フォレストサイドハウスの住人達(その24)
26 フォレストサイドハウスの住人達(その24)
鶴岡次郎
2019/05/22 (水) 15:40
No.3218

「お客様に抱かれた時、
訓練通り、丁寧にもてなそうと思うのだけれど、
私・・・、根がスケベーでしょう…、
途中で夢中になってしまって・・、
我を忘れて、もてなすことなんか忘れてしまうの…、
大声を出して、お汁を一杯吹き出すの…」

「あら、あら・・
商売そこのけで、楽しんでしまうのね・・・、
悠里らしい…」

「そうなると、もう・・・、ダメ…、
最後には、気を失って、
お客様が帰ったのも気づかないことが多い・・。
これでは娼婦失格だと、心配になるの…」

「それが悩みなの・・、
あきれたものね・・・・・・、ふふ…」

深刻な悩みではない様子です。おのろけのようにさえ聞こえます。軽蔑の表情を隠さないで加奈は悠
里を見ています。

「それで・・・、佐王子さんに相談した・・・。
私がここまでやって来たお客対応を彼に、詳しく説明して、
これで合格かどうか聞いてみたの…」

「あきれた…、
佐王子さんに、そのことを、わざわざ問いただしたの…」

「うん・・・、
だって・・、本当に心配だったから…」

「・・で、どうな返事だった…?」

「凄くうれしそうにして・・、
それでいいんだ、良いんだと、言ってくれた。
お客様から、リピートの予約が、
どんどん入っているとも言ってくれた・・、
あまりに良くて、最後に気絶してしまうところなど…
貴重な才能だと、すごく褒めてくれた…・
今まで通りでいいと言われた・・」

「でしょうね…」

どうやら悠里は最高級の娼婦と評価された様子です。

欲望と倫理観の狭間で苦しんでいる一方で、日替わりに違う男に抱かれ、夢のような時間を過ごし、
情欲を十分に満たしている悠里を見ていて、加奈の女心がざわつくのです。加奈は少し白けた気分に
なっています。それで少し意地悪な気持ちになって質問しました。

「中には変な客もいるでしょう‥、
変態じみたことを要求しない…?
お金をもらっているから、断りにくいわよね‥」

「うん・・、
皆がみんな、優しい紳士だってことはないわね・・、
でも・・、少しくらい変わったことを要求されても・・、
私はその要求通りすることにしている・・、
今まで、お客様の要求を断ったことがない・・・」

「偉いわね・・、
ところで、どんなことを要求されるの・・?」

「加奈・・、
私のことが心配で聞いているのじゃないわね…、
単なるスケベーな好奇心からでしょう‥」

「判る・・、そのとおりよ・・、ふふ・・
ネェ・・、教えなさいよ‥」

スケベーそうな笑みを浮かべて加奈が食い下がっています。もったいぶってなかなか口を開かない悠
里ですが、根はスケベーですから、本音を加奈に聞かせたい気持ちはありありなのです。