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フォレストサイドハウスの住人達(その23)

[1] スレッドオーナー: 鶴岡次郎 :2018/10/15 (月) 14:38 ID:vMR7wgko No.3175
坂上咲江、村上総一郎、二人はそれぞれ別の世界に生きていて、本来であれば決して顔を合わせるこ
とがなかったはずでした。恋の女神のいたずらなのでしょうか、同窓会帰りの咲江が薄暗い路地で
酔っ払いに絡まれているところを、通りがかった総一郎が助けたのです。

現場近くの事務所に咲江を連れて行き、手厚く傷の手当てをして、替えのストッキングまで準備し
て、タクシーで自宅まで送り届けたのです。結婚以来久しぶりに、男性から優しくされた咲江は舞い
上がりました。

一週間後、お礼に村上の事務所を訪問すると決めた咲江は漠然とですが、彼が迫ってくれば、抱かれ
てもいいと覚悟を決めていました。シャワーを使い、勝負下着を身につけたのはその覚悟の表れでし
た。

当時、総一郎が経営する村上装備は、銀座の貸し店舗の周旋、高級食材や、酒類を飲食店に卸す商売
をしていて、5人の従業員を使い、それなりに繁盛していました。その頃、村上は50の坂をとっく
に超え、還暦も近い年齢ですが、これまでの人生で決まった伴侶を求めないで、打算なしでは女性と
寝ない人生を送ってきたのです。そんな彼には珍しいことですが、良家の奥様然とした咲江に一目で
惹かれたのです。

咲江と村上の関係が一年余り続いた時、村上装備の経営が大きく傾いたのです。不幸にも大きな不渡
りを掴まえさせられて、店が破産寸前まで追いこまれたのです。悪いことは続くもので総一郎は、そ
のショックもあって性的不能に陥ったのです。すべてをなくした総一郎は生きていく望みさえなくし
ていました。そんな彼を支えたのが坂上咲江でした。咲江の献身的な介護の甲斐があって、総一郎の
男はよみがえりました。この事件を何とか乗り越えて、二人の不倫の愛は強く、深く二人の心に根付
いたかに見えました・・・・。

一方では、咲江の友である浦上千春は禁断の情欲に溺れる友、咲江を何とか救い出そうとして、鶴岡
由美子、美津崎愛に助けを求めます。由美子は村上を誘惑します。策略を展開して、ベッドで妖しく
絡み合う姿を咲江に見せつけます。絶望した咲江は村上に別れを告げ、彼のアパートから逃げ出しま
す。これで終わっておれば、由美子たちの作戦は大成功だったのです。

しかし、咲江の夫坂上夏樹は少し違った考えを持っていました。情人と別れ身も世もなく泣き崩れ、
涙ながらに浮気を告白する妻咲江の姿に魂を奪われるのです。

〈こんなに艶やかに変身するのなら、
妻の浮気も悪くない・・、
これからも、男との関係を続けさせよう‥‥〉

そう考えた坂上夏樹は妻咲江を伴って村上総一郎の事務所を訪問するのです。坂上の激しい鉄拳さえ覚悟していた村上は、妻を差し出すという夏樹の申し出にびっくりします。それでも、もともと嫌で別れた咲江ではないですから、夏樹の申し出が真剣であることを察知して、ありがたくその申し出を受けることにするのです。こうして、坂上夏樹、咲江夫妻と村上総一郎の奇妙な関係がスタートしたのです。



この章では村上総一郎と坂上咲江の関係を中心に、その後の展開を追うことにします。相変わらず
変わり映えのしない、市民の物語です、ご支援ください。

毎度申し上げて恐縮ですが、読者の皆様のご意見、ご感想は『自由にレスして下さい(その11)』
の読者専用スレにご投稿ださい。多数のご意見を待っています。また、文中登場する人物、団体は全
てフイクションで実在のものでないことをお断りしておきます。卑猥な言葉を文脈上やむを得ず使用
することになりますが、伏字等で不快な思いをさせないよう注意しますが、気を悪くされることもあ
ると存じます。そうした時は読み流してご容赦ください。

発表した内容の筋を壊さない程度に、後になって文章に手を加えることがあります。勿論、誤字余脱
字も気がつけば修正しています。記事の文頭と、文末に下記のように修正記号を入れるようにしま
す。修正記号にお気づきの時は、もう一度修正した当該記事を読み直していただけると幸いです。

・〈(1)2014.5.8〉文末にこの記事があれば、この日、この記事に1回目の手を加えたことを示し
 ます。
・〈記事番号1779に修正を加えました。(2)2014.5.8〉文頭にこの記事があれば、記事番号1779に
 二回目の修正を加えたことを示し、日付は最後の修正日付です。ご面倒でも当該記事を読み直して
 いただければ幸いです。


[2] フォレストサイドハウスの住人達(その23)(735)  鶴岡次郎 :2018/10/17 (水) 15:26 ID:LU89twFg No.3176

村上の望み

村上の店に週三回勤務することになった咲江は30分ほどの通勤時間を楽しみながら、元気で事務所
に通っています。伝票の整理、帳簿の管理など経理の仕事が主です。結婚前は坂上夏樹の勤務する研
究所で経理事務をしていた時期が数年あったので、すぐに仕事に慣れて、村上には嬉しい誤算だった
のですが、今ではかなりの戦力になっています。

村上装備の商売は今のところ貸店舗の周旋が主で、以前商っていた店舗備品や、顧客の店で消費する
高級食材は扱えなくなっています。このことが村上にとって一番悔しいことなで、いつかは昔のよう
な商売に戻したいと思っているのは確かです。

店内での咲江の服装ですが、白のブラウスと紺のタイトスカートに、黒のハイヒールと比較的地味な
ものです。しかし、ノーブラで、体にぴったり張り付いているスカートの臀部にパンティラインが見
えませんので、ノーパンティか、さもなくば、かなり危ない下着だと、見る者の想像力を掻きたたせ
るのです。

以前に比べて咲江は人が変わったほど明るくなりました。以前の彼女は何事にも控えめで、彼女自身
の好みだとか、欲望を外に出すことは決してなかったのです。それが、夫の許しを得て、晴れて村上
と自由に付き合えるようになって、彼女の心を覆っていた罪悪感、自己嫌悪感が取り除かれたからで
しょう、前を向いて生き生きとしているのです。

通勤で街路を大股で歩く彼女から、30歳半ばの程よく熟した女の色香が発散され、すれ違う男たち
が振り向いています。そうなのです、咲江はまさに女の盛りを迎えているのです。

