フォレストサイドハウス(その13)
35 フォレストサイドハウス(その13)(450)
鶴岡次郎
2016/04/18 (月) 16:28
No.2841

「一度食べたら忘れられない味と言われても・・・、
ようするに、食べてみないと判らないということね・・・、
千春さんがお膳立てをしてくれれば、ごちそうになってもいいけれど、
こればっかりは、そういうわけには行かないね・・・。
由美子さんはどう思います・・・」

「そうね・・・、確かに・・・、
大きくなくても、凄い人はいるものよ…」

思い入れたっぷりに由美子が答えています。どうやら過去に味わった男の味を思い出している様子で
す。

「由美子さんもそんな男の味を知っているようね・・・、
もしかして・・、由美子さんも・・・、
佐王子さんを食べたことがあるの…?」

「ちょっと…、止めて…、
冗談でもそんなこと言わないで…」

「アハハ…・、悪い冗談だね・・・、ゴメンナサイ・・・、
私だけがその味を知らないから、嫌味を言いたかったのよ・・・」

愛の冗談に由美子がかなり慌てています。調子に乗って悪い冗談を言ってしまったと愛は潔く頭を下
げています、一方千春は冷静な表情で由美子を見ているのです。由美子の様子から彼女なりに何かを
感じ取ったのかも知れません。

「由美子さんまでそういうなら・・・、
そうかもしれない・・、
男はただアレが大きいだけではダメなのね・・・」

「そうです・・・
愛さん・・、男の味はサイズで決まるわけではないのです…、
判ってください…」

「アレの味は大きさだけで決まるわけではないということね・・、
奥が深いね…、
どうやら私にはこの話題を論じる知識も経験も乏しいようだね…」

これ以上この話題を続けるべき知識も、経験もないと愛は判断した様子です。これで男性器に関する
熱い議論は終わるかと思えたのですが、どうやら千春は佐王子の男性器に関連して、別の疑惑を抱え
始めている様子です。

「由美子さん・・・、
間違っていたらごめんなさいね・・・」

思い切った様子を表情に浮かべて、千春が由美子に声をかけました。

「もしかして・・、
由美子さんは佐王子さんを以前から知っているのではありませんか・・・、
男と女の関係を持ったことがあるのではありませんか・・・」

「・・・・・・」

千春が笑みを浮かべてゆったりと質問しています。質問の内容は、唐突で、かなり挑戦的なものです
が、それでも決して詰問調の問いかけではありません。慌てる様子を見せないで由美子はただ黙って
千春を見ています。沈黙を保っているのは心の動揺を表に出さないためかもしれません。