フォレストサイドハウスの住人達(その20)
12 フォレストサイドハウスの住人達(その20)(637)
鶴岡次郎
2017/10/13 (金) 11:03
No.3062

密かに注目していた女がとつぜん立ち止まり、女から声をかけてきたのです。まさかの展開です。若
い二人は完全にうろたえています。

「この店・・、
初めてなんですけど…、
お手洗いの場所・・、
ご存知でしたら・・、
教えていただけませんか‥?
その裏口を出た所だと・・、
お店の人から聞いたのですが…」

声をかけられた二人の若い男たちは、びっくりして咲江の顔を見ています。咲江の呼気が感じ取れる
ほど、女は腰を曲げ、男たちに顔を接近させているのです。予想外に近く女の顔が接近したのに、
びっくりしながら、それでも喜びを顔面に一杯表しています。

「お・・、お、お手洗い…?
ああ・・、トイレね・・・、
さあ・・、何処だったかな…」

若い二人はこの店になじみが薄いようで、共同洗面所の所在を知らない様子です。

「トイレだったら・・、外だよ・・、
チョッと、ややこしい所にあるから・・、
口で教えるのは難しいな…」

傍のテーブルにいる年配の男が声をかけてきました。どうやら近くの住人で、この店の常連のようで
す。裕福な隠居暮らしを楽しんでいるような雰囲気を持つ人物で、この時間から、ビールのジョッキ
を手にしています。

「何なら・・、私が案内しようか‥・、
私も・・、こんなものを飲んでいるから・・、
催してきたところなんだ・・・」

「ありがとうございます・・、
助かります‥」

年配の男に向けて、深々と頭を下げています。当然のことながら、お尻が若い二人連れに向けられ、
白い太ももが顔を出しているのです。咲江が体を動かすたびに、強い雌臭が沸き上がっています。無
作法で、無遠慮な視線を向けることを抑えていた若い二人の抑制力もここまでが限界でした。条件反
射のように、咲江のスカートの下に視線を潜らせているのです。


〈何しているんだろう…、
あんなことしていたら・・、
匂いどころか、
濡れたお股だって見られてしまう…〉

離れた席にいる千春には会話が届きませんから、咲江の行動の意味が判らず、不審に思っているので
す。男たちから声をかけてきた様子でなく、咲江の意思でその場に立ち止まり、腰をかがめ、男たち
に声をかけている様子なのです。

〈ああ…、そうか…、判った・・、
じっくりお股の匂いを嗅がせるつもりなんだ・・・・、
お股を見せるチャンスさえも狙っているかもしれない…、
やるね・・・、咲江・・・・・
公園での露出行為に慣れたので・・、
ここらで、武者修行するつもりかな…・
それにしても大胆・・・・〉

咲江の意図が、ようやく・・、読み取れたようです。千春はにんまり笑っています。