迸る命の喜びが感じられます。

茂は、由美子の喘ぎ声を聞いた時、あの婦人にはそんな事をして欲しくない、も
しそんなことをしていたとしても自分は見たくないと思っていました。その行為
があの上品な由美子を汚すと考えたのです。茂の中では綺麗な女性はその全てが
綺麗であって欲しいのです。男に抱かれて悶えるような汚いことをして欲しくな
いと思っているのです。あのグロテスクなものが由美子の股間にあることも信じ
たくない気持ちなのです。

[Res:] Re: 寺崎探偵事務所物語(V)、 敦子の事件(39) 鶴岡次郎 投稿日:2006/07/29 (土) 21:48
読者の皆様
関東もいよいよ来週から梅雨明けのようです、それにしても今年もまた、
異常天候でしたね、各地で起きた被害の大きさに胸を痛めております。
被災された方に、心からお見舞い申し上げます。
ところで、「由美子の冒険、オーストラリア編」は暫く休みます。ご了
承ください。当面、敦子の動向を追うことにします。
                        ジロー

寺崎探偵事務所物語(V)、 敦子の事件(40) 鶴岡次郎 投稿日:2006/07/31 (月) 23:37
実際にこうして二人が一心に高めあっている姿を見ると茂の中からあのどろどろ
した嫌悪感が消え始めています。雄大な丹沢山系を背景に、濃い湯煙漂う中で淡
い電灯の光に浮かぶ、絡み合う男女は茂が想像していたようなおぞましいもので
はないのです。股間を男に開放して喜悦に顔をゆがめて、男根を頬張って居る由
美子の顔には、茂の知らない女性の美しさ、妖艶さがあふれています。その表情
も、その喜悦に揺らいでいる裸体も、そして男の舌を受け入れているその部分も
あの上品で、綺麗な由美子とは違う魅力に溢れていて、こんな由美子も好きだと
茂は思い始めています。

男女のこうした絡みはインターネット上の映像で茂は十分知っていました。しか
し、こそこそ見ていたあの陰湿な絡みとは全く違う風景が目の前で展開されてい
ます。男と女の声にも、命の叫びが感じられるのです。茂は男女の絡みがこんな
に美しく、生き生きとした喜びに溢れた行為であることにやっと気がついていま
す。上品で、綺麗な由美子が我を忘れて悶えている恥かしい姿態もそれは女性の
数ある中の一つの表情だと悟ったのです。そして、愛し合う、男と女がたどり着
く頂点の行為がこれだと茂は理解しました。

「敦子さん・・、綺麗ですね・・、僕、感動しました」
茂の男根が極限まで緊張しているのを見つけて、敦子はその嬉しさで思わず茂を
強く抱きしめました。
「どう・・、あの二人にお願いして、もう少し見学させてもらう」
茂が恥かしそうに、コックリ頷いています。
彩香との性交で失敗したことを茂は誰にも話していませんが、あれ以来、あの失
敗の記憶は心の何処か引っかかっていて、何かの弾みで、欲望を感じるとそのこ
とが頭に浮かび、そして、敦子の恥かしい写真が現れてにっこり微笑むのです。
すっかり自信をなくして、本を読んで勉強しても、インターネットで映像を見て
も、茂の頭に彩香を抱く具体的な方法が浮かんでこないのです。そして、最終的
には自分の肉体にわきあがる欲望さえ茂は忌まわしいもの、綺麗で、上品な女性
を汚すものだと思い始めていたのです。
隣のカップルの絡みは、いろいろ勉強できるこれ以上望めない教材だと茂は考え
ました。それに由美子と言っていたあの婦人の乱れる姿をもっと見たくなってい
る茂です。何事にも生真面目で勉強好きの茂は許されることなら、最後まで彼等
の行為を見学したいと真剣に考えています。

隣の二人は、風呂場での戯れをそれ以上発展させるつもりはないようで、女が軽
く逝ったところで、二人は体を離し、湯船に身を沈めて、山並みを眺めています。
「あの・・・、失礼なことだと承知していますが、お二人を先ほどから拝見して
おりました、出来れば、もう少し見学させて欲しいのですが、ダメでしょうか・」
敦子が立ち上がり、裸を見せて頭を下げています。茂も慌てて立ち上がり、敦子
を見習って、急いで頭を下げました。
「僕は前原茂と言います。大学一年で、ほとんどその経験が有りません、先ほど
お二人の姿を拝見して感動しました。今まで、男女の行為は汚いもの、こっそり
隠れてやるものと思っていました、お二人の姿を見て、こんな感動的な男女の行
為があることに初めて気がつきました。出来れば、今後の勉強のため、見学させ
てください」
さすがに茂はしっかりしていて、ちゃんと筋道の通った説明をしています。直立
不動の姿勢で話しているのですが、背の高い茂の股間は、隣の二人から丸見えで、
それが元気に直立している様子を見て、由美子が口に手を当てて笑っています。

「あら・・、お隣の学生さんね、綺麗な方とご一緒ね・・、
そう見ていたの、かまわないわよ、いくらでも見てちょうだい、私達、もうお風
呂から上がるつもりよ、窓を開けておくから、ご自由に見学してちょうだい」
由美子が湯船の外に出て、茂の所に歩いてきて、優しくそれだけのことを伝えま
した。茂と敦子が頭を下げています。
由美子はタオルも持たないでそこに立っているので茂は由美子の総てを見ること
が出来ます。淡い茂みに覆われたそこは由美子にふさわしいものだと茂は思いま
した。今まで女性の裸体にその部分はアンマッチで、白い柔らかな曲線を壊すも
のだと思っていたのですが、由美子の場合はそれがそこにあるから、より一層裸
体が魅力アップしています。由美子は茂の股間をチラッと見てチョッと表情を動
かしましたが、側に敦子が立っているのに気が付いて、彼女はにっこり笑って彼
らに背を向けました。

二つの部屋には8畳の和室があり、そこに布団が敷かれます。

寺崎探偵事務所物語(V)、 敦子の事件(41) 鶴岡次郎 投稿日:2006/08/02 (水) 11:34
二つの部屋には8畳の和室があり、そこに布団が敷かれます。そしてこの部屋の
大きなサッシと障子を開けると、二つの寝室はほとんど隣合せと言って良いほど
に接近していることに気が付きます。何故こんな構造になっているのか不思議で
すが、二組のカップルが互いに見せ合い、刺激し合って絡み合うには好都合な配
置です。
由美子は裸体のままで、サッシと障子を開放しました。隣の部屋でも、敦子が同
じ様にしています。二人の女は至近距離で顔を合わせて、にっこり微笑み合って
います。初対面同士のはずですが、随分と親しい雰囲気です。ところで、敦子は
下着をちゃんとつけ、宿の浴衣をしっかり着ています。茂は浴衣姿で布団の上に
座って、じっと由美子の裸体を目で追いかけています。Uは見事な裸体を布団の
上に大の字に投げ出しています。

煌々と照明が照らす床の上で由美子が男の身体の上に載って、全身を使って彼の
身体を愛撫し始めました。男の身体が見る見るうちに愛液で濡れています。茂と
敦子は部屋を暗くしてその様子をじっと見ています。観客と由美子達との距離は
3メートルは有りません。Uの股間が驚くほどの大きさになり、それを見ている
敦子がたまらなくなって眼を閉じ、ソッと股間に手を持ってきています。
由美子が男の上に座り肉棒を片手で握り、ゆっくりとその上に腰を落としていま
す。敦子はもう指を入れて激しくその部分を擦っています。茂はただじっと由美
子達を見ています。茂は敦子を時々見ますが彼女の変化に気が付いている様子で
もなく、彼女に手を出す雰囲気でもありません。

由美子が完全に肉棒を飲み込み、激しく身体を上下始めました。茂たちの所へも、
二人の性器が絡み合う激しい水音が聞こえてきます。
「茂君、どう、凄いわね・・、ああ・・・、私、私我慢できないわ・・
私を抱き締めて、そう・・、もっと強く・・」
茂は敦子の腰に手を回して優しく抱いています。そして敦子の言葉に従ってさら
に強く彼女を抱き締めています。敦子は右手を自分の股間に入れてその部分に指
を入れていて、首を仰け反らせて、彼女の唇が茂のそれを求めてあえいでいます。
茂は敦子の唇にソッと口を付けました。敦子が激しくそこを吸っています。茂も
敦子の舌に舌を絡めて彼女の唇を吸っています。ただ、茂はそれ以上の行為に移
りません。

「通常の状態では異常は感じられないと思います。異性を意識して、ことに及ぼ
うとした時、彼の中に強い拒否反応が発生して、彼は急激に萎んでしまいます。
したがって、彼の頭脳には性的刺激をいくら与えてかまわないのですが、彼が自
分の意志で女性に手を出すまでは、貴方から仕掛けないで下さい」
敦子が面談して指導を受けた精神科医から彼女はこの指示を受けているのです。
したがって、由美子達の絡みを見て、茂も敦子も十分興奮している場合でも敦子
は自分から裸になって、彼の肉棒に接近するなどの行為は慎まなくてはいけない
のです。茂が敦子の衣服を取り去って、彼の肉棒を敦子に挿入させるよう仕向け
ることが大切なのです。その時、彼がプレッシャーや焦りを感じる行為は勿論い
けないのです。

敦子は高まる体の疼きに耐えられなくなって、茂の唇に噛り付いて、呻き声を出
しながら右指を激しく使っています。茂は敦子を抱き締め、彼女の唇を比較的冷
静に受け止めています。
由美子と男は身体を反転して、男が由美子の両脚を海老のように折り曲げて、腰
を女の腰に激しくぶつけています。男の背中の竜が由美子を犯しているように見
えます。時々由美子の亀裂から姿を現す男の分身がクリーム状になった愛液で
真っ白になっています。激しい水音と、二人の男女が吐き出すうめきとも、うな
りとも判別できない声が茂と敦子の耳に届いています。
そして、二人の男女の激しい絡みが40分も続いた時、竜が痙攣して大きな唸り
声を発して、その激しい動きを止めました。竜に組み敷かれて足掻いていた由美
子が竜に両手両脚で噛り付いて高い悲鳴を挙げて、彼女もまた痙攣を起こして果
てました。

茂と敦子は抱き合ったまま、じっと二人を眺めています。敦子は指を三本も亀裂
に埋没させて、由美子達の昇天にあわせるようにして気をやりました。茂も敦子
を抱きしめ、股間をそれなりに緊張させていますが、側で熱い眼をして彼を見て
いる敦子に仕掛けようとはしません。暫く禁欲状態が続いている敦子は由美子の
絡みを見て、もうたまらなくなっていて、茂の股間を浴衣の上から触っています。
この行為は医者が禁止した行為すれすれのものですが、興奮状態に居る敦子のこ
の行為を責める事は出来ません。もう少し張りが出れば十分に使い物になる、
いっそ、このまま上に乗って茂を犯すことも敦子は考えたのですが、精神科医の
忠告を思い出し、かろうじて茂を襲うことを思い止まっています。

「彼がその気にならなければ、少し休んで、もう一度というように、飽きず繰り
返し彼の頭脳に性的な刺激を与えるようにしてください。焦りは禁物です・・・・

寺崎探偵事務所物語(V)、 敦子の事件(42) 鶴岡次郎 投稿日:2006/08/03 (木) 17:19
「彼がその気にならなければ、少し休んで、もう一度というように、飽きず繰り
返し彼の頭脳に性的な刺激を与えるようにしてください。焦りは禁物です。一度
でも彼が失敗すると傷口がさらに拡大して、彼の病状はさらに進行します。彼の
相手をする貴方が燃え上がるのはそれはそれで良いのですが、何度も言いますが、
彼に無理強いしないようにしてください」
性的な刺激で敦子が燃え上がり、それほどでない茂を無理やり犯そうとする状況
を精神科医には予見できていたようで、敦子が茂に襲い掛かるのを戒めていたの
です。この治療はそれを担当する女に辛い辛抱を要求するものです。

「茂君、どうだった、凄いね、私我慢できなくて、自分でしてしまったわ、ほら
こんなになっているのよ」
敦子は股間から抜き取った指を茂に見せています。茂はその指を見て、その香を
嗅いで敦子を睨むようにして見ています。隣の部屋では、Uがゆっくりと起き上
がり、風呂場に向かっています。由美子は茂達に股間を開いたまま、ぐったりと
して身体を投げ出しています。
「あら・・茂君、隣の奥さん見てごらん、失神しているのね、凄いわ、女として
生まれた以上、セックスで失神する経験を私も一度は味わいたいわ」
由美子の股間から白濁液が流れ出し、シーツを汚しています。それに視線を向け
ながら、茂は敦子の話しかけにもほとんど反応しません。茂は何かにじっと耐え
ている様子です。敦子は茂が何を考えているのか判りません。茂の股間は明らか
に反応しています。それでいて、側に居る敦子に手を出さないのです。

