フォレストサイドハウスの住人達(その10)
21 フォレストサイドハウスの住人達(その10)(285)
鶴岡次郎
2015/02/26 (木) 13:23
No.2657
お色気攻勢をかけたことあっさりと認めた由美子の言葉に愛が笑みを浮かべて頷いています。

「でも・・、結局・・、由美子さんの仕掛けも、
私のせい一杯の媚も空振りだった・・、
彼・・、二人のお色気攻勢には気が付いていたのは確かよ…、
それなりの興味を見せて、チラチラと私の体を見てくれてはいたけれど・・・、
手を出さないどころか、いやらしい冗談一つ言わなかった…」

「結局・・、あの時・・・、
私たちは彼の固い鎧を脱がせることが出来なかったのよ・・」

「鎧・・?
それ何・・・?
まさか、男のアレに兜をかぶっているってこと・・・?」

「バカね・・、そんなはずがないでしょう…、
精神的な鎧のことよ・・、
彼は心に鎧を被っているのよ・・」

「判らない・・・、もう少し判るように説明して・・」

「家の主人もそうだったけれど、
一流企業の会社重役を務めるような出来る男たちは、
毎日、私たちの想像を超えるストレスに体を曝しているのよ、
彼らはその大きな重圧に負けないよう固い鎧を着けていて、
家に帰ってもその鎧を脱ぐ余裕がないのだと思う・・」

「そうか・・、私たちがおっぱいを見せたり
下着をちらつかせたりする程度の刺激では、
彼は堕ちない修行を積んでいるのね・・、
強い自制心を働かせて、あらゆる誘惑に溺れないよう注意しているのね・・。
いきなり、頬を殴られ、おしっこを直接顔面に浴びるほどの刺激を受けないと、
彼は鎧を脱がなかったと言うことね…」 

「ええ・・、多分・・・、そうだと思う・・・
普段はあの通りまじめ一本で会社勤めをしていて、
宴会の席などで出会う女にも、目をくれない固い男を通していると思う。

そうした生活に疲れると、佐原さんはどこか秘密の場所で、こっそり・・、
彼のM性を満足させる遊びを楽しんでいるのだと思う…、
その時だけ、本来の欲望を彼は自由に発揮できるのだと思う…」

「私たち二人のお色気攻勢にも落ちなかった彼だけれど、
由美子さんがおしっこを掛けて彼の鎧を力ずくではぎ取ったから、
その後は、自由に由美子さんの体を楽しむことが出来たのね・・、
やっぱり、由美子さんは凄い・・・、
彼の本性を見抜いて過激な攻めを実行した由美子さんは凄い・・・」

由美子の説明を聞いて愛は盛んに感心しています。

「私は気が付かなかったけれど、由美子さんは気が付いた・・・、
・・と言うことは、いつも側に居る幸恵さんだって…」

何かが頭にひらめいたようで、愛がここで口を閉じ、じっと由美子を見つめています。

「ああ・・、そうか・・・、
判った・・!」

何かに気が付いた様子です、瞳を輝かせて大きな声を出しています。

「私、大変なことに気が付いた・・・。
幸恵さんの失踪の理由(わけ)がなんとなく見えて来た・・」

「そう・・、愛さんも気が付いたのね…」

由美子も同じ思いらしく、にっこり微笑んでいます。