フォレストサイドハウスの住人達(その24)
38 フォレストサイドハウスの住人達(その24)
鶴岡次郎
2019/07/26 (金) 17:29
No.3232

「男と接する時・・・、
由美子さんはどんな男にも真剣に向き合うらしいの‥
男をえり好みしないのよ・・・」

「えり好みしないで男達に接していると・・・、
おいしそうな若い元気な男がいるかと思えば、
弱弱しい、少し汚れた老人もいるはずね・・、
どんな男にも真剣に向き合うのは・・、
女には・・、いえ・・、少なくとも私には・・、難しい‥
由美子さんは、その難しいことを実行しているのね・・・、
聞きたい・・、とっても興味が沸く…・」

悠里の言葉に加奈が正直に反応しています。そして姿勢を正して、聞き耳を立てているのです。賢明
な加奈はこれから大切なことを聞くことになると判断したのです。

「男達と向き合った時、
由美子さんは彼等の恋人に成りきるのよ・・・、
一人、一人の個性を愛し、少なくとも、接している間は・・、
最愛の恋人に接するようにふるまうの・・、
そのようにして、彼らの心をしっかり掴んでいるのよ・・」

悠里の説明に加奈が少し首を傾けています。納得できない部分があるようです。

「一人、一人の個性を愛し、
その都度最愛の恋人に接するようにふるまう‥。
言葉の意味は良く判るけど、いざそのことを実行するとなると・・、
難しい・・、私には無理だとおもえる・・・、
由美子さんと言えど、
男の好き嫌いはあるはず、
いえ、私達より、感性が鋭いはずだから、
簡単に誰でも愛することが出来るとはおもえない…?」

鋭く加奈が食いついています。

「そうよね・・、加奈だって疑問を抱くよね…
実は・・、私も加奈と同じ疑問を持って、
佐王子さんにそのまま質問をぶつけたことがある。
彼はその質問を待っていたように笑いながら即答した。
その時の彼の回答を、そのまま加奈に伝える‥。
正直言って、この回答で私の疑問は解消できないどころか、
余計疑問が深まったけれど、
加奈なら、私とは違う解釈をするかもしれない‥」

真面目な表情で悠里が説明しています。加奈が無言で頷いています。

「由美子さんはね・・・、
由美子さんは・・、心底、男が大好きなんだと・・、
佐王子さんは笑いながら、私に教えてくれた・・・。
大好きな男のことをいつも考えているから、
接する男の中に、女を惹き付ける物・・、
男の宝・・を・・・、
探し出す名人だと言うの…」

「エッ‥、男の宝…?
それって・・、何…?」