茂は彼なりに十分興奮していて、側に居る敦子を抱きたい気持ちは強いのですが、
もう一人のクールな茂が現れて敦子に襲いかかろうとする茂を押しとどめるので
す。茂の心の中で二人の茂が激しく戦っているのです。彼が欲情するといつもこ
の現象が起きるのです。茂はまたこの戦いが始まったと覚めた気持ちで自分自身
を見つめています。この年頃の青年たち特有の目も眩むような情欲を身中に感じ
ていながら、それを抑制する強いもう一つの感情が働いているのです。これでは
茂でなくてもたいていの男は参ってしまって、女を避けるようになります。

「敦子は茂に抱かれることは望んでいないよ、綺麗なままで居たいと思っている
のだよ、ここで茂が襲い掛かると敦子を悲しませることになるよ」
もう一人の茂が情欲に狂った茂にアドバイスしています。
「だけど・・、敦子さんも興奮して自分で慰めているよ、敦子さんもあの由美子
さんと同じ様にセックスが好きな女性の一人だよ」
情欲に狂った茂が反論しています。
「それは違うよ、あの綺麗な花嫁姿の敦子さんを覚えているだろう、敦子さんの
本心はあの姿で居ることだよ。君に訊ねるが、花嫁姿の敦子さんとあの写真の敦
子さんのどちらが好きなの」
クールな茂が勝ち誇ったように、もう一人の茂を見下しています。
女性の本心はあの花嫁姿にあって、あの写真の中に居る、淫乱な敦子はひどい男
に無理やりそうさせられている結果だと茂は心の深いところで信じているのです。

この感情は茂が中学生の時形成されました。花嫁姿の敦子を見て女性に目覚め、
そしてその敦子が夫の酷い仕打ちに合って、恥かしい姿をネット上で曝され、悩
み、そして傷ついて、離婚したと茂は理解したのです。そして、花嫁姿と、恥か
しい写真の印象があまりに強く、この二つの記憶が茂の理性を超えた奥深い所に
しまいこまれてしまったのです。
女性を抱こうとすると、茂の理性を超えたところにしまいこまれていた、その記
憶が引き出されて、クールな茂が現れて、茂の獣欲が暴れるとまた女性を悲しい
思いにさせるよと警告を出すのです。茂は当然萎んでしまいます。この奥深い所
にしまいこまれている記憶を消し去ることが今回の治療目的です。そのため、精
神科医が敦子に処方箋を書き、敦子は身を挺してその処方を実践しようとしてい
るのです。

隣の部屋の灯りが消されて、ショウは終わりました。敦子と茂は並んで布団に横
になっています。先ほどの興奮で二人はなかなか眠ることが出来ません。茂は由
美子の乱れた姿を思い出して、肉茎を強く握り締めています。こうした自慰行為
ですら茂はやましい行為と考えていて、そのたび毎に自己嫌悪感が増すのです。
快感がその部分から湧きあがってきて、茂は湧き出そうになる声を抑えて精気を
搾り出しました。敦子は茂の行為に気が付いていますが彼女自身もわが身の高ま
りを茂同様やはり指で押さえ込むしか術がないのです。茂とほとんど同時に気を
やりました。若い二人です、それから間もなく二人は深い眠りに落ち込みました。

翌朝、二人は由美子達と一緒に朝食を摂りました。

寺崎探偵事務所物語(V)、 敦子の事件(43)  鶴岡次郎 投稿日:2006/08/04 (金) 11:11
翌朝、二人は由美子達と一緒に朝食を摂りました。香の高い味噌汁、近海で取れ
た鯵の干物、そして野菜の煮物、決して豪華では有りませんが味もボリュームも
十分なもので、茂は皆が目を見張るほどの食欲を見せました。
「凄いわね、さすがのUさんもかなわない食欲ね、若いのね・・、ねえ、茂君、
昨夜、君はセックスに関しては初心者だと言っていたけれど、勿論経験はあるの
でしょう」
由美子が普通の会話のように茂の一番言いたくないことにさらりと触れています。
敦子ははっと驚いていますがその驚きを表情に表さなかったところはさすがです。

「君ほどの良い男だから、恋人は居るでしょう、彼女とはどうなの、言ってしま
いなさいよ、ここに居るUさんだって最初は慌ててしまって上手く出来なかった
のよ」
由美子が側に居るUを流し目で見て、彼が16歳の頃、初めて女と接した時の話
をし始めました。
「それが可愛いいのよ、女の人に接する前に出してしまって、それで最初はダメ、
二度目はその後直ぐに元気になってチャレンジしたのだけれど、今度はうまくや
ろうとして、緊張で萎んでしまって、今度もダメ。結局その日は女の人に頭を下
げてすごすごと帰ったそうよ」
由美子が面白そうに話す側でUは平然と食事をしています。

「そうですか、あんなに立派なご主人でもそんなことがあったのですか・・、
それで何時ちゃんと出来るようになったのですか、何か特別の勉強をしたので
すか」
茂はUの経歴に関心を持ったようで、Uに向かって真剣な表情を見せて尋ねて
います。
「つまらん話しだよ、随分昔の話でよく覚えていないが、確か商売女が相手で
兄貴に連れられてそこに登楼したのだが、二度ほど失敗して三度目に親切な女
に行き当たって、いろいろ教えてもらってやっと成功したことを憶えているよ、
それでも暫くは女を抱くことが不安で、そのせいかその当時は女がそれほど良
いものでないと思っていたよ」
Uは茶碗を手にして、ゆっくりと30数年前を思い出しながら話しています。

「ねえ、可愛いいでしょう、そのUさんが昨夜見たように凄い男に変わってい
るのよ、判らないものね・・・・。男と女は少し違うのかもしれないわね、私
なんか最初から良い気持ちになって、こんな良いものはないと思ったわ、敦子
さんはどう・・、そうやっぱり、女は皆そうなのよ、きっと・・・」
女は総てセックス好きで、初めから快感を感じる生き物だと由美子は無責任に
分析しています。茂はUの話にかなり勇気付けられたようで、しきりに頷いて
います。

「ねえ、茂君・・、君の話を聞かせて、聞きたいわ、男の人のそういう話に
とっても興味あるのよ、最初の人は誰、その人とは上手くできたの、このUさ
んだって失敗したのだから、君が最初からうまくやれたはずはないと思うけれ
ど、聞きたいわ」
由美子はかなり執拗に茂に迫っていますが、茂は苦笑いを浮かべているものの、
態度に余裕があり、特に恥じている様子でも、由美子の質問を疎ましく思って
いる様子ではありません。
「3年ほど前でした。まだ僕が高校生で、相手は幼馴染の同級生でした。敦子
さんは彩香をご存知ですよね」
敦子がコックリ頷いています。由美子からおおらかに質問され、Uの失敗談を
聞かされ、自分の経験がそれほど恥かしいものではないと思い始めたようで、
茂はこの人たちなら自分の失敗談を少しくらい話しても良いと思ったのです。

「その子が好きで、彼女の部屋でキッスしている内に、彼女が自分で裸になり
ました。そして彼女は僕のベルトを外して・・」
3年前のことですがかなり正確にその日のことを茂は記憶しています、それに
話し出すと今まで澱のように心の中に溜まっていたものがきれいに吐き出され
るような気になって、気持ち良くなることに気が付いています。茂は三人に総
て話すつもりになっています。

彩香は着ているものを素早く脱ぎとって、茂の前に跪き、ズボンをショーツと
一緒に脱ぎとりました。そして目の前に現れたものに向けて大きく口をあけま
した。不潔なものを彩香がいきなり咥えたことを茂はびっくりしています。そ
してその生ぬるい感触に耐えられなくなって、急いでそれを彩香の口から回収
しました。そうした行為があることはもちろん茂も知識として持っていました
が、まさかここで彩香がやるとは思ってもいなかったのです。

彩香に先制攻撃をされ、自分がそれに耐えられなかったことを恥じて、茂は劣
勢を挽回しようとして、いきなり彩香をベッドに押し倒し、彼女の上に圧し掛
かり、脚を拡げて強引に挿入行為を開始しました。その時、あの花嫁姿の敦子
と、局部を片手で開いて微笑んでいるいやらしい敦子が交互に現れて茂を妨害
したり、応援したりしました。彩香は大人しく茂を待っています。茂は先端を
挿入したところで力尽きて萎えてしまいました。それでも彩香は声を出して茂
を迎え入れたつもりになっていました。二度目も同じでした。
茂はこの状態では彩香を満足させることが出来ないと思い、暫くは彩香を抱か
ないと彼女に伝えたのです。

彩香の身体では物足りなくて彼女を当分抱かないと、茂の言葉をそのように彩
香は受け取りました。彩香はその辛い宣告に堪えて、涙も出しませんでしたが、
数日後、彩香は暫くは会わないようにしようと茂に伝えました。
彩香を女に出来なかった茂を彼女が蔑んで離れていったと、彩香の言葉をその
ように茂は受け止めました。こうして愛し合っている二人は互いに誤解をした
まま離れて行ったのです。

「彩香を抱こうとすると、そんな事をしてはいけない、きれいな彩香を汚して
はいけないと、僕の中で声がするのです。それで、十分になりきれなくて、彩
香を抱くことが出来ませんでした。そんな僕を嫌って、暫くは会わないように
しようと彩香が言い出しました。仕方ないですよね・・こんな状態では」
茂は全部話し終わって、久しぶりにすがすがしい気分になっています。こんな
気分になるのならもっと早く誰かに告白すればよかったと茂は思っています。

「素晴らしいお話ね、若いってことは素晴らしいと思うわ、感動したわ、どう
Uさん、昔を思い出したでしょう。・・・・・

寺崎探偵事務所物語(V)、 敦子の事件(44)  鶴岡次郎 投稿日:2006/08/05 (土) 10:47
「素晴らしいお話ね、若いってことは素晴らしいと思うわ、感動したわ、どう
Uさん、昔を思い出したでしょう。
ところで茂君、君は誤解しているわ、彩香さんは君が失敗したことなど気が付
いてないわよ、暫く会わない様にしようと言ったのは、君が彼女を抱かないと
宣言したのが悲しかったのよ、女は好きな男から抱きたくないと言われたら、
それは悲しいものよ。自分の体に欠陥があると思っているかもしれないわよ、
お互い酷い誤解をしたものね、今度会ったら正直に告白して良く謝るといい
わよ」

由美子の言葉に茂は驚いています。確かに経験の少ない彩香が勃起不全の茂
を知って、それが理由で彼を捨てることなどとても考えられないのです。彼
女だって夢中で茂が完全か不完全かなど気を払う余裕がなかったに違いない
のです。落ち着いて考えれば直ぐ判ることですが、茂は自分に非があるため、
総て自分の責任にしてしまったのです。このことが判っただけでもこの温泉
にきた価値があると茂は思いました。

「ところで茂君、彩香さんが昨夜の私のように乱れているのを見たらどう思
う、不潔だと思う、・・・・・・そう」
茂が激しく首を振って何かを言い出しそうなのです。由美子は慌てて言葉を
飲み込みました。
「今は違います。昨夜、由美子さんを拝見して女性の乱れている姿が綺麗だ
と思いました。乱れている女の人が好きになりました。こんな気持ちになっ
たことは初めてです。それまでは、女性が好んであんなに乱れているのでは
ないと私は思っていました。ひどい男達が女の人を苦しめていると思ってい
ました。由美子さんを見ていて、女の人も男に抱かれると幸せになるのだと
ようやく判りました。
そして、ご主人のように由美子さんを、いえ・・、女性を喜ばせたいと思い
ました」

昨夜由美子の乱れた姿を見るまでは、茂は乱れた女の姿を不幸のシンボルと
考えていて、そうした状態に置かれた女に同情を寄せていたのです。
「じゃあ、茂君、私が由美子さんのように乱れてもなんとも思わないのね」
敦子の問いかけに、茂は彼女を見つめて返答に困っています。敦子は特別で、
由美子のように乱れてもらっては困ると思っている様子なのです。茂が自分
のことをそれほどまでに思っていることを知って敦子は驚き、そして感動し
ています。茂を抱きしめたいのをじっと我慢して、眼を赤くして、黙って茂
を見つめています。
「あら、あら、茂君には敦子さんは特別な人なのね・・・、敦子さんがダメ
だとしたら、君は私なら抱けるかしら、チョッと考えてみて」
茂は真っ赤になって、頷いています。由美子は茂が十分に勃起しているのを
感じて、敦子にだけ判るように軽く頷いています。

