フォレストサイドハウス(その13)
36 フォレストサイドハウス(その13)(451)
鶴岡次郎
2016/04/20 (水) 15:36
No.2842

「佐王子さんはその道のプロですから、過去にも現在でも、たくさんの女性と関係を持っていること
はよく知っています。私のマンションに限っても10人を超える女性と関係があるのを知っていま
す。妬けないと言えば嘘になりますが、それがあの人の稼業ですから、あきらめて現状を受け入れる
ことにしているのです」

千春がゆっくりと説明しています。由美子は平静な表情で千春を見つめています。しかし笑顔はあり
ません。由美子と千春の間に火花が散っているのに気が付いたのでしょう・・、愛は困惑した表情を
浮かべて二人の表情を交互に見ています。

「それで・・、もし・・、
由美子さんと彼の間に何らかの関係があったにしても私は驚きません。
もしそうした関係があったのなら・・・、
むしろ、うれしい…、そう思えるのです・・」

「困ったわね・・・、
どうして気が付いたの…」

「私が佐王子さんのことを説明し始めた、その時・・、
由美子さんは『珍しい名前ね・・』と言って突然口を挟んできた…。
そして、佐王子さんの年齢を聞いた・・。
愛さんと違って・・・、
私ごとき女が口にした男の話を聞いて、
直ぐに反応する由美子さんではないはずと思っていたのです・・・、

ああ・・、ゴメンナサイ・・、愛さん・…、
軽蔑しているわけではありません・・。
ただ・・」

「いいの、いいのよ・・・、
こと男女のことに関して、私は好奇心が旺盛だから・・」

愛が笑って答えています。

「それが・・、あのレスポンスでしょう・・、
単純にびっくりしたのです…・」

「・・・・・・・」

「もしかしたら…、
私の佐王子さんを・・・、
由美子さんは知っているかも・・・と、
そう思いました・・・」

「鋭いね・・・・・・」

「そして・・、愛さんが佐王子さんのサイズを話題にして・・、
それほど大きくないと私が言った時・・・、
由美子さんが・・、ゆっくり、何度も、頷いていたのです…。
由美子さんは佐王子さんとアレを食べたことがあると・・、
この時、確信しました・・」

「そうなの…、困ったものね・・・、
うっかり本音を漏らしてしまったのね・・・
まだまだ未熟だね…・」

由美子が苦笑しています。

「そして・・、はっきり・・、思い出したのです…・
以前・・、大分・・、前のことですが・・・、
佐王子さんの口から聞かされた話を思い出したのです。
しばらく忘れていたのですが、今、鮮やかに思い出しています…・」

「・・・・・・」

意外なことを話し出した千春の表情を愛も、由美子も見つめています。