フォレストサイドハウスの住人達(その17)
31 フォレストサイドハウスの住人達(その17)(582)
鶴岡次郎
2017/04/26 (水) 15:57
No.2996

「無邪気に夏樹さんのことを語る咲江を見ていると・・・、
こんないい友達を裏切った自分自身が、段々にひどい女に思えてくる…。
咲江の優しい言葉、一つ一つが私の心に突き刺さる気がする‥。
むしろ・・、酷い言葉でののしられた方がいいとさえ思える…。
勝手なことを言っていると判っているけれど…、本当に、辛い・・」

思い切って胸の内を吐き出しました。驚いた表情で咲江が千春を見ています。

「あら・・ら・・、そうだったの…、
少しも気が付かなかった…
ゴメンナサイ・・・
主人のことでは千春に感謝こそすれ・・、
非難する気持ちは少しもないのよ・・」

「判っている・・・・・・
咲江の気持ちは判っている・・、
でも、私は自分自身が許せないの…」

「そうなんだ…、
家の人と寝たことで、千春は自分自身を責めているのね…・・。
判った・・、千春の気持ちは分かった…、
もう・・、この話はしない・・」

「ありがとう・・、
そう言っていただけると嬉しい・・
この埋め合わせはきっとするから…・」

うっかりと千春が口を滑らせています。

「埋め合わせをするって…、
どんな埋め合わせをしてくれるの…?」

楽しそうに咲江が質問しています。

「どんなって…、
咲江がしてほしいことよ・・、
私が出来ることなら、何でもするわ・・・」

「何でもいいの…?
実はね・・・、本当のこと言うとね・・・、
千春の濡れたアソコに、夫のアレが入ったと思うと・・、
千春が憎いと思う気持ちを捨てきれないの…・」

「・・・・・・・・」

力なく千春が頷いています。やはりそうなんだと、納得しているのです。

「同時に・・、
千春と夫を共有できて良かったと思う気持ちもあるの…、
私自身も驚いている奇妙な感情だけれど、本当のことだよ…
それに・・、主人の才能を花咲かせてくれた・・…」

「・・・・・・・・・・・」

優しい咲江の言葉に千春は泣きそうになっています。

「だから・・・、今度のことで・・、
千春に埋め合わせしていただかなくてもいいのだけれど…、
どうしてもというのなら・・、お言葉に甘えてもいいかな…・」

「どうぞ‥」

からかうような表情を浮かべた咲江をにらみつけて、千春が言葉を吐き出しています。