「茂君の中で、敦子さんがマドンナのようになっていたとしたら・・・、
その可能性は非常に高いのですが・・・、それを無理やり崩すのは得策では
ないと私は思います。少年の頃は誰しもそうしたマドンナを心の中に持って
いるもので、年とともにその思いは薄れてゆきますから心配ありません。
茂君の場合はたまたまマドンナの恥かしい姿を見たことで、マドンナを守る
のは自分だと思い込んだのです。その思いが茂君を押さえつけて、女性総て
に偏見を持つことになったのです。マドンナを守る仕事から茂君を開放して
あげることが大切ですね。そして、当面、茂君はマドンナを絶対抱きません
から、別の女性を茂君の教育相手に選ぶ必要が有ります」
精神科医は茂のマドンナはそのままにしておくのが良いと敦子に助言しまし
た。その時敦子の中にある疑いが湧き出て、それが表情に出ました。

「ああ・・、マドンナになることがご心配ですか・・・・。
男の子の中に宿るマドンナは確かに一種のトラウマ現象ですが、それは病的
な少数の例外を除いて当該女性にとって特に害のあるものでは有りません。
茂君の場合も問題ありません、貴方にいつまでもマドンナ役を押し付けるこ
とはしません。安心してください」
いつの時代でも多くの女性が男の子達のマドンナになっていること、それで
も、その思いは少年達が成長するといずれそれは消え去るものであると、敦
子が不安そうな顔をするのを見てその精神科医は敦子に教えました。
敦子は例の写真を婚約者の金子に送り届けた犯人が茂である可能性を先生に
訊ね様としたのですが、先生が思い違いをしているのをそのままにして質問
を思い止まりました。

「じゃあ、決まったわね、私が茂君にいろいろ教えてあげるわ、敦子マドン
ナは一人で清らかに寝なさい、Uさんには別の部屋で寝てもらうことにするわ」
笑みを浮かべて話す由美子の提案に皆が同意しました。茂が紅潮した顔に笑
顔を浮かべています。由美子は笑顔でやる気満々です。敦子一人浮かない表
情です、茂に抱かれるつもりが違う展開になり、何となく割り切れない思い
なのです、しかしこの展開も準備していた治療筋書きの中にある一つですか
ら敦子に不安は有りません。

「茂君、君が正直にいろいろ話してくれたのを聞いて、君と彩香さんのため
に、私の身体でよかったら提供することにしたわ。これから3日間は私を自
由にしていいわ、何処でも、その気になれば私はお相手するわ、どんな恥か
しいことでも、人が見ていても、君がその気になればいつでも良いから、私
を自由にしてちょうだい。
大切なことはここでは自分の欲望に忠実になることよ、君は今まであまりに
自分を強く抑えすぎてきたのよ、ここでは全て忘れて、したい時にするのよ、
それを約束してちょうだい」
由美子の提案に喜び、しきりに頷きながら、それでも許可を求めるような表
情で茂が敦子を見ています。敦子が笑みを浮べて頷いています。茂はほっと
した顔をして由美子に頭を下げ、そして慌てて、Uの方を見ています。考え
るまでもなく茂にとってこの人が一番怖い存在なのです。

寺崎探偵事務所物語(V)、 敦子の事件(45) 鶴岡次郎 投稿日:2006/08/06 (日) 11:59
「人助けだから、俺も一肌脱ぐよ、茂君といったね、俺に遠慮はいらないから、
しっかり頑張ってうんと勉強すると良い、時には全てを忘れて女の体に溺れき
ることが男には必用だよ、君にとって今がその時だね、由美子先生はHが大好き
で、その道の達人だから負けないように。アッツ、痛い・・」
Uが余計なコメントをして、由美子に膝を抓られています。

当初計画では、Uが敦子を抱いて、敦子の既成イメージを壊し、新しいイメー
ジを茂の中に作り上げる予定でしたが、茂の中で敦子は既にマドンナにまで
なっていて、そのイメージは壊すのは危険だと判り、今回の代案を実行するこ
とにしたのです。
ここまで説明するともう改めて紹介する必要はないのですが、話の流れですか
ら説明しておきます。敦子が寺崎探偵にセックスの素晴らしい実演を見せる人、
それも信頼できる人を紹介して欲しいと、難しい依頼をして、Uと由美子がこ
の温泉にやってきたのです。たしかにUと由美子は敦子の難しい要求を適える
ことが出来る数少ないカップルで、これ以上の人選は望めません。
敦子もそのことを十分判っていて、由美子の積極的な対応に感謝しているので
すが、一方では由美子がなんとなく妬ましいのです。

Uに抱かれて失神するほど感じておきながら、今度は若い茂を思う存分食べる
ことになるのです。しかも茂が由美子を一目見て好きになり、由美子を抱くこ
とを待ち望んでいる様子なのです。本来であればその役は敦子のものなのです
が、敦子はマドンナに奉られて、膝小僧を抱いて寝ることになったのです。
しかしそのねたみはほんの一時的なもので、由美子と力を合わせて茂の治療に
当たろうとしている敦子の気持ちを阻害するものではありません、敦子は茂の
ためどんな役割でもこなす覚悟です。

朝食が終わり、敦子を残して茂と由美子が隣の部屋に移動して、Uは母屋の部
屋に移りました。これからこの部屋割りで2泊3日を過ごすことになります。
由美子と二人きりになると茂はやはり落ち着かないようで、部屋のテレビに夢
中になっているふりをして、由美子を無視していますが、茂が極限まで勃起し
ているのを由美子は知っていて、彼を見ながらニヤニヤと笑っています。そし
てゆっくり茂の側に座って、肩を彼の肩にぶつけました。ハッとして茂が由美
子を見ました、由美子がゆっくり眼を閉じて、唇を彼に寄せました。茂がもう
我慢できないといった様子で由美子を抱きしめ、小柄な彼女を軽々と膝の上に
抱き上げました。

それからが大変でした。強い自制力で禁欲を重ねてきた20歳の若者の情欲が
解き放たれたのです。彩香を初めて抱いた時に登場したもう一人のクールな茂
は、ついに由美子の前ではその姿を見せませんでした。衝撃的な由美子とUの
華麗な絡みを目撃して、茂は「女の喜び」の存在を由美子の中に確認できたの
です。これでクールな茂はでしゃばらなくなり、茂は由美子の前では普通の男
の子に戻りました。

その場で由美子の衣類を全部剥ぎ取り、彼も裸になり、その部分に顔を寄せて、
かなりの時間そこに手を触れ、唇を寄せ、彼なりにその部分を観察して研究を
していました。由美子はくすぐったいのを我慢して、彼女にしては珍しく、何
もしないで男の為すがままで、脚を大きく開いていました。
十分にそこを研究し尽くした茂はいきなり挿入してきました。勿論双方共に十
分であっけなく茂の肉棒は由美子の中に吸い込まれました。茂は腰を数度上下
したところで一回目の放出をしました。それでも女性の中に初めて放出して、
茂は目の眩むような快感の虜になりました。この快感を得るためならどんな辛
いことにも堪えられると茂は感じています。

それから昼食までの数時間、茂は何度も何度も由美子の中に放出して、また回
復して、由美子に挑みました。由美子は勿論快感を感じていますが、それはも
ちろん十分なものではなく、むしろ由美子にとっては激しいストレッチ体操に
近いものでした。勿論由美子そんな素振りを見せないで、男の素晴らしさを称
え、それなりに乱れた姿を見せました。
茂は徐々に女体に慣れて来て、由美子の乱れを楽しむ余裕さえ出来ています。
昼近くになり茂の放出間隔が20分近くまで伸びてきました。もう、茂は女性
への厳しい自戒の鎖を完全に切り離したように見えます。


寺崎探偵事務所物語(V)、 敦子の事件(46) 鶴岡次郎 投稿日:2006/08/07 (月) 12:38
茂は由美子の脚を海老のように折り曲げて唸り声を上げて腰を打ちつけていまし
た。そう、このラーゲは昨夜Uが由美子を逝かした技です。茂はそれを覚えてい
て実行しているのです。
昼食の連絡に敦子がこの部屋に入ってきたのはその時でした。なぜか茂は恥かし
い姿を敦子に見られても慌てず、由美子を攻める腰を振り続けています。驚きの
眼を見開いて二人を見下ろしている敦子、本気で歓喜の声を上げている由美子、
誇らしげに敦子を見上げて腰を振っている茂。二人の接点から激しい水音が響き、
部屋の中にはムッとするほどの性臭が満ちています。茂が低い唸り声を出して、
身体を痙攣させて、由美子の上に倒れこみました。由美子も高い悲鳴を上げて
茂を抱きしめています。

「凄いわね・・、朝からずっとでしょう、お昼ご飯よ、あちらのお部屋に準備
できているから、お風呂に入って、直ぐ来てね。
もう・・・、聞こえているの、茂君・・・・だめよ、少しは休んで、何か食べ
ないと体に毒よ、判ったわね、直ぐ来るのよ、もう・・」
敦子は茂の背中をピタピタ叩いて、茂が頷くのを確かめて、笑いながらその部
屋を後にしました。
暫くして、茂と由美子がバスタオル一枚の姿で敦子の所に来ました。Uは外に
出ていて、敦子が三人分の昼食を旅館に頼んだのです。焼きソバと焼きおにぎ
りの簡単なメニューです。

「茂君、すっかり自信が付いたようね、朝からずっと二人の声がこの部屋まで
聞こえていたわ、この食事をここへ持ってきた女中さんもその声を聞いていや
らしい目で私を見ていたわ、茂君が私と一緒にここへ来たことを良く知ってい
る女中さんだから不思議に思うのは無理ないわよね、あちらの部屋に遊びに
行っていますと言っておいてけれど、どんな遊びをしているか、きっと気が付
いているわ」
敦子が話しかけても茂と由美子はただニヤニヤ笑って、凄い食欲を見せていま
す。

茂は敦子には恥かしい姿を見られても、それを揶揄されても動じません。以前
の茂には考えられなかったことです。自分の欲望を汚らわしいものと思わなく
なり、親しい敦子に絡みを見られても、それはそれで構わないと割り切れるよ
うになったのです。これも茂の進歩です。
セックスは汚らわしいもの、女性を痛めつけるものと思っていた茂の心の病が
治癒されたのです。昨夜から始まった由美子との接触で茂の病状が飛躍的に改
善されたことを敦子は悟りました。底知れない由美子の魅力が茂を急速に変え
たのです。精神科医のガイダンスと照らし合わせるまでもなく、茂はほぼ正常
に戻っていることになります。

「敦子さん美味しいわ、焼きそばをこんなに美味しくいただくのは久しぶりだ
わ」
由美子が上気した顔に笑顔を浮べて、唇の周りに付いた油を器用に舌で舐めて
います。湯上りの素肌に髪の毛が張り付き、激しい情事で疲れがそこに見える
瞳はそれでもキラキラ輝き、ルージュを引かない唇は充血して赤く色づいてい
ます。バスタオル一枚の由美子ですから、しっとりと濡れた上半身が露になっ
ていて、むき出しの大腿部はその奥に隠された妖しく息づく女性本体を思わせ
るように、何故かぬらぬらと濡れて光っています。同性の敦子はそのこぼれる
ような、危うい妖艶な姿を長く見ることは出来なくて、思わず由美子から眼を
背けています。

「由美子さん、いやらしい雰囲気ね、女の私でも感じるほどだから、今ならど
んな男でも由美子さんのお色気に抵抗できないわね」
敦子は由美子を見て思わずその感想を口にしています。悪気は無いのですが、
やはりねたましい気持ちは隠せません。敦子に言われて、由美子は崩した脚を
ソッと正座に組みなおしています。

「あら・・、冷たい・・、茂君・・、ダメよ・・、そんな・・」
茂が由美子の大腿部にヨーグルトをスプーンで塗り始めました。誰に教えられ
たわけでもないのですが、側に居る裸体の女を見て、正常に戻った男の欲望が
そうした戯れをさせているのです。バスタオル一枚の由美子の大腿にべっとり
とヨーグルトが塗られました。茂はそこに舌を這わせ始めました。

「ああ・・ん、ダメ・・、くすぐったいわ・・、ああ・・ん」
由美子が鼻にかかった声を出し、正座した膝を崩して、脚を投げ出し、両脚を
開き気味にしています。屈み込んでいる茂の股間は完全に露になり、二人の女
は彼の直立した肉棒の全貌を見ています。茂も由美子の股間が愛液で滴るよう
になっているのを確認しています。茂は夢中でヨーグルトを舌で掬い取ってい
ます。由美子は乱れて、バスタオルの前が大きく開いて、ほとんど前は全開状
態になっています。

「敦子さん・・・、すみません我慢できなくなりました・・・・・・。
由美子さんをここで抱いても良いですか」
茂がヨーグルトでぬらぬらに光る顔を持ち上げて敦子に確かめています。敦子
があきれた表情を露に出しながら、由美子を見て、彼女が微笑むのを見て、
ゆっくり頷いています。
敦子にしても20歳になったばかりの男の凄まじい性欲は初めて見るものです。
ここは茂の欲望が赴くままに自由にやらせようと敦子は考えています。茂は敦
子の許しを得て、勢いづいて、由美子の股間に舌を進めました。由美子の両脚
を両手で開いて茂はそこに頭を差し込んでいます。

