フォレストサイドハウスの住人達(その23)
1 スレッドオーナー
鶴岡次郎
2018/10/15 (月) 14:38
No.3175
坂上咲江、村上総一郎、二人はそれぞれ別の世界に生きていて、本来であれば決して顔を合わせるこ
とがなかったはずでした。恋の女神のいたずらなのでしょうか、同窓会帰りの咲江が薄暗い路地で
酔っ払いに絡まれているところを、通りがかった総一郎が助けたのです。

現場近くの事務所に咲江を連れて行き、手厚く傷の手当てをして、替えのストッキングまで準備し
て、タクシーで自宅まで送り届けたのです。結婚以来久しぶりに、男性から優しくされた咲江は舞い
上がりました。

一週間後、お礼に村上の事務所を訪問すると決めた咲江は漠然とですが、彼が迫ってくれば、抱かれ
てもいいと覚悟を決めていました。シャワーを使い、勝負下着を身につけたのはその覚悟の表れでし
た。

当時、総一郎が経営する村上装備は、銀座の貸し店舗の周旋、高級食材や、酒類を飲食店に卸す商売
をしていて、5人の従業員を使い、それなりに繁盛していました。その頃、村上は50の坂をとっく
に超え、還暦も近い年齢ですが、これまでの人生で決まった伴侶を求めないで、打算なしでは女性と
寝ない人生を送ってきたのです。そんな彼には珍しいことですが、良家の奥様然とした咲江に一目で
惹かれたのです。

咲江と村上の関係が一年余り続いた時、村上装備の経営が大きく傾いたのです。不幸にも大きな不渡
りを掴まえさせられて、店が破産寸前まで追いこまれたのです。悪いことは続くもので総一郎は、そ
のショックもあって性的不能に陥ったのです。すべてをなくした総一郎は生きていく望みさえなくし
ていました。そんな彼を支えたのが坂上咲江でした。咲江の献身的な介護の甲斐があって、総一郎の
男はよみがえりました。この事件を何とか乗り越えて、二人の不倫の愛は強く、深く二人の心に根付
いたかに見えました・・・・。

一方では、咲江の友である浦上千春は禁断の情欲に溺れる友、咲江を何とか救い出そうとして、鶴岡
由美子、美津崎愛に助けを求めます。由美子は村上を誘惑します。策略を展開して、ベッドで妖しく
絡み合う姿を咲江に見せつけます。絶望した咲江は村上に別れを告げ、彼のアパートから逃げ出しま
す。これで終わっておれば、由美子たちの作戦は大成功だったのです。

しかし、咲江の夫坂上夏樹は少し違った考えを持っていました。情人と別れ身も世もなく泣き崩れ、
涙ながらに浮気を告白する妻咲江の姿に魂を奪われるのです。

〈こんなに艶やかに変身するのなら、
妻の浮気も悪くない・・、
これからも、男との関係を続けさせよう‥‥〉

そう考えた坂上夏樹は妻咲江を伴って村上総一郎の事務所を訪問するのです。坂上の激しい鉄拳さえ覚悟していた村上は、妻を差し出すという夏樹の申し出にびっくりします。それでも、もともと嫌で別れた咲江ではないですから、夏樹の申し出が真剣であることを察知して、ありがたくその申し出を受けることにするのです。こうして、坂上夏樹、咲江夫妻と村上総一郎の奇妙な関係がスタートしたのです。



この章では村上総一郎と坂上咲江の関係を中心に、その後の展開を追うことにします。相変わらず
変わり映えのしない、市民の物語です、ご支援ください。

毎度申し上げて恐縮ですが、読者の皆様のご意見、ご感想は『自由にレスして下さい(その11)』
の読者専用スレにご投稿ださい。多数のご意見を待っています。また、文中登場する人物、団体は全
てフイクションで実在のものでないことをお断りしておきます。卑猥な言葉を文脈上やむを得ず使用
することになりますが、伏字等で不快な思いをさせないよう注意しますが、気を悪くされることもあ
ると存じます。そうした時は読み流してご容赦ください。

発表した内容の筋を壊さない程度に、後になって文章に手を加えることがあります。勿論、誤字余脱
字も気がつけば修正しています。記事の文頭と、文末に下記のように修正記号を入れるようにしま
す。修正記号にお気づきの時は、もう一度修正した当該記事を読み直していただけると幸いです。

・〈(1)2014.5.8〉文末にこの記事があれば、この日、この記事に1回目の手を加えたことを示し
 ます。
・〈記事番号1779に修正を加えました。(2)2014.5.8〉文頭にこの記事があれば、記事番号1779に
 二回目の修正を加えたことを示し、日付は最後の修正日付です。ご面倒でも当該記事を読み直して
 いただければ幸いです。