フォレストサイドハウスの住人達(その20)
9 フォレストサイドハウスの住人達(その20)(634)
鶴岡次郎
2017/10/10 (火) 10:41
No.3059
しゃべり疲れた二人の口が止まりました。冷えた紅茶をゆっくり飲んでいます。店内にクラシック音
楽が静かに流れています。お客は咲江たちの他は、二、三人です。近くのテーブルには誰もいませ
ん。腰を少し浮かしたり、左右に振ったり、咲江が先ほどから少し落ち着きません‥。

「どうしたの・・、
ああ・・、もしかして・・・、
今の話で・・、興奮したのね…
パット・・、していないの…」

あることに気づいた千春がストレートに聞いています。

「ううん・・、しているよ・・、
でも・・、それでは足りなくて、漏れ出してくるの…・。
最近よく濡れるのよ・・・]

「うん・・、何となくわかる気がする‥
スケベーになったことで・・、
咲江の体が、心に合わせて成長したのよ・・、
濡れやすくなったのよ・・・、おめでとう…」

「おめでとうと、言われることかしら・・、
でも、千春に言われるとうれしい…
困ったことに・・、
八百屋の店頭で、なすびや、キュウリを見るだけで、
あらぬことを妄想して、濡れ始める…、
私・・、昼間、ずっと一人だから・・、
いやらしい、妄想ばかりしている・・、
まるで、色狂い女ね…・」

女性同士ですから、遠慮のない会話を交わしています。そう言いながらも、咲江は下半身を気にする
そぶりを見せているのです。笑いながら、千春がアドバイスしました。

「気持ちが悪いなら・・、
着替えたら…、
そうしてお尻を振っていると・・、
ヨクジョウしているようで・・、
おかしいよ・・、ふふ・・。
着替え・・・、持っている…?」

「うん…」

手洗いに行くつもりになったようで、バッグを手にして、立ち上がり、裏口方向に視線を移しまし
た。裏口を出てしばらく歩くと、共同洗面所があるのです。立ち上がったまま、そこで、咲江の動作
が止まっています。千春が不思議そうな表情で咲江の視線の先を見て、そして、何事か納得した様子
で、隠微な笑みを咲江に送っているのです。

「ネエ…、
私…、匂う…?」

「ううん…、
女の私には、気にならないけれど・・、
あの二人は若そうだから・・、
きっと・・、咲江のスケベーな香りをかぎ取ると思う・・、
どうする・・、思い切って、近づいて・・、
香りを振りまいて、サービスしてあげたら・・、ふふ…」

千春は意味ある視線を咲江に向けているのです。