フォレストサイドハウスの住人達(その19)
6 フォレストサイドハウスの住人達(その19)(611)
鶴岡次郎
2017/07/31 (月) 11:48
No.3032
「いや・・、いや・・、失礼…、、
最近こんなことが多くて・・、
歳ですかね…
それにしても…、
こんなにきれいなご婦人との出会いを忘れるとは・・、ハハ・・・・・」

すっかり由美子のことを思い出した様子で、その時の由美子と目の前の女とを比較しているので
しょう、女の足の先から頭まで、舐めるように見て、しきりに頷きながら、ごまかし笑いをしている
のです。もちろん、由美子も・・、村上が由美子の過去に気が付いたと、察知していました。それで
も由美子は慌てていません、5年前の由美子を村上が思い出したとしても、今日の作戦を実行するう
えでそれほど大きな障害にはならないと由美子は思っているのです。

由美子も・・、そして、村上も・・、5年前の出会いを完全に思い出した様子です。そして、二人と
も、今のところは・・、そのことを相手に伝えるつもりはないのです。互いの過去を知っているメギ
ツネと古タヌキの再会・・。

村上を攻略して、咲江から彼を円満に引き離す作戦を由美子は展開する計画です、一方、村上は勿
論、由美子の狙いを、今のところは知りません、しかし、彼にも、由美子が気が付いていない別の目
的があります。男の技と力を結集して、何としても由美子を陥落させ、商談を成立させたいと考えて
いるのです。互いに秘めた狙いを持つ二人、どのように戦うのでしょうか・・、面白い展開になりま
した。


今から5年前・・・、由美子の愛人であり、的屋の大親分であるUが主催した的屋(露天商)組合の
大切な寄り合いが開かれました。その寄り合いの余興として、セックス・ショウの催しが計画された
のです。この催しはその日の呼び物の一つで、この催しを楽しみに寄り合いに出席している人も多い
のです。ところが、開場30分前になって連絡が入り、出演を予定した女優の乗ったタクシーが交通
事故に遭遇して開演時間には到底間に合わないとの連絡が入ったのです。

催しを取り仕切っているUの部下である組員たちは困り果てました。プロの女性演技者は少ないので
代わりの演技者を調達することは時間的に不可能でした。そこで考えたのが素人の女を出演させるこ
とです。男性演技者はプロですので、相方の女は素人でも何とか様になると考えたのです。

会場に詰めて居るUの配下である組員の連れ合い達を含めて、会場には数人の女が居て、いずれの女
も出演の打診を受けると、引き受けると健気に言いました。的屋の組員たちは旅先の旅館では雑魚寝
していて、夫婦者たちはその中で絡み合うことが多かったのです。そのせいで、人前でセックスする
ことにそれほど抵抗を感じない女性が多かったのです。有力候補として28歳の顔、スタイルもいい
一人の娘が浮上しました。打診を受けた本人もやる気満々になっていたのです。

「ダメ、ダメ…、
素人には無理だよ・・
以前同じ状況になって、組の女を代役に立てたのだが・・、
大失敗だった…・」

年かさの組員が割って入りました。

「男性経験の豊富な女だったから大丈夫だと思ったのだが・・、
緊張からか・・、濡れなくてね・・・、
結局挿入がかなわなかった…、
ショーは散々な結果になったのだが……、
それだけではなかった…、
悪いことに、その女はセックス恐怖症になった・・
二年近く、まったく男を受け入れることが出来なくなった…・。
素人が簡単にできることではないよ…・」

確かに彼の言う通りだと全員が納得した表情を浮かべていました。

「確かに、俺達がショウに出演したことを考えると…、
とてもじゃないが、大勢の見物客の前でモノを立てることだってできないかも、
立てることができても、見物に堪えるセックスはできないだろうな・・、
だいたい・・、セックスはやるもので、見せるものじゃないからな・・、
俺たち素人のセックスはただ汚いだけだろう…」

こうなると、残された道は、頭を下げてショーの取りやめをお客に伝える以外、方策が見当たらない
のです。