フォレストサイドハウス(その13)
25 フォレストサイドハウス(その13)(440)
鶴岡次郎
2016/03/23 (水) 10:58
No.2831

「千春さんのことを良く知っている佐王子さんは、
いずれ、千春さんが乱れると予想していたのよ・・・。
それで、千春さん一家の動静を注意深く見守っていたのよ・・・。
そして、旦那様より早く異常に気が付いた佐王子さんが動いたのよ…」

愛が得意そうに説明しています。

「ハイ・・・、愛さんのおっしゃる通りです…。
佐王子さんの伏線が張られていたようです…。
結婚後しばらくしてから、私は知らされたのですが・・・」

千春が口ごもりながら話し始めました。この話は千春としては避けたかった話題のようですが、
ここまで来れば話さない訳にはゆかないと判断したのです。

「三郎さんと結婚すると決まった時・・・、
私・・・、
佐王子さんとの関係をある程度まで告白しました…」

「愛人関係だと話したの…?」

「いえ・・、愛人だと、あからさまには話してはいません…。
数人のお客様と時々・・、実際は、数え切れないほどなんですが・・・、
数人のお客様と時々・・、肉体関係を持ったことを匂わせ・・・、
その中で特に親しくしているお客様の一人が佐王子さんだと話したのです・・」

「なんで・・・、話したの…・、
そんな中途半端に告白するのなら、
隠し通すべきよ、全部隠せばいいのに…」

「だって・・・、それは無理です…・。
三郎さんとの出会いが、そもそも接客中のみだらな対応が縁ですから・・、
私は何も知らない処女です…とは・・、とても言える状況でなかった・・・」

「そうだね・・・、そう言えばそうだった・…、
お店に初めてやった来た男のアレをしゃっぶたのだからね・・・、
他のお客とも同じことをやっているだろうと思われても仕方ないね・・・」

「そうなんです…、
他のお客とのみだらな行為を隠し通すのは無理だと思ったのです…。
それで、少し控えめですが・・・、
少数のお客様と関係を持っていると話したのです・・」

「・・・・・・・・」

その程度の嘘は許されると二人の女は思っている様子で黙って聞いています。

「ところが・・、
三郎さんはそんなことでは騙されなかったのです。
佐王子さんとは特別の関係があると睨んだようです。
それで、彼は佐王子さんを訪ねて、二人きりで話し合いを持ちました…」

「千春さんから手を引け・・・・と、
三郎さんは切り出したのね・・・」

「そうだと思います…。
ところが・・・、
佐王子さんは私のことを全部・・、
彼に話したのです・・」

「エッ・・・、全部って…、
愛人であることも・・・、
そして・・、体を売っていることも・・、全部なの…」

「ハイ・・・、全部です…・・」

「・・・・・・・・・・」

愛と由美子が絶句しています。