フォレストサイドハウスの住人達(その16)
33 フォレストサイドハウスの住人達(その16)(553)
鶴岡次郎
2017/02/17 (金) 14:40
No.2960

「彼が凄いのは・・、
夫や、同年代の男たちと比較して、
とても強いことなの・・・、
二十代の男と同じよ・・・、
何時間も、休みなくできるの・・」

視線を宙に泳がして、千春が語っています。

「でも・・、
私が夏樹さんにこれほど惹かれるのは・・・、
巨根のせいでも、彼の強さでもない…、
勿論・・、それらが無いとだめだけれど・・、

私が一番惹かれるのは彼の優しさなの・・・・、
彼に抱かれていると・・・
彼の男心を強く感じることができるの・・・・」

「男心…・?」

「夏樹さんが他の男と一番違うところはね・・・、
女性への強い興味を持っていることなの・・・、
思春期の少年のように、女性への憧れを未だに持っているのよ・・・、

だから・・、とても大切に女を扱ってくれる・・・、
そんな男は、夏樹さん以外、私の周りには見当たらないわね…・
ああ・・、咲江がうらやましい…・」

愛があきれた表情で千春を見ています。由美子はただ微笑みを浮かべているだけです。

夏樹にセックスを教え込むのが目的だったのですが、そのことを忘れるほど夏樹は素晴らしかったの
です。彼の体に惚れこみ、溺れこんで、彼を独占できる親友咲江を本音でうらやましいと千春は
思っているのです。

それでも、口に出して、咲江の立場をうらやましがる程度ですから、千春の夏樹へのあこがれは、そ
う底が深くないと愛と由美子は読み取った様子です。女ならこの程度のことは有りがちなこ
と・・・、心配する必要はなく、千春が暴走することはないだろう・・と、二人の女は思っているの
です。

「優しくて・・、持続力があって・・、
それに・・、子供のように素直なの…、
女が10人居たら、その10人が全員・・・、
彼のこと、好きになります……
彼に抱かれたら・・、すべての女が狂いだします…」

一度言葉に出してしまうと、堰を切ったように夏樹への憧れが迸り出るのです。由美子と愛が笑みを
浮かべて聞いています。千春の気のすむまで吐き出させるつもりのようです。

「そんなに凄い男に変貌したんだ…、
夏樹さんは…、咲江さんは幸せだね…・。

それもこれも、全部・・・、
千春さんのおかげだよ・・・、
良かった、良かった…
もう・・、咲江さんのことは心配ないね・・・」

由美子が口を挟んでいます。

「そんなことはないと思うけれど、
彼のこと・・、思い込みすぎて・・・、
馬鹿な真似はしないでね・・」

愛が心配そうに問いただしています。

「ハイ…、先ほどは恥ずかしいところをお見せしました。
もう・・、私は大丈夫です…。
由美子さんたちに思いを全て吐き出したのですっきりしました。

家の主人も可愛がってくれますし・・・、
お店に行けば、それこそ、太いの、長いの…
男なんて、より取り見取りですから・・・、
馬鹿な真似をする余裕がありません…」

「そう・・・、そうよね・・・・、
それで安心した…」

愛が何度も頷いています。

「毎日・・、咲江さんとは会うのでしょう…、
彼女の口から良い報告が出たら、また聞かせてください…」

「ハイ…」

由美子の言葉で今日の会合は終わりました。

これで咲江の問題は全て解決したと、三人の女は確信したのです。店を出て自宅へ向かう由美子の歩
調が軽やかでした。