フォレストサイドハウスの住人達(その12)
49 フォレストサイドハウスの住人達(その12)(412)
鶴岡次郎
2016/01/29 (金) 15:36
No.2799

「ところで・・・、
彼には特定の女性はいないのか・・・」

「ハイ・・、多分・・・」

「二十代の男性がそれでは溜まるよね・・」

「はい・・・、多分・・・」

千春があいまいに答えています。

「プロの女性にお世話になることも可能なはずだが・・・」

「・・・・・・」

千春に意見を求めている訳でもないようですから、だんまりを決め込んでいます。

「彼・・、仕事が忙しいのと・・、
その・・・、
こんなことは三郎さんには言い難いのですが・・」

「・・・・・・」

千春が思い切った様子を見せて口を開きましたが、そこで言葉を飲んでいます、何か迷いがありそ
うです。三郎が何事かと姿勢を正しています。

「こんなことを言うと誤解されるかもしれませんが・・・」

「聞いてみないと判らないよ、
そこまで言って、黙っているのは罪だよ・・・、ハハ・・・」

三郎が陽気に笑っています。その笑いにつられて千春が口を開きました。

「私を知って以来、私以外の女性は抱けなくなったと・・・、
彼が言うのです・・・・。
その通りだとすると・・・、
彼・・、しばらく女性と接していないはずです・・・」

「そうか・・・、そういう背景があったのか…」

そこで言葉を飲み込み三郎が、宙に視線を泳がせています。心配そうに千春が三郎を見つめていま
す。

「私・・・、変なことを言いましたか・・、
気を悪くさせたようだったら、許してください・・、
何でも、正直に言っていいと三郎さんから言われていたから、
つい、その言葉に甘えて・・、スミマセン…」

「ああ・・、そんなに気にすることではないよ・・・、
本気で千春に惚れているその山口と言う男の・・・、
その若さがちょっとうらやましくなったんだ…、
僕も、頑張らなくてはいけないと思っている・・・」

「三郎さんは今のままがいいのです・・、
今の三郎さんが私は一番好きです・・・」

「ありがとう・・・、
彼にとって、千春は女神なのだね・・・、
公園の中だろうが、他人に覗かれようが、
偶然掴んだチャンスは逃すわけにはいかなかったのだね・・」

「ハイ・・、多分そうだと思います・・」

「激しい戦いだったろうね・・・
男は若いし、千春が相手であれば、それこそ世紀の戦いだったろうね、
出来ることなら、私も覗き見したかったよ・・・、ハハ・・・・」

「そんな・・、世紀の戦いなんて・・、
そんな大げさなものではありませんが、
それでも、過去に覚えがないほど激しい交わりでした・・・・。
終わった後、二人ともトラックの中でぐったりしていました・・」

おそらく男も女も全裸で、愛液で濡れた局部を曝して、肩で息をしながら、体を投げ出していたはず
です。その光景を頭に描いて、三郎はまた全身を熱くしています。