フォレストサイドハウスの住人達(その24)
15 フォレストサイドハウスの住人達(その24)
鶴岡次郎
2019/03/25 (月) 11:42
No.3206
悠里の拒否反応を予想できていたようで、その場にいたソープの男性スタッフ2名と、指導係のお姐
さんは笑みさえ浮かべて、余裕で悠里を見ていたのです。そして、年配のスタッフの男性、木島一人
を残して、若いスタッフの男性と指導係のお姐さんが訓練室を出て行きました。訓練室に残されたの
は、木島と悠里でした。

訓練室は通常営業用の個室で、ベッド、浴槽、マット、その他衛生用品が完備されています。そし
て、この日の訓練用にパイプ椅子が三脚運び込まれていて、悠里と木島は向かい合って、その椅子に
座っていました。悠里はこの店のお仕着せであるガウン一枚、その下は裸体です。木島はショーツ一
枚の姿です。

「悠里さん・・、
アヌスの訓練を受けるくらいなら、
全てをキャンセルして、お家に帰りたいと思っているでしょう…」

「・・・・」

悠里はこっくりと頷いています。

「佐王子さんから、このことだけは・・、
あなたに伝えておくように言われていることがあります。
その言葉を聞いてから、進退を決めてください・・。
勿論、私達は無理に悠里さんを
この仕事に引っ張り込むつもりはありませんので、
信用して、自分でしっかり決めてください・・」

「・・・・・・」

不安そうな表情を浮かべたまま、悠里が黙って頷いています。

「悠里さんのお客様は50歳以上の社会的地位に恵まれた方々です・・。
悠里さんのように素人の奥様を紹介するわけですから、
私達は世間の相場より相当高いお金をいただくつもりです」

「・・・・・・」

悠里が頷いています。ここまでは佐王子から聞かされている内容です。

「ここで、見方を変えて、お客様の立場に立ってみましょう…。
相場をはるかに超える大金を出して、お客様は女を買うことになりますから、
多少の無理を言ってもいいはずだ、その代償は払っているはずと思います。
そして、女と遊ぶ時には、何のためらいもなく、紳士の仮面をかなぐり捨てて、
その一瞬、セックスに溺れ切るつもりで、女を抱くことになります・・・」

木島の言う通りだと悠里は思っています。通常相場の倍以上の金を出すのです。わがままはある程度
まで受け入れてもらえるはずだと、男が期待するのが道理だと悠里は納得しているのです。ここまで
聞いたところで、木島が何を言いたいのか悠里には判り始めていました。

「はっきり言います‥。
お尻で交わることを、お客様は当然のように要求してきます。
そして、その程度のことには応えるのが我々の務めだと考えております。
佐王子も、私も、アヌスでお客を喜ばせることは、
それほど特別のことではないと思っています・・・」

大金をいただいているのだから、その程度のことは我慢すべきだと木島は言っているのです。もし、
それが嫌なら、この仕事に見切りをつけるべきだと、言外に言っているのです。