フォレストサイドハウス(その13)
30 フォレストサイドハウス(その13)(445)
鶴岡次郎
2016/04/02 (土) 14:23
No.2836

「女って悲しい動物なんだね・・、
由美子さんほど理性的な女でも、
その気が沸いてくると、自制できないんだね…。
どんな女もこの業(ごう)から逃げられないのだね…・」

愛の言葉に千春が何度も頷いています。

「私たち女は・・、
子宮の中にいつも火種を抱えているのよ・・・、
何かのはずみでそれが燃え上がると・・・、
当の本人でも手を付けらない状態にまで燃え上がることがある…。

それが女なのよ…・、
女と生まれた以上、この業(ごう)から逃げることができない…」

愛がしんみりと語っています。夫一人を守りきり、おとなしく生活している愛でさえ女の業を感じる
時があるようです。

「私なんか・・、火種どころか・・・、
燃えさかる火の玉を子宮に抱えているのかも知れない・・、
どんなに頑張っても、沸き上がる情欲を我慢できない時がある。
自分の欲望を解き放つとを家庭が崩壊すると判っているのに、
抑えきれなくなるのです・・・」

千春が少し声を高めて話しています。

「そんなにあからさまに言ってしまっては、
聞く人によっては誤解され、とんでもないことになるよ、
人前ではあまりそんなことは言わない方が良い…」

愛が苦笑を浮かべて千春に助言しています。

「ハイ・・・、判っています…・。
こんな話が出来るのはお二人だけです・・。
変なことを言いました。由美子さんの話を続けてください・・・」

素直に愛が頷いているのです。

「よその男に抱かれたことを…、
最初は隠していたけれど、とても隠しきれるものではない…、
一ヶ月ほど経ってから、夫に全てを告白した…。
夫を愛していること、体が疼いて我慢できないこと・・・、
そして、離婚のこと・・」

静かに語る由美子、千春と愛が真剣な表情で聞いています。

「当然のことだと思うけれど…。
告白を聞いた夫はその場では結論を出せなかった…。

そして・・、一週間後・・、
夫から宣告された…、

私を愛していること・・、離婚はしないこと・・、
そして、他の男に抱かれることを認めてくれた・・・」

「その一週間、悩みに悩み、考えに考え抜いた末・・・、
誰にも相談しないで、旦那様は一人で結論を出したのね・・・、
お二人の幸せを考えると、その道しか方法がないと思えるけれど、
旦那様にとっては辛い決断だったと思う…」

愛の感想に千春も、由美子もただ頷くだけです。