フォレストサイドハウスの住人達(その24)
24 フォレストサイドハウスの住人達(その24)
鶴岡次郎
2019/05/20 (月) 16:12
No.3216
「毎週、火曜日と金曜日の昼間と指定されているのだけれど、
男に買われるその日が待ち遠しくて…、
火曜日、金曜日以外にも・・・、
私の方から佐王子さんに連絡を入れて臨時の仕事をすることがある…
もう・・・、一人前の娼婦ね・・・、ふふ・・・・・」

「・・・・・」

すっかり娼婦の水に浸かり切っているのです。これほどのめり込んでいるとは思っていなかっただけ
に、加奈は正直、当惑しています。一方、悠里は、全てを吐き出したことで気が楽になったので
しょう、その表情は明るいのです。

「勿論、三日に一度は主人にも抱かれる・・、
佐王子さんとの関係は以前ほどではなくなったけれど・・、
その代わりにお客をとっているから・・・、
毎日、アソコにチ〇ポを入れていることになる・・
自分でもあきれるほど、スケベーだと思う…・・」

「・・・・・」

娼婦の道にのめり込んでいる悠里を思うと気が重いのですが、その一方で、加奈は奇妙なジェラシー
を感じ始めているのです。朗らかに、むしろ得意そうに男性との交流を話す悠里を見ていて、彼女一
人が女の喜びを堪能しているのが、ちょっと悔しくなっているのです。

「私なんか、毎日、一人で慰めているのよ…
悠里と一緒に遊んだカラオケホールのことを思い出しながら、
一人で指を使うのよ…
悠里のことがちょっとうらやましい・・・・」

隠さず加奈が自身の本音を吐き出しています。

「お金をもらって、体を売るのよ・・、
蔑まれこそすれ、褒められることではない‥
うらやましいなんて…。
これでも・・、毎日、気が晴れることはないのよ…
今日、こうして加奈に話せて少し気が楽になったのよ・・・・」

「・・・・・・・」

悠里が吐き出すように言っています。

夫を裏切り、法の裏をかいくぐり、体を売ることに・・・、当然ですが、悠里は大きな引け目を感じ
ているのです。悠里の気持ちが判るだけに加奈は口をつぐみ、じっと悠里の顔を見ています。互いに
見つめ合って、二人は黙って、コーヒーカップを傾けています。茶褐色の液体はかなり冷めているは
ずです。

「でも…、私は・・・、
娼婦になったことを悔いていない…、
自分の体を知っているから、欲望を抑えきれないから・・、
この道に進むのが一番だと思っている。
もし・・、この道に入っていなかったら・・・、
とんでもないことを仕出かしそうで・・、
それが心配なの・・」

「うん・・、判っている‥」

「夫には申し訳ない気持ちでいっぱいだけれど、
お墓まで、この秘密は持っていくつもり・・、
罪滅ぼしの意味でも、
命を懸けて旦那様を愛し続けていくつもりよ‥」

「でも・・・・・、
もし・・・・・・」

「アッ・・・、そうだね・・、
そう言うこともあるね…・」

加奈の表情を読み取り、悠里は何かに気がついたようで、次の言葉を飲み込みました。