以前は咲江から求めることはなかったのですが、この店に勤めるようになってからは咲江の方が積極
的です。この店ではお客のほとんどが予約客で、フリーで訪れる客はほとんどないのです。予定した
来客が途絶え、仕事が一段落すると、咲江が動き始めます。

表に臨時休業の看板を出し、施錠して、電話を留守電に切り替えるのです。そして、タイトスカート
をソファーに脱ぎ捨てます。次にパンストと形ばかりのショーツを一緒に脱ぎ捨て、下半身を丸出
し、ハイヒール姿になります。その姿のまま総一郎に近づき、唇を重ねるのです。事務所での情事の
ため、村上は新しいソファー・ベッドを購入しました。ワンタッチで簡単なベッドに早変わりする椅
子です。

今日も、昼前お客の途絶える時間を狙って、二人は絡み合っています。二人とも全裸になって絡み
合っています。

「ルン、ルン…、
ただいま、留守にしています、ご用件を…」

留守電がお客からの電話を知らせています。膣奥深く収めていた肉棒を抜き取り、淫汁を滴らせなが
ら村上がベッドから立ち上がり、全裸で受話器を取り上げています。咲江はそんな村上にベッドから
優しい視線を送りながら、ほてった陰部を指で慰めています。

「ハイ・・、それでは・・
今日、午後三時にご来店ください・・、
いい物件を、準備しておきます‥、
ありがとうございました・・」

愛想よく村上が応対しております。

電話が終わった村上がベッドに戻ってきました。全裸の体を横たえている咲江の傍に腰を下ろしまし
た。村上の前では、決して夫の前では見せない大胆な姿をさらします。濡れた体を曝すことも、局部
はおろか後ろも開いて見せることも、咲江は平気でやります。むしろそんな恥ずかしい姿をさらすこ
とを楽しんでいるのです。

村上の手が伸びて、彼が先ほど吐き出した精液の垂れる亀裂に指を挿入しています。安全日を選んで
中に入れているのです。うれしそうな表情を浮かべ、咲江が腕を伸ばし、村上の頭を引き寄せ、唇を
重ねています。村上の指が縦横に動き回り、咲江の悶え方が激しさを増してきました。


[3] フォレストサイドハウスの住人達(その23)(736)  鶴岡次郎 :2018/10/18 (木) 14:03 ID:uXP4mi7w No.3177
その時、また電話が鳴りました。指を抜き、口に含んでぬめりを舐め取って、受話器を取り上げまし
た。新規のお客からです、午後一時の来店が決まりました。50分後には来客を迎えることになりま
した。

「さあ・・、忙しくなるよ・・、
明日また・・、楽しむことにして、
今日はこれまでだよ‥」

咲江の唇に軽く唇を寄せ、恨めしそうな表情の咲江に背を向けてシャワー室へ向かいました。

ゆっくりと体を起こし、ソファーの上に股を広げて、けだるそうに座りました。股間から愛液がソ
ファーの上に滴り落ちています。傍のテイシュを取り上げ、股間のぬめりを拭きとっています。それ
だけの刺激で体をピクリと反応させています。少しちゅうちょしていましたが、すぐに指を入れ、か
なり激しく動かし始めました。唇から喘ぎ声が漏れ出しています。ソファーの上でいっぱいに両脚を
開き、右指を二本挿入しているのです。愛液の滴りが激しくなりました。

シャワー室から出てきた村上が、ドアーのガラス越しに咲江の様子を見ています。今日だけの光景で
はないのです、終わった後も自慰に耽るのは最近の習慣なのです。底知れない情欲に村上はある種の
恐怖を感じ始めています。

〈凄いね・・・、
ますます強くなった…、
この分では、いずれ俺一人では耐えられなくなるかも…
助っ人が必要になるかも・・、
まあ・・、その時は、その時だ・・・〉

心中でつぶやきながら事務所に通じるドアーの音を立てながら開けました。びっくりして咲江が村上
に視線を向けています。それでも指は膣に入れたままです。村上の前では、この程度のことでは恥ず
かしいと思わなくなっているのです。むしろ股間を村上に見せるつけるように、すこし股を開いてい
るのです。指を咥え込み、濡れそぼり、少しはれぼったくなった女陰が村上の視線をとらえています。

「ああ・・、ゴメンナサイ…、
はしたない恰好をお見せして・・、ああ・・・・
でも・・、許して・・・、
こんなことをするのは総一郎さんのせいよ
アレがあまり良くて…、我慢できなくて…、
後を引くのよ・・・、
本当を言うとね・・、もっと・・、もっと欲しい‥‥、ああ・・・・。
私って・・、本当にスケベーね…」

指を入れ、その指を緩やかに動かしながら、そう言って、にっと笑っているのです。

「さあ・・、
今日は忙しくなるよ…
あまり時間がない・・、
シャワーを浴びたら。直ぐ、飯にしよう・・」

咲江の指遊びにはそれ以上かかわらないで、陽気に声をかけています。


咲江が村上の店に勤めるようになって半年も経った頃のことです。今日は休日で、坂上家では主人の
夏樹、そして、咲江、小2の長男と幼稚園児の長女、一家がそろった夕食がいつものように賑やかに
始まっています。

「村上さんの店はどうだ…」

「どうって…」

突然村上の話題が出て、咲江は戸惑いを見せています。夫の口から情人である村上の話題が出たこ
と、そのことが戸惑の原因ではありません、夫婦の間で村上の話題は時々出るのです。どのように愛
されているか、指はどのように使うのか、モノは大きいのか強いのかと、彼の話題が出るのは決
まって寝室で、それも夏樹の男根が挿入され咲江が夢中になって悶えている時なのです。

「夏樹さんの方がずっと大っきい…ああ・・・・、
でも・・、彼は優しいの…、
いつまでも、いつまでも・・ああ・・・
私の体を…、舐めてくれるの…、ああ・・
前だけでなく・・・、ああ・・、後ろも舌を入れて…・
それだけで・・、私…、ダメになっちゃうの…」

こうした会話が二人の情感を刺激することが判って以来、咲江は積極的に村上の話題に乗っかること
にしているのです、そうすることで咲江自身もすごく高まるのです。しかし、寝室なら構わないので
すが、食事時の素面の状態で村上の話題が出たのは今回が初めてなのです。動揺と軽い興奮状態の中
に咲江はいるのです。