「ダメ・・、ダメよ・・、ああ・・・ん、茂君・・、もう・・・

寺崎探偵事務所物語(V)、 敦子の事件(47) 鶴岡次郎 投稿日:2006/08/08 (火) 14:50
「ダメ・・、ダメよ・・、ああ・・・ん、茂君・・、もう・・・、
私、まだ食事終っていないのよ、ああ・・、むむ」
茂はひとしきり由美子のそこを舐め回し、そして由美子のバスタオルを取り去り、
由美子の体を反転して、敦子の居る方向へ由美子を向き合せ、両脚を開いて膝の
上に抱え上げ、後から一気に挿入しました。敦子は座位で交わっている二人を
じっと見つめています。
敦子に見られることで、茂は一気に高まり、そのまま由美子の中にどくどくと出
してしまいました。
セックスをあれほど恥かしいものと思っていた茂が、今は好んで敦子にそれを見
せているのです。二人の接点から、愛液が流れ出すのを敦子は呆然として眺めて
います。由美子も十分に感じたようで、頭と背中を茂に預けて、両脚をいっぱい
に開いてぐったりしています。茂は由美子を後から抱きしめて彼女の頭に顔を埋
めて、ぐったりしています。敦子の目の間にある二つ性器の接点から、ドクドク
と白濁液が流れ出して、座布団を濡らしています。

挿入したままの状態で茂が元気になり、由美子を食卓の側に寝かせて、両脚を持
ち上げ、肩に担いで、激しく腰を使い出しました。一度放出した茂の持続力は飛
躍的に伸びて、由美子が夢中で茂に抱きつき、悲鳴に近い叫び声をあげるように
なっても茂はまだ攻めています。敦子は彼らにほとんど接するほど側に座ってい
て愛液のしぶきが彼女に降りかかるほどです。二人は狂ったように悲鳴をあげ、
上になり下になりして、それから一時間あまりそこで絡み合い、敦子がそこを
去ったのにも気が付きませんでした。そして最後に高い悲鳴をあげて、二人は痙
攣しながら果て、そのままそこに横たわっています。二人の性器はまだ繋がった
ままです。

それにしても若い茂の貪欲さには驚きます。由美子を感じると茂は瞬時に勃起で
きるのです。そして、疲れを知らない肉体は情け容赦のない攻撃を由美子にぶつ
けるのです。一方由美子は茂の攻撃を悠々とこなしています。由美子にすればハ
ワイで経験した戦士たちとの性戦に比べれば茂との性交は余裕を持って楽しめる
程度のものです。

「ねえ・・、こんなことばかりしていると体を壊すわ・・、少し外を散歩しない、
気分転換した方が良いわよ、明日も、明後日もここに居るのよ」
由美子の体調を案じて敦子が後見人らしく少しセックスから離れることを提案し
て、宿の周りを三人で散歩することにしました。由美子の力を知らない敦子は由
美子が若い茂に壊されることを本気で心配しています
宿の周りは深い森になっていて、一周一時間、4時間、そして一日コースとハイ
カーの余裕時間に合わせてハイキングコースが準備されています。三人は着替え
て外へ出ました。由美子は普通サイズのスカートとブラウス、敦子はショートパ
ンツとTシャツです。敦子が地図を持って先頭に立ち、続いて由美子、しんがり
を茂が受け持ち、三人は一時間コースを選び出発しました。

10分も歩くと茂の様子が変になりました。由美子は先ほどから気が付いていま
したが、敦子はそのことにまだ気が付いていません。茂は息を荒げて、由美子の
臀部をじっと見ています。灰色のプリーツスカートが由美子の動きに合わせて、
揺らぎ、そのゆるやかな曲線とそこから立ち上がる香が茂を追い詰めています。
茂がついに由美子の臀部に手を伸ばしています。由美子もそれを嫌がりません。
茂の指がスカートの布越しに由美子の亀裂に吸い込まれています。もう由美子は
歩くことが出来ません。彼女の大腿からくるぶしの辺りまで愛液が流れ出し、そ
れが日の光を受けて光っています。茂が由美子を抱きしめてキッスをしています。

キッスで一息ついた二人は、敦子に遅れないようにまた歩き始めました。かなり
きつい勾配の山道も有り、そんな時は茂が由美子のお尻を後から押し上げていま
す。由美子が息を荒げていますが、これは急な勾配のせいばかりとは言えません。
茂の指が亀裂を襲っているのです。
敦子が異様な雰囲気に気が付いて振向くと、そこから10メートルほど離れた立
ち木に由美子を押し付けて、彼女の片脚を持ち上げ茂が激しい口付けをしていま
す。よく見ると、由美子のひも付きショーツは二人の足元に落ちていて、茂はジ
イーンズのパンツとショーツを脱いでいます。そしてその姿勢のまま、茂は一気
に腰を突き出し、挿入を果たしました。由美子は両手を男の首に、そして両脚を
腰に絡ませ、立ち木を背にして、大きな悲鳴を上げています。

敦子は周囲を見回し、人影のないことを確かめています。彼女はさらに確実な情
報を集めるため、小高い所に立ちました、そこからはハイキングコースが見通せ
て、誰かが近づけば直ぐ判ります。敦子は二人を見ました。由美子はブラウスも
剥ぎ取られて全裸です。柔らかい下草の上で二人は白い獣のように絡み合ってい
ます。由美子を休ませる目的で二人を屋外に連れ出した敦子の目論見は見事に外
れました。二人は屋外での絡みの新鮮さに刺激されて、部屋に居る時以上に興奮
しています。
全工程一時間の距離を三人は5時間もかけて一周しました。

寺崎探偵事務所物語(V)、 敦子の事件(48)  鶴岡次郎 投稿日:2006/08/10 (木) 17:52
日が高くなって暑くなると茂は全裸になり谷川の深みに身体を沈め、由美子と敦
子を手招きしています。由美子がそれに応えて生まれたままの姿で茂の側に行き
ました。敦子は岩場に立ってハイカー達を警戒しています。ハイキング通路から
谷川までは50メートル以上の高低差が有り、登山道に立つと谷川は木々に隠れ
てほとんど見えません。涼やかな音がこだましそこに谷川が流れていることがわ
かるのです。谷川まで降りてくるハイカーはなく、茂と由美子は安心して全裸で
子供のように水に戯れています。
次第に興奮してきた茂は由美子を抱きしめ、全身に唇を這わしています。由美子
は甲高い嬌声を上げて、茂をからかうように逃げ回っています。水しぶきを上げ
て白い裸体が走り、由美子の嬌声が谷間にこだましています。浅瀬で由美子は捕
まり、身体を川底に投げ出し、そこで両手両脚をいっぱいに開いて、茂の唇に全
てを解放しています。茂が由美子の体を開いて挿入を果たしました。両手両脚で
由美子が茂に抱きついています。二人はそこで上になり下になりして転げまわり
ながら、激しい唸り声を上げています。高台から二人を見下ろしている敦子には、
二匹の野獣が絡み合っているように見え、ハイカー達が彼らを見たとしても猥雑
感を持つことはなく、自然の営みの一つと思うほど二人は大自然に溶け込んでい
ます。

目のくらむような吊橋を渡り、見晴らしの良い岩山の頂上に三人は来ました。3
60度の展望が可能です。山裾から吹き上げてくる冷風が快適です。しばらくそ
の景観に見惚れていた茂は由美子と敦子の身体から湧きあがる官能的な香に反応
して、由美子の体に触れ始めました。二人は頂上で抱き合い、唇を絡み合わせて
強く抱き合っています。山風が由美子のスカートを吹き上げて、由美子の大腿が
時々露になっています。二人はそこで抱き合い彫像のように暫く動きを止めてい
ました。山の霊気に撃たれて二人はそれ以上の行為を慎んでいるようにさえ見え
ます。

頂上からの下り道を辿りながら二人は敦子に見守られて抱き合いました。森の中
で大きな立ち木に隠れて、ある時は広い草原の草地に身を伏せて絡みを楽しみま
した。絡み合っている時に、他のハイカー達と遭遇することがあり、そんな時は
敦子がいち早く彼らを見つけて二人の側に駆け寄って、そのことを知らせるので
す。
「来たわよ・・、早く服を着て・・、もう・・、茂君、下着は良いのよ、そうズ
ボンを直接・・、そうそれでいいわ。エッツ・・、知らないわよ、そんなこと、
無理言わないで・・・・後にしなさい・・エッツ、我慢できないの・・・」

挿入直後で茂が離れたくないと駄々をこねだしたのです。由美子が笑いながら茂
の膝の上に座りフレアースカートで茂の膝から下をすっぽり被いました。茂はズ
ボンをうまく調節して、挿入を果たしています。由美子が少し顔をしかめていま
す。敦子が茂にほとんどより沿うようにして立っています。敦子の位置と反対側
に立ち木が在り、これで茂が臀部を露出しているのを通りがかりの人に見つかる
心配は少なくなりました。男の膝の上に女が脚を拡げて座り、その側にもう一人
の女が立っている奇妙なポーズですが、まさかそこで男女が性器を絡み合わせて
いるとは誰も思いません、ハイカー達は三人に明るい声をかけて通り過ぎて行き
ます。敦子一人はらはらしていますが、当の二人はこのスリルを楽しんでいます。
ハイカー達が目の前に来た時、茂は腰を持ち上げ激しい突きを由美子に与えまし
た。由美子が思わず声を出しています。

ハイカー達が通り過ぎて、見えなくなると二人は草地に倒れこんで、大声をあげ
て絡み始めました。敦子は周囲を注意深く見ています。こうして一度経験すると、
二人はハイカー達が通りかかっても、性器の絡みを解かないで、巧みにそれを隠
して、スリルを楽しむようになりました。
一度だけハイカーに気付かれたことがありました。中年過ぎのカップルが通りか
かり、由美子達の様子に不審を持ったようです。山道を歩く彼等と立ち木の間に
座っている由美子とは三メートルと離れていません。由美子の周りはブッシュが
茂っていて、由美子の胸から下はそのハイカーからは見えません。そのことを
知っている茂が少し大胆に腰を突き出したのです。上に居る由美子はたまらくな
くなり、首を仰け反らせて、軽く呻き声を出しているところをその男に見つ
かったのです。彼と由美子の視線が偶然絡まりあいました。
立ち止まりしげしげと由美子を見ていた男性が由美子に向かって片手をあげる挨
拶をして、そしてその男性は両手で性器の勘合しているサマを由美子に示しまし
た。注意深く見ると由美子の下に、露になった男の膝が見え隠れしているのです。
由美子の表情の中に情事を楽しんでいる女の喜びが溢れているのをその男は目ざ
とく察知していたのです。

「あら・・、あの人、気付いたようだわ」
由美子は独り言のように呟き、彼に向かって片手をあげました。そして、軽く頷
きました。気付かれた以上無理に隠すことはないと由美子は覚悟を決めたのです。
由美子が頷くのを確認して彼はにっこり笑って、何事もなかったように由美子に
背を向けて歩き始めました。
その男性は連れの女性に何事か教えています、女性が振向いて由美子に手を振っ
ています。茂の膝の上に載っていた由美子も、少し恥ずかしそうに、手を振って
その二人に応えています。勿論その時、茂の陰茎が由美子の亀裂を貫いていたの
です。敦子はかなり離れたところで監視していて、この様子をはらはらしながら
見ていました。

夕食を4人で済ませ、茂と由美子は早々と寝室に引き下がりました。Uは母家に
ある自室に戻り、敦子は何事か用事があるようで旅館の事務室へ行きました。茂
はようやく本格的に女性の味が判ってきたようで、今は由美子に夢中です。時間
を惜しんで由美子を抱いています。いくら吐き出しても驚くほどの回復力で茂は
蘇るのです。
夕食後、露天風呂で散々に戯れた二人は裸のまま寝室に戻り、絡みを始めました。
敦子が居る部屋から寝室が覗けるように茂たちの寝室の障子とサッシの窓は開い
ています。敦子の部屋は障子が閉まっていて、部屋の灯りも消えていて何も見え
ません。

「ああ・・・ん、茂君、いいわ・・、貴方強くなったわね・・、むむ・・、
いい・・、アッツ、見て、見て・・、隣の部屋の障子が開いたわ・・」
何度目かの頂点に駆け上がった後も、二人は衰えない精力で絡み合っています。
両脚を海老のように曲げて、股間を茂の肉棒で貫かれていた由美子が隣の障子が
するすると開くのを見つけました。由美子の上で激しく腰を使っていた茂が隣を
覗き込んでいます。隣の部屋に電灯がつきました。一組の布団が見えますが、そ
こに居るはずの敦子は見当たりません。

