フォレストサイドハウスの住人達(その22) 
3 フォレストサイドハウスの住人達(その22)(723) 
鶴岡次郎
2018/08/31 (金) 16:29
No.3161
「咲江と村上さんの関係が元に戻ったと先ほど言いましたが、
正確に言うと・・、
二人の関係は元に戻ったのではないのです・・
新たな関係が出来たのです…・・
私はその新しい関係が出来たことを心から喜んでいるのです・・・」

「エッ…、何のこと・・
新たな関係だって…、
もったいぶっった言い方をしても、男と女の関係、
ただ、セックスするためのドロドロした関係でしょう…」

いたずらっぽく笑っている千春、そして訳が分からなくて、憎まれ口をたたいている愛、その二人の
やり取りを見て、由美子が楽しそうに笑っています。つられて、千春も、愛も笑い出しています。

「由美子さんと村上さんの情交を見せつけられ・・・、
咲江はその場で、絶交すると告げたの・・、
当然の行為ね
このことは由美子さんも承知されていますよね‥」

「・・・・・・・」

黙って由美子が頷いています。何となくつらそうな表情を浮かべています。その表情の変化に愛は気
がついています。

「その日の夜・・、傷心を抱いて自宅へ帰った咲江は、
ほとんどすべて、浮気の行状を旦那様に告白してしまった・・」

「エッ・・、旦那様にみんな話したの・・、
何故…、どうして…・」

愛が叫んでいます。由美子にも意外だった様子で、不審そうな表情で千春を見ています。

「咲江さん一家の幸せを守るには・・、
咲江さんの浮気をストップさせて・・・、
そして、これが一番大切なことだったけれど、
浮気の事実をすべて消し去ること・・、
そうだったよね…」

愛が確認しています。

「そうです、その通りです。
私がお二人にそうお願いしました・・・」

千春が頷いています。

「千春さんの依頼を受けて、私達が作戦を練った…、
そして、極秘裏に行動して、村上さんと咲江さんの仲を裂いた。
二人の関係は私たち以外誰も知らないはずで、
咲江さんの不倫行為の証拠は完全に封印できたわけでしょう・・・」

「その通りです・・」

「由美子さんの報告でも、
村上さんが咲江さんとの関係をバラす可能性は無いとのことだった」

「その通りです」

「だったら…、
何故・・、咲江さんは旦那様に・・・、
自分の不倫行為を告白したの…?」

愛が千春に質問をしています。自分たちの苦労が無駄骨に終わったことも無念なのですが、愛にすれ
ば、秘密を告白せざるを得ない境地に追い込まれた咲江の身がより心配なのです。