[4] フォレストサイドハウスの住人達(その23)(737)  鶴岡次郎 :2018/10/22 (月) 15:36 ID:ulT.MCUY No.3178
夕食の場で突然村上の話題が出たことに咲江は少なからずこだわっています。許された他人棒とはい
え、やはり人妻が夫以外の他人のモノを膣に受け入れるのは異常であり、世間の常識では許されない
ことです。以前ほどではありませんが村上の男根を受けいれるたび、疼くような罪悪感にさいなまれ
るのです。もっとも、その罪悪感は情感を刺激して、咲江を狂わせることになるのですが・・・。

素面の席で、夫から村上の話題が出ると、初めてのことだけに咲江の心は動揺するのです、それと同
時に、村上の名前を聞いてHのスイッチが入るのです。彼に抱かれた体の記憶がよみがえり、咲江は
もう・・、濡れ始めているのです。一方夫は、咲江の戸惑いと情感の盛り上がりには気がつか様子で
会話を続けます。

「商売は順調なの…?」

「よく判らないけど…、
最近は少し忙しくなって…、
私の給料は出せる程度に稼いでいる様子よ‥」

夫が村上について、何を聴きだしたいのか、咲江は見当がつかないのです。不安が広がります。

〈ああ…、嫌ね・・・、
夫から村上さんの話題が出てことで…、
彼の優しい指使いと全身を舐める舌遣いを思い出しちゃった…、
こんなに濡れだすなんて…、
私…、ほんとにどうかしている…
あの人の話題で興奮して濡らしているなんて・・・、
夫にばれたら・・、どうしょう・・・・〉

彼女自身が自身の体を襲う欲望の高まりにあきれているのです。一方では濡れ始めた股間はも
う・・、滴り落ちるほどになっているのです。

「村上さんに一度会いたいのだが・・、
出来れば、家に彼を呼べないかな…?」

「エッ…、家に来てもらうの…?」

〈えっ・・、彼を家に呼ぶの…、
やっぱり…、彼に・・、何か文句を言うつもりだ…。
夫の許しを得ているからと言って…、
私…、やり過ぎたかしら…・
昼間、彼に抱かれて、
彼の匂いが残るアソコに夫を迎えたこともある。
その時、夫は何も言わなかったけれど・・、
何となく、変な態度だった…・〉

改めて指を折って数えるまでもなく、夫より村上のモノを受け容れている回数が断然多いのです。研
究に忙しい夫とは月の内一度か二度ですが、村上とは出勤した日、ほとんど抱かれているのです。

〈私に直接文句を言えないから・・・、
総一郎さんを痛めつけるつもりかしら…〉

咲江の気持ちは不安でいっぱいになっています。村上に文句をつけ、その時の成り行きでは、最悪、
二人の愛人関係を清算させられるかもしれないのです。じっと夫の顔を見つめています、穏やかな笑
みをたたえています。咲江は夫の気持ちが全く読めないのです。

「うん…、夕食の席にお招きして・・、
一晩泊まっていただいてもいいと思っている‥」

「泊まらせるの…?」

〈泊まらせるって‥‥、
何を考えているの…、
判らない…〉

夫の意図がますます読み切れなくなって、咲江は困惑しています。それでも、熟れた体は正直です、
今の話題で刺激されたのでしょう、股間から一気に愛液が吹き出ています。わずかですが破裂音を発
しているのです。もう少し刺激すると咲江は逝ってしまうかもしれません…。ようやく夏樹が咲江の
興奮した表情に気がつき、少しいぶかしそうに妻を見ています。そして、少し見当違いの慰めを
言ったのです。


[5] フォレストサイドハウスの住人達(その23)(738)  鶴岡次郎 :2018/10/23 (火) 14:21 ID:5SaCtw2s No.3179
「そうムキになって、興奮することはない‥。
村上さんをいじめると思ったのか…、
彼のことがそんなに心配か、妬けるね…ハハ・・・」

「こんな時、冗談を言わないで・・、
彼ともめ事を起こしていただきたくないだけ・・・、
私がいけないのでしょう・・、
だったら・・、私に言って…」

「お前にも、村上さんにも、
何も苦情を言うことはない・・・。
彼に少しお願いしたいことがあるだけなのだ・・・、.
咲江にも関係することなので、
二人揃った時に詳しい話をするつもりなのだ・・」

「彼にお願いしたいことって・・、
何ですか・・?
彼に何が言いたいの・・、
今・・、私に・・、
直接話してちょうだい・・」

精いっぱい食らいついています。妻が不機嫌になっているのを冷静に受け止めて、笑いながら夏樹は
答えました。

「ハハ・・・、すっかりご機嫌斜めだね・・・、
ここで話しても良いが・・、
二人揃った時の方が、話が通じやすいのだ・・、
咲江にとって、悪い話は出ないから…、
心配しなくてもいいよ‥」

「そう言われてもね・・、
心配するよ…、
だってそうでしょう…、
あなたの許しを得ているとはいえ・・・、
私と彼の関係は・・、
人には言えない関係であるのは間違いない。
私と彼の仲は、あなた次第なのよ・・・、
あなたが止めろと言えばそれまでだと思っている‥
そこのところをちっとも判っていないんだから…」

自分でも見当違いの怒りを夫にぶつけていると判っているのですが、何となく、悔しくて咲江は夫に
抵抗しています。

「アハハ‥‥、そう言うことか…、
咲江はいつも・・、後ろめたい気分になっているんだね・・・、
僕が焼けるような嫉妬心を捨てきれないのと同じだね・・」

「そうよ・・、いつも不安定な気持ちなのよ・・・、
だから・・
彼を家に呼んで、相談するということになれば・・・
凄く不安で、居ても立っても居られない気持ちになる・・」

素直に不安な気持ちを咲江が告げています。

「判った・・、
曖昧なことを言ったようだ、謝るよ・・・、
日ごろ咲江がお世話になっている、
そのお礼の席を設けたいのが趣旨だ・・・、
その後、少し彼にお願いがあるんだ・・」

「そう・・、
その願い事と言うのが気になるけれど、
良いわ‥、あなたを信用する‥。
家に来るよう、彼に伝える…、
次の休みの日でいいね…?」

「うん…」

これ以上押し問答しても、夫が話しそうにないこと、あまり執拗に追及すると痛くもない腹を探られ
ることになると、咲江は中途半端な気持ちを抱いたまま、この話題を打ち切りました。それでも、心
の中はすっきりしないのです。


