フォレストサイドハウスの住人達(その22) 
8 フォレストサイドハウスの住人達(その22)(728) 
鶴岡次郎
2018/09/19 (水) 10:32
No.3167

「みんなで話し合って・・、
咲江さんの幸せを守るには、
この方法しかないと決めたことだけど・・、
偽りの性交を咲江さんに見せつけることに、最初から迷いがあった…。
村上さんに抱かれ、彼を深々と逝かせた直後から・・、
いえ・・、正確には、その最中・・・、
村上さんのモノを奥深く受け容れている時でさえ・・・、
私・・、釈然としていなかった・・・・」

「・・・・・・・」

「男に抱かれていながら・・、
そのことに夢中になれない自分が居ることに気がついていた・・・。
その上、その行為が咲江さんは勿論、村上さんの心に・・、
大きな傷を残しかねないことだと後になって気がついた…・、
取り返しのつかないことに手を染めてしまったと・・・、
ずっと・・、後悔している・・」

「・・・・・」

「男と女が抱き合う時・・、
互いに相手を求め合うメスとオスの感情以外の打算を・・、
ベッドに持ち込むべきでない・・、
セックスは真剣勝負でないといけない、

男と女は、抱き合ったその瞬間、
唇が重なり合ったその瞬間・・、
性器が組み合ったその瞬間…、

たとえ、その感情が一時的であっても…、
夢中になって、この人が好きだと・・、
心を通わせるべきだと私は考えている・・」

「・・・・・」

低い言葉で、それでも力強く由美子の言葉は続きます。

「千春さんの報告を聞いて、
咲江さん夫妻の仲が以前より深まったと知り・・、
私…・、
本当にうれしい・・。
私が犯した罪は決して消えないものだけれど、
咲江さん夫妻への被害が最小限で終わったことを喜んでいる・・・」

「・・・・・・・・」

咲江夫妻の仲が以前にも増して良くなったことを知った由美子の異常な喜びようの理由がようやくわ
かった様子で、千春と愛が深々と頷いています。
しんみりと語る由美子を見て、あの行為で・・、村上との偽りの性交を咲江に見せたことで、由美子
がずっと、そのことを気にして、悩んでいることを愛も、千春も初めて知ったのです。