フォレストサイドハウスの住人達(その24)
2 フォレストサイドハウスの住人達(その24)
鶴岡次郎
2019/02/01 (金) 16:07
No.3193
男の名は佐久間大四郎、門倉悠里とは、彼女が商売を始めた頃からの付き合いです。昨年大手商社の
役員を退き、目下は顧問を務めていて、現役役員の時に比べると自由な時間が増えているのです。生
来の女好きで、若い頃から稼いだ金と自由時間のほとんどを女アサリに費やして来たのです。

女好きの縁で知り合った仕事人佐王子保とはここ二十数年の付き合いです。現役役員の頃はもっぱら
プロの女性を佐王子から紹介されて、ホテルでつかの間の快楽をむさぼるのが限界でした。役員を退
き自由な時間が増えると、欲が増えて、プロの女性では飽き足らず、素人女が欲しくなり、佐王子の
自宅売春ネットの顧客になったのです。

佐久間は悠里の最初のお客でした。一年前、悠里を最初に抱いた時からすっかり悠里ファンになり、
彼女の開店待ち予約リストに名前を連ねる常連になっているのです。おそらくこの一年間に10回以
上、悠里を抱いていると思います。悠里は他の客をとることがありますが、佐久間は悠里一筋です。

物語の途中でその都度説明していて、記憶力のいい読書様はご存知の内容が多いと思いますが、ここ
で仕事人、佐王子保を少し紹介します。既に50の坂を三つほど越えています。九州の中学を卒業後
上京して、板前の見習いをしていたのですが、ひょんな縁で伝説の竿師の伊吹原佐平次と知り合いま
した。天性の男根に恵まれ、女好きの才能を佐平次に見込まれ、18歳で竿師の世界に入ったので
す。

若い頃は名のある組織に籍を置いていた時期もあったのですが、今は独立してY市に小規模のソープ
店を経営する一方で、副業として、自宅売春斡旋稼業をしております。

商売の規模から考えて、自宅売春斡旋稼業を佐王子の副業と説明しましたが、当の本人はむしろソー
プ店経営を副業と考えているようで、昔ながらの女こましの手法で行う女性ハンティングと特定顧客
の要望に応じ最適の女を紹介する自宅売春斡旋稼業に喜びと生きがいを感じている様子で、かなりの
時間をこの稼業に割いているのです。

悠里は、30歳半ば、女盛りの年頃です。160センチほどの身長で、バストもヒップも小ぶりで、
全体に清楚な印象を受けます。悠里の特徴はなんと言ってもその顔で、女優だと言っても通りそうな
整った美顔です。そんな悠里がなぜ・・、売春稼業に手を染めたのか・・、たぶん、本人でもうまく
説明できないと思います。もちろん、彼女の夫、門倉孝雄も妻のアルバイトに気づいていません。

このことを知っているのは、悠里の親友、峰岸加奈だけです。峰岸加奈は悠里と同い年で、同じマン
ションの住人で、高給取りのサラリーマンの夫がいて、子宝に恵まれないことなど、似たような境遇
なのです。

ほぼ一年前、佐王子の誘いに乗って、自宅売春を始めたことを悠里が打ち明けた時、加奈は凄く驚き
ながらも、比較的冷静に受け止め、頭ごなしに悠里の無謀な行為を責めることはしませんでした。悠
里と同じ時期に佐王子に抱かれ、佐王子の寝技の凄さを、身をもって体験している加奈ですから、彼
の甘い誘いを断り切れなかった悠里の立場、そして30女の体の疼きに悩む悠里の気持ちが良く判
り、悠里を一方的に責めることは出来なかったのです。

一般主婦にとって売春は勿論、他人に抱かれることでさえ、ほとんど夢物語のことなのですが、二人
は少し違いました。