フォレストサイドハウス(その26)
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フォレストサイドハウス(その26)
鶴岡次郎
2020/09/10 (木) 10:57
No.3286
「これから先のことですが…、
私は何も知らなかった・・、
この店へも来なかった・・、
佐王子さんとも会わなかった…。
そう言うことにしたいと思っております…」
迷いがなく、決心は固い様子で、すらすらと安田太郎は話しています。
「つきましては・・・、
ご迷惑でも、佐王子さんにご協力いただきたいのです…
佐王子さんにはこれまで通り、郁子の面倒を見ていただきたいのです・・・・
そして・・、もし・・・」
「ああ・・、
そこまでお話を聞けば十分です。
辛い話を全部言わなくても、結構です…」
安田太郎の口を途中で止めています。
「これから先も、奥様がその気になれば・・・、
今まで通り商売は続けさせていただきます。
しかし私からは決して商売を強制しません」
「よろしくお願い申します」
安田が頭を下げています。
「もし・・・、
安田さんが奥様の暴走を止める気持ちになられたら・・、
その時は、安田さんのため・・・、
影になって力を尽くし、協力をいたします‥‥
それでいいですか‥‥?」
「よろしくお願い申します…」
安田太郎は深々と頭を下げ、そしてゆっくりと背を向けて店長室を出て行きました。
それから半年ほど過ぎた頃、郁子が決めて、彼女の仕事は終わりました。安田太郎はそのことを佐王
子からの連絡で知りました。どうやら、もう一度子作りにチャレンジする気持ちを郁子は取り戻した
様子です。