フォレストサイドハウスの住人達(その14)
29 フォレストサイドハウスの住人達(その14)(484)
鶴岡次郎
2016/07/21 (木) 14:58
No.2882

「ああ・・・、暗い話になったわね・・・、
前の職場で見聞きした嫌な記憶が忘れきれないのよ…
ゴメンナサイね・・・、」

「いえ・・、私たちこそ・・・・、そこまで気が行かなくて恥ずかしいと思っています・・・。感じ
ることが出来ない女性、少ししか感じない女性が、この世にかなりいることは、知識として持ってい
ます。でも、正直言って、その事実を今まで実感できる機会を持てなかったことも確かです・・。愛
さんにそのことを指摘されて、女性として恥ずかしい思いでいっぱいです…」

由美子が頭を下げ、千春もまた、頭を下げています。

「そんなに謝ることではない・・、でも・・、何事においても、恵まれた人は、恵まれない人のこと
に思いを馳せる習慣を持っていることは大切だと思います。
これを機会に、感性と男運に恵まれない女性に思いを馳せるようになれば、お二人はもっと魅力的に
なると思う・・」

「ハイ・・、愛さんのご忠告を忘れないようにします・・・」

由美子と千春が深々と頭を下げています。

「ところで・・、中には・・、そんなに好きでない男もいるでしょう・・、
むしろ、嫌だと思う男の相手をしなければいけないこともあるでしょう・・、
そんな時でも、感じることが出来るの…?」

愛が新たな質問をしています。どうやら、千春と由美子の特異な体質をこの際、もっと掘り下げよう
と思っている様子です。

「う・・・ン・・、かなり難しい質問です…、
正直に申し上げると・・・・、
触られるのも嫌だと思う男に、今まで出会ったことがないのです…」

千春が真面目に答えています。

「でも・・、好みの男性はいるでしょう…」

「ハイ・・・、勿論、好き嫌いはあります、
どちらかと言うとイケメンにすごく弱い方です・・。
でも・・・、どんな男性にも、良いところがたくさんあって、
男性の傍に居ることをそれほど嫌と思ったことがありません・・」

「それって…、どんな男でもいいということなの…、
ああ・・・、失礼・・、
変な意味でなく・・、
世の男性すべてが好きだということなのね…」

「ハイ・・、多分・・・・・」

「それって・・、凄いことだよ・・・、
凄い才能だよ・・・、
由美子さんもそうなの…・?」

愛の問いかけに由美子が黙って頷いています。

「参りました…、やはりね・・・、
そうじゃないかと思ったのよ・・・、
やはり、お二人は並みの女性とはかなり違っている…。
お二人とも、凄い才能に恵まれているのね…。
男にとって、お二人はある意味では天使のような存在だね・・・」

「そんな…、天使だなんて…
ただのスケベーなだけだと思います・・・」

本当に恐縮した表情で千春が答えています。由美子も同感らしく、小さく頷いています。

「判った…、謙虚なお二人が私は大好きです・・。
これから先も、お二人の気持ちを大切にして、思うまま生きてほしい・・。
私はいつでもお二人の応援団です・・・」

「ありがとうございます・・・」

由美子と千春がまた深々と頭を下げています。