フォレストサイドハウスの住人達(その18)
19 フォレストサイドハウスの住人達(その18) (605)
鶴岡次郎
2017/07/16 (日) 15:30
No.3024

「実は…、今だから言えることだが…、
俺から・・、咲江が離れていくのが・・、
本当は一番怖かった…・」

「・・・・・・・」

「事業に失敗し、一文無しになり・・、
その上・・、ち〇ぽが立たない・・・、
女が逃げ出す条件はそろい過ぎているからね…」

「・・・・・・・」

天井に向けた男のつぶやきが女の胸を打っています。

「しかし…・、
咲江は逃げなかった…、
それどころか・・、
ダメな俺を励まし続けてくれた…」

男の声が涙声になっています。

「総一郎さん‥…」

男の様子を心配して、女が体を起こしました。脚をしどけなく投げ出し、横座りになって、床に寝て
いる男を見下ろす形になっています。股間のぬめりはいく分乾いて、陰毛が肌に張り付き、隠微な雰
囲気を醸し出しています。女が起き上がったことに男は気づきながらも、女の方を見ません。

「仕事場から打ちひしがれて帰ってきた俺を・・、
優しく笑顔で迎えてくれた・・、
ち〇ぽが役に立たないことを知りながらも…、
咲江は嫌な顔一つ見せないで、優しく体を開いてくれた…、
咲江のおま〇こに口をつけ、汁を吸い、その香りを楽しむことが…、
俺の生きがいになっていた…・、
明日を生きるエネルギーをそこから得ていた…」

「・・・・・・・・」

「債権者との厳しい交渉も、
威張り散らす銀行筋へ卑屈に頭を下げた悔しい思いも…、
咲江を抱きしめ、甘い香りに包まれることで・・、
すべてを・・、忘れることが出来た…」

「・・・・・」

「咲江が居たから・・・、
俺は・・・、
今日まで・・、
命を繋げることが出来た…」

「・・・・・・」

「もし・・・、咲江がいなかったら…・、
俺は・・・、何もかも投げ出して…、
とっくに・・、どこかへ逃げて出していただろう…、
そうすれば・・、俺の人生はそこで終わっていた・・・・・」

天井を見つめて、そこまで語り続けて来た男がゆっくりと首をひねり、男を見つめている女と、初め
て視線を合わせました。男も、女も泣いています。声を出さず、微笑みながら、涙を流しているので
す。