フォレストサイドハウスの住人達(その21)(674)
1 スレッドオーナー
鶴岡次郎
2018/03/16 (金) 11:51
No.3103
由美子演出・主演のドラマ、そのクライマックスはかなり前の章で、すでに書きましたので、少し気
の抜けたビールのようになりました。もう少し全体の構成を上手くまとめれば、面白いものになった
かと反省しております。しかし、これも書き流しの小説の味だとご理解いただき(勝手な言い分です
ね)ドラマのクライマックスに至る経緯や、クライマックス後の役者たちの動向を楽しんでいただけ
れば、作者冥利に尽きます。それでは相変わらず変わり映えのしない市民の物語を始めます。

毎度申し上げて恐縮ですが、読者の皆様のご意見、ご感想は『自由にレスして下さい(その11)』
の読者専用スレにご投稿ださい。多数のご意見を待っています。また、文中登場する人物、団体は全
てフイクションで実在のものでないことをお断りしておきます。卑猥な言葉を文脈上やむを得ず使用
することになりますが、伏字等で不快な思いをさせないよう注意しますが、気を悪くされることもあ
ると存じます。そうした時は読み流してご容赦ください。

発表した内容の筋を壊さない程度に、後になって文章に手を加えることがあります。勿論、誤字余脱
字も気がつけば修正しています。記事の文頭と、文末に下記のように修正記号を入れるようにしま
す。修正記号にお気づきの時は、もう一度修正した当該記事を読み直していただけると幸いです。

・〈(1)2014.5.8〉文末にこの記事があれば、この日、この記事に1回目の手を加えたことを示し
ます。
・〈記事番号1779に修正を加えました。(2)2014.5.8〉文頭にこの記事があれば、記事番号1779に
二回目の修正を加えたことを示し、日付は最後の修正日付です。ご面倒でも当該記事を読み直してい
ただければ幸いです。


それぞれの道

咲江を円満に村上と別れさせる。これが由美子、千春、そして愛の究極の目的です。そして夫、坂上
夏樹には浮気の事実を知られないことが絶対条件です。既に、千春の心からなる説得は空振りに終わ
りました。性的不能の窮地から村上を救い出した咲江は村上の愛情と信頼を独り占めにしていると、
自信満々です。なまじのことでは咲江を翻意させることは困難に思えます。千春が挑発して、咲江は
由美子たちが仕掛けた罠近くに駆り出されました。いよいよ、切り札、由美子の登場です。

銀座に出物の店舗を探しているバーのマダムになり切って、由美子が村上の事務所を訪問する日程が
決まりました。由美子から決行の連絡を受けた千春は、自宅に居る咲江に連絡をいれました。

「お待たせしたけれど・・、
村上さんを探っているスタッフから連絡が入りました。
今日・・、村上さんは女と会う・・・
おそらく・・、彼のアパートでセックスすることになる」

「エッ・・、
本当なの・・・
信じられない・・・」

「間違いない‥、
それで、今晩、
咲江に出張ってほしいけれど・・、
時間はとれるかしら‥」

「主人は研究で遅くなると言っているし・・、
子供たちはおばあちゃんにお願いするから問題ない・・、
何時からなの…」

「午後7時に咲江の自宅へ私が迎えに行く…
二人が食事をする店をスタッフが調べて、
私達に連絡してくることになっている…、
それから先は、私にも、判らない…・
長い夜になるかもしれないから、そのつもりでいてほしい‥」

「判った…、
主人には千春と一緒だと言い訳するから、
口裏を合わせてほしい‥」

「その件は了解よ・・、.
ところで・・、大丈夫・・?
好きな男の浮気現場に乗り込むなんて…、
私だって嫌だから・・・、
そんな経験を無理に咲江にさせたくないと思うから・・」

「良いわよ‥、
村上さんに私以外の女が居ると言うのなら・・
その女が見たい・・・」

「判った・・」

こうしてドラマは開幕したのです。


事務所での商談が終わり、由美子が計画したとおり、村上が由美子を食事に誘いました。

「ほら・・・、通りの向こうにレストランが見えるでしょう…、
一時間ほど前に村上さんがきれいな女を連れて、
あのレストランへ入ったらしいの・・。
ここで彼らの食事が終わるのを待ちましょう‥、
ここに座っていると、
レストランに出入りする人が良く見えるから・‥」

村上を尾行しているスタッフから連絡を受けたことになっていますが、店内から、由美子がこっそり
千春へ連絡をして、レストラン名を教えたのです。そして千春と咲江は、そのレストランとは狭い道
路を隔てた喫茶店に入ったのです。その喫茶店の窓から、レストランの出入り口が監視できるので
す。