フォレストサイドハウス(その13)
12 フォレストサイドハウス(その13)(427)
鶴岡次郎
2016/03/03 (木) 13:59
No.2818

「それにしても・・、
その佐王子さんというヤクザさんはなかなかの人物だね…、
そういえば由美子さんの愛人もヤクザの親分だったわね・・、
ヤクザさんもそれなりの人を選ぶと、女は幸せになれるのね…」

ソープ店のオーナーで、凄腕の竿師である佐王子も、的屋の親分であるUも、愛にかかれば、すべて
ヤクザ稼業の人と見ているようです。ソープ店の経営も、的屋も立派な正業ですが、由美子も、千春
も、笑みを浮かべているだけで、愛の誤解を聞き流しているのです。

「体の続く限り、私の賞味期限が切れるまで・・・、
売春稼業は続けるつもりでした…、
もちろん、結婚にも、赤ちゃんにも、人並みにあこがれていました…
でも・・、私の体に巣食う、異常な情欲を思うと・・・、
人並みの幸せは、夢の・・、夢とあきらめていました…」

「・・・・・」

愛も、由美子もしんみりとした表情を浮かべ聞いています。

「それがある偶然の出会いで・・・、
私にも人並みの家庭が持てるチャンスがやってきたのです」

「今の旦那様との馴れ初めね…、聞きたいわ・・・
千春さんのようなスケベー女を見事射落した男の話が聞きたい・・、
彼もその道では相当出来る人なんでしょう…、
かなりいいモノを持っているのでしょうね・・・、
わくわくするね・・・・・・」

愛がすっかり興奮しています。

「佐王子さんのおかげでコールガールのサイドビジネスも軌道に乗り、変な話ですが、体の疼きを忘
れてシューフィッテイングのお勤めに打ち込めるようになっていました。自分の中に女を意識し始め
てから、こんなにすっきりした気分でいられるのは初めてのことでした。

ある雨の宵、お客が途絶えた時、若い男がふらりとお店に入ってきたのです、
サラリーマン風で、一目見てお店の顧客にはなれない方と見ました…。
それでも、いい男だったことと、ちょうど暇な時でしたから、
からかい半分で、その頃は自粛していたお色気攻勢を彼に仕掛けたのです・・」

「凄腕の千春さんのお色気攻勢を受けたら、
若い男はひとたまりもなかったでしょうね…」

「そうでもなかったのです・・・。
予想に反して、彼の反応は全くなかったのです…」

「へえ…、そんなこともあるんだ…
それでは、千春さんがカチンとくるね…」

「そうなんです、私・・、プライドがひどく傷つけられました・・、
こんな若造に馬鹿にされては、私のキャリアーが泣くと思ったのです…」

「…で、どうなったの・・」

愛が話の先を急がせています。愛の反応を見て、焦らすようにお茶のコップを取り上げ、ごくりと喉
を湿して千春はゆっくり話し始めました。

「敵がその気なら、私の力を見せつけてやると思いました…」

「やる気になったのね…」

白いブラウスと紺のミニタイトスカートがお店の制服です。その服装で男の前に跪き、靴をフィッテ
イングするのです。その時の千春は前のボタンを三つ外しています。白い半ブラが顔を出し、ニップ
ルを隠す役目しか果たしていないブラ越しに豊かで青白い乳房が見えるのです。絨毯に膝をついてい
ますから、窮屈なタイトスカートは上に巻き上げられ、小さなショーツがちらちら見えるのです。目
を凝らせば淡い繁みさえ見えそうな気がするのです。

このお色気攻勢に反応を見せなかった男性を千春は知りません、遠慮がちにチラチラ見る男、無遠慮
に覗き込む男、直ぐにスケベな冗談を言い出す男、その反応は様々ですがどんな男でも股間を緊張さ
せて千春の体を楽しみ、次の展開を期待するスケベー心を丸出しにするのです。そして、その果てに
高価な靴を買い求める羽目に陥るのです。