フォレストサイドハウスの住人達(その21)(674)
49 フォレストサイドハウスの住人達(その21)(721)
鶴岡次郎
2018/08/22 (水) 16:02
No.3157
「何と言ったらいいか…、
身も、心も、全てを、互いに差し出す必要はないということだ・・、
俺も、奥さんも、その気配りが必要だということだ‥」

「うん・・、判った‥
総一郎さんのそういうところが好き・・、
義理人情に厚く、人の好意に感謝の気持ちを忘れないのよね・・
主人の気持ちを大切にしろということね…・」

「・・・・・・」

にっこり微笑んで答える咲江を見て、村上が黙って頷いています。

男の実力で咲江を引き付け、坂上に隠れて不倫の関係を続けてきて、一時は、本気で咲江を坂上から
奪い取る気になったことがある村上ですが、坂上夏樹の大きな器に取り込まれて、言わば咲江を貸し
てもらう関係になったのです。今までとは違うのだ、新たな関係がスタートしたと、村上は咲江に伝
えたのです。

咲江も村上の気持ちを理解した様子です。

「ご心配なく・・、
総一郎さんに惚れこんで、主人を忘れたりしないから、
主人も、総一郎さんも、私にとっては大切な人・・、
二人とも大好きだよ…・
私・・、今、とっても幸せな気分なの…・」

決して口には出しませんが、二人の全く違うタイプの男に抱かれることになった自身の境遇を咲江は
しっかりと胸に刻み込み、その喜びを密かに噛み締めているのです。その感情が彼女の中でさらに大
きくなりました。体をくねらせながら咲江は村上を見つめてささやきました。濃い女臭が村上の鼻腔
をくすぐり始めているのです。

「ネエ・・、抱いてほしい…」

「アパートへ行こうか‥」

「ううん・・、ここで、今すぐ・・」

欲情した咲江の表情を確認して、村上は少し慌てています。

「判った…、
とてもアパートまではもちそうもないね…
腰が完全にいかれているよ…・」

「あ・・・ん・・・、
意地悪…・、でも、本当なの…、
もう・・、一歩も歩けない…
ああ・・・、欲しい、欲しい…・・.」

体をくねらせ、着ていたワンピースを脱ぎ捨て、ブラを無造作に剥ぎ取り、一気にショーツを脱ぎ取
り、それをソファーに投げ捨てています。
全裸になった咲江を横目で見ながら、小走りで玄関へ行き、閉店の看板を出し、扉に施錠しました。
その場で衣服、下着をはぎ取り、村上も全裸になりました。

村上が両手を差し出しました。男に走り寄り、飛びつきました。支えきれなくて男が床に腰を下ろし
ています。男の上に乗りかかり、咲江は男の体に両手、両脚を絡めて、唇に吸い付きました。男の体
が女の体液で濡れ始めています。下から、男が攻撃を開始しました。指を入れ、乳房を吸い、背中を
さすり、女を責めています。

「ああ・・・、うれしい…
ここに戻って来れるなんて…、
夢みたい…・」

咲江の目から涙があふれ出ています。村上も泣いています。ソフトタイルの床の上で、二人は抱き合
い、呻きながら絡み始めました。

事務所で二時間ほど抱き合った後、近くのレストランで食事を済ませ、アパートへ戻った二人は、
白々と夜が明けるまで絡み合いました。