[6] フォレストサイドハウスの住人達(その23)(739)  鶴岡次郎 :2018/10/24 (水) 18:04 ID:rqU80Juw No.3180

夫に隠れて村上に抱かれていた時は、罪悪感と、自己嫌悪感でボロボロになっていたのです。一時は
発作的に死さえ考えたことがあったのです。それが、村上との関係を許されてからは、さすがに深刻
な罪悪感は消えましたが、その反面、夫への大きな負い目は拭い難く、根がまじめな咲江だけに、夫
に感謝の気持ちと愛情を伝えたい思う感情は少し異常と思えるほど高まっているのです。罪悪感とは
違った意味で咲江は自分自身を追いこんでいるのです。

〈私が夫の立場なら・・、
絶対に他の女を抱く夫を許せない…。
それだのに、夫は笑って総一郎さんに私を預けた・・、
私はその大きな愛に何もお返しをしていない・・、
それどころか、夫の好意に甘えてばかりいる‥
こんなことで良いのかしら…、
私にできることが何かあるはずだ…・〉

ピリピリと張り詰めた気持ちでいるわけではないのですが、夫が何かを言えば、必要以上に反応し、
その発言の裏に隠れている夫の真意を探る習慣が咲江の日常になっているのです。村上を家に呼ん
で、一晩泊まらせて、ゆっくり相談したいと夫が言い出したのです。そして、かなり粘って聞いて
も、夫は村上を招待する真の目的を明かそうとしないのです。これでは咲江でなくても、疑心暗鬼に
陥ります。

〈村上さんにお願いしたいことって…、
何だろう…、
悪い話ではないと言っているから・・・、
別れ話や、苦情ではなさそうだけれど…。
私・・、何か不都合なことをしていないだろうか‥
判らない・・、でも、考えても仕方ない・・、
私の愛情で、夫の不満や、不安を取り除こう・・・〉

愛人を与えられ好き放題にセックスを満喫できる環境を与えられているわけでから、夫の大きな愛に
報いるには、咲江もまた夫が自由に女遊びをすることを認めようと思った時期もあったのです。しか
しいくら考えても夫に浮気を勧める気にはなれませんでした。

結局咲江が選んだ道は、献身的なサービスでした。日常の食事や身の回りのケアーを十分にし遂げる
のは勿論ですが、特に閨でのサービスが重要だと考えたのです。セックスで不満を与えない、どんな
女より咲江のセックスが楽しいと思わせることが使命だと、咲江は自分自身に言い聞かせたのです。

仕事の都合もあり、夫婦のセックスは週二度までと決めています。咲江はこのセックスの時間に、大
げさに言えば、命を懸けるのです。村上によって開発され、彼の手で磨かれたセックステクニックを
余すところなく夫に向けて発揮するのです。

これほど献身的で、この上なく充実した妻の愛情は男にとって夢のようなことですが、当の夏樹の身
になれば、喜んでばかりいられない事情があるようです。
咲江の献身的なサービスが夫夏樹を追い詰めることになっていることを、勿論、咲江は気がつきませ
ん。今日も自問自答を重ねながら、閨でのサービスに精神を集中している咲江です。

〈夫は私とのセックスに満足しているだろうか…?
慣れから、手抜きのサービスになっていないか…?
はしたない女だと思われるのが嫌で、セーブしていないか・・?
少しでも、妻とのセックスに不満を持つようなら・・、妻失格だ・・・!
いろんな男を知っている千春に言わせると・・、
夫の持ち物は市の文化財にしても良いほど立派だそうだ…、
もっと、もっと、大切にしないと、バチが当たる…〉

その夜、いつものように夫のモノをくわえながら、今日もやるぞと咲江は覚悟を固めているのです。

〈思い切り、淫乱な私を夫に見せつけよう‥、
淫らな女の本性を夫に見せつけよう…。
夫が余計なことを考える余裕がなくなるまで攻めよう‥
そのためには私が、先ず、夢中になることだ…・〉

その夜、咲江の攻撃は見事でした。咲江は数えきれないほど、夏樹は三度も逝きました。


[7] フォレストサイドハウスの住人達(その23)(740)  鶴岡次郎 :2018/10/30 (火) 16:20 ID:uKjA0BhA No.3181

情事の後、全力を尽くした咲江は全裸のまま濡れた体をそのままに、深い眠りに堕ちますが、夏樹は
書斎に戻り仕事を続けます。情事の後書斎で一仕事する、これが夏樹の習慣なのです。ところが、今
日はいつもと違って調子が出ないのです。体がだるくて、油断すると眠気に負けそうになるのです。
咲江のサービスがいつも以上だったことで、夏樹も思わず頑張り過ぎたのが原因です。

「もう・・、歳かな…、無理は出来ない…、
やらなければいけない仕事は山積みだけれど…・
こんなに骨抜きにされたのでは・・、
何もできない・・、
今夜はあきらめよう…・
それにしても、今日の咲江は凄かった…、
今日のような日が続けば、とても耐えられないかも・・」

ぶつぶつ言いながら夏樹は椅子から立ち上がりました。あきらめて寝るつもりのようです。寝室の扉
を開けると強い女の香りが鼻腔を刺激しました。全裸の咲江が体を横にして、指を股間に強く指し込
んだ姿のまま寝入っているのです。どうやら、ひとしきり指遊びを楽しんだ後、そのまま寝入った様
子です。口から唾液をたらし、幸せそうな表情で寝ています。

そっとタオルケットを体にかけて、妻の額にキッスをしました。

「ああ…、夏樹・・・・、
もっと、もっと・・、奥へ…、入れて…ェ・」

抱かれている夢を見ているのでしょう、体を折り曲げて、指をさらに深く指し込んでいます。股間か
ら、猥雑な破裂音が出ています。寝ていても、女の情感は活動しているのです。咲江の寝姿を見つめ
ながら、夏樹はほっと大きなため息をつきました。

「もう・・、限界かも‥、
浦上さんの気持ちが、今にしてよく判る…・」

低い声で夏樹がつぶやいています。そして、朽ち木を倒すようにベッドに体を投げ出し、そのまま寝
入ってしまいました。かなり疲れている様子です。

夏樹がつぶやきで名前を出した浦上三郎は千春の旦那です。浦上三郎の紹介で夏樹は初めてソープの
世界で遊び、そこで千春を抱き、女体とセックスに開眼したのです。このソープの経験がなければ夏
樹は相変わらず幼稚なセックスしかできなくて、妻咲江との仲も危うくなっていたと思われるので
す。いわば、浦上三郎と千春は夏樹にセックスの深淵を教えた恩人なのです。

浦上が妻千春をソープで働かせていることに、坂上は当然のことながらひどく驚いたのです。その
時、浦上は簡単にその訳を話しましたが、その時の坂上には到底納得できなかったのです。それが、
今、咲江の猛烈な情欲の迸りを目の当たりにして、夏樹はあの時、浦上三郎が語ったことを鮮明に思
い出しているのです。

