フォレストサイドハウスの住人達(その12)
50 フォレストサイドハウスの住人達(その12)(413)
鶴岡次郎
2016/01/30 (土) 16:17
No.2800
「彼の出発予定時間を知らせるベルが鳴って、窓の女性と別れました。私は勿論ですが、彼も疲れ果
てていました。とても車の運転が出来る状態ではありませんでした。それで少し休むことにしまし
た。出発までの猶予はぎりぎり引き延ばして、30分間ほどでした・・」

「事故でも起こしたら大変だからね、休みをとったのは正解だよ」

「ハイ・・、わたしもそう思います。
目覚ましをセットして、二人とも死んだようにその場に横になりました。

出発予定時間が来て、ベルで起こされると、さすがに若い彼は元気で・・、
さっと起き上がると、そそくさと服装を整えて、
元気に手を振って、フェリーの港へ向かいました・・・。

私は・・・、まだ、全身が弛緩していて、車から降りるのがやっとでした・・。
彼のトラックが去った後も、しばらく公園のベンチで休んでいました・・・」

「千春がそんなになるのは珍しいことだね、
何度逝かされたの・・・?」

「一時間余りの間に、何度逝ったか数え切れないほどでした・・・。
彼も三度か、四度逝ったと思う・・・・。
あっという間に時間が過ぎていた・・・」

好色な笑み浮かべて、うっとりした表情で千春は夫に答えています。

「偶然とはいえ、トイレにいた人はとんでもないものを見てしまったのだね・・、
それにしても・・、良い人で良かったよ・・、
もし・・、悪い人だったら、ただでは済まなかったはずだよ・・
そして、その方は度胸の据わった人だね…、只者ではないね…」

「そうね…、
その時はそうは思わなかったけれど、今考えると・・・、
不思議な女性だった・・・」

窓の女のことを千春は思い出している様子です。千春より年上で、両家の奥様然とした女性だけれ
ど、どこか普通とは違う雰囲気を最初から感じ取っていたのです。会話を交わして確信したのは、
彼女もまた千春と同じようにスケベーで、毎日でも男が欲しいタイプの女性だと言うことでした。
勿論、そのことは女同士の秘密情報ですから三郎には伝えません。

「私達の淫らな姿を見てもそれほど驚いていなかった…、
男と女の乱れる姿を、普段から、何度も見ているのかもしれない…」

「水商売の人かな・・・」

「そうではないと思う…、
良い処の奥様然としていた。
それでいて、人を引き付ける不思議な魅力があって、
死ぬほど恥ずかしい姿を見られているはずだけれど、
あの人は平然としていて、私達の姿を心から楽しんでいる様子だった・・」

「それで千春は声を掛けるつもりになったのだね…」

「普通なら、その場でカーテンを引いて隠れ、服装を整えて、
さっさとその場から逃げ出すべきだったと思うけれど・・、
私は見られているのを知りながら、わざと見せつけたりしていた・・、
その上・・、裸のまま・・、
何となく彼女の傍へ行き、気が付いたら窓を開けていた…」

「彼女も下半身裸だったのだろう・・・」

「ええ・・、
今考えるとショーツを引き上げ、胸を隠す時間は十分あったのよ、
でも、彼女はそうしなかった・・、
そうすることで私の羞恥心をやわらげるつもりだったのだと思う・・

心配しなくてもいいよ、私も恥ずかしい格好をしているから・・と、
私を安心させるため、ほとんど裸のままでいてくれたのだと思う…」

「そうかな・・、ソコまで考えるかな・・」

「きっとそうだと思う…、
そして、自分のアソコに指を入れて一緒に楽しんでくれて・・、
最後まで付き合ってくれた・・。

私は・・、勿論、山口さんも・・、
セックスを覗かれていたにもかかわらず、嫌な思いをしなくて済んだ、
それどころか、彼女が側に居てくれたおかげで、死ぬほどいい気持になれた・・・。

今日、公園で起きたことは一生忘れないと思う。
そうなのよ、一生忘れない良い思い出を彼女は与えてくれたのよ・・・」

「なるほど・・・、
単なる覗きで終わらせなかったのだ…、
若い恋人同士の昼下がりの情事に彼女は花を添えてくれたわけだ・・」

三郎がしたり顔で一人頷いています。千春も笑みを浮かべて頷いています。千春にとっても、山口に
とっても、そして三郎にとってさえ、トラックの中での若い二人の情事は心温まるいい思い出に
なったようです。