フォレストサイドハウスの住人達(その22) 
4 フォレストサイドハウスの住人達(その22)(724) 
鶴岡次郎
2018/09/02 (日) 13:55
No.3163
「告白せざるを得ない状態に追い詰められたのね、
元はと言えば、咲江さんが悪いのだけれど、かなしいね・・、
・・で、ご夫妻の仲は相当危なくなったのでしょう…?」

「愛さんがそう思うのは当然です。
私だって、すべて告白したと聞かされた時は・・、
旦那様に追及されて、逃げられなくて・・・、
白状させられたのだと思いました。
そして、いよいよ二人の仲は終わりかと思いました…。
でも・・、違ったのです…」

その時、それまで黙って、千春と愛のやり取りを聞いていた由美子の表情が突然変わりました。何か
に気がついた様子の由美子は宙に視線を泳がせています。そして、独り言のようにつぶやいたので
す。

「もしかして・・、
私と村上さんの激しい絡みを見たことが原因かも…、
あの光景を見たことで・・、
あまりのショックで・・
何もかも、嫌になり・・・、
自暴自棄になって、言わなくてもいいことをしゃべり始めた…。
ああ・・、そんなことは起きてほしくないけれど・・・・
でも‥‥、可能性はあるわね…・」

由美子はかなり当惑している様子です。

「由美子さんが心配されている通りです。
咲江が私に言いました。
由美子さんと村上さんの激しい絡みを見せつけられて、
絶望と、悔しさ、そんな感情が重なって、
咲江は一時的に自己喪失状態になったようです・・・」

千春のコメントを聞いて由美子の表情が歪んでいます。

「村上さんのアパートを出てから、どのようにして家に帰ったのか、
後になってどんなに考えても思い出せなかったそうです。
それでいて、これほど情欲が増したのは記憶がないと言うほど、
体がうずいて、とめどなく愛液が噴出していたそうです・・・」

「あら、あら・・・、
由美子さんの凄いセックスを見て興奮したのかしら・・、
最愛の男を寝取られ、怒り狂うべき局面に立っていながら・・、
性感を刺激する光景を見て、欲情してしまった…。
女だったら、誰だって、そうなるかもね…
悲しいけれど、それが女の本性だね…」

難しい表情をして愛がコメントしています。一方、悲しそうな表情で由美子は、ただ黙っています。
由美子が案じていた通り、由美子が仕掛けた罠に嵌った咲江は心身の平安を一時的に壊すほどの影響
を受けていたのです。由美子にとっては聞くに堪えない最悪事態のようです。