「坂上さん・・、私だって…、
妻がソープで何人もの男に抱かれていることを考えると、
気が狂うほど妬けます‥。
何時まで経っても、この気持ちは変わりません‥。
では・・、なぜそんなことをさせるのかと思うでしょう…、
妻を愛しているからです‥。
妻が気持ちよく生きて行くためにはこの道がベストなのです…」

下の子が幼稚園に入園し、子育てを卒業した千春の中で、それまで抑え込んでいた女の情欲に火が付
きました。情欲の高まりに苦しんでいる妻千春を思って、浦上三郎は千春に情人、佐王子保を与えま
す。結婚前からの千春と付き合っていた佐王子は親身になって千春に対応しました。しかし、二人が
かりで対応しても千春を満足させられないことが判ったのです。佐王子と浦上は更なる対応策を打ち
出しました。千春をソープで働かせる決心を固めたのです。

千春は水を得た魚のように、楽しくソープの世界を泳いでいます。その気になれば日に数本の男根を
賞味出来るのです。千春の女は磨かれて燦然と輝いているのです。

千春が近所に買い物に出る時、都心にお出かけの時、通りがかった男たちの視線が千春の姿を追いま
す。今まさに絢爛と咲き誇る花、それが千春なのです。
絢爛と咲き誇る千春の陰に、夫、三郎と、情人、佐王子の血のにじむような苦労があることを知って
いる人は少数です。

いま、狂わしい情欲に悩まされている妻、咲江を見て、坂上夏樹は自分もまた、浦上三郎のように大
胆な対策を打ち出す必要性をひしひしと感じ始めているのです。


[8] フォレストサイドハウスの住人達(その23)(741)  鶴岡次郎 :2018/10/31 (水) 16:36 ID:KuG7b80U No.3182
二週間後、休日前の夜、村上は坂上家を訪問しました。暑い盛りでしたが、白い上下のスーツに身を
固めて緊張した面持ちでやってきました。

「本日はお招きにあずかり・・、
遠慮なくお邪魔しました…・」

「お忙しいところ・・、
わざわざお越しいただき感謝申し上げます。
長男と、長女です。
さあ・・、おじさんに挨拶をしなさい・・」

マンションの前で待っていた坂上一家の出迎えを受けて、村上が丁寧に頭を下げ挨拶をしています。
坂上夫妻と小学生の長男、幼稚園生の長女が丁寧に頭を下げています。

咲江から招待された時、村上自身も坂上夏樹の真意が読めませんでした。それでも村上は何も質問し
ませんでした。坂上の大きな度量のおかげで、咲江との関係を続行させてもらっている村上は、坂上
の指示であれば命までも差し出す覚悟を常々示しています。この時も、坂上の真意は不明ですが、何
も聞かないで坂上家訪問を快諾したのです。


賑やかな食事が終わり、子供たちが子供部屋に引き下がり、大人三人は居間に席を移しています。村
上はほとんど飲めない様子で、お茶をゆっくり味わっています。夏樹と咲江はいける口のようで、そ
れが食後の習慣になっているのでしょう、ブランデー・グラスをいとおしそうに舐めています。

「いや…、ごちそうになりました…。
久しぶりに楽しい食事を楽しみました・・。
良いですね・・・、
家族揃って食事するのは・・」

「お粗末様でした…、
子供たちが騒いで落ち着かなかったでしょう‥?」

「いやいや・・、
お子さんたちに囲まれて食事するのは初めての経験です。
家庭を持ったことがありませんし、
子供の頃、早くに両親がなくなりましたから・・・、
一家だんらんがこんなに楽しいとは想像さえしていませんでした‥」

幼い頃も含めて家族団らんの思い出は村上にはない様子です。

「こんな家でよければ…
これからも・・、遠慮なくお越しください…」

夏樹が愛想よく言いました。

「ありがとうございます…、
幼いお子さんと接するのは・・
初めての経験でしたが…
楽しいものですね・・」

「そういえば・・、
子供たちも村上さんにすっかり甘えていましたね…
近くに親戚が居ないので、
家族以外の方と食事をしたのは、
あの子たちは初めてなはずなのですが…・」

最初の内、子供たちは緊張していたのですが、優しく声をかける村上にすぐに慣れてきて、実のおじ
いちゃんに接するようになっていたのです。

「ご一緒に食事をするだけでも、貴重な経験でしたが・・、
こんな得体の知れない男のことを・・、
『銀座のオジサン…』と、呼んでいただいたりして・・・、
一生の思い出になりました…」

「・・・・・・・・」

子供たちと親しく話し合えたことに村上はすごく感動して、うっすらと涙さえ出しているのです。夏
樹と咲江が村上の感動ぶりをに驚き、すぐには言葉が出ない様子です。


[9] フォレストサイドハウスの住人達(その23)(742)  鶴岡次郎 :2018/11/07 (水) 11:39 ID:0TuOAmKI No.3183

「今日・・、わざわざお越しいただいたのは・・、
村上さんに、お願いしたいことがありまして・・、
こちらから会社にお訪ねして、説明申し上げるのが筋とは思ったのですが、
日ごろのお礼も兼ねて、
心ばかりのお食事を差し上げたいと思ったのです‥」

笑みを浮かべて夏樹が口を開きました。いよいよ本題に入ったと、村上と咲江の表情に緊張感が現れ
ています。

「詳しい説明は省きますが・・、
私の担当している研究が、おかげで国際的に注目されまして・・・、
日本、米国、イギリスの研究者が参加して、
開発チームを結成することになりました。
その国際チームのリーダーに私が就任しました・・」

「ほお・・、それはおめでたいことですね・・・」

村上が感心しています。事情を事前に知らされている咲江は黙って微笑んでいます。

「ここから先は咲江にも話していないことなのですが…、
開発センターは日本にあるのですが、
米国、イギリスの開発チームは個々に現地で研究することになっています。
そのため、チームリーダの私は頻繁に両国を訪問して、
研究方向と内容をチャックする必要があるのです。
訪問の度に、現地に一、二ケ月ほど滞在することになります・・」

