フォレストサイドハウスの住人達(その24)
11 フォレストサイドハウスの住人達(その24)
鶴岡次郎
2019/03/14 (木) 16:57
No.3202
@2019_3_12、記事番号3201に一部修正を加えました)

「ダメよ・・・、ダメ、ダメ…、
そんなことを始めたら、身の破滅よ・・、
いずれバレて、家庭を失うことになる…
止めなさい・・・、
あの男に騙されているのよ……」

必死で悠里を説得している加奈ですが、悠里はゆったりと、一切の反論をしないで、笑みさえ浮かべ
て加奈の話を黙って聞いているのです。それでいて、加奈の意見に従う意思のないことをその冷静な
態度が物語っているのです。

「加奈…、心配してくれてありがとう…、
でも・・、正直に言うとね・・・、
もう、始めているのよ・・・、
10人以上のお客をとったわ…・・」

「エッ…、
10人以上も…・」

絶句している加奈です。この一か月の間に、10人を超える男達が悠里の体の上を通り過ぎて行った
のです。情事の爪痕を探しているかのように・・、はたまた、男達が吐き出した精液の匂いを嗅ぎ取
るかのように、加奈は真向かいに座っている悠里の胸、腰回りをしげしげと覗き込んでいるのです。

「チョッと・・、止めてよ‥、加奈…、
そんな嫌らしい目で見ないで…」

「ああ・・・、ごめん・・・、ゴメン…、
一ケ月に10人と聞いて、その凄さにびっくりしたのよ・・、
きっと、悠里の体のどこかに、その爪痕が残っていると思った・・
気のせいか・・・、何となく・・・、
女ぽくなった感じがする‥‥、
この艶っぽさは、どこから来るのかしら…
ここで悠里を裸に剥いて、あちこち覗きこんで、
男達の残した足跡を確かめたい気持ちだわ・・・」

そういって、加奈は遠慮のない視線を悠里に浴びせています。悠里は悠里で、これ見よがしに胸を突
き出し、目を細め、舌をそっと出したりして、加奈をからかっているのです。

「判った…、その目つきよ・・、
男を引き寄せようとする・・・、
それこそ・・、娼婦の目よ…
『どう・・、私を抱きたい・・』
そう言っているように思える、嫌らしぃ・・・
目だけでない・・、
唇も・・、胸も・・、腰回りも・・、
全部・・、男を誘っている…・
まるでセックスマシーンそのものよ・・・、ふふ…」

加奈の言葉に悠里が笑いだし、加奈もつられて笑いだしています。ふたりの妖しい会話が続きます。

「いやらしい体になったでしょう…、
自分でも、判るの…、
凄くスケベーに変貌したことが判るのよ、
家事をしている時も、買い物をしている時も、
いつも欲情している状態なの・・」

「もう・・・、本物だね・・・」

娼婦に堕ちたと聞かされて、あれほど反対した加奈は、もう悠里を責めません。ただ、ただ、あきれ
果てている様子です。そんな加奈を見て、悠里はただ笑っているだけです。