フォレストサイドハウス(その13)
28 フォレストサイドハウス(その13)(443)
鶴岡次郎
2016/03/30 (水) 14:41
No.2834

「由美子さんの説明で、男の大きな愛情はよく判った…、
私には思いつくこともできない二人の男の愛情表現は、何とか理解できた…。
それでも・・・、私は一言いいたい…
これで本当に良いのかと言いたい…。
いえ・・、世の女たちを代表して男たちに訴えたい…・」

愛が少し開き直った様子で言葉を出しています。由美子と千春が笑みを浮かべて愛を見ています。
こんな時、愛は時としてピント外れのコメントをするのです。二人はそれを期待して笑っているの
です。

「愛人稼業と売春稼業をやっていることは・・・、
未婚の女にとって並みの秘密ではない・・・、
絶対、隠したい秘密よ・・、
いえ・・、隠すべき秘密だと言える・・。
そのことには異論ないでしょう…・」

由美子と千春が大げさに頷いています。ここで反論でもしようものなら愛をさらに刺激することに
なるのです、二人は慌てて賛同の意を表現しているのです。二人の賛同を得て愛が満足そうに笑って
います。

「この重大な秘密がバレれば、婚約だってフイになる可能性が非常に高い…。
それでも、千春さんのためを思って、長い目で見れば千春さんの幸せにつながると考えた上で、
佐王子さんはすべてを浦上さんに打ち明けることにした。
これは・・・、乗るか、反るかの、賭けだね・・・。

勇敢に賭けを仕掛ける男はそれでいいかもしれないけれど・・、
賭けの犠牲になるのは女よ・・、

失敗すればドン底に落ちるのは女だから・・、
もろ手を挙げて、彼の行動には賛成できない・・・」

由美子と千春を睨みつけるようにして、愛が言葉をまとめました。

「お言葉ですけど…・、
佐王子さんは賭けとは思っていなかったはず・・・、
わたしは、そう・・思う・・・・」

「エッ・・、賭けではなかった・・・
だって・・、その話を聞けば逃げ出す男の方が多いでしょう・・・、
破談を覚悟して、将来の幸せのため、
すべてを打ち明ける賭けに出たと、私は思うけれど、そうじゃないの・・?」

納得できない表情で愛が由美子に詰問しています。