「えっ・・・、そんなに長い間、現地滞在になるの…?」

咲江がびっくりして問いかけています。どうやら坂上は妻と子供たちの気持ちを考えるあまり、長期
間家を空けることを家族に伝えることが出来なかった様子です。

「うん…、
咲江や子供に何と説明していいか、
考えがまとまらなくて…、
ここまで先延ばししてしまった・・。
申し訳ないが、そう言うことになる…」

苦しそうな表情を浮かべ夏樹が答えています。

「村上さんにお願いしたいのは・・・、
留守宅のことなのです・・・」

「・・・・・・」

村上が黙って頷いています。坂上夏樹の言わんとすることが村上にようやく読めたのです。

「ご承知のように・・・、
村上さんの愛情とご指導を受けて、咲江はすっかり変わりました。
夫の私が言うのは少し変ですが…、
本当に・・、いい女に変貌しました。
ただ・・、良いことばかりでなく・・・、
男気なしでは、おそらく三日は堪えられない体になりました……
これには、少々私も困惑しております‥‥」

「ああ…、なんてことを言うの…!
そんなにスケベーではありません…!」

思ってもいなかった夏樹の攻撃に咲江が猛反発しています。

「判ります…、
旦那様のご心配は、私にもよく判ります…」

村上がまじめな表情を作って、律儀に答えています。

「ああ・・、総一郎さんまで…」

咲江が怒りの表情を作って、二人の男を睨んでいます。その表情も長く持ちませんでした。にっこり
微笑んで言葉を出しました。


[10] フォレストサイドハウスの住人達(その23)(743)  鶴岡次郎 :2018/11/09 (金) 14:28 ID:.4MLLhZ. No.3184

「判りました…。
お二人には何も隠しません…。
その通りです・・・、
私はスケベーな女です・・・」

「・・・・・・」

笑みを浮かべて咲江は男たちの顔をまっすぐに見つめて言い放ちました。男二人は愛想笑いを浮か
べ、無言で咲江を見つめています。この場はすっかり咲江のペースに巻きこまれています。

「おっしゃる通り…、
男なしでは三日と生きていけない女に堕ちてしまいました…。
勿論、私自身の問題ですが、
お二人にも多少の責任はあると思います。
さあ・・、お二人さん、どうしてくれるのですか‥‥?
ふふ・・・・・・」

嫣然と笑いながら、一気に本音を吐露しています。

「判った、判った…、
今からその対策案を村上さんに相談するところなんだ…
少し、大人しく聞いてほしい…」

「判りました…。
よろしくお願い申します…」

愁傷な表情で咲江が頭を下げています。

「そんなわけで…、
子供たちのこと以上に、咲江のことが気になります・・・」

坂上の言葉に、村上が何度も頷いています。咲江は笑みを浮かべています。

「そのような事情ですから・・、
私が長期間家を空ける時には・・、
泊まり込みで来てほしいのです・・
言ってみれば、代理夫を務めてほしいのです・・・・」

「判りました…、
旦那様がお留守の間は・・、
こちらにお世話になり、奥様や、お子さんと、
寝食を共にさせていただきます‥」

「ありがとうございます…、
今ところの予定では・・、
出張は一ケ月先から始まる予定です。
そのつもりでお願いします‥」

「承知しました・・、
ご存知のような商売ですから、時間に余裕はあります。
残る問題は、私の体力です。
美味しいものを食べ、節制して体力増進に、
今から努めます…」

村上がまじめな表情で悲壮な覚悟のほどを示しています。夏樹は笑っていますが、咲江は少し不満そ
うな表情を浮かべています。


[11] フォレストサイドハウスの住人達(その23)(744)  鶴岡次郎 :2018/11/12 (月) 11:12 ID:qNVsbxj. No.3185
「いやだ…、体力増進に努めるなんて…、
その言い方…、
私がとんでもなく男好きで、
村上さんの全てを食い尽くすように聞こえる…、
ふふ・・・・・」

「おや、おや・・、違ったかな…、
僕が居なくなったら、これ幸いと・・・、
朝、昼、晩・・、見境なく・・・、
村上さんの頭の先から、つま先まで、全部・・・、
食い尽くすつもりではないの・・・・?
村上さんもそのことが判るから、
覚悟のほどを私たちに披露しているのだよ・・・」

「ふふ・・・・、
判りました…、その通りかも・・・、
ありがたく・・、お二人のご厚意をいただきます…
ごちそうさまです…・・、ハハ・・・・・・」

咲江がまじめな表情で頭を下げ、そして突然笑いだしました。二人の男もつられて笑い出していま
す。

「ありがとうございます。
これで安心して出張できます。
わがままついでに・・、
もう一つ・・・、
お願いしたいことがあります…」

「何でしょう・・・、
言ってみてください…」

「今回のことは一生に一度のチャンス到来と思っています。
一人の研究者として、この仕事に命を懸けて挑みたいのです‥。
妻のこと、子供のこと、おろそかにするつもりは勿論ありません・・。
しかし・・・」

ここで言葉を飲み、坂上夏樹は村上と咲江の顔にゆっくりと視線を当てました。咲江も、村上も、坂
上が何を言い出すか予想がついている様子で、じっと坂上を見つめています。

「国内に居ても、研究所に泊まり込む日が多くなり、
多分・・、家に帰る日は限られてくると思います‥‥
家族にはさみしい思いをさせることになります・・・、
それで・・・・、お願いしたいのは・・・」

「坂上さん・・・、
それ以上の説明は必要ありません‥。
そこまでの説明で十分判ります・・。
及ばずながら、村上総一郎・・・、
この命を、咲江さんと旦那様・・、
そして、あの可愛いお子さんたちに、
無条件で差し出します…。
安心して、研究に没頭してください・・・」

坂上夏樹、咲江が涙をあふれさせて、村上に向かって、深々と頭を下げています。

国内に居ても、研究に没頭するあまり、妻と子供たちのケアーまで気が回らないことが多くなる、つ
いては、海外出張で家を空ける時に限らず、研究のめどがつき、落ち着くまで、妻子を一時的に村上
に託したいと、坂上夏樹は言っているのです。村上がそのことを快諾したのです。


[12] フォレストサイドハウスの住人達(その23)(745)  鶴岡次郎 :2018/11/19 (月) 11:02 ID:QBbCasZM No.3186

「村上さん・・、
せっかく招待しておきながら
誠に申し訳ないのですが…、
よろしければ・・、
これから私は研究所に出向きたいのです‥、
昨日仕掛けた実験の結果が出る頃なのです‥」

「そうですか…、
勿論、私は構いません・・、
私はここらで、お暇します…」

「いえ、いえ・・、
村上さんはゆっくりして行ってください・・、
そうだ…、
ご迷惑でも、今晩ここに泊まってくれませんか‥。
子供たちも、きっと、喜ぶと思います‥。
咲江は・・、それでいいね…」