「アッツ、敦子さんだ・・」

寺崎探偵事務所物語(V)、 敦子の事件(49)  鶴岡次郎 投稿日:2006/08/11 (金) 22:13
「アッツ、敦子さんだ・・」
茂が声を上げて由美子の股間から肉棒を抜き取り、その場で立ち上がり、隣の部
屋を見ています。茂も由美子も頂上へ駆け上がる途中でしたが、茂はそのことよ
りも隣の部屋が気になるようで、取り残された由美子をそのままにして、茂は窓
際まで歩いて行って敦子をじっと見ています。由美子も布団に横になったまま敦
子を見ています。

純白のウエデイングドレスを纏った敦子がそこに立って居ます。中学生時代の茂
が心を奪われ、憧れた敦子がそこに蘇ったのです。
「茂君、この姿で会うのは暫くぶりね、私のこと憶えているかしら」
茂は全身を愛液と汗でぬらぬら光らせて、じっと敦子を見ています。そして、敦
子の問いかけに、うんうんと何度も頷いています。
「茂君、由美子さんと抱き合って、女性の性を良く理解出来たでしょう。今日一
日、君と由美子さんの愛し合う姿を見て、由美子さんをあんなに狂わせる君の力
は凄いと思ったわ。おめでとう、これで君も一人前の男性になったのよ」
敦子が優しい声で茂に話しかけています。茂は陶然とした表情ですが、敦子の
言っていることは理解しているようで、しきりに頷いています。

「ところで、私を良く見てちょうだい。私も由美子さんと同じ女よ・・、
このウエデイングドレスの下には、君が今楽しんでいる由美子さんと同じ女の
身体が隠されているのよ・・・・。
私の身体を特別なものと思わないで欲しいの・・・・、
どう、私の裸を見る勇気が君にあるかしら・・・・」
敦子が笑みを浮かべながらゆっくりと茂に話しかけています。茂はじっと敦子
を見つめて、黙りこくっています。由美子は起き上がり、茂の反応を待ってい
ます。彼の表情を見る限り、特に心の中で葛藤している様子でも有りません。
茂は穏やかな表情で敦子を見つめ沈黙を守っています。
実際は10分に満たない茂の沈黙でしたが、敦子にも、そして由美子にも異常
に長い時間が経過したように思えました。
茂がゆっくりと頷きました。敦子の表情がぱっと明るくなりました。由美子も
思わず両手を上に突き上げて喜んでいます。茂の陰茎はほとんど腹に触れるほ
どに直立しています。茂はウエデイング姿の敦子を見て欲情しているのです。
茂の中で敦子はマドンナの座からゆっくり滑り降りて、茂の抱きたい女の位置
に近づいているのです。あの中学生時代の記憶がようやく修正されたのです。

「茂君、こちらに来て・・・」
敦子が茂を手招きしました。茂は庭下駄をはいて、丸裸のまま隣の寝室に移り
ました。 
「お二人に刺激されて、私、我慢できなくなっているのよ、見て、こんなに
なっているのよ」
敦子がゆっくりとドレスの裾を持ち上げました。ふくろはぎから、大腿、そし
て淡い亀裂の影が茂の前に現れました。茂はその場に跪いて、敦子のその部分
に唇を寄せています。敦子が脚を開いて、十分に茂の唇をそこに迎える準備を
しています。茂は敦子を布団の上に押し倒して、両脚をいっぱい開いてその中
に頭を入れています。激しい水音と敦子の悲鳴が響いています。敦子はウエデ
イングドレスの裾をお腹の上にまで巻き上げられて、悶えています。

「ああ・・ん、茂君・・、来て・・、来て・・、入れて欲しい・」
敦子が悲鳴に近い声を上げて、茂に要求しています。茂が敦子の両脚を肩に担
ぎ上げ、一気に腰を突き出しました。ウエデイングドレスの敦子が悲鳴を上げ
てそのまま気をやりました。あまりの興奮で、陰茎を股間に感じた瞬間敦子は
逝ってしまったのです。昨夜来、かなりの刺激を受けて、たまりに溜まってい
た感情が一気に爆発したのでしょうか、いえ、自分が原因になっている茂のト
ラウマが解消されたことに敦子は感動して、それが敦子を一気に高みに押し上
げたのです。

茂は敦子に挿入したまま、敦子が蘇るのを待っています。暫くして敦子がほっ
とした表情で眼を開けました。茂がそんな敦子を覗き込んでいました。
二人の視線が絡み合い、二人はほとんど同時に笑みを浮かべています。敦子は
恥かしい所に茂の身体をいっぱい感じ取っています。次の瞬間、敦子は悲鳴を
上げて顔を喜悦で歪めています。茂が腰を使い始めたのです。
たくましい男の体に組み敷かれたウエデイング姿の敦子は狂ったように、身体
をうねらせ、悲鳴を上げています。そんな姿を由美子は笑みを浮かべて隣室か
ら見ていました。由美子はここでの自分の役割が終わったことを知りました。
立ち上がり、露天風呂に身体を沈めて、由美子はぼんやりと山なみを見ていま
す。時折、敦子の悲鳴がここまで響いてきます。
由美子は湯船から出て、浴衣を着けてその部屋を後にしました。Uの部屋に行
き、残された休日をこれから二人で楽しむ予定です。由美子がチラッと隣の寝
室を見ると、二人は丸裸になり、敦子が茂の上に跨って悶えているのが見えま
した。

敦子が茂と一緒に過ごした温泉宿の休日を終えて数日経ったある日・・・・・

寺崎探偵事務所物語(V)、 敦子の事件(50) 鶴岡次郎 投稿日:2006/08/12 (土) 16:51
敦子が茂と一緒に過ごした温泉宿の休日を終えて数日経ったある日、敦子の下宿
に彩香が訪ねてきました。やや他人行儀な雰囲気で手土産のクッキーを敦子の前
に出し、彩香はゆっくりと頭を下げています。敦子から見てもこの一ヶ月足らず
の間に彩香は随分と大人になった雰囲気です。しっとりとしたお色気が感じられ
ます。
「今日茂君に呼び出されて、彼からいろいろ話を聞きました。
あの時、私を抱いた時、十分でなくて失敗したこと、そしてその後、私の言葉を
誤解して、絶望していたことなどを正直に話してくれました。知らなかったとは
いえ私も酷いことをしたと彼に謝りました。その後、二人でホテルに行き、3時
間ほどそこで過ごし、今別れてきたところです」
彩香が少し頬を紅潮させて話しています。彼女は一段と綺麗になって、同性の敦
子から見ても滴るような瑞々しさです。二人のセックスが充実したものであった
ことは、彼女の様子を見るだけで敦子には良く判りました。

「そう・・、上手くいったようね、三時間たっぷり楽しんだのね、もう、何も心
配することはないのね」
敦子が笑顔で訊ねるのに、彩香は頬を染めて、眩しそうな瞳で敦子を見て頷いて
います。

夕食を一緒にという敦子に丁寧に断って彩香は立ち上がり部屋の出口に向かって
います。彩香は茂とうまくできたことを敦子に報告するためにここへ立ち寄った
ので、最初からここに長居するつもりはなかったようです。それにしても彩香の
様子が少し変です、敦子には彩香のその態度の原因がある程度判っているようで
無理に引きとめようとはしません。扉の取っ手に手を掛けて、思い直したように
彩香は振向いて、敦子をまっすぐに見つめました。

「茂君との5日間どうでした。楽しかったですか・・・・。
茂君、随分と上手になっていましたが、茂君は敦子さんを何度も抱いたので
しょうね・・、彼、箱根のことは私に何も話しませんでした」
彩香はにこりともしないで敦子に尋ねました。言葉の調子は穏やかですが、質問
の内容はかなりストレートです。敦子はその質問を予想していたようで、ただ
にっこり笑って、軽く頷きました。彩香にしても寺崎との情事を茂に告白してい
ないはずです。その意味では茂も彩香も互いに秘密を持ちながら、抱き合ったこ
とになります。互いに相手が格段に成長していることを喜びながら、そのわけを
妬ける気持ちで考えたとしても不思議では有りません。

「そうですか、やはり・・、茂君、敦子さんを忘れられなくなっているかも・・、
あの・・・・」
彩香が言葉を途中で切り、下を向いて言葉を選んでいる様子です。そして次の言
葉を出そうとした時、敦子がその言葉を遮るように声を出しました。
「茂君がもしこの家を訪ねて来ることがあっても、私、彼を追い返すわ。これは
女の約束よ。でもねその心配はないと思うわ、多分茂君の中では私はもう過去の
人になったはずよ。それにね、私は貴方のために茂君に抱かれたのよ、それを忘
れないでね」
本当はこのことが言いたくて今日、彩香は敦子を訪ねてきたのですが、言い出す
ことが出来なくて、思い悩みながら玄関まで来て、やはり思いなおして、思い
切ってそのことを敦子に伝えるつもりになったのです。

敦子にそのことを先に言われて、彩香は戸惑いの表情で少し間、ドアーの前に
立っていました。彩香の目が少し赤くなっています。そして、彩香は敦子に近
づき彼女の手を握って深々と頭を下げました。女二人は言葉に出さなくても互
いの気持ちが良く判りました。彩香が謝ろうとするのを敦子は黙って首を振り、
彩香にその言葉が必要ないことを教えました。そして敦子は優しく彩香を抱き
しめました。彩香が涙を流しています。
茂に無事抱かれた嬉しさがある反面、彼をこれほどまでに育てた敦子へ茂の心
が傾くことを心配していて、敦子がこれ以上茂にかまわないようお願いするつ
もりで敦子を訪ねてきたのです。一方、敦子は彩香の様子を見て茂の心が敦子
に移ることを彼女がずっと悩んでいたことを悟ったのです。
彩香は抱き続けてきた不安定な気持ちが、今は晴れ晴れとなり、少しでも敦子
を疑ったことを恥じています。敦子は若い茂に惹かれるものを感じながら、彩
香と交わした女の約束を守る決意です。

「多分、茂君は箱根での経験を貴方に話さないと思うわ、それは貴方を愛して
いるからよ。もし、茂君に隠していることが貴方にあってもそのことは彼に話
す必用は無いと私は思うわ、もっと年をとって、お互いそれを笑って話せる時
期が来るまでソット心に秘めておくのが良いと思うわ」
彩香はコックリ頷いて、敦子に背を向けて、今度は元気にそのドアーを開けて
出て行きました。通りで彩香の後ろ姿を見送りながら、敦子は茂の調査を中断
するよう寺崎に連絡することを決めていました。茂が完全に白だと確信できた
わけではないのですが、万が一の可能性で茂があの写真を金子に送り届けてい
たとしても、今後再び茂はそんな行為をしないはずだと敦子は考えました。

寺崎探偵事務所物語(V)、 敦子の事件(51)  鶴岡次郎 投稿日:2006/08/18 (金) 23:10
四  金岡正子の事情

金子武に敦子の合成露出写真を送りつけてきた犯人探しもいよいよ最終段階に入
りました。4名まで絞りきった有力容疑者の内、元銀座ホステス城島美紀子と敦
子の前夫前原徹、そしてその甥で大学生の前原茂は容疑者リストから外れました。
残る一人は金子正子です。彼女が犯人でなければ調査は振り出しに戻りますが、
敦子が出費できる調査費用に限界が有り、敦子の調査依頼に関して金子正子の調
査が寺崎探偵事務所の最後の仕事になります。

金岡正子は敦子の勤めるネクタイ売り場の同僚です。未婚で、スタイルも良く器
量も並み以上で、男にそれほど不自由する女性には見えないのですが、なぜか男
性縁が薄い女性です。職場で次々と寿退社して行く娘を見送り、気がつくと正子
は30歳代後半になっていました。
敦子が離婚後職場復帰した頃は、年が近いこともあり正子と敦子は直ぐに親しく
なり、職場でも一番仲の良い同僚になりました。それが、ある事件を契機に二人
の間がしっくりいかなくなりました。

金子が売り場にやってくると同僚が笑みを浮かべて敦子を手招きするように
なっていた頃、高価なネクタイが売り場から消える事件が発生しました。閉店後
売り上げ伝票と現物の突合せでそのネクタイが紛失していることがわかり、全員
で探したのですが遂に見つけ出すことが出来なくて、盗難と断定して売り場での
調査を打ち切り、この事件のフォローは監査部に移されました。

その日売り場担当は4名でその内の一人が敦子で、当日、金子が盗難品と同じブ
ランドのネクタイを買い上げていたのです。そしてそのブランドのネクタイはそ
の日3本売れていて、他の二本は正子が扱いました。
売り場担当の4名は監査部から個別にヒヤリングされました。敦子と正子以外の
二名は今年入社の新人で、監査部の取調べも形だけで終わりました。

