フォレストサイドハウスの住人達(その14)
20 フォレストサイドハウスの住人達(その14)(475)
鶴岡次郎
2016/06/20 (月) 15:27
No.2871

佐王子は10時ごろ旅館に戻ってきました。由美子が出発する予定の午後三時まで、誰憚ることな
く、二人は絡み会うことが出来るのです。二人の嬌声は部屋の外からも聞こえたはずです。昼食を部
屋に運んできた若い女中が、風呂場から聞こえる由美子の嬌声に頬を染めて、それでもこっそり二人
を覗き込んで、股間に手を伸ばし、大きなため息をついていました。

女中の視線の先で、由美子は洗い場に四つん這いになり、タイルに頬をつけ、臀部を高く上げて、十
分に充血した陰部に男根を深々と受け入れていたのです。由美子の女陰から盛大に愛液が噴出してい
たのです。

その日、午後の便で由美子は東京へ立ちました。空港まで佐王子は見送りに来て、待合ロビーの片
隅、人目を避けて熱いキッスを交わしたのです。今日の由美子は花柄模様のワンピースに、白のロー
ヒール、もちろん生足です。そしてカジュアルなストローの帽子を着けています。どこから見てもリ
ゾート帰りの若奥様と言った風情です。

傍に居る佐王子は精一杯おしゃれをしているのですが、粋な白地のスーツと、彼の表情に刻み込まれ
た男の生き様の残影が災いして、素人離れをした雰囲気を出しています。良家の若奥様とその姿から
明らかにその筋の男とわかる二人、不釣り合いなカップルに見えますが、二人が仲睦まじく話し
合っていますので、それはそれで、何やら妖しい雰囲気を醸し出しています。彼らを見て、猟奇的な
ストリーを妄想する人もいると思います。

「由美子・・、
また会えるかな…」

体を男の体にぴったりと寄せて、彼の手を握ったまま由美子はゆっくり首を振りました。

「もう一度会えば、別れがもっと辛くなるから・・・、
会わない方がいいのよ・・」

「・・・・・・・・」

二人は黙って見つめ合い・・、そして、潔く由美子が背を向けて大股でゲイトに向かいました。それ
以来、二人は一切の連絡を断っているのです。声を聞くだけでも、再び燃え上がるであろう感情の暴
発を二人は恐れているのかもしれません。


由美子との交わりで、佐王子は久しぶりに敗北感を味わいました。どんな時も由美子は自然体だった
のですが、佐王子はいつも彼女に攻められている切迫感を感じていたのです。その部分の微妙な動き
は勿論ですが、全身から発散される香り、甘い声、溶けいりそうな肌の感触、そして何よりも、
ちょっとした動き、その声、甘えるような視線、そのすべての動きに、佐王子は引き付けられまし
た。一心に佐王子を慕っている女心が由美子の全身から感じ取れたのです。

「由美子は本気で俺に惚れている・…、
何もかも捨てて・・・、
この瞬間・・、この女に抱かれたまま殺されてもいい…」、

佐王子は本気で由美子に惚れてしまったのです。

佐王子との交わりで由美子は完全に燃え尽きました。数え切れのほどの性豪と肌を合わせてきて由美
子ですが、佐王子との交流は別格でした。激しさだけを取り上げればもっと力強く攻める男を何人も
知っています。モノの凄さから言えば佐王子は下から数えた方が早い部類です。全身を使って、優し
く、じっくりと、女のポイントを的確に攻めてくるのです。始めは物足りなさを感じるのですが、次
第に持ち上げられ、気が付けば狂いだしているのです。佐王子のような男を由美子は初めて知ったの
です。

こうして、佐王子にとっても、由美子にとっても、互いの存在は一生忘れることが出来ないものに
なったはずです。