「ああ…、やっと・・・、
私の存在に気がついたようね…・、
二人の話がどんどん進んで、
私の意向は聞かないのかと、
ちょっとムカついていた・・」

「ゴメン、ゴメン…
咲江を無視するつもりはなかったんだが・・・、
咲江もきっと僕と同じ気持ちだと、勝手に思い込んでいた
気に食わないのなら、村上さんにお願いして撤回してもいいが…」

「気に食わないなんて・・・、ちっとも思っていない…
夏樹の優しい気持ちに感謝している…、
そして、あなたが村上さんにお願いしたことは・・、
私も同じ思いです。
多分、村上さんが居ないと私は不良になると思う‥、
街に出て手あたり次第、男アサリするかも、ふふ・・・・。
村上さん・・、宜しくお願い致します・・・」

ニコニコ笑いながら咲江が答えています。

「よし・・・、これで決まった・・・。
村上さん・・、よろしければ…。
きょうから自由に僕たちの寝室を使ってください…、
ご存知のように、咲江は凄い声を出しますので、
他の部屋では近所迷惑になりますから…・
それと…、
万が一、村上さんの手に余るような事態になれば・・・
村上さんのご配慮で妻に、別の男を与えていただいても…」

「ストップ!
夏樹・・、そこまででいい・・、
研究所に早く行きたいのでしょう…
後は、私と村上さんで考えるから…・」

「アハハ・・・・、
判った、判った・・、出かけるよ・・・、
明日は夜遅くなると思う・・、
帰る時間が決まったら連絡をするから…
村上さん・・、では・・・」

あたふたと坂上は出て行きました。もう・・、彼の頭の中には研究のことしかない様子です。


[13] フォレストサイドハウスの住人達(その23)(746)  鶴岡次郎 :2018/11/29 (木) 13:35 ID:uxFYlP1k No.3187
「ゴメンナサイね・・、
お招きしておきながら・・、
お客様を残して出かけるなんて…‥
研究のことになると、他は何も見えなくなるのよ‥」

「いえ、いえ・・、
それでこそ、坂上さんです‥。
私は無条件で彼を支えますから、
奥様は何も気にしないでいいですよ‥」

「それにしても・・、
村上さんの手に余るようなら・・、
別の男を準備するよう頼むなんて…・、
何だか・・、恥ずかしい・・・、
私・・、そんなことにはなりませんから…、
夫の言葉は、気にしないでください…・」

「・・・・・・・・」

咲江の言葉に村上は黙って頷いています。坂上に言われるまでもなく、彼自身も何度かそのことを考
えたことがあるのです。終わった後、咲江がひとしきり自慰行為に耽る姿を見るにつけ、最後まで満
足させることが出来ない自身の力なさを思い切り知らされているのです。

他の男を準備することは村上にとってさほど難しくありません、咲江ほどの女であれば喜んで相手を
する男は村上の周りにはたくさんいるのです。その気になれば、一時間以内に数人の男を集めること
が出来るのです。それでも、村上はそのことを実行しようと考えたことがありませんでした、しか
し、咲江の夫である坂上がそのことに触れて来たのです。改めて、村上はいささか追い込まれた気分
になっていました。

「俺で満足できないと思ったら・・、
何時でもそう言ってくれ…、
旦那様も、あのように言っておられることだし…、
その気になったのなら、簡単に男を集めることが出来るから‥」

「判った…、
その気持ちだけで十分・・・、
夏樹と総一郎さんに十分愛されていて・・、
その上、他の男を求めたりしたら・・、
罰が当たる。ありがとう…。
その件は忘れてちょうだい…」

屈託なく咲江は答えています。

「良かったら、お風呂に入って・・、
私は・・、子供たちの様子を見てきます‥、
明日は、7時には皆起きます。
子供たちは、8時には家を出ます。
そのつもりでいてください…」

すっかり主婦の顔に戻って、かいがいしく咲江が動き始めました。この時、もし村上が咲江の本音を
辛抱強く問いただせば、きっとこう答えたと思います。

「親友に千春と言う人がいるの・・、
とっても魅力的な人で、旦那様との仲も良い・・、
彼女、旦那さんから愛人を与えられ、その上…、
ソープに勤めている‥。
もちろん、旦那様と愛人も公認している‥。
正直言って・・、うらやましいと思うことが何度かある・・。
でも・・、私にはできない・・・、
いえ・・、許されないことだと思っている‥」

咲江のこの言葉を聞いたら、きっと、村上は咲江のソープ勤めを認めると思いますが、幸か不幸か、
そこまでは・・、今のところ、発展する気配はありません。


[14] フォレストサイドハウスの住人達(その23)(747)  鶴岡次郎 :2018/12/06 (木) 13:08 ID:2KfagOYo No.3188
それから一年近く経ちました。夏樹はほとんど家に居つきません。海外出張の無い時でも、研究所に
泊まり込み、何日も帰ってこないのです。たまに家に戻ってくると、何時間も死んだように眠るので
す。咲江は勿論、子供たちも夏樹のそんな生活に慣れて、今ではほとんど彼のいないことを寂しがる
ことがなくなりました。それでも、たまに家に戻って、優しい夫、パパの態度を見せると咲江も、子
供たちもすぐにペースを取り戻し、夏樹に絡みつくのです。

村上はほとんど同居人のように坂上家に入りびたりです。近所には咲江の母方の親戚と言うことにし
ています。さすがに夫婦の寝室は使いませんが、村上にあてがわれた客間にダブルベッドが搬入され
て、咲江と村上はほとんど夫婦と同じような生活を送っています。当然のことながら、夏樹より村上
に抱かれる回数が圧倒的に多いのです。子供たちも「銀座のオジサン」と呼んで彼に慣れ親しみ、一
緒にゲームをしたり、休日、遊園地に遊びに出かけたりするのです。


秋が深まる頃、咲江と村上は遅い昼食を事務所近くの大衆レストランで取っていました。昼時を
とっくに過ぎているので、お客は咲江たちと店の奥に3人ずれの男性客が居る限りです。

「出来ちゃったみたい…」

「エッ‥、何が…」

「だから・・、
月経が遅れているの…」

「赤ちゃんか…・・」

「・・・・・・・・」

咲江が黙って頷いています。


基本、村上はコンドームなどの避妊具を使わないで精液排出のコントロールで避妊する方法をとって
います。これまでも、たくさんの女と接してきてそれで成功してきているのです。そんなはずがない
と言いたいのですが、その主張を裏付けるものは今までの実績のみで、これと言う証拠はないので
す、何とも頼りにならないことです。