正子の後、最後にヒヤリングを受けた敦子は金子との関係をかなり厳しく追及さ
れました。金子と敦子の関係、盗難ブランドのネクタイを当日金子が買い求めた
ことも監査部は事前に知っていました。金子との関係を正子がしゃべったと敦子
は思いました。さすがに監査部ははっきりそれと言いませんが、金子が二本のネ
クタイを持ち帰った可能性を衝いてきました。勿論敦子はそれを明確に否定しま
したが、敦子と金子以外それを証明することが出来ないことも確かなのです。

結局、その日のヒヤリングで新しい事実は出てきませんでした。監査部の調査結
果次第では、売り場にいた敦子を含む4名に賠償を求められるケースもあるので
す。失意の敦子が帰り支度をしようとして自分のロッカーを開けるとその中にネ
クタイが包装紙のない裸の状態で置いて有りました。その場で、敦子は監査部を
そこへ呼び出し事情を説明しました。ロッカーの中をそのまま監査部に見せた敦
子にネクタイをそこに置く理由が乏しいことから監査部の敦子への疑いは完全に
消えました。

その後、事件は職場でもかなり評判になったのですが、結局敦子に対する誰かの
妬みから出た悪戯だろうということでうやむやになりました。
ただ、金子との関係を監査部に正子がしゃべったと思い込んでいる敦子はその事
件以降それまでのように彼女と親しくする気分になれませんでした。正子の密告
で敦子と金子が共謀してネクタイを盗んだと疑われても仕方がない状況になった
のです。もしかして正子がその疑いを口にしたのかもしれないです。そう思うと
正子が敦子を落とし入れようとしてネクタイを隠したものの、監査部の厳しい取
調べに恐れをなして、ネクタイを敦子のロッカーに戻したのだと敦子はそう信じ
るようになりました。

敦子はこのネクタイ事件の概要を寺崎探偵に説明して、その犯人を正子だと
思っていると寺崎に告げました。金子と親しくしていた敦子を正子が妬んでい
て、ネクタイを隠したのだと敦子は考え、またいかがわしい写真も正子の嫌がら
せの可能性が高いと考えたのです。

勤め先のデパートの最寄り駅から地下鉄で20分も行った所にある20階建ての
アパートの一室、正子はいつものように定刻にそのドアーを開けました。暗い部
屋に入るのが嫌で玄関はいつも照明をつけて出かけます。玄関の照明を消して居
間のスイッチを入れると、4人がけのダイニングテーブル、壁際に食器類を納め
たガラス戸棚、そして、対面式の応接セットが配置された20畳ほどの居間が照
らし出されました。
綺麗に整頓されています。居間の奥は六畳程のキッチンで居間との境はカウン
ターです。居間の左が北面ですが外に接していて、大きな窓からの展望も悪く有
りません。居間の右に二部屋とユーティリティがあります。数年前、正子は
ローンを組んでこの部屋を購入しました。

いつものように、シャワーを済ませ、お茶を入れ、コンビニ弁当を電子レンジで
温めて夕食を済ませました。もう寂しいとも、味気ないとも思わないほどこの生
活パターンに慣れきっています。
食後の甘味をソファーでいただきながら、ひいきにしている番組を2時間ほど見
て、その後いつものように寝室の隣にある部屋に正子は入りました。この行動も
いつものパターンです、ここで眠くなるまで、時には白々明けの頃まで過ごすこ
とさえあります。
そこは6畳ほどの洋間で、その壁際にかなり高級なパソコンセットとオーデイ
オ・セットが設置されています。

寺崎探偵事務所物語(V)、 敦子の事件(52) 鶴岡次郎 投稿日:2006/08/19 (土) 11:40
そこは6畳ほどの洋間で、その壁際にかなり高級なパソコンセットとオーデイ
オ・セットが設置されています。そして、TVカメラ、デジカメそして照明器を
セットした電動式のスタンドが置かれています。部屋の中央にかけてU字型の
カーテンレールが有り、カーテンを引くと彼女の座る場所を中心にぐるりと
カーテンが引かれて、2メートル四方ほどのスタジオがそこに出現します。

正子は手馴れた様子でパソコンを操作していつものサイトを開いて、暫くの間、
単独男性とチャットを楽しみます。この時正子は19歳の専門学校生、相沢康
子に変身します。熱烈な康子ファンが十数人居て正子に写真をねだりますが、
正子は慎重に相手を選び、それも膝から下の写真しか送らないようにしていま
す。この部分に正子は自分の身体の中で一番自信を持っています。

このチャットルームで一時間ほど過ごし、次は35歳の人妻セレブ、真砂子に
変身します。この時選ぶサイトは映像を貼り付けるサイトで不特定の男性が対
象になります。ここでは真砂子はほとんど全身を曝します。勿論局部と顔にぼ
かしを入れるのですが、その技が並みのスピードでは有りません。ポーズを取
り操作盤を操って照明とデジカメのアングルを調整して画像を数枚取り込み、
投稿する画像を選びぼかしを入れてアップロードするまで、ほとんど60秒以
内に処理を完了します。小道具と衣装を工夫して、次々と新しい鮮明な映像が
ほとんど毎日貼り付けられるので、セレブマダム真砂子はそのサイトの超人気
者です。
ここで2時間ほど過ごすと時計の針は深夜の12時を過ぎます。ここでベッド
に入る時もあれば、気が乗れば次のもっと危ないサイトを訪問します。

外国のステーションをダミーにしているややアングラなサイトで、ここでは一
切修正なしで、画像も動画も受け付けてくれ、その気になれば音声でのチャッ
トも可能です。ここでは正子は28歳の独身OLマサコで出演します。一週間
に一度ほど、アイマスクを深々と着けて、派手なメイクをして、正子はここで
バーチャルなセックスを楽しみます。部屋の中に男の声とマサコの悲鳴がこだ
まして、実際のセックス現場より派手な騒ぎになります。

いま、正子が真剣に取り組んでいるのは男との絡み写真を合成することです。
男達から一人寝の寂しい女と思われないためにも、男の姿は絶対の必要なので
す。その種の本で独習も済ませ、ソフトメーカ主催の講習会に参加をして市販
ソフトを使った合成技術はほとんどマスターしましたが、とても満足できる作
品は出来上がりません。現状は実物に近いデルドーの方がより現実感があるこ
とが判り、画像投稿ではそれを使った写真で、男の存在をアピールしています。

正子は170近い身長があり、脚線美には自信を持っていて、その種のコンテ
ストで地方予選をトップで通り抜けた実績を持っているほどです。スリムな体
型に合った小さな顔でやや冷たい印象を受けますが、瞳がパッチリした美人で
す。その上、その名を言えば皆が感心するほどの有名大学を卒業しています。
卒業後その大学の博士課程に進学して2年ほど経過した時、親の勧めたお見合
いで大学病院勤めの医者と知り合い結婚しました。大学院と家庭の主婦を両立
させるつもりでいたのですが、その男が同性愛者であることが判り、半年で結
婚を解消しました。そして、大学院を中途で止め、一転してデパートの売り子
に転進しました。その時を境に正子の周辺から男の影が消えました。

彼女が好んで男を避けたわけではなく、正子はどちらかといえば男が好きなほ
うで、勿論セックスも好きです。結婚を前提にした真面目な恋を正子は求めて
いたのですが、離婚を経験した女性の多くがそうであるように男に臆病になり、
婚期にもし適齢期というものがあるとすれば正子はその消極的な姿勢のせいで
それを逸した感じです。そしてその持ち前の美貌とキャリアが邪魔になって自
分から男を追い求めることが出来ないため、一般の未婚女性とは少し雰囲気が
異なっていて、男性に敬遠されるだけでなく女性仲間の中にさえ打ち解けて話
し合う友達が居ませんでした。そんな正子ですから当然の流れとして、一度そ
の味を知ると、ネット上で変身するバーチャル・セックスに溺れてゆきました。
ここでは1000名近い男達が正子に声をかけてきて、彼女もそれに気軽に答
え、正子は淫らで、知的で、そして不老の魔女に変身するのです。

敦子が職場に復帰した時既に正子は職場にいました。初めて敦子を見た時から
正子は何となく敦子に惹かれるものを感じていて、二人は急速に近づき、一番
の友達になりました。敦子はおそらく正子にとって初めて心を許した友達でし
た。
暫くして敦子と金子のことが職場で評判になりました。正子は敦子から金子の
ことを毎日のように聞かされていました。表面では祝福しておきながら陰に回
ると仲間達がねたみ半分で敦子と金子の仲を露骨に非難するのを正子は嫌って
いました。うらやましいと思う気持ちは勿論有りますが、敦子なら許せる気持
ちになっていました。そんな時例の高級ネクタイ紛失事件が発生したのです。

事件の後敦子が何となく自分を避けていると察して正子は敦子と距離を取る
ことにしました。敦子の疑いもいずれ時が解決するであろうと覚めた気持ちで
対応したのです。そんな正子のクールな態度が余計に敦子を刺激して、彼女の
正子に対する気持ちを決定付けました。一言話し合えばお互いに相手のことが
良く判り、理解できたはずですが、よくあることで二人の気持ちは離れたまま
で歩み寄る機会が有りませんでした。

寺崎探偵事務所物語(V)、 敦子の事件(53) 鶴岡次郎 投稿日:2006/08/22 (火) 21:09
寺崎探偵は正子の周辺を漁っても何も出てこないことにやや焦りを感じていまし
た。正子は職場と自宅マンションを往復する毎日で、その単調な生活にも慣れて
いる様子で特に不満とか、人への恨みを内に秘めている様子でもなく淡々と毎日
を過ごしていました。決め手がないまま、敦子と約束した調査日限が近かづき、
今回の調査は未解決のまま報告書をまとめることになると覚悟を決めた時思わな
いところから情報がもたらせました。

金子武の実父、和夫が珍しく敦子の職場を訪ねて来ました。和夫の店は敦子のデ
パートから歩いて数分の距離ですから、もっと早く敦子を訪ねてきても不思議は
なかったのですが、普段から和夫はデパートで買い物をする習慣がなく、このデ
パートに最後に足を踏み入れたのが実に数年前のことです。おそらく敦子が居な
ければこの店に足を踏み入れることはなかったでしょう。
年代もののアロファシャツを着け、淡いピンクのパンツにソックスなしの白ス
ニーカで身を固めた和夫がにこやかに売り場に立つと、それなりに売り子たちの
眼を引きました。
「お父様、いらっしゃいませ」
敦子は少し緊張しながら、それでも親しさをこめた様子で彼の相手をして、和夫
が求めているボウ・ネクタイを見繕いました。その様子と会話から和夫が金子の
父親であることを売り場の皆が知りました。

昼食時間になり、敦子は和夫と一緒に近くのレストランで昼食を摂りました。武
の子供時代、デパートで彼が迷子になった話題などが出ましたが、いつもの和夫と
違いどこか元気のない様子で、敦子は内心心配していました。その時、和夫が思
い出したように何げない様子で敦子に尋ねました。
「敦子さん、ネクタイ売り場で貴方の側にいた人、そう、貴方と同じほどの身長
で、ここに黒子のある綺麗な人、あの人は前から勤めているの」
和夫は唇の右下を指差しています。

「ああ・・、さすがお父様ね、目がお高いわ・・、綺麗な人でしょう。独身で、
Y大学卒なのよ、金岡正子さんというのよ、確か私が二度目に勤め始めた時はこ
こにいたわ、でもそんなに以前からいた人ではないわよ」
70を過ぎても綺麗な女性をチェックしている和夫をことさら陽気に冷やかしな
がら、敦子が答えました。和夫を何とか元気にしてやりたいと敦子は思っている
のです。和夫は敦子の説明に興味なさそうにふんふんと頷いていますが、内心は
驚きでいっぱいです。

正子は間違いなくあの人妻セレブ、真砂子に間違いないと和夫は思いました。和
夫はほとんど毎日そのサイトを開いて真砂子を見ており、彼女専用のアルバムも
準備して、ぼかされた顔や局部もそれなりに復元して楽しんでいます。自己流で
復元した真砂子の顔は実物の正子とかなり異なっていることが判りましたが、唇
の側にある黒子で、和夫は店頭に立っている正子があの人妻セレブ、真砂子であ
ると確信しました。

真砂子の黒子は和夫が彼女の体の中で一番好きな部分で、その部分を拡大して飽
きず見ているほどです。一つに見えるその黒子は大きな黒子とその側にほとんど
くっつくようにごく小さな黒子からなっています。近くで見た正子の黒子は、そ
の場所、優しい顎の曲線、そして親子星のように大小の黒子が並んでいることも
総て真砂子の黒子と瓜二つです。

敦子はようやく和夫の様子が少しおかしいことに気が付きました。食事中も敦子
との話に乗ってこないで、話の展開がいつもの和夫と違ってチグハグになるので
す、別の何かに気を奪われている様子です。気分が悪いわけではないようです。
そしてようやく正子を見てから和夫の様子が変わったことに敦子は気が付きまし
た。
「うう・・ん、似ているね、まさかと思ったが間違いないよ・・・・」
和夫が思わず独り言を言うのを聞いて、彼が並々で無い興味を正子に持っていて、
どうやら彼女が和夫の知っている女性に似ていて、そのことに和夫がかなり衝撃
を受けているらしいことを敦子は察知しました。 

