フォレストサイドハウスの住人達(その20)
36 フォレストサイドハウスの住人達(その20)(660)
鶴岡次郎
2018/02/06 (火) 13:19
No.3088
他の女のことはよく判らないけれど・・、
私の欲望が半端じゃないの…
異常に高ぶるの…、
多分・・、狂っていると思う…・・」

「・・・・・・」

顔を伏せて、恥ずかしそうにつぶやく咲江です。千春が笑みを浮かべて咲江をじっと見ています。
千春には咲江の悩みが手に取るようにわかるのです。

「主人が強くなって、
毎夜、主人に抱かれて・・、
以前に比べると・・、
これ以上は望めないと思えるほど充実しているのに・・・、
それでも足りないの・・、底なしだと思う…。
体がずっと疼いていて、ちょっと油断すると、滴るほど濡れる…、
昼間も…、治まる時がない・・・
これが女の性というなら、私・・、悲しい・・・、」

「つらいよね…、
私も同じ・・・、よく判る…、
私の場合は主人が理解して、ソープ勤めを選んでくれた…。
咲江も、そんなに、男が欲しいなら…、
ネエ・・、一緒にソープで働いてみる…?
ふふ・・・・・・」

「・・・・・・・・」

いたずらっぽい表情で千春が問いかけています。千春は冗談のつもりです。真剣に咲江をソープに誘
う気持ちは少しもないのです。咲江が千春の誘いを笑い飛ばすだろうと思っていたのに、意外と真剣
な表情で咲江が千春の顔を見つめています。

「冗談、冗談よ・・、
ごめんね、調子に乗り過ぎて・・、
冗談でも、咲江にソープ勤めを勧めるなんて・・・、
私・・、どうかしている…、
ごめんね、忘れてちょうだい…」

慌てた千春が急いで謝っています。

「ううん、いいの…、
正直に言えば・・、
何度もそのことを考えた…、
千春に頼んで、一緒に働きたいと、この瞬間でも思っている‥」

「ダメだよ・・・、そんな考え・・・、
体を売ることを、そんなに簡単に決めてはダメだよ・・・、
一度その道に入ったら、抜けられなくなるから、ダメ、ダメ…」

少し怒りを込めた表情で、千春が強く言っています。

「判った・・、もう言わない…、
でも、辛いことはつらいのよ・・、
千春のように自由に生きられたら楽だろうと思うのよ‥」

「・・・・・・・」

咲江の苦悩が判るだけに千春は慰めの言葉も出ないのです。それでも、咲江にソープ勤めはさせられ
ないと、千春は思っています。