「それで・・、何ケ月だ…」

「最後の月経があってから二ヶ月近く経っている・・」

「エッ‥そんなに経っているのか・・、
何故、もっと早く言わない‥」

「だって・・、
そんなはずがないと油断していたから・・・
遅れていると思っていた・・」

「病院へは行っていないのだね」

「うん・・、でも・・、
市販の試薬で確かめたら、赤だった・・」

妊娠の可能性が高いと言わざるを得ません。

「・・・で、ご主人には、このことは・・・?」

「彼・・、
昨日アメリカに発ったわ・・、
心配するといけないから、未だ知らせていない・・・
病院で検査を受けて、明確になれば連絡する・・・」

「・・・で、
どっちなんだ‥」

「判らない…、
どちらも可能性がある・・・」

村上も坂上も父親の可能性があると咲江は言っているのです。村上の驚きに比べて、咲江はいたって
落ち着いています。

「とにかく、今日は早く帰って・・、
今日か、明日にでも、病院で検査を受けることだな、
必要なら、俺が付いて行ってもいいが・・」

少しうろたえ気味の村上が口早に言っています。60近くなって、おそらくは人生初めての経験です
から、うろたえるのは理解できます。

「ひとりで行けます‥、
安静にするようにと言われたら、
少し迷惑をかけることになります」

「会社の方は心配するな‥、
何とか考える‥」

今や優秀な会計担当の咲江が欠けると会社にとっては大打撃なのですが、この際、そんなことを口に
することは勿論できません。


[15] フォレストサイドハウスの住人達(その23)(748)  鶴岡次郎 :2018/12/26 (水) 16:39 ID:G6pRnFVI No.3189
二日後、咲江から村上に電話連絡がありました。妊娠二ケ月に入っているとの診断だったのです。昨
夜、時差のある地域に出張中の坂上夏樹にも連絡を入れたと咲江は村上に教えました。坂上は単純に
喜んでいたそうです。

一人、アパートで村上は眠れない夜を迎えていました。両親とは早い段階で死に別れ、育ててくれた
親戚とも、18歳になる頃に、縁を切った状態で、今まで、一匹オオカミのように生きて来たので
す。妻を持つ機会は何度か訪れたのですが、気がつくとその現実から村上はいつも逃げていたので
す。

咲江のお腹に宿った小さな命が、自分の子供である可能性が残されていると知った時、村上は奇妙な
陶酔感の中に居ました。そして、その陶酔感が覚めると、大きな喜びが村上の中に湧き上がっていま
した。誰もいないアパートの一室で村上はいつまでも笑みをたたえて宙に視線を泳がせていました。

翌日から村上は人が変わったように働き始めました。以前お世話になった顧客を訪問してまわり、食
品や店舗内の備品の販売を復活すると宣伝したのです。不運な不渡り手形を掴まされて倒産寸前まで
追い込まれ、店の規模を絞って不動産の斡旋業で息を繋いできて、これでいいとあきらめていた村上
だったのです。

昔の村上を覚えていてくれる顧客も結構多くて、誠実な仕事を残してきた村上の復帰を歓迎してくれ
るお客が多かったのです。

朝5時には起きだし、夜11時近くまで働きました。わずかな期間に昔の規模にまで村上の商売は戻
りました。以前の従業員二名を含め、社員5名を抱えるまでに復活したのです。

妊娠初期段階の咲江は、大事をとって村上の店を辞めて、自宅で、静養しています。昼間、忙しい仕
事の合間を縫って、週一ほどの頻度で、村上が咲江のマンションを訪れています。身籠って以来、咲
江も以前のように求めませんから、村上と咲江の間の性的な関係は少し控えめです。咲江とお腹の赤
ちゃんの元気な姿を見るためだけの目的で、坂上家を訪問することが多くなっています。もちろん、
坂上夏樹、そして小学生の長男、幼稚園生の長女も、みんな赤ちゃんの誕生を楽しみにしています。

翌年の春、男の子が生まれました。元気な子で、宗男と名付けられました。血液型はA型でした。坂
上、村上ともにA型で、咲江はB型です。詳しい血液検査をしないと父親の判別ができない状態で
す。当然のことながら、生まれた子は坂上家の次男として入籍されました。

咲江も、そして村上も詳しい検査をしてまでも、実の父親捜しをする気がない様子です。坂上はこの
件に関しては何も言いません。生まれた子を我が子と信じているのです。

咲江と村上の仲は、出産後も変わらず続いています。子供が出来たことで、咲江の激しい情欲は影を
潜め、それなりの性交頻度で満足できるようになっています。月に二度か、三度、昼間、坂上が出勤
した後を狙って、村上が坂上家を訪れるのです。村上が坂上家を訪れる目的は、咲江を抱くことが目
的なのですが、最近は赤ちゃんの傍に長い間座っていることが多いのです。村上が来たことを咲江は
夫に必ず報告しています。

赤ちゃんの誕生で一番変わったのは村上です。がむしゃらに働き始めました。わずか5年の間に、会
社規模を5倍に伸ばしました。銀座の同業者の中では一、二を争う会社に成長させたのです。押しも
押されもしない地元を代表する企業です。

「村上社長・・・
良くここまでにしましたね・・、
一時は本当に心配したことがありました・・」

「ありがとう・・、皆さんのおかげですよ、
しかし・・、うれしいね・・、
子孫に譲るべきものが持てたのは・・・
俺は、そのため、ここまで頑張ってきた…」

仕事関係の親しい人との酒席で、村上はよくこんな会話を交わします。村上が未婚で、子供が居ない
ことを知っているその人は、間違いを正すことはしないで、笑いながら村上の肩をたたき、「良かっ
たね・・、よくここまで頑張った‥」と、何度も、何度も頷くのです。

果たせなかった夢、息子に会社を譲る夢を、酔った時くらいは本気で考えるのもいいことだと、村上
の気持ちにその人は寄り添っているのです。そんな時、村上は必ず、涙を流しているのです。その脳
裏には、幼稚園に通う咲江の次男、宗男の顔が浮かんでいるのです。宗男の口元が自分そっくりだ
と、村上は密かに思い、肌身離さず持ち歩いている宗男の写真を見ては、ひとりでほくそ笑んでいる
のです。


[16] いい年を迎えてください  鶴岡次郎 :2018/12/26 (水) 16:45 ID:G6pRnFVI No.3190
今年はここで筆をおきます。今年一年のご支援に感謝申し上げます。来年は15日ごろから始動する予
定です。よろしくお願い申します。ジロー



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