「お父様、正子さんのことがよほど気に掛かるようですね、ここへ彼女をお誘い
すればよかったわね、ふふ・・・」
ここまで話して、敦子は和夫が正子に関して敦子達の知らない情報を持っている
可能性があると思い始めました。寺崎探偵の調査は行き詰まっている様子で、新
しい事実でも出ない限り犯人探しはこれで終わりになると敦子は感じていたので
す。藁をも掴む思いとはまさにこのことで、敦子は和夫に事情を説明することに
しました。

「お父様、正子さんに関して何かご存知でしたら、お話しいただけませんか。
実は・・」
敦子は敦子の淫らな写真が武に送られてきたいきさつを話し、その犯人探しを寺
崎探偵に頼んでいることまで話し、最後に正子がその容疑者の一人であることを
話しました。
「・・・と言うわけです。恥かしいお話ですから、武さんとも相談してお父様に
は今まで内緒にしていました。先ほど言ったように、正子さんがネクタイ紛失事
件でも絡んでいると私は思っていて、今回の写真の事件では彼女が一番疑わしい
と私は思っています。それで、もし、彼女に関して情報があれば教えて欲しいの
です」

和夫は驚き、そして最後には少し苦しそうな表情で、それでも真剣な面持ちで敦
子を見つめて、一言も聞き逃さない様子で敦子の話を聞いていました。
「敦子さん、良く判ったよ・・。勿論、敦子さんのためになるのなら何でも協力
するよ。ここで話しても良いのだが・・・、少し複雑な話しになりそうだから、
出来れば今夜、家に来てくれないか、その何とか言ったな探偵さん、そう、寺崎
さんも、それに武も一緒が良いな・・、うん・・、それでは連絡を待っているよ」
和夫はそういって立ち上がり、テーブルの上にある伝票を持ってレストランの出
口に向かいました。少し頭を下げて歩く和夫の後ろ姿を見送りながら、和夫が急
に年をとったように敦子は感じていました。

寺崎探偵事務所物語(V)、 敦子の事件(54) 鶴岡次郎 投稿日:2006/08/23 (水) 14:53
その日の夜、和夫の店に寺崎、敦子そして武が揃いました。二人の男に敦子が連
絡を取って和夫が犯人の重要な手がかりを説明すると前触れしており、皆が期待
して集まっています。一階にある店内の応接コーナに集まった三人の顔を見回し
和夫は先に立って三階にある自室に案内しました。
20畳ほどの洋間で、部屋の北側に大型のベッド、中央に応接セットそしてもう
一方の壁際に大きな事務机があり、高級なパソコンセット、オーディオセットそ
してTVカメラと照明セットが有り小さなスタジオのような雰囲気です。和夫が
パソコンセットのスイッチを入れ、手慣れた様子でパソコンを操作していました
が、突然例の敦子の写真が19インチのモニター上に現れました。

「お父様だったのですか・・・、どうして・・」
敦子はその画面を見て思わずその思いを声に出して、慌てて両手で口を抑えてい
ます。武と寺崎は沈痛な面持ちでモニターを見て、そして和夫の顔を見ています。
この部屋に入った時から二人の男はこの展開をある程度予想していたようで、さ
ほど驚いた様子では有りません。
和夫は三人に座るように言って、棚からブランデイを取り出し、グラスに注いで
その強い酒を一気に流し込みました。それで少し落ち着いたようで、3人の前に
グラスを置きそれぞれに酒を注ぎ、最後に自分のグラスにも琥珀色の液体を注ぎ、
グラスを持ち上げ誰にともなく挨拶をして、グラスの液体を半分ほど喉に流し込
みました。

「ほんの悪戯心で武に送ったのだよ。二人がそんなに心配しているとは夢にも
思っていなかったよ。二人にはとんだ心配かけて悪かった。寺崎さんには随分と
面倒をおかけしました、申し訳なく思っています」
敦子の前夫、前原徹がサイトに投稿した敦子の写真を和夫が偶然見ていて、その
素晴らしい映像に惚れてダウンロードして、当時は、ほとんど毎日のように敦子
の映像を楽しんでいたのです。敦子の素顔は勿論判りませんが、体の特徴は和夫
の頭に詳細に刻み込まれていました。
武が初めて敦子をこの店につれて来て和夫に会わせた時、風呂場で和夫は敦子の
乳房とその左下にある黒子を見て彼女があの写真の人物だと直ぐ気が付きました。
あまりの偶然にびっくりし、同時にこれこそ何かの縁だろうと勝手に思って、彼
女のスナップを盗み撮りして、前原徹が投稿した写真を補修合成して敦子の恥か
しい写真集を完成させたのです。和夫一人で楽しんでおれば何も問題は起きな
かったのですが、素晴らしい作品を誰かに見せたくなって、息子の武に数枚の写
真を送りました。送り届けた後何故あんなことをしたのだろうと後悔したのです
が、そのときは既に武はその写真を敦子にも見せて、犯人捜査に動き始めていた
のです。

「・・という経過です。
あまりに写真の出来が良くて、誰かに自慢したくて、後先を考えないで武にその
写真を送りました。年甲斐もなくお恥ずかしいことをしてしまって、本当に皆さ
んには迷惑をかけました。取り返しのつかない状態になっていると思いますが、
できるだけ穏便に収めていただくようおねがいします」
和夫はそこで立ち上がり、三人に向かって深々と頭を下げました。三人はただ
黙って和夫を見つめています。何と言って良いか言葉が出ないのです。ただ、激
しい怒りとか、憎しみとは無縁の、やや拍子抜けした思いに取り付かれていて三
人は黙りこくっているのです。

「寺崎さん、貴方には随分と無駄骨を折らせました。何とお詫びを言って良いも
のか恥かしくて言葉も出ないのですが、いろいろ考えまして、失礼とは思いまし
たが、貴方へのお詫びの印として些少の金を準備しました。お気に触ったら赦し
ていただきたいのですが、根が商人ですから、こんなことでしか気持ちを表すこ
とが出来なくて・・・、ぜひ収めてください」
和夫は手にした紙封筒を寺崎の前に差し出しました。

「いや、いや、驚きましたね。まったく、想像も出来ませんでしたよ・・、
これでは探偵失格ですね、今回はお父さんにすっかりしてやられました、ハハ・。
金子さん、このお金、せっかくのお気持ちですからありがたくいただいておき
ます。また、敦子さんから依頼を受けた仕事は今日で終わりにさせていただきま
す。報告書は・・、何かの証拠が残ることはあまりよくないので、報告書は出し
ませんよ、敦子さん、それで良いですね。それでは、私はこれで失礼します」
寺崎はテーブルの上にある紙封筒を背広の内ポケットに押し込んで、立ち上がり、
見送りに付いてこようとする和夫と、敦子を手で抑えるようにして、部屋を出て
行きました。

寺崎が出て行った後残った三人の間に奇妙な沈黙が訪れています。
武には父、和夫への怒りはなく、敦子の裸体に惚れた和夫の行為を同じ男として
理解しており、むしろ和夫の行為を敦子がどう受け止めているか武は心配してい
ます。
一方、敦子は奇妙な興奮状態の最中に居ます。和夫が人知れず自分の裸体に憧れ
ていて、実物を見たとき直ぐそれと判るほど敦子の裸体を熟知していたことに、
恥かしさと同時に和夫に対する女心を感じています。勿論写真を合成したり、そ
れを婚約者に送りつけてきたことへの怒りや、戸惑いは一切消えています。むし
ろ、和夫にお礼を言いたい気分です。

「なあ・・・、そう黙っていては、辛くなるばかりだよ、何か言ってよ
お恥かしいことをしたと思っているよ、赦せるものなら赦して欲しい。
それがダメなら・・、そうだな、何か赦すための条件を出して欲しい」
沈黙に我慢できなくなって、和夫が遂に口を開きました。

寺崎探偵事務所物語(V)、 敦子の事件(55)  鶴岡次郎 投稿日:2006/08/24 (木) 23:48
「お父様、悪い人があの写真をばら撒いたら心配だったのですが、お父様だと判
り安心しました。私はもうあの写真の事は忘れます。だから私への心遣いは一切
いりません。今回の事件を総て忘れていただくことが私の条件です」
「敦子さん、親父のしたことを許してやってください。親父も長い一人暮らしで、
寂しくてあんなことをしたのだと思います。敦子さんが許してくれるなら、それ
で今回の件は、総て解決です。寺崎探偵も良い人のようだから、あれでもう何も
言ってこないでしょう。敦子さん、今までどおり親父に付き合ってやってくださ
い、僕からもお願いします」
「武さん、許すなんて・・、私はお父様が正直に告白されたことに感激していま
す。そして本当は・・、このことは男の人に教えるべきでないと思っていたので
すが・・・、私の本音を言えば、長い間私の身体をそんなに大切に思っていただ
いたことにお礼を言いたいくらいよ、私は女としてお父様に感謝すべきだと思っ
ています」
敦子が少し顔を紅潮させて、和夫に頭を下げました。

「ありがとう、敦子さん、そして武にも迷惑をかけたね・・、これは今思いつい
たわけではなく、いつ言おうか迷っていたのだが、良い機会なので、今二人に
言っておくよ。
実は八丁目の外れに掘り出しもののマンションが売り出されていて、もう手付け
は打ってあるのだよ。時期を見て、私はそこへ移り、この店は二人に任せたいと
考えているのだ、二人ともそのつもりで準備をして欲しい、いいね」
武が驚いて何か言おうとするのを和夫が手でそれを抑えています。もう決めたこ
とだから文句を言うなと、その手が武に語っているのです。武は頭を下げて和夫
の好意を受けとりました。そして、和夫は手を振って二人に部屋から出て行くよ
うに言いました。武と敦子が和夫に挨拶をして、部屋から出て行きました。

部屋に残った和夫はパソコンに向かいました。デジカメの映像をダウンロードし
ています。そして、何やら作業に没頭し始めました。一時間も過ぎた頃、ようや
く和夫は満足そうにモニター画面を見てほくそえんでいます。今日デパートで撮
影した和子のスナップ写真からいろいろな表情の顔写真を切り取り、真砂子夫人
のみだらな映像にその顔を貼り付けたのです。真砂子夫人の完璧な写真集が完成
しました。本人の映像を繋ぎ合わせたわけですから、出来栄えが良いのは当然で
す。これだけの作品を前にすると誰かにこれを見せたい気持ちですが、和夫はそ
の気持ちを苦い気分で押さえ込んでいます。

敦子が出勤すると監査部から呼び出しが有りました。部屋に入ると正子も呼び出
されていて二人は並んで座り監査部の担当、佐藤から話を聞くことになりました。
「突然およびたてして申し訳有りません、実は例のネクタイ紛失事故の件をお二
人に報告しておきます。犯人が判りました。あの時はお二人にはいろいろ失礼な
質問をしてご不快に思われたと思いますが、これも我々の役目だと思って許して
ください」
初老の担当者、佐藤の報告によると、パート採用していた清掃係の女性が売り場
の電子製品を持ち出そうとしてそれを監査部が摘発して、余罪を追及したところ
例のネクタイ事件も彼女が関与していたことが分ったのです。

あの時、ネクタイが紛失していることをいち早く察知した敦子たちの通報で、ネ
クタイを店外に持ち出すことが難しいと察知した彼女が、女性更衣室に逃げ込み、
たまたまロックが外れていたロッカーにそれを投げ込んだのです。そのロッカー
が偶然にも敦子のものだったのです。
「まあそんな事情です。彼女の背後には特定のバイヤーもいるようで、警察に協力
して一味の組織を暴くつもりです。まだ調査中の事件ですがお二人にはご迷惑をお
かけしましたのでお話し出来る範囲内で報告しました。そんなわけで今日お話しし
たことは職場の皆さんにお話しいただくのはかまいませんが、外部へはご内聞にお
願いします」
佐藤は律儀さを前面に出して二人に頭を下げました。彼の言葉から察すると正子も
敦子同様相当厳しい取調べを受けた様子です。正子も、敦子もにっこり笑って、職
場の皆に犯人が判ったことを知らせて安心させることが出来ると、お礼を言いまし
た。あの事件以来、正子と敦子の間だけでなく、仲間全員の間に何となくぎこちな
い雰囲気があったのです。

「ああ、ぜひそうしてください。あのような事件があると全員が疑心暗鬼に陥り、
仲間内がしっくりゆかないことが多いのです」
どうやら二人を呼び出して調査中の事件を敢えて説明したのは、職場の雰囲気を改
善する目的が大きかったようです。ベテランの監察員である佐藤は敦子たちの職場
の雰囲気が微妙に変化していることにいち早く気が付いていて、上司を説得して、
こうして調査中の事件を二人の女子店員に説明したのです。

