フォレストサイドハウス(その13)
33 フォレストサイドハウス(その13)(448)
鶴岡次郎
2016/04/14 (木) 17:22
No.2839

「お二人は間違いなく・・・、
身も心も愛人さんに捧げているよね・・
愛人さん・・て、そんなにいいモノなの…・?」

「そうかしら・・、
そんなに身も心も・・、というほどでないけれどね・・・、
普通よ・・・、
主人と同じ程度に愛していることは確かだけれど・・・」

そんな言われ方は心外だと言わんばかりの口調で由美子が反論しています。.

「あら、あら・・、そんなこと言って…、
何かあれば、Uさん、Uさんと・・・、
手放しでのろけるのは誰だったけ…?
きっと、旦那様以上と感じている時間が多いと、私は睨んでいるのよ・・
少なくとも、ベッドの上では絶対、愛人さんがいいでしょう…」

「まあ・・、当たらずとも遠からずと言っておきます…、
それで、質問とは何なの…」

わざと不愉快そうに顔をしかめて由美子が畳みかけて、問いかけています。

「世間ではその道のプロはすごいモノを持っていて、
テクもすごいと言うじゃない・…。
彼らの手にかかるとどんな女も一コロだと聞かされているし、
あなた方二人とも愛人にメロメロの様子だし・・・、

彼らのモノはそんなに立派なの・・?
旦那様と比較してそんなに差があるの…?」

愛が真剣な表情で質問しています。

「由美子さん・・、
最初はあなたから答えて・・、
Uさんのモノは相当立派だと、私は思っているのだけれど…」

「仕方ないわね・・・、愛さんには逆らえません・・・
え、え・・、おっしゃる通りです、彼のモノはすごいです・・・、
彼のモノの大きさと強さに、私は惚れています…、
これで回答になっていますか…」

笑いながら由美子が答えています。

「それでは、千春さんの場合はどうなの…」

「私の場合は由美子さんとは少し事情が違います。主人と知り合う前からの関係で、一度は真剣に結
婚を考えた相手です。彼がその気を見せなかったので結婚はあきらめましたが、彼からいろいろ学び
ました。異常な情欲に悩まされていた私を正しく導き、女に育てくれたのは彼です。その意味で、彼
なしでは今の私は存在しません・・・」

少し改まった口調で千春が力説しています。愛にしてみればもう少し不真面目な返事を期待していた
のですが、こと佐王子のこととなると千春はふざけることが出来ない様子です。

「私にとって、佐王子さんは別格です。
愛人であり、恩人であり・・、人生の師であり・・、
それと・・、もっといろいろ言いたいのですが、
彼を表現するぴったりの言葉が見つかりません…」

ここで千春は言葉を切りました。由美子と愛が少し驚いた表情で千春を見ているのに気が付いたので
す。想像以上に強い佐王子への思いを語る千春に二人の女は戸惑いを感じているのです。少し硬い雰
囲気が女たちの間に広がっています。