フォレストサイドハウスの住人達(その17)
34 フォレストサイドハウスの住人達(その17)(585)
鶴岡次郎
2017/05/11 (木) 10:27
No.3000

「公園で二家族が出会ったことがあったでしょう…、
あの時以来、主人は千春のことを時々話題にするのよ・・・、
あの人が・・、それまで他の女を話題にすることは・・、
結婚以来・・、一度もなかった…」

「・・・・・・・・」

咲江は静かに語っています。千春は視線を宙に漂わせています。

「思春期の少年のように澄んだ心を持っている人だから・・・、
あなたへの思いを私にさえ、隠すことができないのよ…
それは・・、いじらしいと思えるほど一途に思い込んでいるのよ…」

「・・・・・・・・」

ここで笑みを再び浮かべて咲江が千春の表情を見ています。咲江の微笑みが本物だと千春には直ぐに
判りました。

咲江に何と答えるべきか、千春は迷っていました。それでも、千春はうろたえることなく、静かな表
情を必死で作っていました。勿論、夏樹が千春に熱い思いを寄せていることを千春は最初から察知し
ていました。公園で初めて出会った時から、夏樹の千春を見る視線の強さは異常だったのです。

千春への恋心に咲江が気付いてくれないことを祈っていたのですが、咲江はそんなに甘くなかったの
です。

一方では、彼に抱かれて、彼のすごさを肌身で感じ、少年のような一途な思いを知るにつけ、千春の
気持ちも夏樹に大きく傾いているのです。この気持ちは咲江に未だ悟られていないはずなのです。夏
樹への熱い思いを咲江には悟られたくない、それだけを千春は考えているのです。

「部屋にあなたが居るのを知った彼は驚きながらも、
天に上る気持ちになったと思う・・・・。
だって…、あんなに憧れていた女が目の前に居て・・・、
おそらく・・、ほとんど裸に近い姿なのでしょう・・、
彼ならずとも、男なら誰だって・・、
その場を去ることが出来ない‥‥」

「・・・・・・・」

「豊かな乳房、淫らな股間、そのすべてが彼を有頂天にさせたと思う。
知らない女を汚い物と考える潔癖症など一気に吹き飛ばされたと思う。
あなたに言われるままに、あなたを抱き、あなたのアソコに口をつけ、
果ては、あなたのおしっこを浴び、喜びの声を上げるようになったのだと思う…。
男なんて・・、所詮そんなものだと思う…・」.

「咲江…、私は・・・、何と言われても仕方ないけれど…、
そんな言い方をしては、旦那様が可哀いそうだよ・・」

「ゴメン・・、言い過ぎました…、
少し・・、妬いているのかな…」

素直に咲江が頭を下げています。