フォレストサイドハウスの住人達(その24)
41 フォレストサイドハウスの住人達(その24)
鶴岡次郎
2019/08/20 (火) 11:33
No.3235
由美子の男に対する好奇心と情欲は尽きることがないのです。それはメスの持つ本能的な機能が、由
美子の場合、他の女と比較して想像を絶するほど強いことが原因かもしれません。

一方傍から見る限り、由美子は性欲のはけ口となる都合のいいメスそのものなのですが、彼女と接し
た男達には彼女が単なる性欲のはけ口とは異なる対象であることにすぐに気がつくのです。特に、目
の前に現れた人生の壁に絶望して、真剣に死を考えるような時、男には必ずこんな時が一度や、二度
はやって来るものですが、そんな時、彼女に遭遇した迷い羊たちは、由美子に悩みを打ち明け、優
しく由美子に抱かれると、不思議と生きる勇気を彼女から授かるのです。佐王子が神とあがめる所以
はこのあたりにあるのかもしれません。

「男の腕の中にいるその瞬間・・、
男の体の下で、男根を受け容れている瞬間、
少なくとも、その瞬間だけは・・・、
その男一人を彼女は真剣に愛することができるのよ・・」

力を込めて悠里が加奈に話しています。

「彼女を抱いた男達は・・、
愛されていると、しっかり自覚できるはず・・、
高嶺の花である由美子さんに愛されている・・・、
自分の中に存在する男を認められた・・。
そのことを男達は確信するのよ・・・、
その気持ちが自信を生み、
明日へ生きる気力を、そこから授かるのよ・・」

悠里の力説は続きます。加奈は黙って頷いています。

「口で言うとこんなことになるけれど、
彼女の本当の凄さは、由美子さんに接した男にしか判らないと思う。
由美子さんはそういう、女性だと言うことなの…」

悠里はそう言って長い話を終えました。何故か、うっすらと涙がにじみ出ています。その涙に気づき
ながら、そこから視線を外し、加奈がゆっくり口を開きました。

「う・・・ん・・・、
抱かれている、その瞬間、
男根をアソコに受け容れているその瞬間…、
心底、その男に惚れる…。
出来ているようで、なかなかできないことだね・・・、
女はそうあるべきだし…、
そうなりたいと、私も・・、心から思う…・」

加奈も大いに感じることがある様子で、しきりに感心しています。

「そうだね・・、これから先…、
私も、いろいろな男に抱かれるだろうけれど・・、
その時、由美子さんの気持ちに出来るだけ近ずく努力をするつもりよ・・。
そうでないと・・、つまらないと思うようになった・・・。
お金のためや、仕事だと割り切ってセックスすると言う女がいるけど、
そんな気持ちでしか、セックスできないとしたら・・、悲しい・・・・」

悠里が明るい表情で語りました。この言葉を聞いて、悠里が一段と成長したことを加奈は感じ取って
いました。今日まで、短期間の娼婦稼業を通じて、それなりの数の男達に抱かれて、悠里は確実に成
長していると・・、加奈は漠然と感じ取っていたのですが、今日改めて、悠里との距離を加奈は
はっきりと感じ取っているのです。