フォレストサイドハウス(その13)
6 フォレストサイドハウス(その13)(421)
鶴岡次郎
2016/02/23 (火) 15:32
No.2812

二人肩を並べて歩きだしました。先ほどの由美子と愛の電話での会話を聞くともなく聞いていて、
千春は何かに気が付いた様子なのです。それを由美子に確かめたくて、いたずらっぽい表情を浮か
べ由美子の顔を覗き込み、質問しています。

「由美子さん・・・、
トラックでの出来事を誰にも話していないと・・、
先ほど言っていましたね・・・」

「そんなこと言ったかしら・・・」

「ハイ・・、確かに聞きました…。
由美子さん・・・、
もしかして・・、そのお友達に・・、
話したでしょう・・・・」

笑みを浮かべた千春が由美子を問い詰めています。

「判りますか・・・」

「はい・・・、
私だって、あのように、面白い事件を目撃したら・・、
親しい友達には話さないではいられません、
そして、名も知らない女の浮気事件ですから、
話題にしても構わないと思うはずです・・・。

ここだけの話よ・・て、口止めをしっかしてね・・
女ってそうした生き物でしょう・・・」

「参りました…、
おっしゃる通りです、あの日あなたと別れた後、
愛さんに会って、すべて話しました…」

あっさり由美子が罪を認めています。

「誰にも話していないと言ったことを一部取り消します…。
愛さん以外には誰にも話していません…、
アッ・・、主人にも話しました…
スミマセン・・、フフ・・・・」

由美子が少し慌てています。千春が面白そうに笑っています。

「今から出会う愛さんも私同様スケベーな話が好きでね・・、
それから・・、それからって、粘るから、結局みんな話してしまった。
アレのサイズまで話さざるを得なかった…」

「エッ・・・、そんなことまで言ったのですか・・・」

「すごく大きかったと言ったら・・・、
愛さん、興奮して、自分も見たかったと残念がっていた。
今日会えば、根掘り、葉掘り聞かれると思う・・・、
覚悟していたほうがいいですよ…、フフ・・・・」

「怖いですね…、フフ・・・・」

二人の女が嫣然と笑いながら、愛の待つ売店に向けて歩いています。


愛が愛想よく迎えてくれました。千春を一目見て愛は彼女が気に入った様子です。管理人の三津崎
はアパートのオーナーのところへ出かけて留守でした。女三人遠慮ない会話を楽しむことができま
す。自己紹介が終わった後、由美子がおしゃべりの口火を切りました。

「私・・・、こう見えても浮気性なの・・・、
主人以外の男性に抱かれた回数は、誰と比べても断然多いかも・・・」

夫公認で、U(宇田川裕の通称)という、的屋の親分である愛人がいること、その関係で地方の親分
衆の求めに応じて彼らに月平均数回は抱かれていること、静岡で老舗のお茶会社を経営している70
歳を超えた社長の愛人をしていることなど、由美子は千春に正直に告げました。勿論、愛はこのこと
を良く知っています。

「へえ…、すごい・・・・
とてもそんな風には見えません・・・」

「そうよ・・・、この人は見かけによらないスケベーなのよ・・、
愛人稼業だけでなく、ストリップショウ、いかがわしい酒場のホステス、ソープ嬢、セックスショ
ウ、デリヘル嬢などなど、およそ女性が経験するあらゆる性的職業を経験しているのよ・・、
やっていないのはおそらく結婚詐欺くらいかしら・・・・、フフ・・・・」

笑いながら愛が千春に教えています。