フォレストサイドハウスの住人達(その17)
30 フォレストサイドハウスの住人達(その17)(581)
鶴岡次郎
2017/04/25 (火) 14:17
No.2995

最初は咲江との会話を楽しんでいたのですが、次第に重苦しいものが千春の胸の中に広がり始めまし
た。会話自体はなまめかしい、楽しいはずのものなのですが、千春は次第に口数が少なくなりまし
た。段々に咲江と会話をすることが苦痛になって来たのです。その訳を千春自身でさえはっきり理解
できていないのです。

一方咲江は、千春となまめいた話をするのが楽しいようで、おしゃべりはとどまる気配がありませ
ん。淫蕩な表情を浮かべ咲江の質問が続きます。

「主人の持ちモノは相当大きいと思うけれど…、
実際は、どうなの…?
私は村上さんしか知らないけれど・・
千春なら、かなり客観的に評価できるでしょう・・・」

「大きいよ、太さも、長さも、超一流だよ・・」

「千春が保証するのなら、本物だね・・、
うれしい・・」

咲江は嬉しそうです。努めて笑みを浮かべていますが、千春の表情は硬いのです。しかし、興奮して
いる咲江は千春の変化に気が付いていません。

「サイズが超一流で・・・
千春直伝のテクを覚え込んだ男…、
夫はすごい男に変貌したと思えるけれど・・、
どうなの…?
旦那様と比較してどう…?
愛人の・・、ああ・・佐王子さんと比べたらどうなの…」

楽しそうに咲江が質問しています。夏樹の体を知っているのは自分と千春だけで、千春にも夏樹の話
題は興味があるはずだと咲江は思いこんでいる様子です。千春の心の内を言えば、咲江とは夏樹の話
題をこれ以上続けたくない気持ちになっているです。堪えきれなくなった千春はついにそのことに触
れました。

「ああ・・、咲江・・、勘弁して・・、
咲江の前でご主人を話題にするのは・・、
これでも結構つらいのよ・・・」

「エッ・・、
どうして…・・?」

「だって・・、そうでしょう・・・、
どんな理由があるにせよ、
咲江の旦那様を寝取った事実が私にのしかかるのよ・・」

「・・・・・・・・・・・・・」

意外なことを聞くという表情で咲江が黙って千春を見つめています。