フォレストサイドハウスの住人達(その20)
45 フォレストサイドハウスの住人達(その20)(669)
鶴岡次郎
2018/03/08 (木) 15:02
No.3097

「そうだね・・、
主人とあの人のおかげだね・・
何とか、私が暮らしていけるのは‥‥」

しんみりした調子で千春が答えています。

「さあ…、私の物語はこれくらいにして・・、
咲江の話に戻るよ、
私のスケベーな話を聞いて、
咲江はどう思ったの…、少しは考えが変わったの…、
私の話を聞いても、まだ・・、咲江は自分のことを・・、
異常に欲望の強い、例外的に淫乱な女だと、自分を責めるの…・?」

「う・・・・ン・・・」

千春の物語を聞かされ、女の業の深さは理解した様子ですが、いざ、自分のこととなると、釈然とし
ないところがある様子です。やはり、自分は異常な女だと思う気持ちが咲江から消えない様子です。

「欲望の赴くままに、動いてはいけない・・、
何事も・・、ほどほどが良いと、しつけられてきたのね‥
そこが、咲江の良いところだけれど…、
度を越して心配すると、体を壊すよ・・・、
時には、私を見習って、羽目を外すことも覚えなくては‥」

「うん・・、そのことは頭では判っているんだけれど…」

「私たちより若い年代の女性でも・・、
結婚後、数年経ち、ほどほどに体が熟れてくると・・、
信じられないほど、スケベー女に変身するものだよ……」

「・・・・」

「私たちのマンション内でも、私と同じように、
風俗街で働いている人妻のうわさ話を時々聞くでしょう…、
彼女たち・・、経済的な理由は勿論考えられるけれど、
本音を言えば、私と同じで・・・・、
その仕事内容がそんなに嫌いでないのだと思う‥‥」

「確かに・・、そう言えるね…
他の男に抱かれるのが死ぬほど嫌な女が・・、
ソープに勤めたりしないよね・・・」

「生理的、道徳的に、その仕事に馴染めない女は、確かに居るよ、
そんな女は、長続きしないのよ・・・・。
二、三日どころか、初日で逃げ出している…」

「そうだろうね…」

咲江が頷いています。

「二、三ケ月その仕事を続けられる女は、
例外なく、その気があるのよ・・、
スケベーな本質は、大部分の女性共有のものだと思う…」

「確かに…、
以前、千春の仕事を聞かされた時は、正直引いたけれど、
今は・・、チャンスがあれば、私もその仕事をやりたいと・・、
思い始めている。そこまで私も成長したのだね・・・・」

「そうだよ・・、
咲江もいろいろ修行を積んで、
ようやく、一人前の女になったのだと思う…、
私たち女性は、生涯、メスの本性に逆らえないのだよ・・・、
神様から与えられた天性のお恵みを、幸せなことだと思い・・、
許される範囲内で、本性に忠実に生きるべきだよ…」

「うん・・、努力してみる…、
今日・・、千春に話して良かった・・・」

千春の説明に咲江が笑みで答えています。どうやら