フォレストサイドハウス(その13)
31 フォレストサイドハウス(その13)(446)
鶴岡次郎
2016/04/04 (月) 11:02
No.2837

愛と千春に続いて、由美子も告白しました。三人の女はそれぞれに胸の奥にしまい込んでいた秘密
を、少しだけですが吐き出すことが出来たのです。三人はそれぞれ、物思いに耽りながら、愛が入れ
てくれた熱いお茶を飲むことに専念しています。平日の公園ですから、外は静かです。三人の表情は
穏やかです。誰にも言えない秘密を明かした仲間意識が三人の女の心を熱くしていました。黙ってい
ても互いの心が繋がっている思いを三人三様に感じ取っていたのです。

「二人の話を聞いて改めて分かったけれど…・、
千春さんも、由美子さんも、間違いなく普通ではない・・」

「何よ・・、その言い方・・・、
黙って聞いていると、私たちが異常者に聞こえる…」

愛のつぶやきに、早速、由美子が噛みついています。ただ二人の表情には笑みが浮かんでいます。

「ごく普通の私から見ればうらやましいのよ・・・、
二人はあふれ出る女の力に恵まれている・・・。
夫一人の力では癒しきれないほど、その情欲は強い…。
私にはよくわからないけれど、
世の中には同じような悩みを抱えて、
一人で苦しんでいる女性が多いはずよ・・。
そのことを考えたことがあるかしら…・・」

「・・・・・・・」

愛の言葉に由美子も、千春もただ黙って頷いています。どうやら二人は自分のことで精いっぱいで世
の中の超スケベーな女のことまで気が回っていない様子です。

「お二人には理解のある旦那様が居て・・・、
そして、いい愛人に恵まれて・・、
うらやましい限りだわ・・・・。
そんな良い男たちに巡り合えたことに感謝しなくてはいけない・・」

「はい・・、感謝しています…」

殊勝な表情を浮かべ千春が頭を下げ、由美子も頷いています。

「ところで・・・、千春さん…、
先日公園内で、トラックの中で若い男に抱かれていたそうね・・、
その人・・・、その・・、話題のヤクザの愛人さんではないでしょう…」

「ハイ・・・、たまたま知り合った方です…」

「たまたまね・・・、
あなたの場合・・、
新しい男はいつも、たまたま見つかるの…?」

あきれた表情をわざと作り愛が千春をにらんでいます。

「由美子さんにも言っていないのですが・・・、
私・・、週に二度か、三度・・・、
Y市にある佐王子さんのソープに勤めているのです…」

「エッ…、ソープ勤めをやっているの…」

「ハイ・・、主人と佐王子さんが相談して・・・、
自由に遊ばせるよりは、お店に勤めさせる方がいいと判断したのです。
私に手綱を付けたのだと思います…・」

「へえ…、手綱ね・・・、
確かに・・、家に置いておいて、手当たり次第、男漁りさせるより、
ソープ勤めを認めた方が安心できるかもしれない…」

感心した表情で頷く愛です。