フォレストサイドハウスの住人達(その16)
27 フォレストサイドハウスの住人達(その16)(547)
鶴岡次郎
2017/02/08 (水) 16:22
No.2954

その日の夜、千春は夫、三郎に咲江のことを話しました。ひょんなことで男に巡り合い、抱かれ、そ
の男に完全におぼれこんでしまっていること、一方では、罪悪感に苛まれ、自身の命を消し去ること
さえ考えるほど、追い込まれている事情を夫に話したのです。そして女三人の計画を説明し、浦上三
郎に協力を求めたのです。

浮気をした人妻を助ける義理もないし、そんな趣味もないと三郎はあっさり拒否したのです。三郎に
すれば、同じ男として坂上夏樹に同情をしても、浮気妻、咲江を救うため、手助けすることなどでき
ないと思うのは当然の流れなのです。それでも、千春に惚れこんでいる三郎は最後まで断りとおすこ
とはできませんでした。

惚れた女房の頼みとはいえ、自分の妻を抱かせる引き込み役を夫である三郎が担うことになったので
す。浦上三郎もかなり変わった嗜好の持ち主です。結果、浦上三郎は完ぺきに役割をこなし、千春と
由美子の期待に応えたのです。もちろん、千春も頑張りました。

千春を抱いて坂上は女性の性感の奥深さを思い知らされました。そして、これまでいかに彼がセック
スに怠慢であったかを千春は身をもって教えてくれたのです。この状態であれば、妻である咲江が浮
気に走っても仕方がないと彼は苦い思いで、これまでの怠惰な夫婦生活を反省したのです。心を入れ
替えて夫婦生活の充実に努力すると坂上は千春に約束したのです。千春の仕掛けは完ぺきに成功した
のです。


坂上夏樹の初ソープに関する千春の長い成果報告が終わりました。愛も、由美子も大成功に終わった
結果を聞いて満足そうです。

「ところで・・・坂上さんのアレ・・って・・・、
そんなに大きいの…?」

愛が声を潜めて質問しています。

「ハイ・・、私が知る限りでは、ナンバー・ワンです・・」

「そうなんだ…、凄いね・・・」

物ほしそうな表情で愛が呟いています。

「モノが凄いだけでないのです…、
何事にも興味を抱き、深く追求する方でしょう…、
直ぐに女のツボを覚えてしまって・・・、
延長時間が終わるころには、どちらが先生か判らない程・・、
彼・・、テクニシャンに変貌しました・・・。
勿論・・、私…、何度も、気絶するほどいかされました…」

好色そうな笑みを浮かべて千春が語っています。

「由美子さんの見立てた通りだね…、
夏樹さんはすごい才能の持ち主だったんだね・・
由美子さん・・、最初からそのことを見抜いていたの…?」

愛が感心し、由美子があいまいに微笑んでいます。

男の体を近くで観察するだけで、その男の性能力を服の上から見抜く奇妙な才能を由美子は持ってい
るのですが、今回のケースでは坂上本人とは直接会っていませんから、いかに由美子でも坂上の超人
的な性能力を見抜くことはできなかったのです。坂上を抜擢した手柄は、由美子でなく、むしろ彼女
の夫、鶴岡次郎のものなのですが、もちろんそんなことを由美子は口にしません。

「見抜いていたわけではないけれど・・、
伸び代が大きいと読んだのは確かよ・・、
それが、意外にも・・、
さすがの千春さんをも驚かせるほどの成長を遂げた・・、
うれしい誤算だね…
これで、スーパーマン候補は夏樹さんで決まりだね…・」

「ハイ…、
申し分ないと思います…」

千春が答えています。

「千春さんがそういうなら大丈夫ね…。
これから先は、スーパーマンを目指して、彼が独学で精進すればいい・・、
これ以上、千春さんが彼を鍛える必要はなさそうだね…
本当にご苦労様でした…。
村上と切れることを祈りながら、しばらく様子を見ましょう・・」

由美子が楽しそうな表情で語っています。自身が立てた計画が成功したことを心から喜んでいるので
す。

それにしても、千春の表情には笑顔がありません。あいまいな表情で由美子の言葉を聞いているので
す。千春の努力で坂上夏樹がセックスに目覚めたのです。坂上夫妻を襲っていたセックス不安はどう
やら解決のめどが立ったのです。もう少しうれしそうな表情が出てもいいのですが、千春の表情がさ
えません。あるいは夏樹と切れることに千春は少し未練を残しているのかもしれません。もちろん、
千春の微妙な表情に由美子も愛も気が付いていません。