フォレストサイドハウス(その25)
23 フォレストサイドハウス(その25)
鶴岡次郎
2020/02/05 (水) 16:57
No.3261
この頃、沙織はある決心を固めつつありました。13年前に足を洗ったソープ業界に戻る夢を実現し
たいと思い始めていたのです。夫、道夫にも正直に相談しました。

「沙織がソープ業界復帰を夢見ていることは以前から気づいていた。
これまで我慢してくれたことに感謝する。
人生は一度だけだ・・・、
これから先は、沙織の思う通り生きてほしい‥。
私が出来ることがあれば何でもするよ…」

金倉道夫は全面的に妻、沙織のわがままを許すと言いました。

13年前のわずか三ケ月間、その間獲ったお客は70人足らず、沙織はこの思い出をいつも胸の奥深
くに抱いて来ました。確かに、優しい夫と三人の子供と一緒に暮らす生活は充実していて、やりがい
のある人生でした。ソープ業界に戻ることを考える暇がない程充実していました。しかし、子育てが
一段落すると、忘れていた13年前のことを鮮烈に思い出す時間が多くなったのです。体の奥からあ
の日々の快感が湧き上がってくるのです。沙織は行動を開始しました。

佐王子の店は13年前と同じ場所に少し外観の姿を変えて建っていました。ほとんど当時と変わらな
い元気な姿で60歳を超えた佐王子が沙織を迎えてくれました。再デビュウーの申し出を受けて佐王
子はそれほど驚いていませんでした、むしろ予想より数年遅かったと思っていたのです。

43歳で再デビュウ―して55歳を超える頃まで現役として働きました、金倉道夫との夫婦仲も良
く、道夫が事務次官になった時、50歳の沙織は現役ソープ嬢として働いていました。佐王子の死後
はその店を引き継ぎ、80歳近くまで沙織はオーナとしてその店の切り盛りをしました