フォレストサイドハウスの住人達(その20)
21 フォレストサイドハウスの住人達(その20)(646)
鶴岡次郎
2017/11/08 (水) 11:19
No.3071

「私・・、
香水の試作品を、体に付けております…
お気づきでしょうか…・・」

ブラウスの胸のあたりを少し開き、パタパタと衣服の端を揺らしています。白いブラが見え隠れして
います。目でそんな景色を楽しみ、さらに、咲江が説明する試作品の香水の香りには先ほどから悩ま
され続けているのです。男たちは鼻腔を広げ、咲江の体から湧き上がる香りを胸一杯吸い込んでいま
す。

「おじ様はどう思いますか…」

「いい香りと・・、言うより‥
官能的な香りと表現した方がいいな‥」

「この香りから具体的なイメージは浮かびますか」

「ズバリ言って・・、
女性のアソコの匂いだよ…」

年配の男が酔いに任せて・・、加えて、先ほどからのおしっこ問答での咲江の軽妙な対応りを見て、
この女なら多少の戯言を受け止めてくれると判断したのでしょう、アソコの香りだと、ストレートに
答えています。二人の若者がまた慌てて、咲江の顔を見ています。

「そうですか・・、
アソコの匂いがしますか・・、
私どもの狙いも、そのあたりなのです…」

「そうだろう・・、
ぷんぷん匂ってくるよ・・、
こんな香りを嗅がされたら、男はたまらないよ、
直ぐにピンピンになるよ…」

「ピンピンですか‥
それは頼もしい限りですね・・・、
この香料開発の狙いもそこにあるのです。
この香水で意中の男性を引き付けることが目的なのです・・」

笑みを浮かべた咲江がゆったりと答えています。

「おじ様・・・、
ストレートな感想ありがとうございます
・・・で、若い方はどうですか…」

「最初にこの香り嗅いだ時・・・、
懐かしい気持ちになりました…。
そして、すぐに、母の香りだと気が付きました・・…」

若者の一人が恥ずかしそうに答えています。もしかして、幼いころ味わった母乳の記憶、さらにさか
のぼり、胎内の記憶が若い男の脳裏に蘇ったのかもしれません。

「・・・・・・」

咲江は、何度も、何度も、頷いています。若者の感想は、咲江の胸を打ったようで、瞳を潤ませてい
るのです。