寺崎探偵事務所物語(V)、 敦子の事件(56)  鶴岡次郎 投稿日:2006/08/27 (日) 17:32
「開店を控えた朝の忙しいところを呼び出し申し訳有りませんでした。これで報
告を終わります。お引取り下さって結構です」
敦子と正子が丁寧に頭を下げて立ち上がり、二人が佐藤に背を向けた時、彼が
ゆっくりと声をかけました。
「ああ・・、そうだ、今井敦子さん、婚約されたようですね、おめでとうござ
います」
敦子が振向いて少し紅潮した顔でにっこり笑って、もう一度丁寧に頭を下げまし
た。

「あの時金岡正子さんに金子さんと貴方の関係をいろいろ訊ねたのですが、正
子さんが頑として何も話してくれないのには往生しました。私達は敦子さんと
金子さんの関係は事前調査で十分知っていましたが、敦子さんと一番親しい正
子さんにその事実を確認したかったのです。ところが最後まで正子さんは敦子
さんのことを話しませんでしたね。
敦子さんと金子さんの噂は職場内では勿論、店の女性店員なら誰でも知ってい
るほど有名でしたからそこまで隠す必要はなかったですが・・、私はあなた方
の友情の強さに感動したことを覚えていますよ」
その部屋を立ち去ろうとする敦子を呼び止めて佐藤が話した内容は大きな衝撃
を彼女に与えました。敦子はその場に立っていられない気持ちになりました。
正子の友情を受ける資格のない自分に敦子は泣き出したい気持ちを抑えるのが
やっとでした。監査室を出た通路で敦子は耐え切れなくて、正子に抱きつきと
うとう声を上げて泣き出してしまいました。

「ごめんなさい・・・・、私そんなこととは知らないで・・・・・、
ずっと、ずっと・・・貴方を疑っていました。本当にごめんなさい、うう・・」
それだけを言って、敦子は泣き崩れて、正子に寄りかかっています。正子が彼
女を優しく抱きとめその背中を摩っています。いつまでも、いつまでも敦子は
泣き続けました。監査室にいる佐藤は敦子の泣き声を聞いて、何度も、何度も
頷いていました。佐藤が心配していたとおり敦子は正子を疑っており、正子も
また何も敦子に弁解をしていなかったのです。

この時以来正子と敦子は以前にも増して親密な仲になりました。そして、敦子
に連れられて一緒に正子も時々金子の店を訪ねるようになりました。和夫が正
子を歓迎したのは勿論です。
「ねえ正子さん、金子のお父様とどこかで会ったことあるの、彼、デパートの
売り場にいる貴方を見て、かなり動揺していたは、あれは以前から貴方を知っ
ていて、偶然そこで貴方を見つけた様子だったわ、何か訳が有りそうだけれど、
いくら聞いても教えてくれないのよ」
昼休みいつものように一緒に食事を摂って、その後、街を散歩しながら敦子が
正子に聞いています。和夫の視線の強さに最初、正子は途惑いましたが彼が好
意を寄せてくれていることを感じて、最近では彼に会うのを楽しみにしていま
した。

「ううん、貴方と一緒にお店に行った時出会ったのが初めてよ。でも感じの良
い紳士ね、私好きだわ」
正子は和夫の強い視線の意味がようやく判った気がしました。彼がインター
ネットの愛好者であれば真砂子を知っている可能性が有り、画面の女が正子で
あると推測しても不思議はないのです。確かに今までそうしたケースは一度も
なかったのですが、考えてみれば正子の男関係が皆無ですから今まで真砂子の
素性がバレることがなかったのです。
正子は和夫が彼女の秘密を握っていると思うだけでかなり興奮しています。
困ったとは思わず、むしろ彼にそれを暴いて欲しい気持ちになっています。そ
して、敦子にはこの秘密の行為を全て告白しても良いと思っている正子です。

「お父様が私を知っている可能性はゼロではないのよ。ううん、過去にお会い
していないのは確かよ。私ね、貴方に秘密にしていることがあるのよ、その世
界でお父様が私を見たのかもしれないわね・・・・・その世界では私は顔を隠
して、偽名を使っているから、すぐに私だと判るはずはないと思っていたけれ
ど・・、それ以外、お父様が私を知る接点が考えられないのよ」
「エッツ、正子さんもそうなの・・、もしかしてその秘密の世界はインター
ネットのことではないの」
「敦子、どうして知っているの、お父様がそう言ったの・・・、それはないわ
ね、分った、あなた・・、あなたもその経験があるのね」
敦子はゆっくり頷いて、例の淫らな合成写真のいきさつを簡単に説明して、和
夫がその犯人であったことまで話しました。二人はこんなことまで話せるほど
心を許しあっているのです。

「そう、敦子もそんな経験があるのね、間違いないわ、お父様、私のしている
ことを知っているのよ、私ね・・・、恥かしいけれど全部貴方に言うわね・・」
正子はインターネット上で三人の女に変身して、淫らな写真や動画を公表して
いることを敦子に話しました。その日の勤務が終った後も引き続き二人の女は
近くのレストランで食事をしながら、時々大笑いをしながら長い時間をそこで
過ごしました。
「ねえ、実名を出すのは少し可愛そうだわ」
「良いのよ、分らないわよ、たとえ分っても彼、多分気にしないわよ・・・、
それに、チョッと苛めてやるのも良いのよ、彼、あなたにも迷惑かけたのだから」
「そうね、ではこの計画通りやりましょう、面白くなってきたわね、でも私は
出来そうもないわ、恥かしいわ」
それから二人は連れ立って正子のマンションに向かいました。かなり二人とも
酔っ払っています。明日はデパートの休業日です。

寺崎探偵事務所物語(V)、 敦子の事件(57)  鶴岡次郎 投稿日:2006/08/29 (火) 21:38
金子和夫は自室でいつものようにパソコンに向かっています。彼がひいきにして
いる真砂子はまだネット上にアクセスしていません。明日はデパートの休業日で
すから、正子が変身する可能性が高いと和夫は期待しています。23時を過ぎた
頃、ようやく真砂子が登場しました。

「お待たせしました。今日は友達と食事をして、ワインをたくさんいただきまし
た。少し酔っ払っています。最初から淫らになってもいいですか」
真砂子の黒のブラ、ショーツ姿の写真がアップされました。そして、引き続いて
ブラを取り、ショーツを取り、バイブレータで遊ぶ映像まで次々とアップされま
した。
「実は側に今日一緒に飲んだ友達が居ます。・・・残念でした女友達です。でも、
私が乱れる姿を側で見ていて、彼女、なんだか辛そうにしているわ、きっと濡ら
しているかもよ、皆さんの声援が大きいと、彼女もその気になるかもね・・」
それからが大変でした。男達からの返信が殺到しました。

「友達の名は亜津子さんです。私より5歳ほど若いかな、未婚なのよ・・・」
敦子の赤いブラ、ショーツ姿の映像がアップされました。男達の猛烈なコメント
が殺到しています。次の写真では亜津子がブラをとり、乳房をクルーズアップし
た映像がアップされました。乳房の右下にある黒子が明瞭に映し出されています。
「今日はこれでお別れします。亜津子は初めての経験でこれ以上見せるのは無理
なようです。次の機会には亜津子のもっと淫らな姿をお見せできると思います。
東京のカズオさん真砂子と亜津子を楽しんでいただけましたか。それでは皆さん
また会いましょう、おやすみなさい」

和夫はモニターを睨みながら、驚きを抑え切れない思いで、画像をダウンロード
することも忘れています。困った時、当惑した時の癖で、和夫は棚からブラン
デーのボトルを取りだし、それを喉に流し込みました。そして、落ち着いて考え
ると、この状況も悪く無いと思い始めています。二人の女は和夫に素顔と素性を
知られていることを承知で、恥かしい姿を曝したのです。そして、これからもそ
れを続けるつもりのようです。和夫がその気になれば、デパートに出向いて二人
の制服姿を楽しむこともできるし、自宅に招いて素顔の彼女たちと普通の会話を
楽しむことが出来るのです。そして夜になれば彼女たちのこの上ない淫らな映像
を楽しむことになるのです。
「面白くなってきた」と和夫は独り言を言って、残りの酒を流し込みました。

その日から、二人の女はほとんど毎日のようにインターネット上に現れました。
亜津子も全裸を曝し、バイブレータで悶える映像をアップするまでになりました。
ある日、二人の女は和夫を呼び出し、昼食を一緒に摂ることになりました。和夫
は個室形式のレストランに二人を連れて行きました。ここは食事をしながら商談
をするため、和夫がいつも利用しているレストランで、食事が並べられると、呼
ばない限り従業員はこの部屋にはやってきません。彼はノートパソコンを抱えて
この部屋にやってきました。
にこにこ笑いながら和夫がパソコンを操り、19インチの画面いっぱいに二人の
女のアルバムを開きました。和夫が念入りに顔と局部のぼかしを補修した画像が
二人の女に次々と展開されています。写真の最後に敦子と真砂子がにっこり笑っ
て、大きく開いた局部にデルドーを挿入している破廉恥な写真が現れました。

「あら、この合成写真良く出来ているわ、金子さんこのボデイの写真何処で拾っ
たの、不思議ね、体つきまで私達にそっくりね、まるで私自身が恥かしい姿をし
ているように見えるわ。こちらの女も敦子そっくりね」
パソコンの画面に現れた映像を見て、正子が他人事のように論評しています。敦
子は真っ赤になって恥かしがっています。この場では正子は写真の女達はあくま
でも真砂子と亜津子で押し通すつもりのようです。

「でもこの部分は少し変ね、私こんなに毛深くないもの・・、それに、敦子はこ
んなじゃないわ、もっとピンク色で綺麗よ」
「ああ・・、いや、正子さん、いやらしいわね、そんなこと言って」
「ねえ、敦子、お父様に私達のデータを差し上げましょうよ、そうすれば、もっ
と正確な写真が出来るわ、お父様、メールアドレスを教えてください、私達の
データを送りますから」
その場で正子の携帯電話に和夫がメールを送りました。

「金子さん、この身体を使って絡み写真を合成したもの有りますか・・・、
ああ・・・・、これは凄いわ・・、大きいものがいっぱいに入っているわね、
いやらしいわね、こんなに濡らして・・、すごい・・、
私こんな姿勢でやったことはないわ・・・、あら・・失言ね」
正子が思わず本音を洩らして、口を押さえてにっこり笑っています。それほどそ
の写真は会心の出来栄えです。正子がいっぱいに両脚と開いて、男の上に載り、
亀裂に太い男根を咥えている写真で、濡れた男根に白い愛液が絡んでいるのさえ
明瞭に見えます。
次に敦子の絡み写真もアップされました。両手両脚を床につけて、臀部を突き上
げたその亀裂に後から極太の男根が挿入されています。敦子は眼を閉じて、うっ
とりとした表情です。

「ダメ、ダメ、昼間からこんなもの見ていると午後から仕事にならないわ、金子
さん、もう結構よ、十分楽しみました。これから良い写真ができたら、私宛に
送ってください。活用させていただくわ、ふふ・・・」
結局二人の女はインターネット上の亜津子と真砂子が自分たちであると告白しま
せんでしたし、和夫もまたそれを敢えて追及しませんでした。三人はそれぞれに
インターネットの世界と現実を分けて考えることを選択したのです。
これからも、二人の女はネット上では変身して、奔放に、淫乱に振舞い、現実の
生活では堅実な毎日を送ることになります。このように実生活ではとうてい実現
することが出来ない冒険をネット上で変身して思う存分楽しんでいる人が案外多
いのかもしれません。

敦子は半年後には金子武と結婚して、古道具屋の若女将になります。正子もいず
れ似合いの伴侶を見つけることになるでしょう。それまで二人の女はネット上で
たくさんの男達に淫らな姿を曝し続けることになります。和夫がそうであったよ
うに、二人の女の正体を偶然悟る人が現れることがあるでしょうが、その時二人
の女がどんな反応を見せるか楽しみです。案外、二人は誰かに正体を知って欲し
いと思っているかもしれません。
二人の正体がバレる時、その時はまた、二人の女を追ってみたいと思います。そ
れまでは、二人の淫らな姿を楽しんでください。

エッ、二人の写真がどのサイトにあるのかとのご質問ですか、今貴方が見ている
その写真がそうかもしれませんよ、あるいは、もっと探せば、ほら、乳房の黒子
と、唇の側にある親子黒子が目印ですよ、真砂子と亜津子が貴方に暴かれるのを
待っています。
               寺崎探偵事務所物語、敦子の事件
                              おわり

[Res:] お疲れ様でした! ヌー 投稿日:2006/09/02 (土) 22:46
新作を期待してます!


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寺崎探偵事務所物語(V)、敦子の事件 (2006年5月〜2006年8月作品)