フォレストサイドハウスの住人達(その22) 
11 フォレストサイドハウスの住人達(その22)(731) 
鶴岡次郎
2018/09/26 (水) 14:13
No.3170

「長年、女を手玉に取ってきた村上さんにとって、
女との別れは、出来るだけすっきりとした形、
遊び人のプライドにかけて・・、
悔いの残らないようにすることが大切なことなのよ・・
この気持ちは私達、女には勿論・・、
普通の男性にもなかなか理解できない心理だと思う…」

「・・・・・・」

由美子の説明に愛も、千春も深々と頷いています。遊び人の心理動向に詳しい由美子に改めて敬意を
込めた視線を送っています。

「咲江さんを浮気の道に引き釣り込み、一年余、旦那様の目を盗み、二人で逢瀬を楽しんできた。
その幕引きを他人の手にゆだねることは出来ないと村上さんは考えたのよ・・。

誰かが仕組んで、謎の女、由美子を送り込んできたとしても、その首謀者が名乗り出ることはまずあ
りえない、村上さん本人が企んだことだと言い張れば、だれも反論できないとの読みが彼には
あった。ここまで考えて、謎の女、由美子は村上さん本人が雇い入れた娼婦だったと言うストリーを
彼は作り上げ、咲江さんに説明したのだと思う・・・。
咲江さん夫妻も謎の女は村上さんが雇い入れた娼婦だと信じていると思う」

「他人は介入させないで、
すべて自分一人の責任でやり遂げる形を残したかったのね…、
何だか・・、遊び人村上さん、その男の美学を感じるわね‥‥。
村上さんて…、素敵な男性ね‥‥、」

「その通りだと思う‥。
ところで・・・、私も村上さんの計画に乗りたいと思うの・・。
これからは、村上さんのストリーを真実としてほしい…
村上さんに雇われた娼婦が私・・、
それが実態だということにしてほしい・・
私がしたことは、全部、お願いだから忘れてほしい・・・」

「いいよ・・、
咲江さんもそう信じていることだし…、
私はいいよ・・、愛さんも異論ないでしょう‥」

千春の言葉に愛が快く頷いています。

「それにしても、咲江さんがうらやましい・・、
凄いアレを持った、優しい旦那さま・・、
そして、凄腕の50男の愛人・・
二人の全く異なる味を持った男に抱かれるのだから
咲江さん・・、体がいくつあっても足りないね‥
ああ・・、うらやましい、
その半分でも、私に回してほしい・・・」

愛が大げさに嘆いています。

「ネエ・・、由美子・・・、
聞きたいことがあるんだけど…」

「なあ・・に、
またスケベーなことでしょう・・」

「当たり・・、
立派なモノを持った旦那様にあんなに可愛がられているのに、
咲江さん・・、
村上さんと最後まで別れると言わなかったでしょう・・、
それどころか、旦那様の許を得たとはいえ、
直ぐに村上さんと寄りを戻したでしょう…、
村上さんて・・、そんなに、おいしい男なの・・」

「うふふ・・、
愛さん・・、ずいぶんストレート質問ですね‥」

「だってそうでしょう・・、
女なら、誰だって、興味が沸くわよ・・、
千春さんだって、村上さんの味が気になるでしょう、
それに、村上さんの味を一番理解しているのは
他の誰でもなく、由美子でしょう・・、
ここで聞かなきゃね・・・」

愛の言葉に千春が笑い、由美子が苦笑しています。