フォレストサイドハウス(その13)
43 フォレストサイドハウス(その13)(456)
鶴岡次郎
2016/05/09 (月) 14:42
No.2849
「変だと思うでしょう・・・
なぜこんなことを言い出したのかと私自身が驚いています。
でも・・、やはり、私・・・、知りたいのです……
彼と由美子さんのことが…・・」

千春自身にも迷いはある様子ですが、どこかで迷いを吹っ切った様子できっぱりと言い切っていま
す。

「佐王子さんは昔からずいぶんとお世話になった恩人です。
由美子さんとは今日親しくなったばかりですが、
昔からの友達のような気がしています。
今では、どちらも、私にとって、特別な人です…・」

微笑みを浮かべて千春が話しています。

「大好きはお二人が昔・・、親しかったと聞いて、少し妬けますが、
それでも、馴れ初めや、親しかった様子が詳しく知りたい気持ちは変わりません。

変ですよね・・、私・・、
自分でも変だと思います。

お約束します、お二人の親密な様子を聞いたからと言って、
佐王子さんが嫌いになったり、
由美子さんとの友情にひびが入るような真似はしません。
安心して、何もかも隠さず話してください…・・」

「そうね・・・、
かなり前の話で記憶が薄れているところもあるけれど、
思い出しながら話してみようか・・、
千春さんと旦那様の関係ほど、面白い話にはならないと思うけれど・・」

由美子にとって決して気楽に話せる話題ではありません、それでも案外簡単に引き受けています。
この先、千春がいろいろ妄想して悩み続けるより、ここで、できるだけ詳しく話しておくのが、千
春にとっても、由美子にとっても一番いいと判断したのです。それだけ、千春との友情を大切にし
たい気持ちが由美子の中でも強いのです。


「三年前・・、いや・・、数年前だったかもしれない・・、
何しろ・・、毎年、登場人物は違うけれど、似たような経験をしているものだから・・」

ゆったりとした口調で由美子が語り始めました。どうやら、千春は、予定している午後のソープ出
勤を見合わせて、このガールズトークを続けるつもりのようです。由美子と愛は特に予定がありま
せん。日暮れまで女たちは語り合うことができるのです。